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吸血鬼が血液銀行の総裁になる国 韓国と日本

新しく韓国の総理に内定した文昌克と、国情院長に内定した李丙琪という人物について少し。

まず文昌克は保守3大紙の一つである中央日報の主筆だったという履歴だけで、もうオチが見えたようなものだろう。この男は早い話「韓国のナベツネ」そのものである。中央日報日本語版に文昌克の記事が載っているので、実際にこれを読めば全て納得というものだろう。

http://japanese.joins.com/article/609/132609.html?sectcode=&servcode=100
【コラム】国恥100年、もう「日本のせい」はやめよう(1)

http://japanese.joins.com/article/610/132610.html?sectcode=&servcode=100
【コラム】国恥100年、もう「日本のせい」はやめよう(2)


これらの記事を要約すると、朝鮮が日本の植民地になったのは朝鮮がだらしなかったからだ、だから日本の責任を問うのはやめようという事だ。典型的な植民地近代化論・正当化論そのものである。ナベツネどころか現代版李完用そのもの。ちなみに文昌克の名前で検索すると上記の記事を好意的に取り上げている日本のネット右翼どもの記事が大量に出て来るので、注意が必要である。
これの前に総理候補に指名された安大熙という男も、元最高裁判事という履歴をフル活用して天文学的な収入を得ていた銭ゲバ弁護士だった事が発覚し、たった6日で候補辞退という珍事だった。朴槿恵政権というか、セヌリ党の天下である以上、こういう人間しか要職に指名されようもないという事である。そういえば、例の朴槿恵に媚びてる人も当初は安大熙の事を素晴らしい弁護士のように言って赤っ恥をかいていたなあ…。


次に李丙琪だが、この男の履歴もかなりろくでなしだ。まず国情院の前身である安企部の高官だった事と、さらに駐日大使までやっていたというのが凄絶すぎる。ここで韓国の国情院(旧安企部・KCIA)と日本の公安がどういう関係かを今一度思い出してみたい。
「ゲシュタポと特高は兄弟のようなものだからね」by 手塚治虫「アドルフに告ぐ」より
これと全く同じ関係が当てはまる。
「国情院と公安は兄弟のようなものだからね」
日本と韓国の公安当局は極めて密接に情報の共有や交流を行って、互いの国の民主化運動や反権力運動などを監視・弾圧するのに協力し合ってきた。長く日韓関係の運動をしてきた者であれば、この事実を知らぬ者はいない。「仲良くし続けてきたぜ!」という日韓癒着・共犯の歴史を体現してきた国情院の関係者というのは、伝統的に日本とのパイプが太いものである。そこの元高官で朴槿恵の「お気に」が日本大使までやるとか、お決まりの典型例以外の何者でもないだろう。良かったじゃねえか、桜井信栄よ。これで日韓の「絆」はますます安泰だ! これからも日本と韓国は腐った絆で仲良くし続けるぜ!

そして国情院と言えば朴槿恵を当選させた時の大統領選介入工作が思い出される。その前身である安企部も同じような事を何度も仕出かしてきた。特に李丙琪が安企部の第2次長だった時というのは1997年大統領選挙の年で、この時に金大中を落とす為に悪どい裏工作を取り仕切ったのが李丙琪その人なのである。詳しくは以下のリンク先記事を参照されたい。

http://www.poweroftruth.net/column/mainView.php?kcat=2013&uid=561&table=impeter&PHPSESSID=ce9d89fb37947a18f19a32a51e91397e
「大統領選挙介入・北風工作」李丙琪が国情院長とは(韓国語記事)

上記記事を要約すると、「9年選挙の際に安企部は金大中を落とす為に「北の脅威」すなわち「北風」工作を行った。後にこの選挙介入がばれると、担当者である李丙琪は「自分はその時台湾出張中だったから知らない」とシラを切った。ところが翌年になって検察の捜査が行われるや、李丙琪はその時自分が工作指示をしたと陳述した」というものだ。今の韓国で国情院が問題になっているのは、他ならぬ大統領選挙介入工作が原因である。そこへかつての大統領選介入犯を長官にするという、話にならない話だ。言うまでもなく日本ではワタミの社長が典型例だが、日本の安倍政権の政府審議会などでもこうした「吸血鬼が血液銀行の総裁になる」ような話は山ほどある。全くもって日本と韓国はそっくりではないか。

例によって日本では「反日大統領・朴槿恵ピンチ」のような記事があふれているが、根本的に間違っている。実際には朴槿恵ほど親日的で日本の既得権層に都合の良い大統領はおらず、それを実行にも移しているのに、それを全く逆に歪曲して伝えている日本マスコミの気持ち悪さといったらない。歴史問題を棚上げして日本との安保協力を優先させ、日本の集団的自衛権行使にも肯定的で、柳永益のごとき植民地近代化論者を国史編纂院長にし、文昌克のごとき親日派を総理にしようとしている朴槿恵のどこらへんが「反日」なのか。韓国と日本の悪しき癒着・共犯関係が最高潮に達したと言っても良いほどの親密な状況にありながらこれを徹底黙殺し、ありもしない「日韓対立」を創作・捏造して流布されているのが、日韓2013年体制における日本側の不気味な現実である。
ついでに言うと、安倍晋三ほど親韓的で韓国の既得権層に都合の良い首相はいないという事もわきまえておく必要があろう。

今の「日韓対立」がここまで極度なほど不自然に演出されている最大の理由は、日韓支配層の防衛本能によるものではあるまいか。本来日韓民衆の為という事を考えるならば、こうした「日韓共犯・癒着で、仲良くし続けてきたぜ体制」をこそ粉砕せねばならない。そうした現実から民衆の目を逸らさせるべく、李明博の独島訪問辺りを起点にこうした不自然な「社会的演出」がなされてきたと思う。そうした対立・葛藤を乗り越えてやがて「日韓和解」を導くという腹積もりなのだろうが、それは日韓の共犯癒着体制をさらに強固にするだけだ。「仲良くしようぜ」や「しばき隊」「のりこえねっと」「日韓知識人声明」のごとき民間のネオ御用運動(現代版内鮮一体・報国運動)はそうした空気を敏感かつ本能的に感じ取った人間(その多くは社会運動を自身の売名や立身出世の手段に考えている機会主義者)が自発的に起こしているのだろう。「お国の為」こそ時代のトレンドだと、この手の運動を起こした連中はみな感覚的に気付いているのである。
嘘臭くてわざとらしい「日韓対立」の裏で堂々と進行している悪行、すなわち韓米日共同の軍事訓練や安保協力体制構築、歴史修正、民族差別政策などにこそ目を向け、それを打破せねばならない。

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世宗大学教授・保坂祐二曰く

先日の「ストックホルム合意」についてもう一つ気になる報道があったので御紹介したい。韓国の世宗大学教授・保坂祐二が韓国のマスコミに語った内容だ。その部分を翻訳して以下に抜粋する。

http://www.dailian.co.kr/news/view/440232
「北日拉致被害者協議」日本が真に狙うのは?
保坂「2年まえから先・北日修好世論に従ったもの」
北は巨額の賠償金得て、日は東北アジア情勢主導権掌握

世宗大学の保坂祐二教授は「今回の北日協議が以前と違う点は、その間日本内知識人達の間で提起された『先・拉致問題、後・北日修好』原則を変えよという要求から始まった」とし「こうした要求を第2次安倍内閣が受け入れて強行一辺倒の対北政策が変わり、こうなるまでに北日関係に相当な進捗があっただろう」と語った。

保坂教授は「その間韓国ではよく把握されなかったが、すでに2年前から日本内では『北日修好から』という声は膨らんでおり、昨年5月に飯島勲内閣官房参与の訪北がその糸口となった。以後飯島は昨年10月に再び中国大連で北朝鮮の高位人士と極秘会談をもったものと知られており、その間に秘密会談で相当な水準の約束がなされた可能性が高い」と分析した。

「今回日本がただちに独自的対北制裁を解くと発表したのを見た時、水面下で論議された北日間のもっと大きな約束があるだろうと疑う以外にない」というのだ。それでいて保坂教授は北日の間になされた「もっと大きな約束」について北日修好の可能性を言及した。

保坂教授は「北日修好が締結されたら過去の1965年韓日修好のように北朝鮮は巨額の賠償金をもらう事になり、歳月が多く流れただけ韓国がもらった賠償金よりもはるかに多くの金額になるだろう」とし「北朝鮮としては経済を救う唯一のカードなので拒絶するのは難しく、日本は修好条件として核問題解決を」掲げて東北アジア情勢で主導権を握る国家利益を窺う事が出来る」と語った。


今回の協議は「日本内知識人達」つまり保坂とそれに近い筋の学者(おそらく和田春樹など「国民基金・日韓知識人声明」派の人脈だろう)達の呼びかけを安倍政権が受け入れたからだ、と述べている。自分達が今回の協議の仕掛け人だと言いたいのだろう。この人達は「日本の国益の為の『北日修好』」という点で日本政府・安倍政権とは事実上一体だと言える。東アジア共同体だの日韓知識人声明というのは元よりそういう性質のものなのだから。
また、保坂が言うように「北日修好」がなされた場合は、当然平壌宣言に基づいてそれが行われる事になる。その際に日本から朝鮮へ支払われるであろう金銭類は「賠償金」だと、保坂がここで断言しているのも注目すべきだ。もちろんこれは明らかに日帝植民地支配に対する「賠償金」だと、保坂が主張しているのは言うまでもない。「過去の1965年韓日修好のように」というセリフからも分かるように、保坂は日韓条約の時に支払われた金銭類も同様に「賠償金」と断言しているのだから。
だが平壌宣言にあるのは飽くまで「経済協力」であって、植民地支配に対する「賠償」などとは一言も言っていない。保坂が言いふらしているのは、日韓条約と平壌宣言の「経済協力」を「賠償」にすり返る既成事実作りそのものであり、これは過去の歴史修正どころか「現在修正主義」ですらあろう。
いずれにせよ、保坂やそれに連なる「日本内知識人達」の総意というのは、今回のストックホルム合意と(その後うまく行けば)平壌宣言に則った「北日修好」と「賠償金」とやらで歴史問題は全て幕引きにするという事だ。真の歴史清算とは全くかけ離れている。

それでも「朝鮮がその巨額の経済協力で経済難を克服出来たらいいじゃないか」という意見もあるだろう。保坂は朝鮮が受け取る金額が「韓国よりもはるかに多くなる」というが、そんな保証はどこにもない。2002年9月17日の日朝平壌宣言によって、朝鮮側は対日歴史清算で大幅な譲歩をした。今後仮に経済協力が行われたとしても、日本側に圧倒的有利な条件である以上、その金額は日本側の言い値になる。保坂が言うほど「巨額」になる要素は見当たらないだろう。日本にとって重要なのは朝鮮民主主義共和国の経済を救ってやる事ではない。そんなつもりは最初から日本にあるはずもなく、「独立祝賀金」まがいのはした金(それすらも借款やら何やら有償のを含む)で過去の全てを決着にし、おまけにそれすらも後々の経済侵略のダシにされるのがオチだ。韓国の経済成長というのは日韓条約による経済協力の効果よりも、その後のベトナム特需によるものがはるかに大きかった事を思い出す必要がある(もちろん日本もベトナム特需で朝鮮特需に次ぐ莫大な利益を手にした)。平壌宣言に則った修好とそれによる保坂が言う所の「巨額(?)賠償金」が行われても、それは決して朝鮮の経済を救いはしないと思う。

保坂や和田の振る舞いを過去の歴史に照らし合わせて考えれば、この連中のしている事が何なのかは明白だ。19世紀末に日本が朝鮮を侵略し始めた時期にそれを草の根的にサポートした、内田良平のような大陸浪人達の役回りを演じているのである。

「憲法9条にノーベル賞を」運動について再び その2

で、この運動に対する韓国での反応についてもう少し詳しく補足を。前回では進歩派4大メディアの一つである京郷新聞の論説委員がこれに賛意を表するという絶望的な醜態を御紹介したが、対する保守派も負けてはいない。「韓国の産経新聞」こと朝鮮日報も「憲法9条にノーベル賞を」を褒めていた。以下に該当記事結尾部分を翻訳抜粋する。強調部分は訳者による。

http://kg50.net/apsun/board.php?board=freeboard&command=body&no=7012&PHPSESSID=ddc70e7d46ca70b2a010d18269143578
朝鮮日報 万物像 「日本国憲法9条」(韓国語記事)

日本国民の意見も解釈改憲に否定的だ。少し前に朝日新聞世論調査で「集団的自衛権行使反対」が63%、「憲法9条維持」が64%だった。数日前にノーベル賞委員会が日本国憲法9条を平和賞候補に上げた。日本のある主婦が「憲法9条に平和賞をくれ」として委員会に手紙を送って後、推進委員会まで出来て請願した結果である。戦争しない国を子孫に受け継がせてやるのが請願運動の目的という。100年前(日清・日露戦争時)と違って現代の日本には、安倍政権の暴走を防ごうとする人が少なくなく、せめてもの幸いだ。

日本にはこんなに平和を愛する「良識派(この中にはもちろんバリバリ改憲派の長島忠美&金子恭之も入る)」がたくさんいるんです! これらが安倍政権の暴走を止めようとしているんです! 100年前と違って韓国にとっては実にラッキーではありませんか!
と、日頃から植民地時代や軍事独裁時代を礼賛し、韓日安保協力の強化を訴えている朝鮮日報は言いたい訳だ。そりゃあそうだろう。今の日本が「過去を反省せず、再軍事化に狂奔し、再び朝鮮半島を勢力圏にしようと狙っている恐ろしい国。国民の間にも民族差別感情や日本人優越主義が蔓延して、それを下支えしている。日本において在特会は決して特別な存在ではない」というありのままの本当の事を正しく書いてしまったら、世論に猛反発されて肝心の韓日安保協力が出来なくなってしまうじゃないか! したがって、一見矛盾するように見えるが、韓国の右派・保守派マスコミというのは日本の左派・リベラルや、最近では「在特会カウンター運動」を過度に「良識派」扱いして持ち上げようとする傾向が強い。そうする事で「日本の市民社会にはこんなに良心勢力がたくさんいるんだぞう。だから日本がまた軍拡化する事はないんだぞう。だから韓国と日本は安保・軍事協力しても何の問題もないし、安心していいんだぞう」という印象を与えて、韓国の民衆の警戒心を緩めさせたい訳である。朝鮮日報が「憲法9条にノーベル賞を」を褒めるのは、連中にしてみれば全く理に適った言い草だ。前に取り上げた温報(オンバオ)が桜井信栄に気持ち悪いラブコールを送ったのももちろんそうだし、朝鮮日報と並ぶ保守メディアの雄・東亜日報も野間易通や木野トシキを「日本の良心勢力」扱いしてヨイショした事があり、これらは全て韓国民衆の日本に対する警戒心を緩めさせる為にやっている。
対する京郷新聞やハンギョレのような進歩派マスコミが日本の左派・リベラルを持ち上げるのは、軍事独裁時代に民主化運動で日本側と連携していた頃からの腐れ縁が続いているのに加え、その後日本社会が左派勢力も含めて大きく右傾化していき、韓国の進歩派も民主化後に大きく堕落して日本に対する批判精神を失った為だ。韓日共に左派勢力が駄目になったという事である。その結果、保守の朝鮮日報から進歩の京郷新聞まで韓国の言論はどこもかしこも「憲法9条にノーベル賞を」運動を左右全マスコミぐるみで賛成するという珍現象に陥ってしまった。韓国では保守派も進歩派も、日本の左派・リベラルを批判しないか出来ない。本来なら進歩派メディアこそ、そのような日本の運動の欺瞞性と偽善性を暴いて批判しなければならないのだが、そうならずに機能不全に陥っている。
韓国の進歩派も保守派も、仲良く日本の憲法9条にノーベル賞がもらえるようにしようぜ!

【日韓修身ナルシズム同盟ノ句】
日韓 ヨイ 国、 強イ 国。
アジアデ 唯二ツ 自由ト 民主主義ニ カガヤク エライ 国!

日韓知識人共同声明が典型例だが「アジアで日本と韓国だけが自由と民主主義の価値観に基づく国家を築き上げた。これからのアジアを牽引していくのは、自由と民主主義の日韓だ」という鳥肌もののキモいセリフを平然と言う知識人が日本にも韓国にもいる。日韓いずれのマスコミ・知識人達も左右問わず、恐ろしいほどのナルシズムにイカれている惨状だ。そりゃあ、こういう狂的ナルシストほどノーベル賞みたいな「権威」が大好きだわなあ(笑)。
(続く)

「憲法9条にノーベル賞を」運動について再び その1

前回の記事で筆者は「憲法9条にノーベル賞を」運動に賛同した国会議員60人の中に、自民党でも特に右寄り(日本会議・神道政治連盟所属)な長島忠美と金子恭之が本当に入っているのか疑問を呈した。どうやらこれは事実だったようである。以下のように貴重な御指摘を拝見出来た。

https://twitter.com/kibikibi20/status/470623303279734785
@kibikibi20⇒前掲「立憲フォーラム」HPによると、長島忠美と金子恭之の2人が賛同したのは事実である⇒
衆参国会議員有志により、「ノーベル平和賞の授与を求める文書」を提出しました
(立憲フォーラムHP、2014年5月17日)
10:51 - 2014年5月25日

https://twitter.com/kibikibi20/status/470623823847374848
@kibikibi20 「賛同者 (ABC順):
[・・・]
/菅 直人/金子 恭之/
[・・・]
/長島 忠美/中川 正春/志位 和夫/」
10:53 - 2014年5月25日

もうこの時点で明らかだろう。この運動がどれだけアホ臭い馬鹿馬鹿しいものかが。金子恭之なんてバリバリの改憲派ではないか。以下の赤旗記事によれば憲法調査推進議員連盟にもその名がある。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-19/02_02.html
保守「2大政党」づくりの 断面
議連に同舟 改憲レース

上記記事から10年後、その金子議員は共産党の志位委員長と一緒に「憲法9条にノーベル賞を」与える運動をするようになりましたとさ。おいおい、赤旗はあんたらの親分と自民党の憲法調査議連所属議員が一緒になってこんな事をしてるのを何とも思わないのか? 思わないんだろうな…。

「9条に平和賞をやる事で安倍政権の暴走に歯止めが掛けられる」などというのは愚かな希望的観測というか馬鹿な妄想に過ぎず、それどころか安倍や金子や長島のような自民党改憲派・タカ派・日本会議派にとっては望ましい事なのだ。「ノーベル平和賞まで日本国民は受賞した」という権威付けのアリバイは軍拡化と戦争を抑止するのではなく、日本人の国威発揚と日本優越主義の強化に直結し、それがさらなる軍拡化を推し進める力になるだろう。ノーベル平和賞を受賞した「日本国民」が
日本ヨイ 国、キヨイ 国。
世界ニ 一ツノ  神ノ 国。
日本 ヨイ 国、 強イ 国。
ノーベル賞ニ カガヤク エライ 国。
というますます酷い修身ナルシズムに陥る事だけは間違いなく、これはまさに大日本帝国そのもの。金子や長島のような極右国粋議員がこの運動を気に入って飛び付いたのはまさにその点だ。ナルシーな日本優越主義者にとって「ノーベル賞」のごとき「世界的権威」はよだれが出るほど大好きだろう。「9条を守る」どころか、安倍を全力で手助けすらしているのが「憲法9条にノーベル賞を」運動なのである。

「護憲」のウィングを右に伸ばし、「従来の護憲派」だけではない、より幅の広い「国民」層を取り込む。また、アジア太平洋戦争については、「加害」の点を強調する(それは「反日」になるから)のはやめて、「被害」の側面を強調し、改憲することによって再び戦争被害を被りかねないことに注意を促す。

佐藤優現象はまさにここに極まれり! 佐藤優現象を今最も体現した醜悪な姿の極致が、この「憲法9条にノーベル賞を」運動に他ならない。
「自共対決」だって? どう見ても「自共仲良く」にしか見えないんだが。
自民党も共産党も仲良くしようぜ! ノーベル賞の為に! 
日本ハ ノーベル賞ニ カガヤク エライ 国!
(続く)

韓非子に曰く

・「9条にノーベル賞を」に対する韓国側の駄目過ぎる絶望的な反応

日本の「憲法9条にノーベル賞を」という呆れた運動について韓国側の反応を色々と調べていたのだが、予想はしていたけれど惨憺たる例ばかりが目に付いた。保守派・進歩派問わずこれにまともに反対している人間を見た事がない。むしろ日本軍拡化のブレーキになって良い事だという意見が言われているくらいだ。その典型例が京郷新聞の論説委員である李鍾鐸が書いた以下のコラムである。この文の結論部分を訳して抜粋しておく。

http://world.khan.kr/816
日本国憲法9条(韓国語記事)

だがこの憲法9条が日本に大きな栄誉をもたらしてくれるかもしれないというニュースだ。日本のある主婦が憲法9条を守ろうというキャンペーン次元でノーベル委員会にノーベル平和賞候補に推薦したが、これが受け入れられたという話である。(中略)結果は未知数だが、今回の事で日本の軍国主義の動きにブレーキが掛けられるなら、それだけで意味があると思う。

ああ、この人は何も日本の実情が分かっていないんだなあと。それでこんなに呑気な事が平然と言えるのだなあと。古代中国で韓非子が指摘していたのはまさにこういう事例だったんだなあと。本当に京郷新聞は終わってんなあと。そんな事を思った。

「9条にノーベル賞」が与えられたら「日本の軍国主義の動きにブレーキ」が掛かるだって? そんな訳ねーだろ。ブレーキどころか、むしろ日本の軍国主義化をさらに助長させる結果になるだろう。オバマがノーベル賞を受賞して、アメリカは核放棄をしたのか? アメリカはその後も変わらず臨界前核実験を繰り返したし、リビアを侵略し、アメリカアフリカ軍(AFRICOM)をアフリカ各国に派兵して侵略行為を繰り返している。シリアにも軍事介入しようとした。仮に憲法9条にノーベル賞が与えられても、日本はアメリカと全く同じ事をしようとするだろう。これを奇貨として「9条を持った平和国家・日本が戦争なんかする訳ない。自分達の軍隊は平和の為なんだ。平和の為に自衛隊を派兵してるんだ」という正当化の口実をさらに前面に押し立てて軍拡化にはげむに決まっている。いわゆる「美しい誤解作戦 by 伊勢崎賢治」というやつだ。思い出すが良い。旧大日本帝国が侵略戦争を始めた時に何と言ったか? 「大東亜共栄圏は東洋平和を保全する為だ by 豊川善曄」と。朝鮮半島の人間は「9条にノーベル賞」を「現代版大東亜共栄圏」と読み替えるべきなのである。
今の安倍政権が進めているのは解釈改憲、つまり憲法の文言はかえないまま「解釈」を変える事で軍拡化するという事なのだから、それにノーベル賞なんかやるのは解釈改憲に「お墨付き」を与えるに等しいという点に朝鮮半島の民衆は気付かねばならない。

日本で「9条にノーベル賞を」運動をしている連中というのは2種類に大別出来ると思う。第1は、本人自身は平和主義者としてこれがウルトラC級の秘策のつもりでいるが、それがどういう結果を生むかという深い予想や推察すら出来ない頭の悪い人達。つまり「無知の善意」を押し付けようとしている愚人で、この運動を始めた主婦などそれにぴったり当てはまるのではないか。第2は、それに便乗して悪用しようとしている悪意の確信犯だ。こちらの層は少なくとも前者のように馬鹿ではなく、自分らの私欲や政治的目的の為に計算ずくで動いている。この運動に賛同している学者や国会議員のような著名人層が該当するだろう。そもそもこれに賛同している「超党派の国会議員有志」に自民党の議員まで含まれている時点で疑いを持たねばならないはずだ。あんたらんとこの総理・総裁が進めてる政策と(表向き)矛盾してねえのか? だったらまずは離党してからそういう運動しろよ、という話だろう。そして、前者(愚人)の層の中のある人々は、ふとしたきっかけでいくらでも後者(確信犯)に鞍替えし得る。

いずれにせよ、韓国の人々はあまりに呑気過ぎる。こんなしょーもない運動に「日本の軍国主義の動きにブレーキ」を期待する事ほど愚かな事はない。韓非子の言う通り、これはまさにウサギが切り株に頭をぶつけてくれるのを待ち続けて笑いものになった農夫の姿そのものだ。憲法9条にノーベル賞が与えられる事で日本の軍拡化にストップが掛かるのを待ち続ける韓国の民衆は、後世間違いなく笑いものになるだろう。

그루터기를 지켜 토끼를 기다린다.
守株待兔
株を守りて兎を待つ

と。

憲法9条にノーベル賞が与えられたとて日本は軍拡化をやめはしないし、むしろそれを正当化の口実に悪用するだろう。日本とその国民達が酔い痴れている偽善と欺瞞を徹底的に引っぺがして対峙する事でしか、アジアの民衆が日本帝国主義と軍拡化を止める術はないのである。

 
【追記】
上記の「9条に平和賞」の意見書をノルウェー大使館に出した超党派議員団60人のメンツが分かる方は、どなたかいらっしゃいませんか? というのも、聯合ニュースの韓国語版に変な事が書いてあったからです。

http://www.yonhapnews.co.kr/international/2014/05/22/0602000000AKR20140522206900073.HTML
「自民党からは長島忠美衆院議員と金子恭之衆院議員ら2名が参加したと共同通信は伝えた」

え? 長島忠美と金子恭之だって? この二人は神道政治連盟だの日本会議だのとズブズブの関係な極右そのものの議員なんですけど…。ましてや金子はバリバリの改憲派で売ってる議員であり、「偽装戦術」だったとしてもこんな所に顔を出すとは考え難い。聯合ニュースの誤報の可能性が高いとは思いますが、他に確認出来るニュースソースもないので確信も出来ません。事実だったら事実だったで、この運動の欺瞞性を証明してくれる好例ではありますけど。まあ、韓国ではこんな変な話も出回って情報が錯綜しており、それだけ日本の事情が分かっていないという事を教えてくれる逆理でもありますが。

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