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100万キャンドルの「光と影」 その2

■警察は友達?

100万人デモをめぐる報道の中で筆者が特に戦慄を覚えた写真と記事を一つ紹介しておきたい。これまた日本で見た事あるような、嫌なデジャブが甦ってきそうな光景である。



デモ参加者が帰り際に記念写真を撮ったのだが、それを警官が撮ってやっている。この写真がデモの翌日に大変話題になった。
…いくら何でもそれって違わねえか? あの時警察は確かにいつもより格段に大人しくしていたが、それでも基本的に警察はどこまで行っても体制権力の暴力機構であり、今は朴槿恵政権の走狗なのである。それと馴れ合う写真を「誇らしい民主主義の光景」とばかりに拡散するのは、いくら何でも限度を越えてはいまいか。写真を撮ってもらうよう頼む方も頼む方だが。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002260582
'시위대 농민' 기념사진, 무릎 굽혀 찍어준 경찰관
화제가 된 사진, 어떻게 찍게 되었나
「デモ隊農民」記念写真、膝ついて撮ってやった警察官
話題になった写真、どうして撮る事になったのか
16.11.14 14:04 最終アップデート 16.11.14 14:04

この写真を撮った経緯を述べたのが上記オーマイニュースの記事なのだが、その記事は最後にこんな文章で締めくくられている。気分悪いが、以下に翻訳抜粋しておきたい。

我々はみんなあまりにも素晴らしい大韓の国民なのに、なぜ度々俺とおまえ、こちらとあちらに分かれて戦わねばならないのかもどかしくて淋しいです。ですが先の土曜日に我々が一つである事を、自然と一つに慰めて慰めあっている事を感じられたようです。あの日の感動をより一層深めてくれた、写真のモデルの方々に心から感謝を捧げます! 最後まで、笑って、幸せに!


警察(公営暴力団)と馴れ合ってお互いを「素晴らしい大韓の国民」「我々が一つ」とか、こういうタイプの人間が日本でもとりわけ3.11以後に激増したのを我々は嫌になるほど目撃してきた。先日吉祥寺で行われた反天皇制デモに対して「迷惑だ」「皇居前でやれ」などという暴言を吐いた人間が(左派と思しき者の中にすら)何人もいたのも記憶に新しい。我々はこの手の連中を「臣民」と呼んで軽蔑してきたが、韓国でもこのように己を自立した御立派な民主主義者と勘違いして酔っている「臣民」が順調に激増中である。臣民根性就是不死! あるいは韓国において、アメリカの9.11や日本の3.11に本当に該当・相当する事件(社会を揺るがす大事件・災難が起こりながらも、それを反省して社会が良い方向へ向かうどころかより悪い方向へ進む現象)というのは、崔順実事件ならびに今回の100万人デモであったのかもしれない。杞憂である事を願うが…。

これが「一部の逸脱した参加者」であれば良いが、そうでない可能性も高いのではないか。そんな不安を裏付けたのが他ならぬソウル警察庁の反応であった。以下の記事は100万人デモを語る上で外せない重要なポイントなのだが、日本はじめとする諸外国ではいまいち知られていないようなので、以下に全文翻訳して御紹介したい。

・朝鮮日報
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2016/11/14/2016111401796.html
金正勲ソウル警察庁長「これから栗谷路の集会許容…成熟した市民意識に感謝
入力2016.11.14 14:49 修正2016.11.14 14:49

金正勲ソウル地方警察庁長は、去る12日にソウル都心で行われた「朴槿恵大統領下野要求」キャンドル集会が平和的に幕を下ろした事に対し「成熟した市民意識が発揮された。市民に感謝する」とし、これからも青瓦台南側の栗谷路と社稷路の集会を許容出来ると明らかにした。

金庁長は14日の記者懇談会で「裁判所の決定は、集会の特殊性を勘案すれば交通の不便よりも国民の『表現の自由』をより優先したものと見る」とし「これから同じ性格・目的のキャンドル集会申告に対しては、裁判所判断を最大限尊重して許容する方向で考えている」と語った。

当初警察は青瓦台近辺の栗谷路と社稷路の更新を「交通の妨害になる」という理由で禁止した。だが裁判所は12日「この事件集会は大統領の国政運営に対する憂慮から始まったもの」とし、主催側の主張を受け入れて青瓦台目の前までデモ隊の合法的な行進を可能にしてくれた。

だが金庁長は青瓦台入口である清雲孝子洞住民センター前まで行進を許可する事に対しては留保的な立場を見せた。金庁長は「紫霞門路は行き止まりなので、全体を統制されたら、向こう側の住民の不便も考えねばならない」とし「交通などを見て判断する」と語った。

金庁長は大規模キャンドル集会が平和的に終わった事に対して、市民に感謝すると語った。彼は「多くの人員が集まったにも関わらず例年のように暴力的な方法もなく終了した事に驚いた」とし「市民に心から感謝すると申しあげたい」と語った。また「これからも我が社会で暴力や不法デモがなければと思う」とし「平和的で不法的でない集会の自由は保障する。適法なら柔軟に対応するだろう」と語った。

金庁長は解散命令不応などの嫌疑で連行された23人と関連し、住居が一定でなかったり証拠隠滅・逃走の恐れがあったら拘束礼状を申請する。こうした点達を考慮して(処置の)水位を決定する」と語った。

金庁長は集会参加人員が主催側推算(100万人)と警察推算(26万人)で差が大きく出た事と関連し、「警察は対外的に発表する為に推算するのではない。経歴運用の為に単位面積と密集度で推算するもの」と説明した。


御覧の通りソウル警察庁(日本で言えば警視庁に該当し、その庁長は警視総監に該当する)までもがあのデモを「成熟した市民意識に感謝」とか言っている。完璧ナメられてるじゃないの。上記金正勲発言には見過ごせない要素がいくつも散見されるのだが、ここまで余裕こいた事を放言出来るというのは、あんな逆らう事を知らない羊の群れみたいなデモなんぞ100万集まったって恐くねえ、という事だろう。もちろん警察側も100万という参加者の多さや、以前の暴力対応で死者まで出したばかりなのでデモ当日当初はおっかなびっくりになっていた。海外の目もある。あのデモを武力鎮圧なんかしたら今度こそ本当に朴槿恵政権はおしまいであり、かの不動産王ならぬ暴言王ドナルド・トランプ次期アメリカ合衆国大統領でさえ朴槿恵を非難せざるを得ないほどの展開になる(笑)のは間違いない。100万人デモが12日にせよ19日にせよ「平和裏」に終わったのはその程度の理由に過ぎず、決して「韓国市民の意識が高かったから」ではなかった。日本の反天皇運動や反基地闘争などが圧倒的な劣勢の中で、だからこそ当局の無用な弾圧を回避する為にも敢えて非暴力で厳しい闘いを強いられるのとは全く事情が違う。

「戦争の神」安倍政権の支持率が51%な上に、「平和の神」明仁倭王のそれは間違いなく安倍を上回る日本において、参加人数も100人そこそこという吉祥寺の反天皇制デモは警察と右翼の凄まじい暴力にさらされた。
朴槿恵の支持率が平均5%で、世代や地域によってはすでに0%になっている韓国において、参加者100万人のデモは警察や右翼からほとんど何の攻撃も受けなかった。

たったそれだけの話でしかない。朴槿恵の支持率が25%以上あった去年まで、韓国の警察はあらゆる非暴力・平和的デモに対してやりたい放題の暴力(それこそ高江や辺野古以上の)を振るってきたのである。韓国の100万人デモはだからこそ、市民の側がもう少し「物理力」を行使して然るべきであった。それを「成熟した市民意識」などとのぼせ上がるのは、戦略上の誤謬を通り越してお寒いギャグですらある。

さらに言えば、韓国の警察も今回のデモで非常に多くの事を学んだという事だ。最初は100万も集まるというからビクビクしていたが、実際にやってみたら大した事はない。腑抜けのように「非暴力」を叫ぶばかりで、何にもしてこない。挙げ句が警察車両に上がり込んだ「仲間」を自分らの手で引き摺り下ろしてくれさえしたのだから、楽でいいわ。おまけに記念写真のシャッターを押してやったり「成熟した市民意識」という言葉でおだてただけで、ほとんど例外なくコロッと落ちて「警察は友達」「私も警察も偉大な大韓の国民」と舞い上がってしまうのだからチョロいチョロい。東京都知事がアニメキャラのコスプレしただけで「俺達の百合子」とばかりに舞い上がってしまう日本のオタク層並みにチョロいわ! 
このように運動側を大人しい非暴力傾向に誘導して「泳がせた」方が楽であり、政権や国家体制の脅威にもなり難いという事である。つまり日本のデモ、それも3.11以降の反原連・SEALDs的なそれが理想的という訳だ。

我々は日本のような移民政策を理想とするだけなのです」byヨーロッパの極右
「我々は日本のようなデモのやり方を理想とするだけなのです」by韓国の警察

日本という国はヨーロッパの極右と韓国の警察という、世界でも特に邪悪で凶悪な民主主義破壊勢力から熱い憧れの目で見られているのです! まさに「日本しゅごい」ではありませんか! 

…冗談はともかく、ソウル警察庁長があそこまで「成熟した市民意識しゅごい」とばかりにヨイショしているのは、おだててそういう方向へ誘導したいという下心であろう。そうした言葉がマスコミで飛び交い、参加者達も酔っていた。そんな奴らを囲い込むのは簡単だ。12日・19日の当日、警察やオーマイニュース(笑)が「非暴力、非暴力」を連呼すれば、ほとんどの参加者がそれを復唱してくれた。警察の車壁を乗り越えようとした「不届き者」を市民の側が「非暴力、非暴力」で引き摺り下ろしてくれさえした。まさに警察側からすれば至れり尽くせりで「市民の御協力に感謝いたします」だろう。警察の車壁を乗り越えようとして拘束された人々はどうなったのであろうか。日本のどこぞの団体のように「デモで警察に逆らって逮捕された奴が悪い」とばかりに、何の救援措置もとられずに見捨てられるような事にならなければ良いが…。韓国警察による「成熟した市民意識しゅごい」というマジックワードの褒め言葉は運動の分断という効果をも兼ねているのである。「非暴力に心酔する成熟した市民」という名の臣民と、「暴力や不法デモに走る不穏勢力」という名の非国民に。上記金正勲発言で「多くの人員が集まったにも関わらず例年のように暴力的な方法もなく終了した事に驚いた」とあるのにも注目されたい。「今年の」民衆総決起(12日の100万人デモ)は成熟した市民意識の素晴らしい集会だったが、「例年の」民衆総決起(ペッ・ナムギ氏が一方的に警察暴力で虐殺されたデモである!)は暴力的だったとデッチ上げたいのである。平和デモへ一方的に暴力を加えてきた自分らの事は棚に上げて! またしても過去の運動と今の運動を分断し、非暴力デモだけが成熟した行動だ、これからはそういう運動だけをしろ、そうすれば警察も市民と協力するぞ、大統領官邸近くまでデモ出来るという「エサ」もくれてやるぞという誘いなのである。これに乗る者が運動の主導権を握った時、運動体が警察の手を煩わせる事なくみずから内部の「過激派」を「掃除」してくれるという、非常に見慣れた光景が現出するのだ。それこそ「成熟した市民意識に率いられた民主的デモ」の進化形態である。

民衆は抵抗と闘争を重ねて多くの事を学び、成長していく。だが、対する捜査当局や司直は民衆以上に多くの事を学んでいるという事を、少なくとも疑わねばならない。韓国の警察はこの間ずっと馬鹿の一つ覚えのように暴力的手段にばかりかまけていたのであろうか? そうではない。もっと「効率」の良いデモ対策を求め続けてきたはずだ。日本の反原連やSEALDsや表現規制反対運動といった「ネオ報国運動」は良いモデルケースであったはずである。あんなんばっかりだったらどれだけ警察は仕事がやり易いであろうか。ましてや日本と韓国の公安当局は今も昔も公安情報のやり取りを密接に続けて来た兄弟(もちろん日本が兄である!)のような関係である。軍事情報の共有よりもずっと昔からだ。

自らを「成熟した市民」と自惚れ、警察に対してまで「我々はみんなあまりにも素晴らしい大韓の国民」「我々は一つ」とか言ってしまう有様、あまりにも日本にいる我々には見覚えのある光景ではないか。これは単なる警察権力への屈服と擦り寄りである。世界中の反政府デモや革命において、警察や軍隊が負けを認めて武器を捨て、民衆側に立って革命に参加するという光景は稀に見られた。そういう場合であれば上記のように「我々は一つ」などと発言をしても、まあ許されるであろう。だが韓国警察は過去はもちろん、今回の100万人デモにおいても一切民衆の側には立っていない。大統領官邸に通じる通りや地下鉄の出入口を、裁判所の命令に背いてまで封鎖していたではないか。いや、裁判所も警察とグルであったと考えるべきであろう。要するに裁判所も警察も口裏合わせて「ガス抜き」の八百長をしただけなのではないか。「成熟した市民意識に感謝」だって? 警察はその前にやる事があるであろう。言っておかねばならないが、先に述べた農民ペッ・ナムギ氏が警察の放水銃で虐殺された件、韓国警察は今まで一切の謝罪も真相究明も責任者処罰も被害者遺族への補償もしていない。それこそ朝鮮半島の植民地支配責任に対する日本政府のごとく! ペッ・ナムギ氏の死は今回の100万人デモが起こる大きなきっかけの一つだったが、氏が死んだ時に警察は病院へ大挙押し寄せてその遺体を強奪しようとした事(司法解剖を強行し、警察の暴力が死因ではないというインチキ証拠を捏造する為)、それが多くの市民の手で阻止されたという事も忘れてはならない。そんな警察に「成熟した市民」などとヨイショされる事ほど、気持ち悪くて腹立たしい事はない。まともな社会運動家なら恥じ入るか、警察や国家権力に対する怒りをさらに燃え上がらせるのが本当であろう。警察に認められた「成熟した市民」になど死んでもなりたくない。「不穏勢力」上等である。「従北」? 「金正恩の手先」? 光栄だよ、それがどうしたという話ではないか。

だが、あのデモにおいてもやはり韓国社会のどうしようもない病理というか宿痾というか、「反北主義」を持ち込み、それと国家主義的ナルシズムを結び付けて扇動しようとする輩がいた。その者達に名前を尋ねれば、一人はお笑い芸人の金済東、そして二人目は朴裕河と答えた…。
(続く)
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