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韓国の極右ニューライトが早速「誠じゃない方の桜井」にラブコールを送り始めた

最近知ったのだが「温報 オンバオ」という韓国のニュースサイトがある。ここは中国の様々な情報を韓国に紹介するというふれこみで、いわば「華流」のホットニュースを韓国に伝えるという趣旨のメディアなのだろう。が、しかし…。
ここの紙面を実際に読んでみるとすごいものである。このニュースサイトは中国の芸能ネタだけでなく韓国の政治・社会ニュースも取り上げているのだが、その論調は極右そのもの。まさに骨の髄まで親米親日・反共反北という、韓国極右ニューライトの結晶体みたいな事ばかりが書かれている。例によって統合進歩党のような進歩政党や平和統一運動を「極左・アカ・従北」と攻撃し、先の旅客船沈没事故でも「極左勢力が騒ぎを起こしている」と扇動していた。もちろん遭難者を一人も救助出来なかった朴槿恵政権は全面擁護です! はっきり言って保守3大紙の「朝・中・東」より右寄りなんじゃないかというくらい凄絶な紙面である。中国芸能ニュースメディアの仮面を被った韓国極右勢力の発現と呼ぶに相応しい、実に訳の分からない奇怪なトンデモメディアであろう。ぜひ温報にはアジアプレスと業務提携し、日韓双方で互いのトンデモ北朝鮮報道を配信して欲しいものだ。

で、その紙面を色々と見ていたらさらにとんでもないものを見つけてしまった。例の「日韓仲よくしようぜ会」というキモさ爆発のトンデモ集団を率いる「誠じゃない方の桜井(笑)」こと桜井信栄を大絶賛するコラムが載っていたのである。このコラムははっきり言って読めば即身成仏間違いなしだろう。特にタイトルが凄絶だ。「日本人が好きです」だって。凄すぎ。

http://onbao.com/news.php?mode=view&num=40355
キム・ビョンムッコラム「日本人が好きです」

この執筆者のキム・ビョンムッというのは在中韓国人だそうで、温報の極右論調を最も体現しているような書き手と言って良い。統合進歩党攻撃に代表される従北魔女狩りはもちろん、朴槿恵への大絶賛など、読んでてめまいがしてくるような狂信的ニューライトである。
この桜井信栄を褒め称えたコラムは、もちろん全文翻訳など馬鹿馬鹿しくてやってられないので、目玉とも言うべき凄絶な部分だけ訳して以下に抜粋しておきたい。強調部分は訳者による。


桜井教授は「日本の右派内にも反韓デモに反対する人間がいる」として日本の中の一部の行動が日本人全体を代弁するかのように世論が偏る事に憂慮した。

桜井教授が光化門でピケデモをする理由は、ソウルを訪ねる日本人観光客を対象にしてもいるが、ソウル市民を対象に日本国民を代表してメッセージを伝達する為だ。

韓国と日本は自由民主主義の国だ。多様性を前提とした民主主義国家では、一部政治家が国民全体を代弁するのではない。実際に生活の中で接する大部分の日本人達は、過去における日本帝国主義の歴史的犯罪を恥ずかしがり、ただの一人もこれを正当化した日本人に会った事はない。

反韓デモをする少数の日本人もいるが、昨年2013年だけで51万人の日本人観光客が韓国を訪ねた。(中略)反韓デモに参加する100余名にに比べて数十万人の日本人が韓国に対して好感を…(中略)日本国内で韓流文化が広範囲に広がり…(中略)現在の日本の執権勢力が妄言を続けるのに反し、日本国民大衆の主流的世論は韓日両国の親善と友好的関係を望む。

桜井教授のピケデモが我々に伝えるメッセージは、日本人の主流的考えと世論を伝えたいという事だ。過去の日本帝国主義の侵略の歴史を反対するのと、日本人を敵対視する事は全く次元の違う事項だ。韓日両国の国民大衆は戦争よりも平和を望んで、対決よりも親善を望む。

日本国内の政治が極右に偏るほど、我々は平和と親善の原則を明らかにせねばならない。それでこそ日本国内でも一部極右政治家達が孤立して政治的影響力を失う事になるだろう。

昨年5月から毎週土曜日毎に弟子や日本人の知人らと共にピケデモを行ってきた桜井教授の勇気と真心に尊敬と感謝の拍手を送る。


お読みの通り、これを書いたキム・ビョンムッという者は極めて論理性のない支離滅裂な事ばかり言ってる上に、民主主義の本質も、日本の実情もまともに知らないアホだという事がよく分かる。「妄言」をするような極右政治家が日本では「一部」だとか言ってる時点で、こいつ馬鹿じゃねえのかという話だろう。自民党と民主党と維新を合わせりゃ議席いくつよ? それがほんの「一部」なのか? そんな事すら分からないアホが日本の事を語るべきではない。「日本国内の政治が極右に偏るほど、我々は平和と親善の原則を明らかにせねばならない」とか、要するに日本の政治家が歴史冒涜発言を繰り返したり集団的自衛権行使などの軍拡化を進めても、韓国は「平和と親善」だけ唱えて大人しくしていろ(가만히 있으라 by 沈没した旅客船歳月号の乗客案内放送)という事ではないか。要するにキム・ビョンムッは日本のやる事に抵抗するなと主張している訳だが、そんなの日本の「極右政治家達」が「孤立して政治的影響力を失う」どころか、ますます付け上がるだけじゃないのか? 韓国の立場は苦しくなるだけで、過去の歴史清算はますます遠ざかるばかりである。「韓国と日本は自由民主主義の国だ。多様性を前提とした民主主義国家では、一部政治家が国民全体を代弁するのではない」って言うが、その「一部政治家」を「民主的」な選挙で選んだのは日本の有権者なんだが。それに「韓日両国の親善と友好的関係」とやらを築く事と過去の歴史清算は必ずしもイコールではない。今までの日韓関係がそうだったように。「日本の執権勢力」が今までどれだけ歴史冒涜発言を繰り返しても韓日の国交が断絶する事はなかったろう。「韓流」芸能は大好きだけど在特会並みの民族差別主義者で「反日韓国大嫌い」という、「政芸分離」な韓流ミーハーなど日本にはいくらでもいる。そういう日本の民衆意識が妄言政治家を当選させるという事もまた「自由民主主義」の大きな特徴だ。この男(とそれに類する韓国ニューライト)の言う「日韓親善」とやらがどういう性質か良く分かるだろう。
が、このコラムは反面で桜井信栄がどういう姿勢で向こうの現地で活動しているかが、非常によく分かる貴重な証言でもある。この誠じゃない方の桜井は、我こそ「日本国民を代表」しているというのだから。「日本で在特会みたいなのはほんの一部であり、日本人は差別に反対している良心派が大部分だ。朝鮮半島と日本の歴史的・政治的問題と民族差別は関係ない」という、およそ現実とかけ離れた大嘘宣伝を韓国で必死になって広めている、そんなデマゴーグが韓国で「日本人の代表者」然して偉そうにのさばっているという事実を、他ならぬ韓国現地の馬鹿右翼が口をすべらせてバラしてしまったのだ。馬脚を現すとはまさにこの事であろう。ていうか「日本の中の一部の行動が日本人全体を代弁」するのではないなら、桜井信栄自身とて「日本国民を代表」するなどという事はあり得ないだろう。この男は何を以って自分が日本の代表などと豪言壮談(호언장담 大言壮語)しているのか? 

桜井信栄がこういう人間なのはさほど驚くにあたらない。仲良くしようぜ運動、すなわちこの男の親分格である野間易通は先日ツイッターで「糞チョソン人」という差別発言をして、他ならぬ「信栄じゃない方の桜井(笑)」にすら嘲笑されていた差別主義者なのだから。この者達が日本の大衆を欺いているのはもちろんだが、それ以上に韓国の人々を特に重点置いて詐欺にかけようとしているのは明らかだろう。その方が自らの目的、すなわち自身の差別性隠蔽や、日本の国家体制サポートといった自分らの御用運動をうまく運ぶのに都合が良いからだ。「日本とは歴史問題を抱える最たる反日国家・韓国が日本の『良識』を認めてくれた」という既成事実がそうした事を運ぶのに、どれだけ都合が良いか! 宮崎駿が「風立ちぬ」の公開に当たって韓国対策に死に物狂いになったのと同じである。そこに韓国側から手を差し伸べてきたのが今回の温報やキム・ビョンムッのような極右ニューライト・親日勢力という事だ。何しろ「日本人が好きです」だぜ? ここまでキモイ事を堂々と言い切った奴など初めて見たわ! 
いずれにせよ、野間易通・桜井信栄一派に対して韓国本国の極右・ニューライトがラブコールをはっきり宣言した、という事は明らかになった。予想されていた事だが、日本の「仲良くしようぜ運動」と韓国の極右ニューライトは極めて親和性が高い事がこれで実証されたのである。韓国と日本の一番悪質な層が手を結ぶという構図がここでも分かり易く再現された訳で、これまた19世紀末の朝鮮侵略時から続いてきた日韓癒着・共犯行為の一例でしかない。仲良くし続けてきたぜ!

こうした野間・桜井らの動きを単純に笑って済ませられないのは、日本で今進行しているある出来事の断片ともいうべき表出だからだ。日本は1937年に日中戦争を引き起こしてから、内鮮一体・皇国臣民化を名分に国民総力運動を始める。これは植民地朝鮮においては朝鮮人を戦争に引き込む為の意味を持っていた。2014年の今はどうだろう。武器輸出解禁、解釈改憲、集団的自衛権行使など戦争と軍拡化にひた走るのが今の日本だ。すでに度々報道されてきたように、韓国の朴槿恵政権は日本の集団的自衛権行使を容認する方針である。アメリカの言う通りに歴史問題を棚上げして、日本との安保協力を優先させてだ。朝鮮半島で戦争がもし起こったら、日本軍は集団的自衛権を行使して堂々と朝鮮半島に上陸・参戦する。「仲良く北朝鮮相手に戦争しようぜ」という事だ。野間や桜井(誠じゃない方)やキム・ビョンムッらの行為は、まさにそれを下支えして戦争に突っ走る現代版内鮮一体・皇国臣民化・国民総力運動そのものである。

野間が表向き「反ヘイトスピーチ」と言いつつ差別発言を繰り返す様は、当時の日本人が表向き「一視同仁」を口にしながら実際には朝鮮人を奴隷のように虐待して罵声を浴びせていたのと全く違わない。
誠じゃない方の桜井がやはり「反在特会」デモをしながら「あれは一部の馬鹿がやってるだけで、日本の大部分は良識派なんだ」「朝鮮半島と日本の歴史的・政治的問題と民族差別は関係ない」というデマを垂れ流し、歴史に無知な韓国の若者をたぶらかして洗脳している姿はどうか。敗戦前の修身教科書第五期にあった「十九 ニッポンノ国」の以下の句はあまりに有名だろう。

日本ヨイ 国、キヨイ 国。
世界ニ 一ツノ  神ノ 国。
日本 ヨイ 国、 強イ 国。
世界ニ カガヤク エライ 国。

この修身はもちろん植民地朝鮮の学校でも皇民化教育の重要なプログラムとして教えられた。特に戦争の雰囲気が強くなった時期、第3次朝鮮教育令が発布された1938-1941年からは授業時間が倍増し、最も優先度の高い教科とされている。この句も植民地朝鮮では上記の日本語で教えられていた。「日本ヨイ 国、キヨイ 国」と。桜井信栄が言ってる事も全く同じであり、今の韓国で次のように若者達に教えていると解釈出来よう。

日本ヨイ 国、キヨイ 国。
反韓デモニ 反対スル 神ノ 国。
日本 ヨイ 国、 強イ 国。
北朝鮮ヲ コラシメル エライ 国。

誠じゃない方の桜井がやってる「自称・反韓デモ反対運動」の正体は、現代版修身・皇民化教育を南朝鮮に再輸出しているという恥知らずなだけの行為だ。これは自分とこの中国人社員を靖国神社と遊就館に送り込んで「靖国に感動しました!」という状態にまで洗脳させる、ゴーゴーカレーの社長並みに恥知らずな所業であろう。これらはあの時代から何の反省も変化もない軍国主義日本人そのものの姿だ。
実を言うと、修身の教科書は最近韓国でも朝鮮語に訳されて刊行されている。もちろんこれは日本の植民地統治の実態を研究する為で、ニューライト勢力や日本極右勢力が主張する植民地近代化論・正当化論を打破する事が目的だ。そうした貴重な資料が刊行されているのだから、韓国の人々は昔の修身と全く同じ事を自分らに押し付けようとしている桜井信栄らの詐術に、一刻も早く気付かねばならない。それに同調する現代版親日派についてもだ。

かつての国民総力運動は中国との戦争の為だった。今また同じような「新・国民総力運動」が日帝から草の根レベルで押し付けられ、その矛先が北の同胞に向けられているのである。
日本と韓国は今でも内鮮一体のままだ。

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白楽晴って本当は「韓国の山口二郎」…

http://www.pressian.com/news/article.html?no=39006
「大韓民国の国益と朝鮮半島全体の安全、生活の質改善の為に北と疎通・接触して協力しようという「通北」と、南北対決状況で北側当局の路線を追従する従北の差を曖昧にした」
「従北と通北は当然区分されねばならず、我々の選択は通北だ」

http://www.left21.com/article/11735
「(金大中・盧武鉉政権が迷走した理由について、民主労働党などの進歩陣営が)理念的純粋性を多少犠牲にしながらも現実的に解決策を探そうという努力が足りなかった…少数党なので負担もなく御大層な主張ばかりして、観念的で追想的なスローガンを押し出した」
「韓国経済の成長動力を用意しなければならないのが執権勢力の責務だ…国家経営の責任を引き受けた瞬間に事情は変わる」

上記発言をしたのは誰だかお分かりだろうか。一見すると韓国のセヌリ党や保守・右派の誰かが言ったかのようにも思えるが、さにあらず。これらはソウル大名誉教授にして、かつて「韓国の知性と良心を代表する人物」と言われた白楽晴の発言なのだ。
韓国で統合進歩党や李石基事件で社会全体に「従北」魔女狩り風潮がひどくなるや、白楽晴はそそくさと「俺は『通北』だ。『従北』じゃねえんだよ」と言って卑怯な逃げ方をする。それまでさんざん「民主労働党は黙って民主党に協力しろ」と主張し、実際に民主労働党を済州島海軍基地建設や原発問題で譲歩させておきながら、いざ民主党政権がグダグダに迷走すると「偉そうな事ばかり言う民主労働党が悪い」と言い出した。さらには金大中・盧武鉉の民主党政権が従来の公約から大きく後退した事に対しては「執権したら事情が変わる」って…。
この人は一体何を言ってるんだ? ひょっとしたらギャグのつもりなんだろうか? こんな人が「韓国の知性と良心を代表する人物」と言われてたんだって? それ自体がすでにロクでもないギャグとしか言いようがない。

これら白楽晴の発言には日本にいる我々にも深い(不快)馴染みがある。日本で山口二郎が言って来たセリフと何てそっくりなんだろうかと思う。

いずれにせよ、昔(軍事独裁時代)はともかくとして、今の白楽晴の言動には見るべきものなど何もないという事だ。むしろ韓国民衆の生活や人権、民族の平和統一には有害極まりないと思う。これは白楽晴に限らず弁護士の韓勝憲や、韓国放送通信大学教授の金基元、金大中・盧武鉉の2代にわたって統一部長官を務めた丁世鉉など、白楽晴のお仲間である知識人、すなわち「創作と批評(創批 チャンビ 창비)」系知識人(ポジション的に日本の岩波文化人にそっくりそのまま当てはまる)とも言うべき人脈の多くに共通して見られる傾向だ。

金基元なんて奴はすごいもんで「資本主義市場経済では整理解雇をなくす事は出来ず、「整理解雇と非正規職なき世界」というはなから誤ったスローガンは持続可能ではない」なんて堂々と主張しているのだから。これが韓国の「財閥改革運動」を進めている「民主勢力・進歩派学者」とは笑止である。おまえは竹中平蔵か! どうみても単なる万国労働者の敵にしか見えず、そんな文章が今の「創批」には堂々と載っているのだ。岩波の「世界」の現状と瓜二つだと思う。

韓勝憲も李石基事件の際に白楽晴らと一緒になって「社会の常識からかけ離れている」と非難して自分らだけいい子ぶっていたが、おまえさんは金大中が同じく「内乱陰謀嫌疑」で死刑にされかけた時にも同じ事を言うのかい? いや、金大中だけではない。軍事独裁時代に韓勝憲自身が弁護した無実の公安事件・政治事件の被害者達に対しても同じ事を言えるのか? はっきり言って、韓勝憲の李石基事件に対する冷淡酷薄な態度は、かつての人権派弁護士が今やここまで堕落したという事を良く見せ付けてくれている。あるいは今韓国社会で「従北の権化」として袋叩きにされている李石基や統合進歩党ごときを擁護しては、自分らの崇める「御本尊」たる金大中の「商品価値」に傷が付くと考えたのではあるまいか。金大中だけは飽くまでも「軍事独裁に立ち向かい、内乱陰謀の嫌疑をかけられながらもその疑いを晴らした英雄」でなければならず、それでこそ「それを手助けした元側近の俺達もエライ」として権威を保てるという事だ。李石基や統合進歩党ごときは、内乱陰謀罪で死刑になろうが政党解散しようがどうでもいい、というのが韓勝憲や白楽晴の本音としか思えない。だからこそ「弁護士としての良心」よりも、こうした保守派に迎合的な言動で自分の「商売」を優先させたのではないか。韓勝憲はこの一件で、自身がかつて弁護した公安・政治事件被害者達を自ら踏みにじったのだ。日本の法曹界では今でも韓勝憲の事を「韓国の代表的な良心的弁護士」と見る者も少なくないようだが、それは遠い昔話に過ぎないという事に気付く必要がある。今時韓勝憲を「韓国の良心」などと言うのは、今の金芝河を「韓国の抵抗詩人」などと持ち上げるのに等しい。あるいは鎌田慧を「日本の代表的反権力ジャーナリスト」とみなすのにも等しいだろう。こいつらみんな、とうの昔にメッキがはがれてんだよ。

丁世鉉は金大中・盧武鉉時代に統一部長官として実際に太陽政策を実行に移した人物の一人だが、この男の最近の言動もひどい。丁世鉉が最近主張している統一論というのは「北に人道支援をし、それで北の民心を南に傾かせる」というものだ。プレシアンにしょっちゅう出ている丁世鉉へのインタビューでは、この事をほぼ毎回のように主張している。丁世鉉は「南北の民心を連結させる為」などともっともらしい理由を言うが、「北の人心を南に傾かせる」とは逆に言うと「北の民心を北の政権から離反させる」という事でもあろう。民心を政権から引き剥がすというのは、はっきり言ってその政権を転覆する為の工作そのものだ。少なくとも揺さぶりをかけるに等しい。
また、丁世鉉は事ある毎に「統一しようと思ったらドイツの事例に学べ」という事を主張する。西ドイツが東ドイツに多額の経済援助を始めるや、当初東はそれで西に隷属させられるのを警戒していたが、やがて案の定というか西の援助なしにはやってけなくなって吸収統一された。それを韓国もやれという。「北が依存するまで支援すべし」と。日本でも渡辺利夫が岩波書店の出版物で主張している日朝交渉論と何ら違わない。丁世鉉は一見すると吸収統一を批判するかのような口ぶりだが、実際には北の民心を南に傾かせろだの、ドイツ式統一を主張するなど、韓国でもこれほどガチな「南主導による吸収統一論者」はいないのである。丁世鉉が凡百のニューライトと違うのは、同じ吸収統一でも、より狡猾で具体的で実現性の高いプランをソフトな言い方で語れる所にある。朴槿恵のように具体的なプランもないまま北の地下資源や土地など目先の欲に目がくらんで「統一は大チャンス」などと馬鹿な皮算用ばかり口走る者よりも、丁世鉉のような者こそ実ははるかに危険人物であると思う。
だが、丁世鉉の言う「ドイツ式統一」には大変重大な欺瞞と言うかごまかしがある事は指摘しておかねばならない。それは統一直前のドイツでは多くの民衆が統一(少なくとも性急な)に反対していたという事だ。それなのに、当時のコール首相ら西ドイツの首脳達が「統一の達成者」という名誉欲に駆られて強行した。確かに西ドイツは東ドイツへ多額の援助を行い、人的な交流も活発に行った。だがその結果、互いの政治的・社会的制度の違いや経済格差などが多くの人々に知られて認識されるようになり、これはとても統一など出来ない、少なくともすぐには無理だという意見が多数を占めるようになる。今にして思えば、そうした多くのドイツ民衆の認識こそある意味正しかっただろう。とりわけ統一後のドイツがユーゴスラビアやリビアをはじめとする第3世界への軍事介入を頻繁に行うようになった事は重大な警告だ。ドイツが分断した状態であったら、果たしてそのような事が可能だったろうか。ドイツはむしろ統一する事でナチス時代の反省を打ち捨ててしまったと言って良い。国連加盟後の韓国もPKOに恐ろしく積極的で、世界中に軍隊を派兵しまくっている。これが丁世鉉の言うようなドイツ式統一、すなわち実態は「南主導の吸収統一」されたら? しかも韓国は軍事面でアメリカに隷属している状態、いわばアメリカの傭兵みたいな立場だから、アメリカの尖兵として対テロ戦争や人道的介入戦争にますます送り込まれる事になるだろう。統一ドイツ以上に第三世界への脅威になりかねない。リビアやシリアやウクライナの情勢を見るが良い。もし今の朝鮮半島が南主導によって統一された「統一韓国」だったら? 間違いなく韓国軍は米軍と一緒にこれらの国で戦争やってただろう。ベトナム戦争の再現だ。もちろんその時は日本の自衛隊も一緒である! 韓国がアメリカの要請で派兵したなら、日本もそれに負けじとアメリカへの忠誠競争及び自国軍拡化の観点から、より積極的に自衛隊の派兵に乗り出すのは間違いない。
それだけではない。「南主導の統一韓国」などになったら中国やロシアとの関係は一気に緊張する。それに伴って韓国の軍事費は統一前よりも激増する事は目に見えているし、駐韓米軍もさらに増えるだろう。そうした状況を仮定すれば「旧北朝鮮地域」にも新たに米軍基地が出来る事は間違いない。恐ろしい話だ。丁世鉉に限らず南の統一論者達の多くは「統一すれば韓国の軍事費は減り、それを民生に回せる」と主張するが、それはとんでもない嘘ゴマカシである。中国・ロシアとの緊張激化やアメリカの傭兵としての海外派兵活発化などがほぼ確実にあり得る事を想定すれば、 「南主導の統一韓国」の軍事費が今の分断体制下よりもはるかに増える事だけは間違いないだろう。
丁世鉉の言う「統一像」にはこうしたアメリカや日本との軍事関係をどうするのかという視点が全く欠如している、と言うよりも、意図的に語っていないフシすら感じられる。結局「南主導のドイツ式吸収統一」をすれば、オチは「統一韓国の軍拡化」「韓米日軍事同盟体制のさらなる強化」「対中対露関係悪化」「それによって統一前よりも軍事費増」「統一朝鮮半島全体の整理解雇・非正規職社会化」「北朝鮮地域の資源などに対する常軌を逸した収奪・強奪」「財閥と大企業のさらなる富の独占」しかあり得ず、貧しい者はますます貧しくなる上に、第三世界民衆に対しても大きな厄災をもたらす事になるだろう。もちろんそのような「南主導の吸収統一」後にも国家保安法が平然と生き残る事は間違いない、と言うかますます国家保安法を手放せなくなる。アメリカの愛国者法と同じだ。丁世鉉が口先で語るような薔薇色の未来に絶対ならない事だけは100%保障付きである。
いずれにせよ、真に民族の為の統一とはかけ離れたものである事は言うまでもない。丁世鉉のみならず李鍾奭や文正仁なども同じような事を最近は主張しており、こうした金大中・盧武鉉時代の「太陽政策派」の連中は誰も彼も「ドイツ式統一論」に傾いている現状にある。しかしながら、「ドイツ式統一は韓国には合わないし、そうしたやり方を目指さない」と言明していた(少なくとも表向きは)のが他ならぬ金大中自身ではなかったか。丁世鉉らは事ある毎に「自分は金大中という偉大な大統領に仕えた(だから俺様もエライという含意あり)。そしてその対北政策を実行に移した」と自慢話をするが、その金大中の理念を後に一番裏切ったのが他ならぬ丁世鉉達なのである。丁世鉉ら「太陽政策派」の連中がこのように堕落したのは、政権が李明博に変わっただけであっさりとそれまでの(自分達が前政権で推進してきた)南北融和政策や協力事業などが覆され、その間何も出来ずに傍観しか出来ない状況の中で絶望と焦りを感じたからではないかと思う。同時に、丁世鉉のような人間達は金大中・盧武鉉時代に長官として政権に入ったり、あるいは大統領の個人的アドバイザーに採用されて一時的に「我が世の春」を謳歌した。それも忘れられないのだろう。

「自分らにはもう時間がない。この状況で「平和統一」をより進めるには、「理想主義的」な太陽政策とは違って政権を問わず出来る「現実路線」を歩むしかない。そうなると手段は、人道支援で北の人心を掌握したり、南の支援なしでは北がやってけなくなるような状況に持って行くんだ。金大中大統領や盧武鉉大統領の方針とは矛盾するけど、あの方々はもう亡くなった事だし構わないでしょ。大地震後のハイチみたいに、欧米は第三世界で当たり前のようにやってるじゃないか…」

金大中・盧武鉉時代に統一部長官をやったり太陽政策関連の様々な立案をしたとか、そういう人間達を今でも「平和統一陣営の先駆者・有力人士」とみなす向きが韓国でも日本でも多いが、これまたすでに遠い過去の話である。この手の連中は今やほとんどが言い方はソフトだが「南主導のドイツ式吸収統一」を主張しているという事に留意せねばならない(それでいて統一後も韓米同盟維持か、あるいはその辺をとぼけて語らない)。丁世鉉らが今現在どんな言動をしているのかをよく見る事だ。丁世鉉は現在円光大学という所の総長をしているが、そこの北朝鮮研究部門の学者(つまり丁世鉉の弟子筋にあたる学者達)には北の「人権問題」で強硬論を掲げる連中が少なくない。そういう弟子達と丁世鉉は和気あいあいとフィールドワークしたり、講演会もやっている。北に対して人道支援(実際は体制転換の布石)と人権問題による圧迫という飴と鞭(?)。丁世鉉の今の「現実路線」ぶりがよく分かるではないか。
それでいて、連中は日本などの在外同胞の人権問題には何の興味も持っていないのだから、インチキ極まりない。日本政府が在日朝鮮・韓国人に解放後もひどい差別政策をしてきた事や、最近は右傾化でそれがますますひどくなっている事は韓国でも度々報道されているが、「北朝鮮人権法」成立に血眼になっている韓国の団体や個人が、在日の人権を改善させたり民族教育を守る為の運動や法制定に動いたという話は聞いた事がない。北の同胞の人権については偉そうに説教たれてその為の余計な内政干渉の法まで作ろうとするくせに、日本にいる同胞がどんなにひどい人権状況に置かれても知らん振りしてる韓国という国は、アムネスティ並みの厚顔無恥な二重基準の持ち主である。「北朝鮮人権法」で北を圧迫し、それがよほどうまく行けば「北の体制転換→吸収統一→北の地下資源や土地は全部南のもの→統一は(南のごく限られた特権層にとってのみ)大フィーバー」というオイシイ目にありつけるからだ。在日の人権状況改善に努力したって、韓国が得られるオイシイものは何もないからなあ。まさに文字通り現金な奴らなのだ。在日の人権や民族教育に関しては、少なくとも南なんかより北の方が今までずっとよく配慮してくれたというのが、厳然たる歴史的事実である。


長くなったが、結論を述べたい。こうしたかつて「韓国の良心」と呼ばれた人々の多くはすでに堕落しきっており、その言動はまるでお話にならない。要するに日本の左派・リベラル勢力の民主党政権支持やそれに続く都知事選での細川・小泉組支持と同じような集団転向現象、それと同じような過程を韓国もすでに歩んで来たという事だ。そしてこうした日韓の堕落した進歩派知識人の馴れ合い(典型例が日韓知識人共同声明。もちろん白楽晴もこれの世話人)もまた、保守派のそれに劣らぬほど腐臭を放つ醜悪なものだとも。こうした人間達を持ち上げるような日韓関係運動そのものを見直すべき時が来ていると思う。

在日の側でも平和統一運動をするならば事情は変わらない。金大中・盧武鉉の行った太陽政策や南北首脳会談はもちろん偉業と言えるが、それに金正日を加えた当時の南北首脳3人はいずれもすでに他界した。ほんの10数年の間だったのに、今では半世紀以上も昔の事のように思える。そしてその周囲にいた人間達の今の言動は、丁世鉉を見ても分かるようにひどいものだ。こうした「太陽政策残党」も真に民族の為になる統一とは相反する存在に成り果てており、これらと決別する時が来ていると思う。
「統一」が無条件全て良きものではない。中には分断体制にすら劣る「悪しき統一像」も間違いなく存在する。今の南に蔓延している朴槿恵や南在俊(国情院長)らニューライト勢力の「統一大チャンス論」「2015年までに自由民主主義体制で吸収統一」、丁世鉉ら旧太陽政策派の「南主導のドイツ式吸収統一」といった馬鹿馬鹿しい妄言の数々がそれを雄弁に物語っているではないか。これらとは全く違う、民族の将来にとっても世界人民にとっても害となる事のない平和統一を目指さねばならない。

白楽晴という人物のやってきた事を全否定はしない。その言論活動は確かに軍事独裁時代には輝いていた。父親(実は朝鮮総督府の高級官僚という親日派だった)が朝鮮戦争中に北へ連れて行かれて行方不明になるという悲運に遭いながらも、個人的な恨み言はなしに統一運動に献身してきた事は評価に値する。少なくとも日帝時代に先祖が悪辣な手段で築いた財産を受け継ぎ、今でも韓国の既得権層に居座っている凡百の親日派後裔どもとは比較にならない。だが、白楽晴の主催する「創作と批評」界隈人士である金基元・韓勝憲・丁世鉉といった面々の最近の諸発言をこれまで見てきて分かるように、氏とその眷族の語る統一や民主主義というものはどこまでも「持てる者」の為という印象がある。「自分達は従北ではなく、通北だ」「整理解雇・非正規職なき社会など持続可能ではない(つまり絵空事だ)」「(李石基事件は)社会常識から外れている」「北が南の援助なしにはやってけなくなるように追い込んで、ドイツ式吸収統一を」などなど、どれもこれも「持てる者の為の統一・民主主義」しか語っていないではないか。統合進歩党や民主労総に代表されるような貧乏臭い労働者連中など眼中にないと言わんばかりだ。こうした「白楽晴と不愉快な仲間たち」にはもう御退場願わねばならないと思う。その上で、それらと決別した新しい道を切り開いて行かねばならないのではないか。

仲良し3国・韓米日

韓国合同参謀議長・崔潤喜曰く
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2014/03/12/2014031201237.html
崔潤喜合同参謀議長は11日(現地時間)北の脅威に対する対応の為に、過去史と独島問題などで対立している日本とも発展的に安保協力を推進すると明らかにした。

http://biz.heraldcorp.com/view.php?ud=20140312000101
「北の脅威に対して韓米日3国の安保協力が必要だ」

http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/628022.html?_fr=mt3
韓国国防長官・金寬鎭曰く
「(日本の集団的自衛権行使の動きに対し)日本が決定する問題」
韓国国家安保室長・金章洙曰く
「集団的自衛権は国連憲章に出ている通常の国家の権利であり、我々が容認するしないという事案ではない。日本国民が選択する問題」

歴史問題など関係ない、日本との安保協力の方が大事だと韓国の合同参謀議長はおっしゃっておられます。
韓国は日本帝国主義の最たる被害国です。なのに、その日本の再軍事化とも言うべき集団的自衛権について「自分らの知った事じゃない。日本が決める事だ」と、国防長官と国家安保室長がおっしゃっておられます。
日帝被害国の立場からこういう事を言うのは、事実上日本の軍拡化に白紙委任状を渡したも同然でしょう。日本がかつてのような狂気の軍事国家に逆戻りしても一向に構わないと、日本の被害国が「お墨付き」を与えちゃうとか、どんだけ馬鹿でお人好しで犯罪的なのか。韓国に朝鮮民族の国家としての正当性は全くありません。日本の軍拡化に世界で最も協力的なのは、間違いなく韓国とアメリカです。

もし南北朝鮮が戦争になった場合、日本が南を応援して派兵するという話をしたところ「日本軍(自衛隊)が我が国に上陸したら、北と協力して日本軍を追い払う」と韓国の将校が言ったという逸話は有名でしょう。今でも日本で一部の左派的な人々が、日本の軍拡化を批判したり皮肉る時に持ち出される話ですが、生憎とこれは遠い昔話に過ぎません。今でも事ある毎にこの逸話を語りたがる人達には申し訳ありませんが、現状の朝鮮半島情勢と日本の軍拡化を語るには全く当てはまらないし、むしろ悪い影響しか及ぼさないでしょう。「いざとなったら南北が協力して日本を追い払う」という古過ぎる例え話は、もはやすべきではありません。現状はむしろ逆。今の韓国の将校や政治家は自衛隊が韓国に上陸するのを歓迎するでしょう。「一緒に北や中国の脅威に立ち向かおう」と。上記合同参謀議長・国防長官・国家安保室長の軍首脳トリオ(ちなみにこのトリオは全員軍人出身)が言ってるのを見てもお分かりの通りです。今の韓国(朴槿恵政権)は日本の集団的自衛権まで事実上容認してるんだから。さすがに日本軍(自衛隊)が実際に上陸するのは国民の反発が強過ぎてまだ無理でしょうが、海上にはすでに日本の軍艦が平気で航行してますよ。少し前にも韓国の海で韓米日合同軍事訓練が行われたばかりですし、延坪島砲撃事件の原因になった訓練にも自衛隊は参加してました。韓国と日本はアメリカの下で互いの軍拡化に協力し合う仲であり、日韓の軍事一体化が恐ろしい速度で進行している事こそ警戒せねばならない。日本と韓国が今どれだけPKOを世界中へ大量に派兵しているか、それがどれだけ恐ろしい事か!

「韓米日軍事同盟体制」「韓国による日本の集団的自衛権容認」「歴史問題を棚上げして日韓軍事・安保協力」をこそ反対し、撃たねばならないのです。今は「南北朝鮮が協力して自衛隊を追い払う」のではなく、「南と日本が協力して北を攻める」方向に傾いている時代なのです。

みんなで「靖国神社」に参拝する国会議員の会・大韓民国版

すげーモンを見ちまったので御紹介しておきたい。以下の写真を見て絶対に爆笑は禁物である。「韓半島唯一の合法政府にして、自由・民主・人権の大韓民国」では、与野党問わず国会議員どもはみんなで一緒にこういう所へ参拝するのだそうな。


東西和合フォーラムに所属する民主党全南地域の国会議員達が3日午後、慶北亀尾市上毛洞にある朴正熙元大統領の生家を訪ねて参拝した後、セヌリ党慶北地域国会議員達と一緒に朴正熙元大統領の銅像の前で頭を下げて黙祷している。

原文記事はこちら。
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/img_pg.aspx?CNTN_CD=IE001685463&PAGE_CD=N0001&BLCK_NO=2&CMPT_CD=M0017#IE001685463

お分かりであろう。「靖国神社」というのは日本にだけ存在するのではない。韓国にもちゃんとあるんだぜ。朴正熙の銅像&生家という「韓国版靖国神社」がな! 先日民主党と合併する事になった安哲秀もこの「韓国版靖国神社」に参拝してきたばっかりだったが…。

日本の超党派国会議員による「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」
韓国の超党派国会議員による「みんなで朴正熙の銅像に参拝する国会議員の会」
これは一体どこの日本ですか(笑)?

「日本人として恥ぢざるだけの精神と気迫とを以って一死御奉公」という血書まで書いて日本軍に志願入隊した高木正雄の銅像に、セヌリ党も民主党も一緒になってひれ伏す姿…。おまえら大連立でも何でも勝手にしたらいい。その方がすっきりする。このように韓国では与野党問わず、日本のイヌだった親日派を神のごとく崇めているのだ。「日韓関係は最悪の状態」などと言っている馬鹿のツラが見たい。

韓国という国の正体は何か? 答えは二つ。第1に、大韓民国は親日共和国である。
第2に、今の韓国は憲法で自らを大韓臨時政府と4.19革命の精神を受け継いだ「4.19共和国」と定義しているが、これほどとんでもない嘘はない。現実の韓国は権力欲に目がくらんだ李承晩の単独政府樹立(分断最大の元凶)と朴正熙の5.16クーデターの精神を受け継いだ「5.16共和国」という事だ。
戦後日本が「平和憲法の下で戦後一度も戦争で人を殺していない平和国家」というのと同じくらい、1987年(民主化宣言)以後の韓国が「長年の闘争によって民主化を勝ち取った民主国家」というおためごかしには実態が伴っていないだろう。戦後日本が「平和国家」というのが大嘘であるなら、民主化宣言後の韓国が「民主国家」というのも真っ赤な嘘なのだ。日本のみならず、韓国でも与野党議員まとめて「靖国神社」に参拝している姿を見たからには、その事に気付かねばならないだろう。韓国の民主化や民主主義などしょせんその程度のものだった、という事にもっと多くの人が気付いても良い頃なのだが、そうした声はほとんど聞かれない。韓国も日本と同じくらい、来る所まで来ちゃってるな、と思う。

21世紀は「市民的自由と政治民主化において、アジアでただ二つ先進国の水準に達した韓国と日本が共に繁栄してアジアをリードする時代」などでは絶対なく、「自国の『平和主義』『民主化』という欺瞞に気付かない、アジアで最も愚劣な2国・日本と韓国がアジアその他の国々に戦火と災厄をもたらし、自らも地獄に落ちる時代」になる(少なくとも現状のまま推移すれば)。

都知事選見てて韓国のある文学者2人を思い出した

これまでの主張とは180度うって変わって、都知事選で細川・小泉組を支持すると言い出した広瀬隆だの鎌田慧だのを見てて不意に思い出したのだが、こいつらと同じような堕落ぶりを見せた連中が韓国にもほんの少し前にいたのだった。小説家の黄晳暎と詩人の金芝河の事である。

黄晳暎はかつて民主化運動や平和統一運動で活躍し、それにまつわる多くの良い作品も残した。光州民主化運動の記録とかもね。が、功成り名遂げた黄はその後、村上春樹か池田大作かというほどのノーベル賞亡者になり、2009年5月にはなんと当時の大統領である李明博を「中道実用政府」と大絶賛して褒め称え、政権に協力するという信じられない事を言い始める。いくらノーベル賞獲りのバックアップが欲しいからってこれはねえだろうと、権力の腰巾着に成り下がった黄晳暎に対する批判が湧き上がった。結果、黄は1ヶ月もしないうちに李明博支持を撤回するという「再転向」を表明して恥の上塗りを重ねる事になる。それから3年後の2012年大統領選挙ではまたしても権力欲を丸出しにし、今度はさすがに野党候補を支持表明したものの、文在寅と安哲秀の候補単一化を声高に叫び出した。この候補単一化をしても結局朴槿恵には勝てず、安哲秀支持者には保守層も多かった事から、安支持者票のかなりの数が朴に流れた可能性もあり、あの時の単一化が良かったかどうかは今でも疑問の余地が多い(もちろんそれ以上の問題は軍や国情院ぐるみで朴槿恵を応援した不正選挙疑惑だが)。
功成り名遂げて金持ちになり、庶民の苦しみなど分からなくなった「進歩的文化人」が、賞や権力欲しさに政治道楽にうつつを抜かす老醜と、あげくが選挙での「候補単一化策動」…。
どこぞの国の都知事選と似てねえか?

金芝河もやはり軍事独裁時代の創作活動や民主化運動で名を上げた人物だが、90年代以降の民主化時代からは全く精彩を欠くようになる。90年代に金は日本にも度々やって来て講演を行うようになるのだが、そこで話される内容は韓国民主化の歴史や今後の民主主義の発展、平和統一の展望といった多くの支持者が期待したものではなく、意味不明で半分カルト入った観念論ばかりというとんでもないものだった。当時そうした講演に行った在日の多くは独裁時代の「闘う詩人」のイメージで金を考えていたが、現実とのギャップに驚かされると同時に失望する事になる。「金芝河は軍事政権にやられた拷問でおかしくなり、それで新興宗教に走った」と言われるようになるのはそれからだった。だが金が本当に拷問で精神を病んだかどうかは、現実としてあまり問題でないだろう。「功成り名遂げた老害進歩的知識人」に成り下がった事に違いはないのだから。そのハイライトがやはり2012年の大統領選挙であり、そこで金芝河は朴槿恵を支持表明するにいたる。筆者は当時これを見て、いくら何でも信じられないと思った。だって朴槿恵だよ、朴槿恵。金芝河をかつて逮捕して家族ともどもさんざん拷問したのは、朴槿恵の親父だぜ? 金にとって朴槿恵は親子2代に亘る「家門の仇敵」な訳だから、それをチャラにして支持するとか正気の沙汰じゃない。安重根の不肖の息子じゃあるまいし、酷いものだ。
功成り名遂げて金持ちになり、庶民の苦しみなど分からなくなった「進歩的文化人」が、かつて猛烈に批判していた仇敵を突然大絶賛するようになる…。
どこぞの国の都知事選と似てねえか?

今回の都知事選はまさに、あの日見た(嫌な)デジャブと重なる影だった。そういえば広瀬隆は金芝河とも個人的に交流が深かったらしく、著書「赤い盾」のあとがきでその事を述べていたのを思い出す。金から送られた揮毫を見て広瀬は「大日本帝国の解剖」を強く決意したというような事を述べていたのだが、それから約20年が過ぎ、片や大統領選で朴槿恵支持、片や都知事選で細川護熙支持というように全く同じ堕落ぶりを見せて晩節を汚す事になった訳だ。

今回の件は我々に一つの教訓を与えてくれる。日本で起こっている在特会の嫌韓デモに対して「カウンター」をかけている「日本の良心勢力 by 東亜日報」(笑)が好んで言う「仲良くしようぜ」というスローガン、あれは実に今の日韓関係を正しく言い表していた金言だったという事だ。すなわち日本と韓国の「進歩的文化人」は共に
「仲良く晩節を汚そうぜ」
という事だったのである! 広瀬隆と金芝河という、境界を越えて熱い友情で結ばれた日韓の知識人連帯(笑)はそれを体現して見せてくれたではないか!

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