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100万キャンドルの「光と影」 その1

※先日行われた韓国の朴槿恵退陣要求デモ、12日に引き続き19日にも行われました。以下に述べるのは当初12日デモを対象に書いていたものですが、途中から19日のデモ並びに日本の吉祥寺で20日に行われた反天皇制デモについても対比しながら内容を書き加えたものです。本来は前回の金甲洙氏の翻訳記事に追記する予定でしたが、長くなったので独立記事として掲載します。


先日行われた韓国の「民衆総決起」すなわち100万人デモはその規模と行われた今の情勢からして、確かに歴史的事態であった事は間違いない。ならばなおさらその中身が精査されねばならないだろう。あのデモで政権側がさらにダメージを受けた事は間違いないが、それでもなお朴槿恵は大統領の座に居座り続けている。

「あいつ(朴槿恵)は例え死んでも辞任せえへんで」 by金鍾泌

金鍾泌の証言通り、朴槿恵の権力者の地位に対する執着は親父の朴正熙並みかそれ以上である。いや、この方面については日本の安倍晋三やアメリカのトランプでさえも及ばないであろう。闘争は何一つ終わっていないのだ。このような状況であのデモを無闇に賞賛ばかりする事は、かえって有害ですらある。実際にあの100万人集会には見過ごせない問題点も少なからず散見された。韓国の報道など見ていると、それをむしろ良い事であるかのように吹聴する傾向すらあり、このまま行ったら朴槿恵退陣どころか今後の韓国の社会運動・民衆運動に大変な悪影響を及ぼしかねない。その点は指摘しておかねばならないであろう。
韓国の主流マスコミ達がそれこそ右も左もなく「100万のキャンドル」と浮かれて騒ぎ、その明るい部分にばかり注目しているが、その影には何があったのか。そこには日本にいる我々にも嫌な覚えがダブる姿があったのではないか。

此度の100万人デモには日本からも連帯して参加した人々がいた。代表的な例として園良太氏がおり、氏は当時の状況を動画や自身のツイッターで実況して伝え、その参加した感想もレイバーネットで公表している。

http://www.labornetjp.org/news/2016/1115sono
韓国の百万人デモに参加し感じたこと(園良太)

園氏の報告の数々は自身が実際に現場へ行ってデモに参加し、その光景を収め、現地人達と会話を交わして見聞きした事を述べたレポートだ。現地の「生きた姿」を収めた、言わば「光」の側面からアプローチしたものだと言って良く、重要なものである。
一方、これから筆者が述べる事は見た光景も調べる手法においても園氏とは正反対のものだ。筆者はこのデモの現地には行っていない(行けない)ので、当時の様子は主に報道機関の記事とライブ配信によった。それを元に分析するという、言わば徹底して「影」の側面からアプローチしたものである。
重要な歴史的局面であるからこそ、光と影の両面からあのデモを見ていただきたい。


■「韓国すごい」を一番言っていたのは誰だったのか

100万人デモが行われた日とその直後、日本でのツイッターユーザー(嫌韓右翼や親日派など除く)の反応など見ていると、これを「すごい」「うらやましい」とする意見が多く見られた(飽くまで筆者が見て回った範囲だが)。言っているのもどちらかというと歴史問題や民族差別問題、労働問題などで割とまともなスタンスの層だったと言えるだろう。だが筆者はこれを見て非常に変な気分になった。この層の人々はあのデモの何を以って「すごい」「うらやましい」としていたのか? おそらくは集まった人数や、こうした抗議の声を上げて決起した向こうの市民達の意識といった事柄に対してそうした感想を持ったのであろう。外国から漠然とあの光景を眺めていれば「韓国すごい」と感じるのも無理はないし、当然の反応でもある。筆者が変な気分になった理由というのは、この「韓国すごい」という盛大な反応の嵐を別の所ですでに目撃していたからである。それは他ならぬ韓国マスコミの報道においてだ。100万人デモがあった翌日、韓国のマスコミは一斉に「偉大な100万人」「成熟した市民意識」という賛辞をトップで報じた。それこそ右の朝鮮日報から左のハンギョレ新聞まで「右も左もなく」である。今でも「성숙 시민(成熟 市民)」で検索すればそうした「韓国すごい」記事を山ほど見つける事が出来るので、朝鮮語の分かる方は試してみると良い。あれだけのデモが起こってなお朴槿恵は何ら退陣するそぶりも見せていない状況で、そこまで褒めそやして大丈夫なのか? このような自画自賛はかえって危険なのではあるまいか? 「韓国すごい」を最も連呼してたのは日本のそれも比較的良識のある層ではなく、実は当の韓国マスコミとデモ参加者の側だったのである。そうした記事はそれこそ死ぬほどあるので、まずは聯合ニュースの記事を挙げておきたい。これは日本語版では翻訳配信されていない記事である。

http://www.yonhapnews.co.kr/society/2016/11/13/0701000000AKR20161113000800004.HTML
100만명 모여 평화집회 마무리 중…시민의식 성숙했다
(100万人集まって平和集会幕引き中…市民意識が成熟した)
2016.11.13 00:42

1年前の民衆総決起とは天地の差…秩序整然と衝突自制
「平和集会が効果的という事実を10年のキャンドル集会の歴史で体得」と評価

この記事はデモ当日の日付が変わった直後に配信されたものと分かる。この記事中ではとにかく「成熟した市民意識が輝いた」「集会は平和に幕引き」「『朴槿恵退陣』を叫びながらも秩序整然と動いた」「一部興奮した市民達が警察に文句をつけたり警察バスの上に登ったら、他の参加者達は『平和集会』を叫んで自制させた」「1年前の民衆総決起で参加者と警察の間に激烈な衝突が続き、ペッ・ナムギ農民が放水銃に当たってついに亡くなった事と比較したら天地の差だ」といった言葉が乱舞し、とにかく平和裏に集会が終わった、韓国の市民は成熟した、の自画自賛オンパレードだった。聯合ニュースだけでなく、デモ翌日の韓国メディアではこうしたニュースでほぼ100%埋め尽くされていたのである。
まず基本的な疑問として、平和デモをするのは良いが、あまりに大人しすぎたのではないか。大統領とその黒幕宗教家(崔順実)の仕出かしてきた数々の悪事、それによって多くの民衆が多大な犠牲(それこそ軍事独裁時代にも劣らない!)になってきた事を考えれば、あのデモはあまりにも抵抗運動としては大人しすぎると思う。そのように大人しい羊の群れみたいなデモを心底恐がる権力者がどこの国にいるというのか? いや、さすがに100万集まって抗議の声を上げればそれなりの効果はある。大統領が泰然(?)としているのに比べて、与党セヌリ党の面々は大慌てだ。支持率もついに国民の党にも負けて第3位に落ちるという一部調査結果まで出ているのだから。おまえら今まで朴槿恵政権下の与党議員としてさんざん甘い汁吸ったんだろうが! それを何を今さらオタオタしてるのか、みっともない。この期に及んでもまだ朴槿恵を神と崇めて決死擁護し続けている河信基を少しは見習え!(笑) 
…冗談はともかく、あのように「非暴力」ばかりを強調したデモは決定的な打撃に欠けていたのではないか。最後の最後に権力を追い詰める、そんな力が抜けていた。それを「偉大」「秩序整然」「成熟した市民意識」などと誉めそやして良いものなのか。とりわけ上記聯合ニュースの記事では「1年前の民衆総決起で参加者と警察の間に激烈な衝突が続き、ペッ・ナムギ農民が放水銃に当たってついに亡くなった事と比較したら天地の差」という一節がある。これはあまりにひどい言い草であろう。1年前のデモもまた非暴力の集会だったにも関わらず、警察当局が凄まじい一方的な暴力を加えてきたという事実が完全に忘れ去られている。これではまるで1年前のデモでは警察だけでなく、デモ参加市民の側も当初から暴力で挑んだかのような印象を受けるではないか。これでは亡くなったペッ・ナムギ氏も浮かばれないどころか、氏に対する冒涜ですらあろう。一体何を考えているのか。一言言っておかねばならないが、ペッ・ナムギ氏が警察の放水銃で撃たれた時の状況は凄惨を通り越して吐き気を催すような光景であったという。警察はニヤニヤ笑いながら、それこそ射的の的でも当てるかのようにデモ参加者に高圧放水を乱射していたのだ。高江や辺野古で海保や警察が基地建設に反対する人々をニヤニヤ笑いながら暴行していたのと、あるいは20日の吉祥寺で警察と右翼が仲良く一緒になってデモ隊に暴力を振るっていたのと全く同じである。さらにペッ・ナムギ氏がどういう人物だったのかを、どれだけの人が知っているだろうか。氏は若い頃に朴正熙の独裁に反対して民主化運動に参加し、何度も監獄に入れられた(当然拷問も受けた)という闘争歴の持ち主だった。社会人になって実家の農業を継いでからも農民運動に積極的に参加し、米価格の下落に抗議して、ついに朴槿恵政権に虐殺されるという悲運に見舞われたのである。民主主義と農民の生活に献身してきた人が朴正熙親子2代にわたって弾圧され、ついには殺された。それが持つ深刻な意味をどれだけの人々が、それこそ100万人デモで「俺達は成熟した市民だ」と自画自賛して浮かれている一部の層は理解しているのだろうか。ペッ・ナムギ氏が朴正熙親子2代に弾圧・虐殺された姿を見ていると、日本の似た光景を連想する。祖父(信介)が従軍慰安婦を狩り出し、孫(晋三)がその被害者をセカンドレイプしている光景に何とそっくりなのかと思う。
少なくともあのデモで極度に「非暴力」を訴えて「成熟した市民」と浮かれるのは何かが間違っているとしか言いようがない。韓国社会で起こっている事態の深刻さを考えればあまりに手ぬるすぎるのだ。日本の3.11後のデモや社会運動を思い出してみると良い。日の丸や右翼を引き入れた官邸前デモを安倍政権や当時の野田政権が恐れただろうか? 「警察に感謝する」などという参加者や団体が大手を振っていた反安保法デモを安倍政権は恐れただろうか? 

他にもこうした自画自賛「韓国しゅごい」記事の例を以下にいくつか挙げておく。オーマイニュースなんて凄まじいもんで、外国人の発言を引用する形で「韓国人しゅごい、韓国の民主主義しゅごい」とやっているのだから、日本で毎日のようにやってる「日本しゅごい」番組や、博多駅前の陥没事故を「世界に誇れる事故」「早い復旧に世界中が賞賛」とか言ってる一部のバカと何が違うのか分かったものではない。

・オーマイニュース
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002260110
"한국인들 좌절 충분히 이해, 동참하러 나왔다"
외국인들에게 민중총궐기 현장은 '놀라움의 연속'
「韓国人達の挫折十分に理解、参加しに出て来た」
外国人達に民衆総決起は「驚きの連続
16.11.12 18:54 最終アップデート 16.11.12 18:55

・韓国経済
http://www.hankyung.com/news/app/newsview.php?aid=201611132578g
100만 촛불집회, 평화롭게 끝났다대한민국 시민은 위대했다
100万キャンドル集会、平和裏に終わった大韓民国市民は偉大だった
入力 2016-11-13 09:18:22 | 修正 2016-11-13 10:53:50

・聯合ニュース
http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2016/11/13/0200000000AKR20161113039700033.HTML
< SNS돋보기> 평화로운 100만 촛불 집회…"성숙한 시민의식"
〈SNS虫眼鏡〉平和な100万キャンドル集会…「成熟した市民意識
2016/11/13 17:04

100万人デモの後に韓国マスコミに乱舞した「韓国しゅごい」の記事達は、まさに日本で近頃流行っている「日本しゅごい」系番組や書籍類と同質である。一言で言って国家主義的ナルシズムの発露以外の何者でもない。繰り返すが、朴槿恵はまだ平然と大統領の座に居座り続けているのだよ。
(続く)
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