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「コップの中の嵐」韓国の歴史教科書国定化問題について

韓国の朴槿恵政権が歴史教科書を国定化するといって、向こうでは大変な反対運動が起こっている。これは簡単に言って日帝植民地時代や軍事独裁時代を美化する教科書に一本化しようという話であり、韓国という国はとうとうここまで来たのかと呆れるばかりだ。もっとも朴槿恵にせよ次期大統領有力候補と言われるセヌリ党代表の金武星にせよ、親日派の子であるという出自を考えれば当然の展開でもあったろう。
韓国で近年出た親日・独裁美化教科書は通称「ニューライト教科書」と呼ばれ、日本のつくる会教科書を丸写ししたのではないかとよく揶揄される。それほどまでに両者は酷似した部分が多い。それぞれの教科書が事実上の相手国言語版になっているのではないかと思えるほどだ。
韓国のニューライト勢力というのはこのように「日帝植民地統治のおかげで韓国は近代化した」「李承晩は韓国の国父」「朴正熙のおかげで韓国は経済発展した」という植民地統治・独裁礼賛と「骨の髄まで親米親日反共反北」という理念に凝り固まっており、そうでない「アカ・従北」は人間じゃないと平気でうそぶく。その総本山としてニューライト全国連合というのがあり、これが李明博と朴槿恵(この両人はよく「ニューライト大統領」と呼ばれる)を下支えしてきた。早い話が「韓国版日本会議」である。自民党と安倍晋三のバックに日本会議があれば、セヌリ党と朴槿恵のバックにニューライト全国連合あり。日韓いずれにも全国的に巨大な極右組織があり、保守政権の影の支え役になってきた歴史がある。
こうした韓国ニューライト勢力の中にはとりわけ笹川系の日本財団関係から金をもらっている連中が何人もおり、日韓の癒着・共犯関係が現在においてもいかに根深いものであるかを我々に教えてくれる。これまで嫌になるほど述べてきたように、日韓は互いに大の仲良し国家であり、この日本が兄で韓国を弟(もちろんアメリカがオヤジ)とする「日韓協定体制」は1965年から今に至るまで基本的な部分では何も変わってはいない。「今の日韓関係は最悪。だから仲良くしようぜ」などという安田浩一的な言説はこうした歴史と国際情勢を全く無視した世紀の大ペテンである。こうした歴史教科書をめぐる日韓極右政権・勢力の動きを見れば一目瞭然ではないか。

ただし、韓国で起こっている歴史教科書国定化反対運動もちょっとどうなのよ、と思う部分が多い。と言うのも、今起こっている国定化反対の論理を見ていて必ず出て来るのが「このままでは北みたいになる」「経済発展と民主化を同時に成し遂げた偉大な韓国の歴史が教えられなくなる」という事を必ずと言って良いほど主張しているからだ。以下のオーマイニュースやハンギョレの記事にそれがよく表れている。韓国の進歩派勢力とは何と論理薄弱な集団である事か!

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002151654
北韓式唯一史観とは」蔚山で国定化反対運動
新政治(民主党)蔚山市党の反対世論戦、高校歴史教師達1人デモ(朝鮮語記事)

特に彼らは「子供達が学ぶ歴史教科書を、政権の口に合う唯一史観を注入する為に北韓式唯一教科書にしてはならない」とし「丹齋・申采浩先生が朝鮮上古史で『歴史を忘れた民族に未来はない』と強調したように、親日と独裁は正しい歴史たりえない。憲法に明示された大韓民国の法統は抗日闘争と自主独立」だと指摘した。


なぜこういう重大な場面でさえ北の事をこき下ろす「従北狩り」をしなければ反対出来ないのか? 国定化が嫌なら「維新時代に逆行する」「植民地時代の皇民化教育に逆行する」とでも言えば済む話ではないか。親日・独裁賛美教科書を批判するのに同胞である朝鮮民主主義人民共和国をわざわざ卑下するという全くの筋違いな行為をして平気なこの者達は、反北感情において朴槿恵政権と何ら違いはない。この者達はどこぞのネオコン転向左翼のポンチ絵描き並みに低劣な水準である。それどころか朴槿恵が今後作るであろう維新時代回帰の国定教科書は間違いなく現行教科書よりもはるかに朝鮮共和国の事を悪く書くだろう。親父の維新時代の反共教育では「北に住んでるのは人間ではなく、角を生やした鬼」と真面目に教えていたのは有名な話ではないか。「国定化したら北みたいになる」と真面目に主張している北嫌いな連中がなぜそれに反対するのか、筆者には全く理解出来ない。「北は人権のかけらもない地獄みたいな独裁国家」と言って嫌っているなら、教科書の記述が維新時代のように戻っても何の不都合もないであろうに! 
「その通りだよ。国定教科書では君達も大嫌いな北の事をもっと悪く書こうというんだ。君達(ハンギョレ、京郷新聞、民主党、正義党などの進歩派)だって『北は世界でも最悪の人権抑圧国』って事ある毎に言ってたじゃないか。それの何が気に入らないんだね?」
朴槿恵政権からこのように言われたら連中はぐうの音も出ないだろう。

上記よりもさらに最悪の例は延世大学の学生達が作ったという大字報だろう。またしてもオーマイニュースがこんなものを好意的に大きく取り上げている。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002152532&PAGE_CD=ET001&BLCK_NO=1&CMPT_CD=T0016
「歴史教科書国定化、朴槿恵最高指導者の慧眼」?
大学街の奇抜な「国定教科書反対」大字報話題、寸鉄人を刺す内容を見てみると(朝鮮語記事)
15.10.19 13:48 最終アップデート 15.10.19 18:30

この記事の内容をかいつまんで説明すると、延世大学(石丸次郎の母校である!)の学生達が朴槿恵を北の金正恩になぞらえて国定化をからかったポスターを張り出したというもので、その文面も朝鮮共和国のマスコミで最高指導者を称える際の口調や文体そっくりにしたというものだ。はっきり言ってこれは前述のネオコン転向左翼のポンチ絵描きかシャルリエブド並みに酷い差別・蔑視感情丸出しの内容で、これを作った者は朴槿恵政権よりも北の事をはるかに嫌い、憎悪しているとしか思えない。これは率直に言って風刺にも皮肉にも全くなっておらず、反北感情を煽り立てるだけのものである。こういう代物を張り出す事で国定教科書に反対するどころか、むしろ人々の北に対する蔑視・対立感情を増大させて結果的にニューライトを利するだけという事も分からないのか。そんなに北が嫌いならどうして国定教科書に反対する必要があろう。歴史教科書が国定化でニューライト教科書に一本化されれば、この大字報と同レベルな北への憎悪と対立を煽るカリキュラムが激増するのは間違いないのだから。
親日教科書に対する当てこすりをするなら、朴槿恵を昭和天皇なり神功皇后なり豊臣秀吉なり李完用なりになぞらえるネタをやるのが正しい。それをせずにわざわざ朝鮮共和国や金正恩になぞらえるというのは、この作者がどれだけ歴史に無知であり、今の韓国に蔓延する反北感情に媚びて迎合する事しか頭にないかを表している。案の定、この大字報は他の進歩派メディアでも大絶賛して持ち上げ始めた。ハンギョレプレシアン京郷新聞…。ハンギョレの記事によればこの大字報の作者ははっきりと「私は国定化に反対します。なぜなら北について行く事だからです」言っており、北に対する嫌悪感を隠しもしない。こういう人間が教科書国定化反対のヒーロー扱いされているのである。これでは南北対立を煽る朴槿恵らニューライト勢力と何ら違う所がない。こういう露骨な反北記事ならば、ハンギョレ日本版がまたしても喜んで翻訳して何日もサイトのトップに乗せ続けるのではないか。2015年10月19日21時現在、ハンギョレ韓国本家ではこの大字報紹介記事をトップに掲載しており、もはや朴槿恵を攻撃したいのか北を攻撃したいのか分からない状況だ。


このように「親日・独裁美化教科書」に反対してるはずの勢力までもがそれを「反北扇動・従北狩り」に仕向けようしているのが、今の「韓国民主主義」の現住所である。これで本当に「親日・独裁美化教科書」や「日本の歴史修正主義」に対抗出来るのか。南北の対立が深まるほど日本は喜び、得をする。日本の歴史修正主義者や軍国主義者を批判する資格を自ら投げ捨てているのが、こうした韓国の低劣な運動姿勢に他ならない。

続いては真打登場、我らがハンギョレ新聞ですッッッッ!

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22257.html
[ニュース分析]教科書が自虐史観? 敗者として登場するのは日本帝国主義と独裁
登録 : 2015.10.19 03:39 修正 : 2015.10.19 06:57

 特に専門家たちは、韓国現代史を民主化と産業化の観点から記述することは、世界のどの国とも比較できない「肯定的な歴史記述」だと強調する。キム・ハンジョン韓国教員大学歴史教育科教授は「韓国は経済成長だけでなく、第2次世界大戦に巻き込まれた国としては珍しく民主化にも進展が見られた。これを浮き彫りにするのは自虐史観ではなく、肯定的な史観」だと述べた。政治・経済成長と民主化を同時に成し遂げた点を強調するのは、韓国を肯定的に記述する“クライマックス”という指摘だ。
(中略)
 歴史教育の目標は、過去を反省し、現在と未来に二度と不幸な歴史が繰り返されないようにすることだ。専門家たちは、過去の過ちに対する反省のない歴史教育は、歴史というよりは「国家広報」と看做すべきだとして懸念を示している。ソウル大学国際大学院のパク・テギュン教授は「韓国近現代史研究の一般的な前提は、『植民地を克服し、分断という困難な状況の中でも、経済成長と民主化を成し遂げた歴史』という点だ。その前提の上で「私たちが継続的に、このような成果を繋いていくためには、過去にあったどのような問題を解決できるのか」という観点から歴史を記述しなければならない。それを自虐史観だとするなら、歴史学としての任務を放棄したも当然だ」と指摘した。

 現行の教科書の歴史記述を肯定的に捉えるのか否定的に捉えるのかは、“大韓民国の主体”を誰に求めるのかという問題とも関連している。大韓民国の主体を統治者と支配層とするなら、親日と独裁について記述するのは、韓国の歴史を否定的に教えることになる。しかし、大韓民国の主体を国民であり、市民とするなら、私たちの歴史は親日と独裁を独立運動と民主化運動を通じて克服した“勝利の歴史”となる。


はい、例によってまた出て来ましたよ。韓国は「経済成長と民主化を成し遂げた」という自画自賛が。その経済発展の中身(ベトナム特需、過酷な労働環境、とてつもない環境破壊、第三世界への経済侵略など)はそんなに御立派なものだったのか、本当に韓国の民主主義の程度(まだ国家保安法が現存し、それによって左派政党が政権の意のままに強制解散させられる国である!)は素晴らしいものなのかが問われているのだ。それをすっ飛ばして事もあろうに「勝利の歴史」などとは! これには朴槿恵や金武星らもびっくりだぜ! 朴槿恵や金武星らは親日派にして独裁勢力だった親父達の悪行をなかった事にした自分らの「勝利の歴史」を教科書に入れようとしている訳だが、それに反対する側も韓国の「経済発展」や「民主主義」のお粗末な実態を歪曲した自分らの「勝利の歴史」に拘泥しているのである。どちらも間違った歴史であるのに違いはない。間違った歴史を押し付けようとしている所へ間違った歴史で対抗してどうするというのか? 今韓国で起こっているのは率直に言って「朴正熙バンザイ史観vsエセ民主主義バンザイ史観」でガキの喧嘩をしているのに過ぎないだろう。どちらも有害な歴史観である事に違いはなく、今韓国社会を大いに騒がしている歴史教科書国定化問題の本質が「コップの中の嵐」でしかなくなっていると筆者が断ずるのはこの為だ。

この構図は日本にいる我々にも見覚えがある。安倍政権の安保法制に対して「戦後70年間日本は平和国家であり続けた」という大嘘を論拠に反対運動していた者達の姿に何とそっくりなのかと思う。今の韓国歴史教科書国定化問題というのは、色々な意味で日本における安保法制と同じ位置付けなのではないか。日韓どちらの政権も安保法と歴史教科書国定化という無法を力で押し通した(通そうとしている)事、それに反対する側の多くも「平和国家」「民主主義」という大嘘の歴史で対抗しようとしている事、これらがいずれも戦後日韓の軍拡化や反共ファシズム体制や安保協力の“クライマックス”とも言うべきものだという事だ。
今の韓国の「民主主義」がいかに不完全であり、誇れるような水準ではない事か。それを十分に認識した上で国定化に反対する者がいくらかでもいれば、例え今日敗れてもいつか再起する事は出来る。だが、今の韓国の民主主義が「勝利の歴史」などと自惚れていては再起の道すらおぼつかない。どうしてここまで自惚れた度し難い自画自賛が出来るのか? 

「歴史を忘れた民族に未来はない」とは国定化反対派にもあてはまる。

歴史教育の目標は、過去を反省し、現在と未来に二度と不幸な歴史が繰り返されないようにすること」と言うが、国定化に反対している者ほど「民主化以後」と「経済発展」の不幸な歴史をないがしろにしてはいないか。

「大韓民国の法統は抗日闘争と自主独立」と韓国の憲法には明記されているが、それが現実に実践・実現されているとでもいうのか? この事は日本の9条並みに実現されておらず、自慢出来るようなレベルではない。

「大韓民国の主体を国民であり、市民とするなら、私たちの歴史は親日と独裁を独立運動と民主化運動を通じて克服した“勝利の歴史”となる」だって? だとしたら韓国の民衆は現実には決して勝利などしていない。親日派と独裁勢力の跋扈する韓国の現実は何なのか? 「勝利の歴史」とは嘘の歴史である。

今の韓国の歴史教科書国定化反対運動はとんでもない反北主義志向(思考)をはらんでもおり、これが韓国人の南北対立感情を激化させる可能性も否定出来ない。「自分ら南は経済発展した素晴らしい先進国の民主主義国家。北は人が餓死する貧乏な後進国の独裁国家」という歪みきった醜悪な優越感がこのような教科書問題にまで滲み出てくるというのは、自画自賛を通り越して夜郎自大の域にまで達している。

日本の安保法制反対運動の構図は
「大日本帝国バンザイ派vsエセ平和国家バンザイ派」で、どっちも「戦後70年間日本は平和国家だった」「北朝鮮は韓国だけでなく日本の平和も脅かしている」という点で大いに認識が一致。
韓国の歴史教科書国定化反対運動の構図は
「朴正熙バンザイ史観vsエセ民主主義バンザイ史観」で、どっちも「経済発展と民主化を同時に達成した韓国良い国エライ国」「子供達に北のような教育をして良いのか!」という点で大いに認識が一致。


このような姿こそ過去に民主化闘争で犠牲になった人々に対する冒涜であると筆者は考える。果たして韓国の教科書国定化反対運動に賛同して良いものか、躊躇させるに十分ではないか。

日本という「平和国家」は安倍晋三の登場によってある日突然破壊されたのではなく、その実態は戦後70年間もずっと軍事大国化への道を歩み、他国の戦争に関わって利益を得てきた汚い国であった。それと同じように韓国の「民主主義」とやらは朴槿恵の登場によってある日突然破壊されたのではなく、87年の民主化宣言以降も極めて不完全なものであり、絶え間なく逆コースを歩み続けて来たのである。それは「勝利の歴史」などとは程遠い。

韓国の現状は安保法案反対時の日本以上に厳しく絶望的なのではないか。
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朴裕河の親衛勢力 その1

朴裕河のフェイスブックより抜粋(原文は朝鮮語)
https://www.facebook.com/parkyuha/posts/1208397102520535
「私は慰安婦のお婆さんを批難した事がない。本においても現実においても」

朴裕河のフェイスブックはスゲーものだ。全編に亘って噴飯ものの記事のオンパレードで、「ひょっとしてこれってギャグのつもりなんだろうか?」と言いたくなるような文章で満ち溢れている。上記の文章は、朴裕河が昔ナヌムの家を訪問してお婆さん達と写真を撮った時の事を述べた記事の最後の一文を抜粋したものだ。要するにいかに自分が従軍慰安婦被害者の事を考えているか、そんな自分が訴えられるのは心外だと言いたい訳で、見苦しい弁明である。で、オチが「私は慰安婦のお婆さんを批難した事がない」なのだから、開いた口がふさがらない。確かに朴裕河はこれまで従軍慰安婦被害者達を「批難」した事はなかったのかもしれない。その代わりこの女は従軍慰安婦被害者達に許し難い「侮辱」は山のようにやって来たし、今もそれは継続中である。この女の薄汚れた話を聞いていると、よくある差別主義者の言い訳にならない言い訳を思い出す。「これは差別じゃない。区別だ」という…。

「朴裕河は日本右翼の代弁者」と言われる事が多く、そうした批判を本人は(表向き)大変嫌っている。確かにそれには一理あるかもしれない。何しろ日帝の植民地支配・侵略責任をなかった事にしたがってる連中などというのは、今や「日本右翼」だけではないのだから! その手の連中は日本の左翼やリベラルの中にも大勢いるし、甚だしくは韓国の保守派・進歩派双方にも増殖しつつあるのだから。「「指折りの進歩新聞」である毎日新聞」が朴裕河に賞をやった事実を見れば、そうした「日帝責任否定派・日帝免責派」が今や右翼左翼関係なくたくさんいるという事が容易に理解出来るだろう。ちなみにこのアジア・太平洋賞特別賞は2007年(第19回)に玄大松の「領土ナショナリズムの誕生―「独島/竹島問題」の政治学」(独島は日韓の「グレーゾーン」という事にして共存すべしと主張している本)にも与えられた事があり、韓国の独島領有権否定派や日帝の侵略責任を曖昧にする事に腐心した韓国人に与えられる登竜門的なイメージもつきまとう。もちろん朴裕河も玄大松と同じでバリバリの独島日韓共有論者である。当然その根底にあるのは「独島は日本が侵略した地ではない」という日帝免責論に他ならない。
知らない人は意外に思うかもしれないが、なにしろ金大中・盧武鉉の側近だった人間の中にも(それも結構な大物!)朴裕河の熱烈な支持者が存在するのだから。いわゆる「旧太陽政策派」すなわち金・盧大統領の「元側近衆」がその後いかに駄目な人間集団に成り下がったかについて筆者はこれまで何度も指摘してきたが、それは国内問題や南北問題に限った話ではなく、対日問題においても同様である。これでは仮に次の選挙で民主党(新政治民主連合)に政権交代したとしても、韓国の政治は何一つ変わらず、南北関係の改善もあり得ないだろう。
要するに、朴裕河というのは「日帝の責任をうやむやにしたい(日韓左右保守進歩問わぬ)勢力の代弁者」というのがより正しい。そういう連中の醜い願望がひり出したクソ、「大便者」とも言う。だからこの女が「自分はこんなに日本の良心勢力(和田春樹とか)から支持されている。だから「日本右翼の代弁者」ではない!」などという言い訳をした所で空しいだけだ。日帝の植民地支配と侵略戦争の責任をなかった事にしたい、いわば「反人権・非人道勢力」の代弁(大便)者と言うべきなのである。その「反人権・非人道」の醜い素顔をごまかす仮面が「日韓和解」という訳だ。人道に反する者に右翼左翼の違いはない。

そこで今回は、朴裕河がこうした自己正当化の根源代わりにしているある種の人間集団、すなわち「朴裕河親衛勢力」と言うべき者達について述べてみたい。この手の連中は日本にも韓国にもおり、筆頭格は言うまでもなく和田春樹だろう。一見日帝のアジア侵略とは対立するかのように見える左派や進歩派連中が支持してくれるほど、朴裕河にとっては自己正当化の効果が大きい。むしろ石原慎太郎的なバリバリの「日本右翼」からあからさまに賛辞を送られては(今の所)かえって迷惑なのである。日本においても韓国においても、和田春樹や毎日新聞のような進歩派から「日韓和解」を口実に賞賛された方が、商売上大変に都合がよろしい。それの犠牲になって踏みにじられるのが当の従軍慰安婦をはじめとする日帝被害者という訳だ。すなわち「私は従軍慰安婦のお婆さんを「批難」した事はないッッッッ! でも「侮辱」は死ぬほどしてきたし、これからもバンバン続けて商売してやるッッッッ!」という事である。
こうした構図を念頭において読み進めていただきたい。この手の連中を取り上げるのは、この名前にピンと来たら要注意という警鐘を鳴らす為だ。この集団に属する人間の語る(騙る)従軍慰安婦問題や朝鮮半島問題論、日韓関係論は十分に疑いの目を向けて読む事をお勧めする。

2015年6月20日、世にも珍妙で奇怪な団体が発足した。団体名は「東アジア和解と平和の声」と言い、自ら「朴裕河を支持する人間の集まり」を堂々と表看板に掲げた事実上の「朴裕河親衛隊」そのものであった…。
(続く)

SEALDsと韓国マスコミ

詳しくはまた改めて書くつもりなので今回は簡潔にさわりだけ記すが、韓国マスコミではSEALDs(とその関連団体というか界隈団体)の事を虫唾が走るぐらい美化・礼賛した記事があふれている。安保法案が成立するや韓国マスコミの圧倒的大多数が「北に対する抑止力になるから安保法案は歓迎出来る部分もある」と一斉に右へならえ報道したのとそっくりと言うか、間違いなく軌を一にする現象であろう。
歴史的常識を踏まえて考えれば、日帝被害国である韓国が安保法を例え一定たりとも「歓迎・肯定」する事など絶対にあってはならず、100%全否定・反対しなければならないはずなのだが、現実にはそうなっていない。朝鮮民主主義人民共和国の反応とはあまりに違い過ぎる。

前回の記事では面倒なので引用やリンクをしなかったが、それだとやはり言わんとする所がちゃんと伝わらないと思ったので、そうした「日本安保法案は対北抑止力になるからいいとこもある」と主張している韓国マスコミの記事を以下に二つ、保守派(右翼)と進歩派(左翼)の代表格として朝鮮日報とハンギョレを翻訳抜粋して例示しておきたい。いずれも現代韓国の驚くべき歴史的健忘症と崇日事大主義根性と反北主義が克明に表れた最低な記事である。

・韓国保守派メディアの雄・朝鮮日報

http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2015/09/21/2015092100169.html?related_all
中国との対立大きくなり韓国に負担…対北抑止力には助け
2015.09.21

日本はこれ(集団的自衛権)を土台に世界平和に寄与すると主張しているが、退行的歴史認識を持っている安倍晋三政権がこれを軍国主義復活の手段にし得るという憂慮も大きくなっている
(中略)
だが別の一方では日本の集団的自衛権確保が「対北抑止力拡大」など韓国の安保に寄与する部分もあるというのが専門家の診断だ。北韓が核・ミサイル挑発の威嚇をやめない状況で、日本自衛隊の機動力強化と役割拡大は韓米日次元の対北共助をより強化するのに助けになるという話だ。韓半島有事の際に日本が駐韓米軍後方基地の役割をよりしっかり遂行出来るかもしれない。


・「自分とこは韓国マスコミ信頼度ナンバー1」という自画自賛が三度のメシより大好きな、韓国進歩派メディアの雄(笑)・ハンギョレ新聞

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/709576.html
[社説]「危険な刀」日本の安保法案、知恵ある対応を(日本語版未訳記事)
2015.09.19

日本の安倍晋三政権が18日参議院で集団的自衛権行使を骨子とする安保関連11法案を強行処理した。議事堂内で与野議員達が乱闘を繰り広げる非常に稀な光景を甘受しながらも、安倍政権は時間を定めておいて力ずくで法案を押し付けた。これによって第2次大戦敗戦以後70年間守られて来た日本の専守防衛政策は形骸化し、日本自衛隊が世界のあらゆる場所で起こる武力紛争にも介入出来る道が開かれた。

今回の法案通過は安倍総理になって以後、昨年4月に中国の浮上を対象にした日米新ガイドライン改正と、昨年7月に内閣の解釈改憲による集団的自衛権行使容認決定へと続く一連の安保政策の大転換作業にピリオドを打つ意味を持つ。集団的自衛権行使を禁じる根拠となっていた憲法9条(いわゆる「平和憲法」)を改正する問題がまだ残ってはいるが、今回の法案通過で憲法9条は憲法改正いかんに関係なく事実上死文化したと言っても過言ではない。

日本国内的には今回通過した法律が平和憲法に背くのではないかどうか、十分な熟議なき法案の強行処理方式などをめぐって論争が続くだろうが、我が国が注目すべきはこれによって韓半島安保環境がどのように変化するかであり、どのように対応するのが賢明であるかという点だろう。

基本的には、日本が専守防衛から集団防衛に安保政策を大転換する事になった背景には中国の急浮上が大きい。経済的衰退などの理由で一人で中国を牽制するのが難しくなったアメリカが日本の政策転換を積極的に応援し、日本としてもアメリカがこの地域から去る後まで見据えながら独自な軍事力拡張の機会に据えた面がある。アメリカと日本、中国の間で繰り広げられるこうした大きな枠の安保環境変化は、これらの国家と密接な関係を結んでいる我が国にも好むと好まざると大きなショックを呼び起こす以外にない。

我が国は日本の集団的自衛権行使方針に対して事ある毎に「我が国の主権領域に対する自衛隊活動は、我々の同意を得なければならない」という点を強調している。また、憲法上我が領土という理由で北韓地域に対しても外国軍が活動する場合は我々の同意を得ねばならないという要求は言うまでもなく当然だ。また、北韓と関連しても、国際法的に通用し難い要求をするよりそうした状況が発生しないように南北関係を改善する事が最も賢明な方策であるだろう。

日本の安保政策転換によって米軍支援が円滑になれば、韓米連合軍の対北抑止力が大きくなるという側面を看過する事は出来ない。また、中国の暴走を適切に制御する必要があるのも事実だ。反面、日本の軍事活動強化が中国との葛藤と対立を激化する方向に進行したら、我々としては非常に困難な立場に置かれるのは判然としている。中国を圧迫する為の韓米日三角軍事同盟構図に深く巻き込まれる場合が最悪だ。日本の集団的自衛権行使が逆戻り出来ない以上、政府はどのように対応するのが我々の安保に実利的であるかを以って知恵をしぼらねばならない。


右と左の代表的な例として朝鮮日報とハンギョレを挙げたのだが、他のメディアの主張も似たりよったりである。中央日報京郷新聞ニュース1民主新聞YTNニューシスアジア経済…保守・進歩・経済紙の立場を問わず、どれもこれも「北に対する抑止力になるから安保法案は歓迎出来る部分もある」の挙国一致報道だった。「対北抑止力」という安倍の主張をこれほどまでに「反日国家・韓国」のマスコミのほとんどが忠実に復唱して正当化してくれるなんて、日本の記者クラブ制度もビックリだぜ! これには安倍総理も朴槿恵大統領もさぞかしお喜びあそばされている事でしょう! 日韓仲良く安保協力で北朝鮮を滅ぼそうぜ!

このうちハンギョレの社説はまたしても日本語版では翻訳されていない。これまで何度も指摘してきたようにハンギョレ日本版は「自分ら(日本語版スタッフ陣)の立場にとって都合の悪い記事、面倒な長文の記事」はどんなに(良くも悪くも)重要な記事であろうと訳さず日本側に伝えようとしない傾向が非常に強く、この社説を訳さなかったのはやはり「対北抑止力」云々という部分が「韓国の冠たる革新系メディア・ハンギョレ」というブランドイメージを傷付けて都合が悪いという「政治的(商売的?)判断」ではないかと思う。そのくせ、SEALDs大絶賛の提灯記事や日本当局による総連弾圧肯定記事だけは(例え面倒な長文であっても)嬉々として訳した上に長時間サイトのトップに載せるという、まるでアジアプレスみたいな謀略報道(笑)を平気でやるのがハンギョレ日本版だ。以下にスクリーンショットを撮ってあるが、ハンギョレ日本はSEALDs提灯記事を丸2日間もトップに載せ続けた。その前や後はほぼ1日でトップ記事を差し替えていたのに比べると、ハンギョレ日本版のSEALDsびいきがどれだけ偏ってるか良く分かる。総連弾圧肯定記事の時も同じで、3.4日ぐらいトップに乗せ続けていた。


ハンギョレ日本版2015.09.28時点のトップページ


2015.09.29時点のトップページ SEALDS提灯記事をかなり長時間にわたってトップに載せ続けた

ハンギョレ日本は陰険毒辣ぶりで韓国本家をはるかに凌ぐならず者メディアにしてブラックジャーナリズムである。もちろん現在のハンギョレ韓国本家は「反北朝鮮・従北狩り」的論調が非常に強いが、総連弾圧肯定記事を長々とトップに載せていた事を見ても分かるように、日本版は「反北主義」においては本家よりもさらに強烈だ。ハンギョレ日本版を運営する日本人達の本当の氏素性は一体何なのか? どこのネオコン転向左翼なのか? 「反北主義」においては朝鮮日報とハンギョレ本家&日本分家の間に全く違いはない。

かつてハンギョレは福島原発事故後でさえ原発輸出と核燃料輸入を肯定するとんでもない社説を堂々と載せた(当然この社説は日本語版未訳。ハンギョレは断じて「反原発」ではなく、時と場合に応じて原発に反対したり賛成したりの二枚舌なだけである!)事があったが、それと並ぶこの社説の最低ぶりはやはり多くの人に読んでもらわねばならないと思い、全文翻訳した次第である。ハンギョレというメディアにもうこれ以上いささかの希望的幻想も抱いてはいけない! 朝鮮日報と同格な「その程度」の新聞として捉えるべきである。

それにしてもこれは「対北抑止力」云々という部分を除いても酷い内容ではないか。朝鮮日報の記事と比べても決して負けてはいない。「中国脅威論」に丸々乗っかってしまっている不見識さ、韓米同盟を肯定してそれに何の疑問も抱かない駄目さ加減、「今回の法案通過で憲法9条は憲法改正いかんに関係なく事実上死文化した」という度し難い対日認識の甘さ(9条はこれよりもずっと何10年も前にすでに死文化していた)、北つまり朝鮮共和国が自分らの領土だと主張するあさましさなど、これが「韓国民主主義」の成れの果てとは恐れ入る。
こういう不見識と歴史的無知の権化みたいな韓国マスコミ達であるから、日本の正しい情勢など何も知らず(知ってても)伝えず、日本安保法を一定とは言え「歓迎・肯定」してしまうような愚劣極まりない醜態をさらす。

SEALDsの提灯記事が韓国報道界であふれているという事実は日本でほとんど知られていないが、これは韓国マスコミが不見識であったり記者に日本崇拝者が多いというだけでなく、日本側でSEALDsとそれに関係の深い者達が宣伝上手で、頭の足りない韓国マスコミを利用する悪知恵を持っている部分もあると思う。韓国報道界の「日本の良心(ぽく見える)勢力」を無条件崇拝する対日事大主義的傾向が極めて強いという習性を見透かされており、それを運動の正当化に悪用しようという事だ。「かつて日本が被害を与えた韓国からこれだけ好意を以って迎えられているから、我々(SEALDsとそれに関係の深いママの会など)はまっとうな平和運動なんだ!」という、いつぞやの某劇場アニメ公開の際にも見られた「韓国のお墨付き作戦」という奴である。
その典型例と思われる記事が以下のオーマイニュースの記事であろう。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002146949
「どんな子供も殺してはいけない」街に出た日本のママ達
[特別寄稿]安保法制に反対するママの会@埼玉
2015.09.30
佐藤真由果

まあ、訳す価値もない記事で、中身は要するに自分達の運動自慢と「民主主義って何だ! これが民主主義だ!」のオンパレードである。挙げ句の果てには文末にママの会やSEALDsとその関連団体にアドレスまで列挙してあった。この記事は「特別寄稿」というのを見ても分かるように、韓国マスコミ側が取材したのではなく、日本のママの会側から寄せられた記事だという事になっている。これまでの多くの韓国SEALDs提灯記事というのは基本的に韓国マスコミ側(日本特派員だけでなく、それと関係の深いピースボートの韓国人スタッフ在日朝鮮人記者であったりする場合もあり。いずれもかなりタチの悪い連中)の記事であったのだが、ここに来て「純然たる」日本人による「売り込み」記事が登場する事になった訳だ。もちろん「純然たる」と言うのは御幣があろう。ママの会に自力で一から十まで朝鮮語の文章が書けるとは思えず、かといってこの記事には「翻訳」とか「訳者」が誰彼という表記がなかった。おそらく元は機械翻訳の文章で、それをオーマイニュースの編集者(の表記はあり)が読める水準にまで手を入れたのが真相ではないか。いわば「日韓合作記事」というのがより正しいのであろうが、例えそうであったとしても、韓国に対してここまで「日本の反安保法案運動」を美化して熱心に売り込もうとする姿勢に筆者は嫌悪感しか感じない。このママの会の記事に限らず、一連のSEALDs関連団体提灯記事、それに現在日本の反安保法運動の多くには重大な要素が欠落しているからだ。
(続く)

「日本の安保法案には肯定的な部分もあるんですッッッッ!」by 韓国の大部分のマスコミ

・日本国内閣総理大臣・安倍晋三曰く
「安保法案は北朝鮮の脅威を抑止する為に必要なんですッッッッ!」(2015年8月25日参議院特別委員会)

・保守派・進歩派問わぬ韓国のほとんど大部分のマスコミによる、日本安保法案成立に対する共通した反応。
「日本の安保法案は問題だが、北に対する抑止力として我々には歓迎すべき部分もある」

もう面倒なのでいちいち引用やリンクはしないが、韓国のほとんどのマスコミは社説やコラムで上記のような事を言っている。倭王がパラオを訪問した時と同様に筆者は今回またしてもとてつもなく嫌な予感(笑)がしたので、ざっと韓国マスコミウォッチングをしてみたら案の定だった。「안보법안 대북 억지력」(安保法案 対北抑止力)で検索すればその手の記事が腐るほど出て来るので、朝鮮語が読めて暇な人は自分で探してみていただきたい。いちいち引用するのも面倒になった理由が一目で分かるほど大量に出て来る。
あ~めんどくせえ! 引用するのもリンクを張るのも面倒でいやだ!

「北に対する抑止力になるから、安保法案にはいい所もある」とか、韓国のマスコミは右から左までほとんどが安倍とおんなじ事言っちゃってるよ。それこそ朝鮮日報からハンギョレまでことごとく。上記のように、安倍が安保法案を押し付ける最も大きな口実が「北朝鮮の脅威」だったではないか。それにまるまる乗っかってしまうとか、韓国のマスコミは問題の所在を根本的に分かっていないし、「安保法案=日本の軍拡化」に本心から反対するつもりがなかったと見られても仕方がないだろう。いや、むしろ本音では歓迎しているのではないか。これには日本で安保法案に反対していた者達も呆れるだろう。安保法(戦争法)などアジア民衆の立場から見て100%有害無益で、有益な所など何一つとしてないが、韓国のマスコミではそう思われていないのだから。日本の軍拡化を手助けするのはアメリカだけでなく、韓国も同様だと筆者は思う。安保法案を「100%有害無益 安倍の言ってる事は全部嘘」と主張出来ない時点で本当に終わってる。

さらに付け加えると、一連の安保法案反対運動については韓国でもしょっちゅう報道されてきたが、SEALDsと代表の奥田をやたら持ち上げる論調もかなり目立った。「日本ではこんなに多くの若者が社会正義に目覚めている」とばかりに(ハンギョレ日本版の過去記事を漁れば分かり易いだろう)。しかしながら奥田が「自衛隊は合憲」と主張している人間であり、SEALDsのシンパ達が他ならぬ韓国人研究者に対して民族差別丸出しの人権侵害行為を繰り返している事や、奥田がそれを全く止めようとしていない事実を韓国のマスコミは全く報じてこなかった。さらに国会前で安保法案反対運動をして不当逮捕された者達に対して、SEALDsは「中核派だ、極左だ、迷惑だ」と言って切り捨ての座視不管(좌시불관 見殺しの意)を決め込んでいる事など、韓国のマスコミ関係者達は何も知らないのではないか。いや、知ってても黙っているだろう。船橋洋一や和田春樹の場合でもそうだが、「日本の良心勢力(笑)」とやらを聖人のごとく崇め奉る韓国報道界のどうしようもない事大主義が例によって炸裂している。これでは日本の軍拡化や暴走に反対する力になりはしない。

もう一つ腹立たしかったのは、韓国は今後日本が引き起こす(であろう)戦争や軍事行動の「被害者」になるのではなく「共犯者」になるのだという視点が全く見られなかった事だ。朝鮮日報からハンギョレにいたるまで韓国のマスコミは左右保守進歩を問わず口を開けば「安保法案成立で日本が韓半島に再侵略する」と騒ぎ立てるが、そうではない。今後韓国と日本はアメリカと一緒になって、これまでよりももっと積極的に世界中で侵略戦争の片棒を担ぐのである。ちょっと前の南スーダンPKOの実弾提供の件を思い出してみるといい。こうした日韓軍事一体化は安保法案成立によって今後さらに加速するだろう。日本軍(自衛隊)と韓国軍が一緒になって中東やアフリカの国々に乗り込み、資源略奪や自国企業の権益確保に戦争するのだ。「人道的介入・保護する責任」の錦の御旗を掲げて。もちろん朝鮮民主主義人民共和国に対しても同様だ。早くも韓国の軍部は日本との共同作戦に大乗り気である。

http://world.kbs.co.kr/japanese/event/nkorea_nuclear/news_01_detail.htm?No=47642

韓国海軍参謀総長 「海上自衛隊の協力必要」
2015-09-23 Updated.

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/09/23/2015092300989.html
韓国海軍参謀総長「韓米合同演習、日本から要請があれば…」

「もしまた朝鮮戦争が再発して自衛隊がそれに介入しようとしたら、韓国軍は北と手を組んで日本を阻止する」などというのは昔話(せいぜい90年代か金大中・盧武鉉政権辺りまでの話)に過ぎず、現状は全く違うという事を筆者は前にも話した事があるが、当の韓国軍高官がそれを裏付けてくれた形だ。
韓国の日本安保法に対する反応は、朝鮮共和国や中国・ロシアのそれとは全く異なる。
安保法案にまつわるトピックを見ていて、自分らが「戦争に巻き込まれる(被害者になる)」のではなく「戦争で人を殺しに行く(加害者になる)」という懸念を全く持たないという点では、ほとんどの日本人と韓国人の間に違いはないと筆者は思った。韓国のマスコミがSEALDsを持ち上げるのも無理はない。

今回の件がもう一つ意味するのは、韓国という「民主主義国家」で反戦平和の運動や思想がいかに脆弱・貧弱・希薄かという事でもあろう。日本と韓国はベトナム戦争に加担して大きな利益を得たという共通の過去を持っているが、韓国でベトナム反戦運動がほとんど起こらなかったという点は大きな違いだ。その後90年代や21世紀になってからもとにかく韓国では反戦運動というのが貧弱だった。1992年に自衛隊のカンボジアPKO派兵があった時には「日本軍国主義の復活だ」と騒がれて一見大きな反対世論があったかのように見えたが、翌年に韓国もPKO派兵を始めるとその騒ぎは嘘のように消えてしまう。その後も韓国ではPKO派兵はほとんど社会的な問題にならず、自国軍のPKO派兵に対する反対世論のなさについて言えば、韓国は日本以上かもしれない。21世紀になってからのアメリカによるアフガン侵略やイラク侵略に対しても反戦運動は決して大きいとは言えなかったし、リビアの時にいたっては参与連帯(現ソウル市長である朴元淳の出身母体。ちなみに朴元淳は日本でも「かつて民主化運動を戦った市民派市長」のように好印象の幻想が付きまとっているが、その実態は辻元清美や湯浅誠と同じで、過去の活動歴を勲章代わりに自分の立身出世に悪用しているだけの俗物)や全教祖のような進歩派民主勢力までもが「独裁者カダフィが悪い」と言って、NATOを後押しするようなデモまでやっていたほどだ。これほどまでに「韓国民主主義」には反戦平和の意識が極めて希薄で国際情勢に疎く、とりわけ第三世界からの視点がないという重大な欠点というか欠陥を抱えている。軍事独裁時代の民衆弾圧の酷さや、今も続く分断体制下での特殊な社会構造を差し引いて考えても、韓国社会の反戦平和運動やそれに対する意識の低さは異常なほどであろう。これでは日本の安保法案に対して「北に対する抑止力になるので歓迎出来る所もある」などと言ってしまうのも無理はない。
早い話、韓国の「民主主義」はカダフィと朴正熙の区別もつかないようなレベルだという事だ。当然ながら韓国人の多くは金日成と朴正熙の区別もつかない者が非常に多い。「どっちも独裁者」程度の認識しかないのである。これが韓国の「民主主義」の程度であり、レベルの低さでは日本と本当にいい勝負だ。「韓国の民衆は長年の闘争で民主化を成し遂げ、今や日本よりも民主主義の度合いは高い」などとしたり顔で言う日本人は今でも多いが、それはとんでもない過大評価である。隣の芝生は青く見えると言うが、その手の人達は青いカラーコンタクトでも付けているのではないか。日本と韓国の「民主主義」はどっちも酷く、自分ちも隣んちも芝生は枯れてボロボロなのだという事に気付くべきだろう。

今や日本警察は「転び公妨」すらせず問答無用の強行逮捕で罪状は後からデッチ上げというのが、安保法案や辺野古基地の反対者に対する弾圧で当たり前になっている。

あ~めんどくせえ! 転んだふりをするのも面倒でいやだ!(だから問答無用でまずは逮捕し、理由は後からテキトーにデッチ上げ) だけど逮捕したデモ参加者をいたぶったり拷問するのは全然面倒じゃない! むしろ大好き!

このように日本警察はもはやすっかり戦前の特高に先祖がえりしているが、韓国の警察も負けてはいない。労働運動や市民運動に対する弾圧はますます酷くなっている。今韓国で民主労総が受けている警察の暴力鎮圧は、さながら日本の国会前の安保法制反対デモと同じような光景だ。
辺野古では先日反対運動のキャンプに右翼が押しかけてメチャクチャに暴れながら、警察は何もせず黙認したという事件があったが、韓国でも同様に警察に黙認されて暴力を振るう右翼や政治ヤクザがますます凶暴の度を増している。

「戦後70年間の日本の平和」と「民衆が勝ち取った韓国民主主義」のいずれの神話も嘘にまみれていたり不完全なものであり、実態が全く伴っていない。この二つの日韓大嘘神話は決して真の平和や民主主義に結び付く事はなく、むしろそれぞれの国の民衆を夜郎自大・自画自賛・傲岸不遜にさせ、国家主義と好戦気運を大きく育てる方向に作用してしまっている。さらにこの二つの神話はいずれも「(平和や民主主義を達成すると同時に)経済発展も成し遂げた」という補足説明が付きまとう事と、実際には平和や民主主義の破壊者でしかない者達が好んで言いふらすフレーズであるというのも特徴だ。安倍や菅義偉も「日本は戦後70年間平和だった」というフレーズが大好きであるし、朴槿恵も「韓国は素晴らしい民主主義国家」という事を頻繁に言う。これらはいずれも「おまえが言うな」の極みだ。「他のアジア民衆の血をすすって成し遂げた経済発展」という点では日本も韓国も全く違わない。
多分何年もしないうちに韓国でもSEALDsのような若者の報国運動団体が出現するのではないか。SEALDsが「戦後70年間の日本の平和を守る」を表看板にしつつ自衛隊合憲論や日本覇権主義丸出しの集団であるように、韓国でも「民衆が勝ち取った韓国民主主義」を表看板にしつつ反北や「韓国の国益」を丸出しにして大衆の支持を集めようとするかもしれない。そうなったらハンギョレや京郷新聞のような進歩派マスコミが強烈にプッシュしそうだ。日本で週刊金曜日やレイバーネットがそうであったように。

今回の安保法案成立を見て筆者は日本という国の現状に激しい怒りを感じたが、韓国に対しては怒りを通り越して呆れた感情しか抱かなかった。安保法が「歓迎出来る部分もある」などと言うのはもはや正気の沙汰ではないし、日帝の植民地被害国の言う事ではない。
日本の安保法はこの好戦的でインチキな「平和国家・民主主義国家」同士の軍事的結び付きをさらに強めるだろう。

新ガイドライン・日米安保・翁長ドクトリン その4(完)

・翁長知事が目指すのは「沖縄の吉田茂」

このように戦争に突き進もうとしている日本(とアメリカ)。その中で沖縄の位置は? 翁長県政の狙いというのはこの日米安保・新ガイドライン体制という「日米両大国の庇護」の下、沖縄に偽りの「平和主義・平和の島」の仮面を被せて利益をせしめるという事だ。前回述べたように、冷戦時代の日本がアメリカの庇護を受けて偽りの「戦後70年の平和主義・平和国家」体制で経済発展を享受してきたポジションに、今度は沖縄がなる番だという訳である。

【吉田ドクトリン】
アメリカの庇護の下、日本は軽武装・経済重視。ただしその「経済発展」の手段には、朝鮮戦争やベトナム戦争といった他国の戦争にも積極的に関わって利益を得る事も含まれる。同時に裏でこっそり少しずつ日本の軍拡化も進める。

【翁長ドクトリン(構想)】
二つの大国「日米」の庇護の下、沖縄は軽武装(那覇基地や普天間基地の撤去並びにそれの本土移転)・経済重視(撤去した基地跡地の再開発やUSJの誘致、自衛隊新基地建設などの土建景気)。ただしその「経済発展」の手段には、今後日米が世界各地で起こすであろう軍事行動に(朝鮮戦争・ベトナム戦争時の日本のように)積極的に協力して利益を得る事も含まれる。同時に裏でこっそり少しずつ自衛隊の基地を沖縄に増やして、米軍に代わる「沖縄の安全保障」も進める。

吉田ドクトリン体制の下で日本が享受してきた「戦後70年の平和」とやらと同じ事を、今度は沖縄が享受する番だというのが翁長県政の目標、すなわち吉田ドクトリンの現代沖縄版「翁長ドクトリン(構想)」であろうと筆者はにらんでいる。翁長雄志という政治家の「日米安保LOVE」ぶりがよく現れているのが以下の記事だろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150601-00000011-mai-pol
<翁長知事>ワシントンで会見「計画断念求める」改めて主張
毎日新聞 6月1日(月)10時15分配信

 【ワシントン西田進一郎】訪米している沖縄県の翁長雄志知事は5月31日、首都ワシントンの同県事務所で記者会見した。「日米両国は『品格のある日米安全保障体制』でアジアや世界の安定と平和に力を合わせてほしい。そのために沖縄の基地問題を解決しなくてはならない」と語り、改めて米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画断念を米政府関係者らに求める考えを示した。

【翁長知事「自民出身だから安保の大切さはよく分かるが…」】

 翁長氏は、沖縄の基地負担について「過重で県民の自由、人権、民主主義を保障できない」と指摘。「日米安保体制は民主主義という共通の価値観を持つ国々との連帯で中国に対抗しようとしている。自国民にそれらを保障したうえで連帯の輪を作ることが品格のある日米安保体制だ」と主張した。

 普天間飛行場の固定化を避けるための代替案については「日本政府が第一義的に考えるべきだ」と語った。

 翁長氏は6月1日から3日まで、ワシントンで米政府関係者や上下両院議員、シンクタンク関係者らと意見交換する。3日には国務省のヤング日本部長、国防総省のアバクロンビー副次官補代行と面会し、その後に記者会見を開く予定だ。


これまた実に恐ろしい言葉のオンパレードで、「日米両国は『品格のある日米安全保障体制』でアジアや世界の安定と平和に力を合わせて」「そのために沖縄の基地問題を解決」「安保の大切さはよく分かる」「日米安保体制は民主主義という共通の価値観を持つ国々との連帯で中国に対抗しようとしている。自国民にそれらを保障したうえで連帯の輪を作ることが品格のある日米安保体制だ」といった発言はまさに日米安保はおろか、新ガイドライン体制そのものだ。日本がアメリカという強大なケツ持ちをバックにして、これから中国や朝鮮、中東、アフリカなどでバンバン軍事行動を起こす事を全面肯定した上で、「沖縄の基地負担軽減」「普天間基地県内移設断念(基地用地返還)」を求めているのだから。「平和国家」の仮面を被りながら実際にはアメリカの戦争に積極協力して経済的恩恵を享受した戦後日本と完全にダブる姿であり、沖縄を日米の戦争体制の部品の一つに組み込ませる事で経済的恩恵を得る「小日本」にしたいという狙いが透けて見えよう。
翁長県政の下で、今やこれだけ騒がれている辺野古の基地建設はひょっとしたら止められるかもしれない。だがより大きな問題はその後にやってくるのではないか。と言うのも、米軍の代わりに今度は日本軍(自衛隊)がやって来たというオチに終わる可能性がかなり高いからだ。翁長や下地幹郎らに代表される「沖縄の保守派にして指導層」(日帝植民地下の朝鮮における親日派に該当)は二言目には「基地負担の軽減」を口にするが、それと同時に推進されているのが沖縄の自衛隊配備ではないか。しかも与那国宮古島、石垣島(教科書問題も…)のような尖閣に近い過疎の地域から当然のごとく狙いすまして入り込もうとしているお決まりのパターンだ。つまり、さすがにもう沖縄で米軍基地をこれ以上目立った場所(那覇や普天間など)で増やすのは難しいから、今後は尖閣に近い過疎の島に自衛隊基地を建ててその代役にしていくという事だろう。しかも翁長知事は明らかにこれを黙認しているではないか。これなら一見「基地負担の軽減」をしたようにも見えるから、公約を守ったようにごまかしが利く。しかしながら、これでは仮に辺野古の基地建設がストップ出来ても、沖縄が「平和の島」になる事はない。
「米軍基地の島・沖縄」
「米軍が世界各国の紛争地帯へ出撃する基地としての沖縄」

「中国との戦争に備えた自衛隊の前哨基地島・沖縄」
「自衛隊が世界各国の紛争地帯へ出撃する基地としての沖縄」
へと衣替えするだけにしかならないだろう。その後の沖縄が経済発展を享受するということは、すなわちそうした日米の戦争体制へより積極的に加担・協力する事で成し遂げられる事である。戦後日本の朝鮮特需・ベトナム特需のように。宮古島などの自衛隊基地建設には翁長雄志や下地幹郎や高橋哲哉らのバックになっている土建屋達がさぞかし儲ける事だろう。那覇基地や普天間基地の跡地再開発も連中には大きな目玉だ。USJ誘致というのはこうした再開発利権と決して切り離せない。他にももっと大規模な軍需事業体を沖縄に誘致するという事が起こっても不思議ではないだろう。偽りの「平和の島」の仮面を被って裏では戦争特需で経済発展という、戦後日本の行動パターンをそのまま沖縄に当てはめる「翁長ドクトリン」は、連中(沖縄の保守指導層)なりに日米新ガイドライン体制に順応しようとした選択ではあるだろう。だがそれをあたかも「9条護憲」や「沖縄からあらゆる基地の撤去」であるかのように誤解する事ほど危険な事はない。

今の安倍政権が戦後70年間積み上げてきた再軍備や軍事大国化や解釈改憲の総仕上げだとするならば、翁長県政とは1872年の琉球処分以来(正確にはそれ以前から酷い侵略と収奪を受けて来たが)行われてきた沖縄の植民地統治(日本帝国への編入)・民族抹殺政策・皇民化の総仕上げではないかとすら思える。皮肉な事に「オール沖縄」で基地反対の為に選んだはずの知事が、だ。
沖縄人が「祖国は日本。アジアや世界の安定と平和の為に、品格ある日米の安全保障は大事」などと言うのは、日帝時代朝鮮の親日派が「祖国は大日本帝国。大東亜と世界平和の為に、朝鮮の若者は聖戦に出征せよ」と叫んだのと全く同じで、悲劇を通り越した喜劇でしかない。被侵略国の人間が侵略国の戦争に積極加担して、それを「世界平和」などという。翁長のような「沖縄の指導層」のこうした振る舞いは、沖縄の皇民化と民族精神・文化の破壊がいかに深刻かをよく物語っている。今のままでは沖縄の行き着く先はアメリカにおけるハワイでしかないだろう。

この「翁長ドクトリン」が「米軍基地本土引取り運動」と結果的には軌を一にするものだという事もお分かりいただけるだろう。飽くまでも沖縄が「ふたつの大国【日米】 by 山内徳信」に隷属する事が大前提である「翁長ドクトリン」において、米軍基地の完全な廃止など論外であるからだ。だからこそ普天間基地などを「本土移転」させて、日米の軍事体制に支障をきたさないようにしつつ、それを以って形ばかりの「基地負担軽減」を取り繕うに過ぎない。それを「沖縄に対する植民地支配への清算」などと誤認するのは間抜けにも程がある。仮にそのような本土移転が実現したとしても、ベトナム戦争の時と同じでその米軍基地から世界中に米軍の飛行機や船が出撃する事に違いはなく、その銃口は依然として朝鮮民主主義人民共和国にも向けられているのだ。一部の在日までもが「本土引き取り運動」に賛同してたわけた事を言っているのは、末期症状としか言いようがない。それも民団やデイリーNKのような在日の不良分子や反北朝鮮勢力ならまだしも、普段から朝鮮共和国への制裁や軍事的圧迫に反対しているはずの者がだ。だからこそ少しは頭を冷やせ、引き返すなら今のうちだ、というのである。


・真犯人をすり替える歴史修正主義

「本土引き取り運動」が明らかにおかしいもう一つの理由は、責める(攻める)べき相手を完全に間違えているという点にあろう。こうした軍事基地や迷惑施設・公害などの問題で「責任者が迷惑施設や有害物質など引き取って同じ目に遭ってみろ」と追求するのはよくある闘争手段だ。例えば水俣病の時には患者達がチッソの幹部を問い詰めて「だったらおまえが工場廃水を飲んでみろ」と突きつけた事があり、実際にその幹部はその排水を飲めなかった。犯人の責任とそれを負おうとしない醜態を満天下に晒してみせる、最もストレートな運動だと言える。だが「本土引取り運動」は? 連中は漠然と「本土で引き取りましょう。大阪がいいでしょう」と言っているだけで、沖縄に米軍基地を押し付けた真犯人を全く責め(攻め)ようとしない。いや、それどころか連中は「沖縄に米軍基地を押し付けたのは、本土の反戦平和運動(by 屋良朝博&高橋哲哉)」などというとんでもない歴史修正主義的詭弁を弄しているではないか。沖縄に米軍基地を押し付けた真犯人は言うまでもなくアメリカ政府そのものであり、明らかに戦後の日本政府であり、自分の保身の為にアメリカへ「沖縄をずっと占領していてくれ」と惨めかつ卑屈な姿勢で差し出した昭和天皇・裕仁であるのは明白だ。これら真犯人の事を完全に無視して「本土の反戦運動が悪い」などというのは、もはや新しい歴史教科書をつくる会並みの歴史修正主義である。沖縄から米軍基地(自衛隊基地もね)は永遠に撤去・廃絶されるべきであり、「ヤンキー(ジャップ)ゴーホーム」以外に道はない。「引き取り」を口にするなら「米本土」だろう。実際の沖縄の世論調査でも「無条件閉鎖・撤去」の方が「沖縄県以外の国内に移設(日本本土移転)」よりも多かったではないか。高橋哲哉はこの事実をも無視してあたかも「(日本)本土引取り」が「沖縄の声」とまで言っており、またしてもとんでもない大嘘を言っている。歴史修正どころか現在修正主義ではないか。この者の邪悪さは限度を超している。

もし仮に「米軍基地を「本土」で引き取れ」というならば、皇居や皇室御料地といった天皇家の土地に引き取らせるのがスジではないか。明仁に「親父の責任を取れ」と! あるいは皇室と姻戚関係があって現に日米戦争体制を進めている日本のエスタブリッシュメント達に突きつけるのも手だ。安倍晋三や麻生太郎らに「おまえらが持ってる土地に米軍基地を引き取れ」というのも十分にありである。とりわけ麻生家は東京に大邸宅を構え、それのツアーという示威行動をした運動家が酷い弾圧を受けている事を考えれば、それへの連帯と協力という観点からも理に適っている。もちろん安倍も軽井沢はじめとする各地に別荘をいくつも持っており、これまで内外の賓客をそこへ招いて歓待してきたのだから、安倍家が米軍基地の一つや二つ引き取れるだけの不動産を十分に持っていても不思議はない。
米軍基地を仮に「本土」で引き取れと言うならば
「天皇や安倍や麻生が責任取って引き取れ! おまえらの土地で米軍基地を受け入れろ!」
と声を上げるべきであろう。チッソの幹部が工場廃水を飲めただろうか。電力会社の社長が自宅の隣に原発を建てるだろうか。東京電力が自分の本社敷地に汚染瓦礫を引き取ろうとしただろうか。明仁が今まで一言でも「皇室の土地に米軍基地を引き取る」と表明した事があっただろうか(明仁が自分の保身しか頭にない偽善者というのは、この事だけでよく分かるだろう)。そんな事は今まで一度もなく、これこそ強者が弱者を踏みにじって犠牲にする社会構造そのものではないか。だからこそそこを突き、連中の汚れた本性と邪悪さを徹底して暴かねばならない。戦いはまずそれからだろう。
しかしながら「本土引取り運動」の中には狂信者も何人かおり、疑問を呈した者に「俺らの運動に反対するのは植民地主義が分かってない。本土引取りだけが沖縄差別と植民地支配を清算する方法だ」とばかりに何の論理的説明もせず頭ごなしにどやしつける者がいる。そういう罵声は天皇や安倍や麻生に言え。なぜ天皇らにそういうセリフを言わず、本来味方であるはずの運動家や同胞達に罵声を浴びせるのか。そんなに天皇や安倍が恐いのか。それとも米軍基地問題の直接の犯人でない一般人の住む大阪のどこかに基地を引き取らせるのはまだ「実現性」があるが、天皇や安倍や麻生といった基地問題の真犯人・責任者にして権力者の私有地に引き取りを要求するのは「実現性」がないからだとでもいうのか。それこそ「本土引取り運動」の側が金科玉条として追求してきたはずの「犠牲のシステム」とやらそのものではないのか。

「米軍基地本土引き取り運動」とはすなわち
・それまでの主張と原則(米軍基地の完全撤去と日米安保廃棄)を曲げて、妥協した運動である。
・「日米安保8割」という世論がある事と、それに迎合しておもねる事を前提とした運動である。
・沖縄米軍基地問題における最大の真犯人(米軍及び天皇に代表される日本の支配層)を追及しない。
・平気でとんでもない嘘をつく(沖縄に米軍基地を押し付けたのは「本土」の反戦平和運動、本土引き取りこそが「沖縄の声」であるなど)。
・日米安保体制下で沖縄の「軽武装・経済重視」という「翁長ドクトリン(構想)」に合致した路線である。

といった事柄が際立った特徴として挙げられる。
「本土引き取り運動」というのは一見「沖縄差別の解消」を唱えて弱者である沖縄を助けるかのように振舞っているが、実際には犠牲を別の弱者にたらい回しして、真犯人(米軍とそれの同盟者である天皇はじめとする日本のエスタブリッシュメント)を全く追求しようとしない、日本の社会運動の中でも恐ろしいほど誤った方向へと邁進している運動の一つである。誤った運動? いや、3.11以降の日本ではこんなものは別段珍しくもない。むしろ今の日本では間違ってない社会運動を探す方が難しいだろう。

反原連のように右翼や日の丸を認めて労働運動の旗を排除し、瓦礫の拡散に手を貸すような「脱原発運動」。
在特会と寸分違わぬ差別暴言を撒き散らすゴロツキどもが、あたかも自分達を正義の味方のように装う「反差別運動」CRAC。
都知事選で細川護熙&小泉純一郎組を「脱原発の最後の戦い」のごとく言い立てて応援した広瀬隆や鎌田慧らの集団。
「自民党に頭を下げて自分達オタクの表現の自由を守ってもらいましょう」と主張する、赤松健らの「表現規制反対運動」。
「警察のみなさんに感謝しましょう」と言い、「日本がアジアの主導権を握る」事を目指すという覇権主義丸出しな「若者の反安保法案運動」SEALDs。

3.11以降の日本の社会運動は一事が万事で、これらのように底なしの腐敗堕落ぶりを露呈してきた。「米軍基地本土引き取り運動」もまたそれらと同じ道を歩む誤った運動に過ぎない。上記のような運動に反発してきたはずの一部の人々までもが「本土引き取り運動」に賛同してしまうのは、まさに悲劇を通り越した喜劇そのものである。誤った運動に加担してしまうという危険性は誰にでもあるという事、それを絶えず意識する事を決して忘れてはならない。

言い出したのは古賀茂明だったか、反安保法案デモに際して「30万分の1になれ。頭数になれ」というスローガンが一部で言われた。これほど人間の個を抹殺する機械的で冷酷な言葉はないと思うが、同時にこれは誤った運動へと大衆を扇動する為の「名文句」でもあると思う(逆に言えばまっとうな運動を目指す者が絶対に言ってはならない言葉である)。日本野鳥の会でも反原連でもそうだが、インチキ社会運動の人的構成とは、頭の足りない99%のアホと狡賢い1%の確信犯的詐欺師によって成り立っている。主導権を握るのはもちろん後者だ。3.11後の日本の社会運動はどれもこうした色彩が恐ろしいほど濃い(ついでに言うと、上記の集団達と対立している(という事になっている)在特会もそうである)。一言で言えば烏合の衆の全体主義カルトだ。これこそ日本という国の縮図そのものである。
「頭を使うな、おまえはただの「頭数」だ。反論は一切許さない。おまえがそういう事を言うのは、俺達の運動を理解していないからだ」
野間易通や古賀茂明が自分とこのデモ参加者に見せる強権的なカルト教祖じみた姿と、「本土引き取り運動」の狂信的賛同者達の振る舞いにいかほどの違いがあるだろうか?

(完)

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