黄長燁が死んだとのニュースがありました。ウェブ上のニュースは以下のリンク先を御覧下さい。「韓国の産経新聞1号」(笑 ちなみに同2号は東亜日報で同3号は中央日報)こと朝鮮日報のサイトというのがまあ何ですが、どこも伝えている内容に大した違いはないのでとりあえず。
http://www.chosunonline.com/news/20101010000019
この男については
前に批判した通り、南に亡命後はほとんど日米ネオコンの犬としか言いようのない言動を繰り返して、南北の和解・平和・統一を妨げる事ばかり熱心にやっていました。日本の北朝鮮関連報道では黄長燁を「北朝鮮の金正日政権に抵抗する闘士」であるかのように報じていましたが、当の韓国現地において彼の行動は「北朝鮮の民主化要求」などではなく単なる「反共活動家」として一般的に広く認識されていました。日本や米国の保守系とばかり付き合っていた事は、日本と違って韓国では当たり前の事実です。
それにしてもこの男はもっと早く死ぬべきでした。亡命後は北朝鮮の体制を批判するだけではなく、事もあろうに2000年の南北首脳会談に反対し、米国のアフガニスタン・イラク侵略をはじめとする一連の対テロ戦争をあたかも聖戦のごとく賛美して支持したのですから、いくら何でもこれは限度を越えているでしょう。和解や平和とは180度逆に、対立と戦争をひたすら煽り立ててきたのですから。たぶん黄長燁は偉大なるアメリカ帝国様に金正日政権を「征伐」していただきたかったのでしょう。で、その後は旧アフガニスタン王室の「亡命貴族」だったハミド・カルザイが大統領に抜擢されたように、米国の後ろ盾で自分を北朝鮮の「王様」にしてもらえるとばかり思っていたに違いありません。しかしながらそのような権力への野心と妄執は己の老齢と最近の北朝鮮権力委譲によって潰えた訳ですが。党大会と黄長燁の死がほぼ重なっていたのはまさにそれを象徴する出来事でしょう。
そんな黄長燁に韓国では勲章をやるとかいう動きがあるようですが、アホの限りです。以下リンク先記事は韓国語なので読める人だけ読んで下さい。馬鹿馬鹿しいので記事の翻訳はしません。
しかしながらこんな権力亡者の詐欺師でも、日本の好戦的反北朝鮮派には大いに利用価値があったので歓迎されました。死後も多分この男を「北朝鮮の金正日政権に抵抗する闘士」として悪用する連中がいると思います。たぶん石丸次郎あたりが(笑)。それには乗せられないよう注意しておきましょう。
そうそう、それと石丸次郎の批判記事ですが、もう少し間を置いて書き終える予定です。最近ちょっと忙しくて長文を書いている余裕があまりないのと、最近の石丸の発言にある種の変化が見られる為です。
というのもここ2.3週間ほど、北朝鮮の権力委譲が正式に内外へ公にされてきた期間に発表された石丸の記事はかなり狂気の度合いが強まってきているからに他なりません。
これまでの石丸次郎は以前の記事でも書いたように悪質で「狡猾な知能犯」でした。あの男が転向後に書いた記事というのは結局の所、北朝鮮と日本の関係悪化と在日朝鮮人への差別・排外主義助長しかもたらさない内容です。しかしながら石丸は、増本照明、荒木和博、石原慎太郎、在特会のような正々堂々たる(?)極右レイシスト達と違って「金正日政権打倒」「北朝鮮と戦争しろ」「朝鮮人は日本から出て行け」といったストレートすぎる戦争扇動・差別発言はしてきませんでした(少なくとも公の場では)。そうしたギリギリの一線を引く事で、辛淑玉のような一部の北朝鮮や総連組織に恨みを持つ在日の支持を取り付け(別の言い方をするなら、その手の在日を食い物にする事に成功して)、結果的に「良心的な北朝鮮批判者」の仮面を被る事に成功してきたのです。実際に過去の石丸の記事は北朝鮮を攻撃しつつも、どことなく冷笑的な感じが全体的に感じられました。
が、ここ2.3週間ほどのサンデー毎日の石丸の記事(朝鮮半島を読む)を見てみると、かなり感情的で非理性的な言い回しが目立ちます。金正恩に対して、これから独裁者になる道を選んだのだから同情するなどといった皮肉を書いたり、最新号にいたっては北朝鮮の世襲権力委譲を世界はなぜ圧力をかけて防げなかったなどとずいぶんと仰々しく大げさに書いていて、失笑を禁じ得ません。権力の世襲をどうこう言うなら日本の方がはるかにひどいでしょうに、石丸はよその国をあれこれ言う前に自国の心配をすべきでしょう。北朝鮮のようにちっぽけな独裁国内部の権力世襲などよりも、アメリカが世界各地で行っている戦争行為の方がはるかに深刻であり、筆者などはそちらを世界が止められなかった事がはるかに憂慮すべき事態だと思いますが。大体、現代の共和制国家で世襲などあり得ないなどと石丸は罵りますが、台湾の蒋介石だって自分の息子に跡を継がせましたし、ハイチの独裁者デュバリエだって息子に世襲させました。こうした第3世界の「独裁国家」よりも、アメリカや日本のような「民主主義国家」で権力の世襲が行われる方がはるかに問題で、国の内外に与える影響が大きいのは言うまでもありません。小泉純一郎以下、日本の歴代世襲権力者が何をしましたか? 何よりもアメリカの事実上の世襲大統領ジョージ・ブッシュは? でも石丸はそれを全部スルーですね。
これまでの石丸は金儲けや売名行為の為、モノホンのレイシストの域までは転落しないギリギリの線で、ある程度冷笑的に北朝鮮攻撃をしてきました。狡猾な知能犯の所以です。が、最近の石丸は病膏肓に入るの例え通りそうした自分の行動に自家中毒して、それまでの「金儲けの為の冷笑モード」から「マジになった狂気モード」へと変貌しつつあるのではないでしょうか。すなわち石丸次郎の佐藤勝巳化です。以前に石丸は
「私はこれまで拉致事件解明に向けて努力されてきた人々に敬意を払うけれども、一部の人たちの排外主義・差別主義をあおるやり方には反対する。佐藤勝巳氏のように日本核武装論や軍隊慰安婦なかった論を主張する人たちとは一緒にはやれない」と言っていた(自分の記事だって十分過ぎるほど排外主義・差別主義を扇動する結果を生んできたのに、よくこんな事が言えると思いますが。さらに石丸は「北朝鮮人権大学」という得体の知れない反北朝鮮団体で幹部になっています。今も活動実態があるのか知りませんが)のですが、実際には自分自身が佐藤勝巳と同じストレートな感情的戦争扇動者の領域に入りつつある訳です。今はまだ荒木和博なみの戦争・差別扇動発言をしないだけの「理性」はあるようですが、タガが完全に外れるのはそう遠い日の事ではないでしょう。今回の北朝鮮権力委譲がそのきっかけになったかもしれません。そうした石丸の「変化」も考慮に入れて次回は述べると思います。
哨戒艦沈没は韓国側の主張に今だに多くの疑惑が囁かれて「北朝鮮犯行説」が懐疑の目で見られているにも関わらず、ハナからそれを一顧だにせず問答無用で北朝鮮の仕業扱いする男・石丸次郎。
とは言え石丸が、困窮する北朝鮮国民に対して一片の愛情も憐れみの心も持たず、その写真を見世物にして自分のシノギのネタにしか扱わないという本質にはいささかの変化もありませんが。
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