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古龍武侠中期作品中的傑作「大人物」その9

「秦歌のように勇敢で多情な人はこの世に二人といない事でしょう」
急に田思思は立ち上がって田心の手をつかむ。「だから私は彼に嫁ぐのよ」
彼女の顔が赤く染まる。固く決心したように、興奮したその表情は実に美しかった。だが田心は「フハハ」と笑いをこぼした。
「今度は秦歌に嫁ぐのですか? 一体何人の所へお嫁に行かれるおつもりですか?」
彼女は指折り数えて言う。「最初は岳環山の所へ行くと言いましたし、次は柳風骨、そして今度は秦歌とは、一体誰のお嫁に行かれるおつもりですか?」
「一番いい人の所へ行くつもりよ」
田思思は瞳をキョロキョロさせて顔を赤らめた。「おまえの考えではその三人のうち一番いいと思う?」
田心は笑いながら答える。「私にも分かりません。全員偉大な大人物ですけれど、まだ一度も会った事がありませんから」
彼女はしばらく考えてから、やはり顔を赤らめて軽く言い放つ。「秦歌は確かに多情で勇敢ですが、柳風骨は天下で最も知恵のある人物です。どのような困難にあっても解決する方法を知っているので、誰もが心から彼に感服しています。あの方に嫁げれば決して無駄な人生にはならないと言えるでしょう」
「岳環山はどう? あの方は大した事ないの?」
田心は唇をじわじわと噛みながら言う。「あの方はいけません。あの方は年齢が旦那様と同じくらいだと聞きましたよ」
田思思もやはり唇を噛んで答えた。「歳がどうだというの? 人さえ良ければ七〇の老人であっても彼に嫁ぐわ」
田心は笑いを堪えて言う。「すでに妻がいましたら?」
「妻がいても関係ないわ。喜んで後妻になるわ」
田心はついに笑い出す。「三人とも等しく良い人物だったらどうします? 一度に三人へ嫁ぐ事は出来ないでしょう?」
田思思はまるでその言葉が聞こえなかったかのようにしばらく呆然と立っていたが、突然田心をつかんで囁く。「こっそり出て行って、男の服を何着か買って来てくれない?」
田心が動揺して尋ねる。「何と、お嬢様。男の服を何に使うのです?」
田思思は再び魂が抜けたように立っていたが、ようやく答えた。「梁山泊と祝英台の話、おまえも知ってるわね?」
「その本も私が持って来てお見せしたものじゃありませんか。当然知っています」田心が笑って答える。
「女が家を出る時は、男に化ければ他人から無視されないと聞いたわ」
田心は目を大きく見開く。「家を出るですって?」
田思思は頷いて唇を噛み締めた。「直接出向いてあの三人がどれほどのものか確かめてみるわ」
(この項続く)
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