知っての通り朴槿恵は国会で弾劾されて今は職務停止状態に追い込まれたが、これが完全に失職するには憲法裁判所の裁定を待たねばならない。で、今の韓国憲法裁の判事どもというのは全員が全員、民衆運動を弾圧してきた公安検事出身者か極右思想の持ち主ばっかりという凄まじい構成で、これらが朴槿恵を本当に失職させられるのかは何とも言えない。報道など見ていると憲法裁が朴槿恵を弾劾するのは確実みたいな事を言っているが、それはあまりに早計過ぎると思う。裁判長が1月一杯で退任して今の判事は8人、その中の3人が反対するだけで弾劾否決なのだから。
今朴槿恵の弾劾を審理している判事達は2014年末に統合進歩党を強制解散させた、あの連中だという事をもう忘れたのか? 憲法裁判事のくせに自ら率先して憲法を踏みにじって破壊した張本人どもだぜ?
おまけにその職務停止中の朴槿恵に代わって権限代行になっているのが総理の黄教安ときている。前にも少し話したが、この黄教安という男もまた民主化運動を弾圧したバリバリの極右公安検事出身政治家であり、付いた仇名が「ミスター国家保安法」だよ。はっきり言わしてもらうなら、黄教安は朴槿恵よりももっと資質が極悪な政治家である。これは断言してもいい。と言うか、セヌリ党とそこから最近分派した「正しい政党 바른정당」(日本で言うなら維新の党みたいな連中)にはこんなのばっかりである。朴槿恵と大差のない連中の巣窟だ。
「朴槿恵の弾劾が通るのは確実だから大統領選挙も近い」みたいな事がしきりに言われているが、それはあまりに気が早い判断というものであろう。否決される可能性も十分にある。仮にそうだとしても、じゃあまともな候補がいるの?という話なのだ。
当初有力候補と言われていた元国連事務総長の潘基文がスキャンダルまみれで自爆・候補辞退したものの、この男は色々な面で問題があり過ぎて、とても一回の記事では書ききれないほど酷いものだった。そもそも国連事務総長退任して間もない人間が母国(と言うか国籍保有国)の高官になっちゃいけないという国連憲章にも違反しているし、こいつ何考えてんだというレベルの話であろう。その潘基文に代わって保守・極右層の有力候補に浮上したのが「ミスター国家保安法」黄教安なのだから救いようがない。
じゃあ野党は? はっきり言わしてもらうが、野党も酷い。とても支持出来るような候補はいないというのが率直な感想である。文在寅、安哲秀、劉承旼、南景弼…やめてくれよと言いたくなるような顔ぶればかり。こいつらは一様に「親米親日・反共反北」という点が共通していて、本当にどうしようもない。日本や韓国の極右マスコミではよく「文在寅は北の手先」みたいな誹謗中傷が言われているが、これほど酷いデマはない。文在寅はTHAADの配備にも「中国とロシアを説得する」と言って賛成しているし、朝鮮共和国に対してもやけに勇ましいタカ派発言を何度もしている。と言うか、時と場合に応じて発言を使い分けているだけの極端な機会主義者というのが本性であろう。これほど信用出来ない政治家もいないと思う。他の候補、例えば
安哲秀は前にも指摘したように日韓慰安婦合意に賛成していた人間であるし、
劉承旼はアメリカ軍需産業の手先と言われている韓国きっての防衛族議員、
南景弼にいたっては「韓国核武装ッッッッ!」が持論の核武装バカ一代で、こいつら全員朴槿恵&安倍晋三ともども一刻も早くまとめて地獄へ落ちてくれという感想しかない。
今の韓国大統領選候補どもを見ていて筆者が頭が痛くなったのは、
「国家保安法撤廃」
「朴槿恵政権によって投獄・拘束された良心囚(統合進歩党の李石基議員や民主労総のハン・サンギュン委員長など)の即時釈放ならびに統合進歩党解散の取り消し」
「平昌冬季五輪中止」
「韓米共同軍事訓練廃止、ひいては韓米同盟解体と駐韓米軍撤収」
を訴える候補が誰もいないという点だ。先述の候補どもとは大分違って左派民族主義的な候補とされている李在明(城南市長)でさえここまでは言っていないのだから。
特に平昌冬季五輪は日本の東京五輪にも劣らない愚劣なイベントと言って良い。これの為に会場となる山で樹齢数百年という貴重な樹木が大量に切り倒されてとてつもない自然破壊を起こしており、さらにこの五輪で最大の利益を得るのが三星(サムスン)財閥と朴槿恵のファミリー企業と言われている。かつて日本の長野冬季五輪は「西武五輪または堤(義明)五輪」と言われたが、平昌五輪は「三星五輪」と言っても良いほどに徹底して三星財閥が経済的・政治的に食い物にしてきた。朴槿恵や崔順実や三星財閥の悪事を清算するというなら、当然平昌五輪にもメスが入り、五輪自体も中止にして然るべきではないのか。一部の平和統一運動家の間では「平昌五輪を南北関係改善の契機にしよう」と主張する者がいるが、とんでもない話であろう。南北問題と腐った中止すべきオリンピックを無理矢理結び付ける必要は全くない。南北関係改善の手段や機会は他にいくらでもある。「李明博と朴槿恵と崔順実と三星財閥らによる悪事と利権漁りの象徴たる平昌五輪は中止。その上で南北関係改善」が正解だ。
先の日本の都知事選でも東京五輪中止を掲げた候補がほとんどいなかったが、今の韓国大統領選候補達も似たような状況にある。
朴槿恵、崔順実、金淇春(元大統領秘書室長)らの悪事を裁いて清算するにあたって、連中から酷い迫害を受けた人々を救済して現状復帰させたり補償せねばならないのは当然のことだ。それなのに李石基、ハン・サンギュン、統合進歩党、民主労総といった被害者達に対する救済の声が上がらないのはどうした事なのか。民主労総に対する弾圧や組合員への不当逮捕などは、朴槿恵が国会で弾劾されて職務停止中の今でさえ現在進行形で頻発しているのだから。デモの最中に警察に虐殺された農民ペッ・ナムギ氏に対して、韓国警察は依然として真相究明や遺族への補償はおろか一言の謝罪すらしていない。李石基議員は「内乱陰謀だ」といって長期刑にされたが、その決め手というのが「講演会で政府転覆の不穏な発言をした」からだという(その証拠とされた録音も大量の恣意的な改変やカットがあった)。日本に在住する者ならば気付くであろう。これはまさに「共謀罪」の論理であると。犯罪などしておらず、それについてしゃべっただけで罪になる。日本で安倍政権がしつこく成立させようとしている共謀罪、韓国では日帝時代の治安維持法から現在に至る国家保安法という名で100年近くも存在し続けているのだ。「民主化」されたという事になっている今でさえ!
かつて金大中への内乱陰謀罪適用に抵抗した者達(韓勝憲や白楽晴など)までもが、李石基や統合進歩党への弾圧には反対するどころか朴槿恵政権に擦り寄るような態度をとり、
この者達は今もこうした朴槿恵政権による良心囚の事を無視し続けて空しい「時局宣言」のごときものを機会主義的に発表して悦に入っている。「共謀罪」が大手を振ってまかり通る社会で、何が「民主社会の元老」かと思う。大統領選候補にしても同じ事であり、国家保安法を廃止せずに、朴槿恵政権の弾圧犠牲者を省みずに、どうしてキャンドルデモの民衆に応えるなどと言えるのか。繰り返すが、韓国には日帝植民地時代から「共謀罪」が存在し続けているのだ。そして、それを韓国に植えつけた日本でも今また本家「共謀罪」が甦ろうとしている。「共謀罪」を共有する(しようとしている)東アジアでただ二つの国、韓国と日本!
「韓国と日本は経済発展と民主化を同時に達成したアジアでただ二つの国であり、この二カ国が今後のアジアを取り仕切るリーダーなのですッッッッ!」
…誰だよこんなアホな世迷い言を自慢げに吹聴してた馬鹿は。
韓米軍事訓練の廃止や中止を訴える候補がいない、というのはいずれの候補が当選しても南北関係の改善は望めないという事でもある。李明博・朴槿恵の「失われた10年」が「15年」に延長されるのだ。一見ソフトに見える文在寅から一番タカ派に見える南景弼まで、いずれも対北政策は前政権の敵対政策を継続する事になるであろう。強固な「南主導の吸収統一」論者。これが先述候補どものもう一つの共通点なのだから、誰がなっても李明博・朴槿恵よりも目立って対北政策が改善される事は望めない。
これほど馬鹿馬鹿しくて投票する(と言っても、筆者には投票権はないのだが)気のなくなる低劣な選挙もない。トランプとヒラリーが激突した先のアメリカ大統領選以下のシラケ度と思う。これが果たして本当に100万人、連日の延べ人数で言えばこれまで1000万人が参加した反政府デモ直後の大統領選候補なのかと我が目を疑う。「キャンドル民衆」の声はすでに踏みにじられ、歪められ、逆方向へと悪用されているのだ。
ところがこの下らない大統領選へ「在日は積極的に関わるべき」と必死に扇動している者がいるのだから呆れかえる。
http://oklos-che.blogspot.jp/2017/01/fb.html
2017年1月13日金曜日
FBメッセージの公開ー韓国大統領選挙に、在日は主体的に参加するように呼び掛ける運動提起と、日本の植民地主義に関する所感です
この崔勝久という人は日立闘争の支援や反原発運動をしてきた人で、それには敬意をはらうが、半面で言っている事にどうもピンボケで勘違いしている部分も少なくないと前々から思っていた。そうしたら案の定馬脚を現したというか、韓国の揺れ動く政局を見てそれに便乗した政治的野欲が湧き上がってきたという所かもしれない。崔勝久のブログを読んでみると100万人キャンドルデモを無闇やたらと美化・礼賛するばかりで、それが孕む諸問題点(
これとか
これとか
これとか
これなど)や、デモ民衆の行動を上記大統領候補どもが簒奪するような形で悪用している(日本で3.11後に反原連がやった事とよく似ている!)実情などに全く触れないまま「韓国大統領選挙に、在日は主体的に参加するように」などと言っているのだから呆れかえる。いや、別に向こうの大統領選挙に在日が参加しようとするのは一向に構うまい。だがその場合、向こうの社会の現状や候補達の政策といった予備知識を十分に弁えておく必要がある。韓国社会と大統領選挙の現状をロクに知らせもせず(と言うか、崔勝久自身が向こうの政治や社会や大統領選候補達の実情をロクに知らない可能性も高い)に「民衆が決起した100万人デモ」で「韓国社会は根本的に変わろうとしている」「ムード」だけで在日の参加を煽ろうとするのは詐欺ではないのか。このような事をしていては向こうの実情をよく知らない同胞がおかしな政治勢力に利用されるだけで終わるという、最悪の結果になりかねない。おまけに組む相手が金明秀だのぱぎやん(趙博)だのといったしばき隊リンチ事件関係者とか、アホとしか言いようがないではないか。崔勝久がやろうとしている事は、このまま行けば間違いなく「第2のしばき隊」になる。こうした深い知識も考えも情勢認識もなしに、近々行われる(予定の)「史上最低の韓国大統領選挙」へ在日が深く関わっていく事はかえって危険であるという事は警告しておきたい。在日の人権や民族的権利や生活、さらには祖国の平和統一という観点からである!
この崔勝久という人物の言っている他のおかしな点についても後日まとめて指摘したいと思う。
崔順実事件が起こって朴槿恵が弾劾される前にはこんな嘆きの声がよく聞かれたものである。
「李明博が素晴らしい大統領に思えてくる」
朴槿恵の弾劾が通って失職するかどうかに関わらず、また次の大統領が誰になるかに関わらず、次期政権ではまたしても次のような嘆きの声が聞かれる事になるであろう。
「朴槿恵が素晴らしい大統領に思えてくる」
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