シリア内戦(が、その実態は外国による侵略戦争)もついに政府軍によってアレッポが解放されたが、それでもまだ予断を許さない。一刻も早く欧米やイスラエル、トルコといった帝国主義諸国の侵略がはねのけられて同国に平和が訪れる事を祈るばかりである。
が、こうしたアレッポ解放やロシアのプーチン訪日に絡んで見当違いな事をツイッターなどで言っている者が目立つ。特にこれまで日本の歴史問題や性差別問題、民族差別問題、沖縄米軍基地関連などでまともな事を言っていたはずの人間の中に「アサドやプーチンは虐殺者だ。だから安倍とはお似合いだ」みたいな酷い発言をしたり、それらを好意的にリツイートする例が多かった。
↑プーチン訪日とシリアのアレッポ解放に対して、普段の言行からは想像出来ない意外な人達がアサド&プーチンバッシングに加担した。
筆者はこれらの発言や好意的リツイートを見ていて、それが例えば
緑の党関係者だったりすると「ああ、やっぱりね。石油強奪戦争に賛成したり軍需産業を幇助する欧州諸国緑の党とおんなじで、こいつらの根っこはしょせんネオコンかネオナチだから」とある意味納得出来た。
↑プーチンやアサドを戦犯だとこき下ろしながら、オバマやエルドアンやネタニヤフに対しては決して同じ事を言わない人達。まあ緑の党とその眷属って、所詮本性は戦争好きのネオコンだから…。
「環境、人権、戦争と平和」を自称しながら、第三世界諸国に対してだけは徹底した上から目線で攻撃して卑下しようとする某ジャーナリストも同様だ。
↑「環境、人権、平和」が笑わせる。あんたがやってるのは第三世界と弱小国に対する卑下とイジメだろ? これほど弱いものいじめ大好きな典型的「普通の日本人」も珍しい。「はだしのゲン」で主人公一家をいじめてた連中とこのジャーナリスト氏の姿がダブって仕方ない。
この某ジャーナリスト氏が実際にやってる事は第三世界や弱小国をいじめているだけで、これこそまさに弱い者いじめを国技とする鼻持ちならない「普通の日本人」の真骨頂であると思う。アジアプレスの石丸次郎とおんなじだ。そう言えば、その
アジアプレス出身者で「イスラム国(IS)とマブダチ」を自称する怪しげな記者もいたよねえ。この
「イスラム国とマブダチ」氏はもちろん反アサド政権の急先鋒な上に、
インチキなアジアプレスの記事をずいぶん好意的にリツイートしていた。
アジアプレスもアメリカによるシリア攻撃をひたすら扇動・幇助していた訳だから、アジアプレス(及びそこの出身記者。以前にはイラク戦争礼賛報道の故・山本美香なんてのもいたよね)というのは
北朝鮮報道だけでなく、アラブ・中東報道でもデタラメの極みというか一貫して欧米日の侵略者目線であるという事が分かるだろう。
また、
トルコや
イギリス、アメリカなどでもシリアのアサド政権糾弾デモが起こっているようで、これらはまさにヨーロッパ版「
暴支膺懲国民大会」そのものではないか。一般民衆までもが戦争に酔って「生意気で野蛮なアサドを懲らしめろ、これは戦争だあああああッ!」という、まるでブッシュみたいな事を言っているのだから恐ろしい。こういうデモに出ている連中は極右や過激派ではなく向こうの一般市民のようで、日本に限らずこういう差別・戦争大好きな「普通の○○人」や「臣民」というのは(程度の差こそあれ)どこの国にも存在するのであろう。
が、一方で「え、そんな馬鹿な。何でこの人が?」と
思えるような人までもがこうした根拠が怪しい上に欧米侵略者目線であるアサド&プーチンバッシングに加担しているのを見ると、本当に幻滅を感じる。頼むからせめてもう少し慎重に物事を判断しなさいよと思う。
そもそもシリアで起こっている戦乱は欧米やトルコやイスラエルなどの介入と謀略によるものではなかったか。イスラム国にせよヌスラ戦線にせよ、この手の反政府勢力は上記外国勢力の支援を受けて暴れている訳で、シリアで起こっている戦乱は一見内戦のように見えて本当は欧米・トルコ・イスラエルによる巧妙な侵略戦争である。標的となる国の反政府勢力に金や武器を与えて反乱の代理戦争をさせたり傀儡政権を作るという、それこそアメリカが南米などで数え切れないほどやって来た手口ではないか。今シリアで暴虐の限りを尽くしているイスラム国やヌスラ戦線などの反政府勢力は、ベトナムで言えばかつてのゴ・ディン・ジェム政権やグェン・バン・チュー政権に相当しよう。シリア・ロシアと欧米側のどちらに非があるかは明白である。それがどうして「アサドとプーチンは虐殺者」になるのか? しかも沖縄米軍基地問題などでまっとうな意見を言っていたような人間達が? 真の虐殺者はイスラム国やヌスラ戦線を支援しているオバマやエルドアン、あるいはどさくさに紛れて自ら直接シリアへ軍事攻撃をしているイスラエルのネタニヤフらの方ではないのか。国際戦犯法廷に送られるべきはまさにこいつらであろう。
さらに言えばロシアがシリアのアサド政権を支援しているのは、ベトナム戦争でソ連や中国や朝鮮共和国が北ベトナムを支援したのとほとんど違わない。それを「虐殺」「戦争犯罪」扱いしてしまったら、いかなる反帝国主義抗争も、それに対する支援も出来なくなってしまう。アサドやプーチンに対して口を極めて罵っている人間は、自分が今ベトナム戦争やイラク戦争でアメリカの肩を持つのと、あるいは1937年に「暴支膺懲」を叫んで中国侵略に熱狂した皇国日本人と同じ事をしているのだという事を自覚すべきである。何よりもオバマはシリアをイラクと同じように空爆(それに全面的に賛同したのが国連事務総長の潘基文)しようとして断念した事があったのを忘れてはならない。いや、別にアサド政権やプーチンを絶対に許さない、あいつらは虐殺者で戦争犯罪人だと主張したければそれもいいだろう。ただしその同じ口で二度と沖縄米軍基地に反対したり、在日朝鮮人差別に反対するような事は言わないでくれという話だ。これらはどうしても両立し得ない甚だしい矛盾だからである。実際に朝鮮共和国はベトナム戦争の時と同じでシリアのアサド政権を支援しており、軍事顧問も送っている。日本でアサドやプーチンを糾弾している人間達が仮に今は在日差別に反対していたとしても、その事を理由に「北朝鮮許すまじ」「朝鮮学校への補助金・無償化除外は当然」「拉致被害者を帰せ」へと道を誤る危険性は常に孕んでいると思う。故に一度落ち着いて考え直し、自制する必要があるのではないか。緑の党をはじめとするヨーロッパの左派・リベラル勢力や、それを無条件追従する韓国の一部旧民主化勢力(
リビア・シリアへの侵略に事実上賛成している参与連帯が特にそう)の過ちが示唆する所は大きい。あるいはそれがさらにエスカレートして理性や自制心を完全に失うと、反原連やしばき隊といったいわゆる「野間易通一派」だの、沖縄米軍基地本土引き取り運動のようにカルト化する事は言うまでもない。
「第三世界や植民地被害国や被侵略国の立場に立ってものを考える」
「加害者と被害者を取り違えてはならない」
「帝国主義の陰険毒辣さを侮るな」
「社会正義や反戦平和運動は良識に加えて、正しい知識や国際情勢などを学びながら行わねばならない。革命とは勉学を伴いながら行うものである」
こうした事が今ほど重要な時代はない。そしてこれらを忘れてしまうという過ちを犯す可能性は誰にもある。反戦平和運動に身を置く者はなおさらこの事を心に刻み付けておかねばなるまい。
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