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また姜尚中かよ

韓国日報に載ったインタビューなのだが…。ここで姜尚中がまたしてもロクでもない事を言っている。以下に翻訳抜粋する。

http://media.daum.net/foreign/others/newsview?newsid=20150610202125232
http://www.hankookilbo.com/v/99a87f744d7243029dcdef22b545584d
韓国日報「南北が緊張緩和すれば米中日関係で韓国が主導権を握るだろう」韓国語記事
2015年6月10日付記事

姜教授は韓日関係最大の懸案である慰安婦問題と関連し「最近韓国の挺身隊問題対策協議会が日本政府の法的責任を問わない代わりに日本政府がこれを認定し、日本政府機関が救済の役割をする方向で妥協点を探している」と伝えた。彼は「韓国が東北アジアで対朝関係で突破口を探さねばならない」とし「セヌリ党と新政治民主連合(旧民主党:訳者注)が大連立を組んで、国家的対朝外交戦略が言ったり来たりするのを防がねばならない」という破格な主張も繰り広げた。

「挺対協が方針転換して、日本政府の法的責任追求を求めなくなった」という挺対協自ら否定した例の「誤報」をあたかも事実のように言って、それを積極的に広めようとしている。
姜尚中という男、もはや学者ではない。ただのデマゴーグである。
(このインタビューにはもっと酷い発言もたくさんあるのだが、とりあえず今回は上記の発言についてのみ論じたい)

が、しかし…。
筆者は少し前にさる人物から指摘されて確かにそうだと気付かされたのだが、この「誤報」の件は色々と釈然としない部分が多く、挺対協自身はもちろん日本政府の法的責任を追求していくつもりに変わりはないのだろうが、何分にも他の連中(和田春樹や梁澄子や金富子など)があまりに妥協的で、そういう連中が内部から切り崩しを図るのではないかという危惧を筆者は大いに感じる。姜尚中の言いふらした今回のデマ発言も、そうした和田春樹一派の腹の内と軸を一にしているのではなかろうか。つまり日本との「朴裕河的和解」を推し進める事が日韓の進歩派・保守派問わず共通目標になっており、それに向かって邁進する事が暗黙のうちに形成されて共通行動が進行しているのではないかという事だ。和田春樹は結構前からそうだったが、梁澄子や金富子の最近やたら日和った妥協的な姿勢、さらに昨今の松竹伸幸(笑)や姜尚中の言動も決して個々の独立した動きではあるまい。
日韓関係は実に危機的な状況にある。それは巷間言われている根拠不明な安っぽい「嫌韓による日韓関係悪化」などの次元ではなく、日本と韓国がこうした歴史問題を踏みにじった形で「和解」する事によって、韓米日軍事同盟体制がよりいっそう強化されるという意味での話だ。この間にアメリカが韓国に一貫して要求してきた事は「歴史問題を棚上げして、日本との軍事・安保協力を優先しろ」つまり「おまえら仲良くして、俺様(アメリカ)への御奉公・御忠勤に励め」という事だった。そしてその最大の障害物となってきたのが、日帝植民地支配とその犯罪行為を糾弾する韓国民衆の抵抗、すなわち日本やアメリカの帝国主義者が言う所の「韓国の民族主義」「韓国の反日」に他ならない。朴裕河や和田春樹の言う「日韓和解」とはそれを瓦解させる為の宣撫工作に過ぎず、それに日韓の左派右派・進歩派保守派を問わず多くの知識人・言論人・報道人が迎合してしまっている。姜尚中はまさにその急先鋒だ。

政治の世界では我々の想像以上に裏では事態が進んでいるではないか。以下の朴槿恵の談話が象徴的だが、「戦後70年」「日韓修交50年」に合わせて日本と韓国はしっかり口裏を合わせていたのだ。
親父と爺さんの頃の縁から考えればこんなの当たり前でしょ。仲良しッッッッ!

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150612-00000192-jij-kr

慰安婦問題「交渉は最終段階」=韓国大統領、米紙とインタビュー
時事通信 6月12日(金)21時29分配信

 【ソウル時事】韓国の朴槿恵大統領は11日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)掲載のインタビューで、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる日本との交渉について「相当の進展があり、われわれは最終段階にいる」と述べた。その上で、交渉進展によって「非常に意義深い(日韓)国交正常化50周年を期待できると思う」と語った。
 ただ、具体的な交渉状況については「水面下の協議だ」として言及を避けた。あえて踏み込んだ発言をすることで、日本側の努力を促そうとしている可能性もある。
 朴大統領は「世界の歴史学者と同様、日本の歴史学者も日本の指導者に対し、過去にしたことをはっきりと認めるよう求めている」と強調。「過去の出来事を否定したり、ごまかしたりすることで、(問題解決に向けた)進展が妨げられてきた」と述べた。
 また、「元慰安婦がこれ以上亡くなる前に、彼女らの傷を癒やし、名誉を回復する義務が日本にはある」と訴えた。 

筆者がこれまで指摘してきた「日韓対立など嘘」という事がこれで証明されただろう。同時に例の声明の持っている役割もまた…。

筆者は最近、かつて韓国の大統領候補として李承晩を震え上がらせた曺奉岩(チョ・ボンアム 조봉암 1898-1959)の事跡を改めて読み直している。と言うのも、先の統合進歩党弾圧事件と大昔の曺奉岩の進歩党弾圧事件があまりに似ているばかりだけでなく、前者を内部から崩壊させた裏切者らがまたしても次の総選挙に向けて怪しげな動きを見せているからだ。昔の進歩党を弾圧して曺奉岩を司法殺人に追い込んだ直接の相手はもちろん李承晩政権だったが、これには進歩党内部から出た裏切者の果たした役割も非常に大きい。徐相日や張建相といった同僚政治家達は「党の革新と大衆化」というスローガンを掲げて曺奉岩を攻撃し、一線から退けと要求して内紛を起こした。それをきっかけにマスコミも曺奉岩のバッシングに走り、「アカ」「容共主義」という攻撃が乱舞するようになる。その後曺奉岩は李承晩政権によってスパイ罪をでっち上げられて死刑になるが、同時に起訴された同僚政治家達、つまり曺奉岩に一線から退く事を要求して内紛を起こし、進歩党事件を起こすきっかけを作った党幹部の多くは無罪判決を受けている。
最近の統合進歩党(韓国で唯一、韓米同盟の解体と駐韓米軍撤収と国家保安法撤廃を綱領に掲げる院内政党)の場合も直接の弾圧者は李明博&朴槿恵政権だったが、これに至る経過にはやはり内部の裏切者が大きな役割を果たした。後に党を割って正義党を結成する沈相奵(この女は以前にも韓国に村山富一をわざわざ読んで「日韓和解」に躍起になった)や魯会燦、自分の借金を統合進歩党に押し付けてまんまと逃亡した柳時敏などが、李正姫や李石基ら党の指導部を「アカ」「北の手先」と攻撃しまくって当局の弾圧を呼び込み、自分達だけは脱党してちゃっかり生き残ったのである。そして統合進歩党を食い潰して脱党した正義党の面々は、またしても「次の選挙に備えて進歩勢力の結集を。ただし旧統合進歩党系の連中は徹底排除。従北打倒!」などという政治詐欺劇を主導し始めた。

これらと同じような事が従軍慰安婦問題の運動でも起こっているのではないかという危惧を、筆者は大いに抱く。つまり挺対協の周囲にいる和田や金富子のような連中がトロイの木馬か獅子身中の虫になって、無理矢理「日韓和解」「日本の法的責任を問わない」という方向へ持って行こうとしているのではないか。徐相日や張建相が内部から曺奉岩を死刑へと追いやり、沈相奵や魯会燦が内部から統合進歩党を破壊する役割を担ったのと同じだ。それを外部から松竹伸幸や姜尚中のような輩が「援護射撃」して「挺対協は日本政府の法的責任追求を諦めた」というデマ話を既成事実化させ、結局は運動そのものをも瓦解させようとしている、そんな構図だ。

とにかく「戦後70年」「日韓修交50年」という節目を前にして非常にヤバイ展開に持っていこうとする輩が日本でも韓国でも跋扈しているので要注意である。

さらに言えば、姜尚中が今回のインタビューで言っている「セヌリ党と新政治民主連合は大連立しろ」という提案もそう。これは日本で言えば、自民公明だけでなく民主・維新も一緒に大連立しろという話に相当するのだから。現代韓国版大政翼賛会を作れと言っている訳で、しかもその主目的が対北政策というのだから、この男がどれだけ邪悪な目的でこれを言っているかは歴然としていよう。現在韓国の統一政策というのは、与党セヌリ党の対北強攻策・対決主義・南主導の吸収統一推進は言うに及ばず、対する第一野党の新政治民主連合(とその統一政策ブレーンである金大中・盧武鉉時代の太陽政策派人脈)も今は対決主義や吸収統一論一色に染まっており、これらが大連立して大政翼賛会化すればどのようになるかは誰の目にも明らかだろう。南北関係のさらなる悪化と、それに伴う韓米日軍事同盟体制のさらなる強化だ。
姜尚中が今回言ってる事、「挺対協は法的責任追求を放棄(というデマ拡散)」「韓国与野党は対北政策の為に大連立(大政翼賛会化)せよ」はいずれも究極的には韓米日軍事同盟体制の強化を目指したものだという事が分かる。南北の緊張緩和や平和どころかさらなる軍事的緊張を高め、米中日関係で韓国が主導権を握るどころかさらなる米日への従属を深める事にしかならないだろう。

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「日本の歴史家を支持する声明」について その2

・戦後日本の肯定と美化という歴史歪曲

従軍慰安婦問題はじめとする大日本帝国の犯罪行為について、必ず付きまとうのが当の日本による「歴史歪曲」の問題だ。「従軍慰安婦はただの売春婦であり、決して強制ではなかった」「強制連行はなかった」「関東大震災の時に朝鮮人による暴動は本当にあった。だから虐殺はやむを得なかった」「日韓併合は合法」「日本は植民地時代の朝鮮にいい事をしてやった」「南京大虐殺はなかった」「軍艦島は日本の輝かしい産業革命遺産」「日本はアジアをヨーロッパの植民地から解放する為に戦争した」などなど。こうした日本人自身による荒唐無稽な歴史歪曲と捏造話を誰しも一度は聞いた事があるだろう。そして今の日本ではこうした歪曲史観こそが、冗談ではなく本当に社会の主流となっている。テレビを見ればそうした番組が毎日のように放送されているし、本屋に行けばその手の本がどこでも山と積まれて非常に良く売れているという。帝国主義国家の中で日本ほど歴史修正主義の天国はない。

「日本の歴史家を支持する声明」に戻ってみると、この声明では「日本の多くの勇気ある歴史家が、アジアでの第2次世界大戦に対する正確で公正な歴史を求めていることに対し、心からの賛意を表明するものであります」としており、そうした歴史修正主義者達とは一線を画した「勇気ある歴史家」へのエールとなっている。なるほど。その「勇気ある歴史家」とやらが日本にどれだけいて、どんな人間達なのかは具体的に挙げられていないので分からないが、とにかくそうした歴史家を支持するのだと。日本帝国主義の被害者当人達ではなく、歴史家の側を支持するという回りくどい主客転倒な論理については前回指摘した通り大きな問題なのだが、それでも日本の歴史修正主義に対抗するという意味はあるように見えるだろう。
そう、この声明は日本の歴史修正主義に対抗するものなのだ、と。
では、この声明に込められた歴史観、具体的にはこの声明を作成した人間達の歴史観と言うべきだが、それは一体どのようなものであろうか?

「この声明は戦後70年という重要な記念の年にあたり、日本とその隣国のあいだに70年間守られてきた平和を祝うためのものでもあります。戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と、政治的な寛容さは、日本が科学に貢献し他国に寛大な援助を行ってきたことと合わせ、全てが世界の祝福に値するものです。」
「今日の日本は、最も弱い立場の人を含め、あらゆる個人の命と権利を価値あるものとして認めています。」

この声明では上記のように述べている。戦後の日本は平和で、素晴らしい民主主義国家だった! 自衛隊もきっちり文民統制されており、警察も節度を持って治安を守ってきた! 日本は外国に多大な援助をしてきたし、社会的弱者の命と権利も認めてきたのだ!

…これは冗談や皮肉ではなく、この声明が真顔で主張する「戦後の日本国家像」である。これが戦後の日本だって? 何をどう見たら日本の戦後70年がこのように見えるというのか?

1945年の日本敗戦から2年後の1947年に「不戦・非武装」を謳う今の日本国憲法が出来たものの、1950年の朝鮮戦争勃発後には早くも自衛隊の前身である警察予備隊が創設され、わずか3年で憲法9条は反故にされている。1950年からの違憲状態が日本ではもう65年も続いているのだ。さらに日本は朝鮮戦争に海上保安庁(旧日本海軍をルーツに持つ、準海軍組織)の特別掃海部隊を派遣しているばかりか、いわゆる「朝鮮特需」と呼ばれる軍需景気によって莫大な経済的恩恵を受けた。戦後日本の経済発展が「朝鮮特需」と、その後再びベトナム戦争で同じような事を繰り返した「ベトナム特需」なしにあり得なかった事は誰もが知る所である。
戦後間もない時期だけではない。1991年中東湾岸戦争後の自衛隊掃海部隊のペルシャ湾派遣に始まり、その後は自衛隊のPKO海外派兵が常態化するようになる。しかもこれら自衛隊派兵(PKOであるかないか問わず)は決して「平和・人道」の為に行われたものなどではなかった事に留意せねばならない。2003年のイラク戦争の際にも米軍支援の自衛隊派兵が論議されたが、当時の小泉内閣の閣僚達は皆一様に派兵の理由を「石油の安定確保の為」と答弁していた。石油の為の海外派兵だ! 石油が欲しいから軍事行動するんだ! アメリカの石油資本をバックにしたブッシュ政権でさえ絶対に口にしなかった(と言うより、だからこそそんな事は言えなかった)欲望丸出しの本音を、ここまで平然と言ってのける日本! まさに、全てが世界の祝福に値するものであります! 

さらに今や日本の自衛隊は他国に海外駐屯基地まで構えているではないか。アフリカのジプチには自衛隊の基地が作られ、基地の保護の為に自衛隊が「必要な措置」がとれる、あるいは刑事裁判権を日本が「すべての要員について行使する」ことを明記するなど、事実上の「治外法権」とも言うべき地位協定をジプチ政府と結んでいる。まさに米軍が日本や韓国に対して結んでいるのと同じ「不平等条約」を、日本は自分よりもさらに弱い立場の国に対して押し付けているのだ。果たして今後、米軍が沖縄や韓国で仕出かしている蛮行(婦女暴行、地元民への暴力行為、頻発するひき逃げ、危険物質の不法投棄、核兵器・生物化学兵器などの無断持込と秘密実験など)を、日本軍(自衛隊)がジプチで絶対に行わないなどと保障出来る者がいるだろうか? 韓国では今、駐韓米軍によって炭疽菌やボツリヌス毒が秘密裏に持ち込まれて基地で実験が行われていたという恐るべき事実が暴露されたが、細菌兵器の実験と言えばかつて日本の731部隊も世界的に悪名を轟かせた。そしてその研究データと引き換えに731部隊関係者を戦犯から免罪してやったのがアメリカであり、そのデータに基づいて朝鮮戦争で実戦にまで使用したのもアメリカであった。そのアメリカは南朝鮮にある基地で21世紀にまたしても細菌兵器の秘密実験を行っていたという。
731部隊の蛮行だけでなく、旧日本軍が中国各地で秘密裏に遺棄した化学兵器が戦後に多くの犠牲者を出した事も忘れてはならない。駐韓・駐日米軍が後にさんざんやらかす危険物の不法投棄を、日本軍はこの頃から先取りしていたのだ。
このように本国で出来ない危険な実験や不法投棄も、治外法権な外国駐留基地ならやり放題である。後は野となれ山となれ。果たしてジプチの日本軍基地は…。
元祖人体実験731部隊の日本軍! その731部隊の「研究成果」が、あるいは遺棄した毒ガス兵器が事もあろうに戦後においても旧植民地国や被侵略国の民衆を殺し続けた平和国家日本! まさに、全てが世界の祝福に値するものであります! 

これが「戦後70年間守られてきた日本の平和」とやらの実態である。朝鮮戦争でもベトナム戦争でもイラク戦争でも他国の侵略戦争に積極的支持を表明するか甚だしくは軍事組織をも派遣し、軍需景気や石油確保といった経済権益確保に血眼になってきた。さらに侵略戦争の落とし子とも言うべき人体実験のデータや遺棄した化学兵器が、戦後も被侵略国の民衆を殺し続けてきた。それが戦後日本の真の姿である。これを平和国家と呼ぶのは勝手だ。だがそのような歴史観に基づいた声明を平然と発表して恥じる事のない者達を「歴史修正主義者」と断ずるのもこちらの勝手である。

自衛隊の文民統制だって? 1963年の三矢作戦研究を知った上でそういう事を言っているのか? 自衛隊の軍人達が秘密裏に行ったこの研究はシビリアンコントロールとは最もかけ離れたものであり、極めて攻撃的な軍事作戦内容から、専守防衛とも180度考え方を異にする。三矢作戦ばかりでなく、その後も自衛隊からはシビリアンコントロールを屁とも思わない軍人が度々登場しているではないか。イラクで勝手に「駆け付け警護」をして戦闘行為に自ら飛び込む事を目論んでいた佐藤正久(イラク派兵時に第1次イラク復興業務支援隊長)や、日本の核武装を主張している田母神俊雄(当時航空総隊司令官)などは特に有名な例である。佐藤は今や政権与党自民党の国会議員であり、田母神は売れっ子の軍事評論家として自衛官時代よりも羽振りが良いぐらいだ。自国軍人がシビリアンコントロールに平然と背き、それどころかその後もさらに乗勝長躯(승승장구 朝鮮語で「出世街道」の意)・好衣好食(호의호식 朝鮮語で「贅沢三昧」の意)していい目を見られる国・日本! まさに、全てが世界の祝福に値するものであります! 

警察権の節度ある運用だって? 日本警察の代用監獄や転び公防を知った上でそういう事を言っているのか? 日本の代用監獄が国際的な人権組織から撤廃勧告を受けたのは1度や2度ではない。警察の密室留置所で威圧的・暴力的な取調べが行われ、してもいない犯罪の自白を強要される。冤罪の温床となってきたこの制度が21世紀になっても存続し続け、国際的な批難にも関わらず日本という国はこれを改善するつもりが全くない。「民主主義国家」に生まれ変わったはずの戦後日本においてさえも! 
さらに日本警察が左翼や市民運動を弾圧する為の常套手段に「転び公防」がある。逮捕・拘束したい相手の前で警察官が自分から勝手に転んでおいて、「暴力を振るわれて転ばされた。公務執行妨害だ」と言って逮捕する。知らない外国人が見れば笑い話か冗談と思うかもしれないが、これは本当に日本警察が最も頻繁に使う常套手段だ。転び公防に似た例として、立件すら出来ないような言い掛かりによる逮捕も多い。例えば日本では5月28日に、経済産業省前で反原発の抗議活動をしていた市民3人が建造物進入容疑で逮捕された上に、12日間も拘留して家宅捜索まで行った(6月9日に不起訴・釈放)が、検察側がこれを立件する事すら出来なかった事からも分かるように、これは明らかに転び公防と同質のこじ付けによる不当逮捕であった。こういう無茶苦茶な不当逮捕と長期拘留による恫喝といった警察権の濫用が日本では常態化しているという典型例だ。
代用監獄制度が出来たのは1908年の監獄法以来であり、今年で107周年を迎える。この冤罪の温床、反人権の極みたる代用監獄が100年以上も存続し、「警察権の節度ある運用」を象徴するという日本! 転び公防やそれに類する不当逮捕が日常茶飯事と化しているほど「警察権の節度ある運用」が行われている国・日本! まさに、日本とその警察のあいだに107年間守られてきた代用監獄を祝うため、全てが世界の祝福に値するものであります!

…こうした事例は戦後日本の一部でしかない。実際にはもっと酷い例が不知其数(부지기수 朝鮮語で「無数」の意)にある。戦後日本は傍目には一見民主主義的・平和主義的な装いをしてはいたものの、実際には根本的な部分で変革はなされておらず、それどころか再軍備やファシズムへの回帰に時間を掛けて取り組んできたのが真の「戦後日本」であった。そうした視点を欠いた歴史観など全くもって有害でしかない。

「今日の日本は、最も弱い立場の人を含め、あらゆる個人の命と権利を価値あるものとして認めています。」
だと? これはまた一体何の冗談なのか? 声明ではこれに
「今の日本政府にとって、海外であれ国内であれ、第2次世界大戦中の「慰安所」のように、制度として女性を搾取するようなことは、許容されるはずがないでしょう。」
と続けており、「日本のような弱者の命と権利を尊重する国」が従軍慰安婦問題を解決しようとしないのはおかしい、とも読める一節だが、それは全く逆だ。日本は戦後も一貫して「最も弱い立場の人を含め、あらゆる個人の命と権利」を踏みにじって来た国だったから、従軍慰安婦をはじめとする日本帝国主義の被害者を救済せず、それどころか差別と抑圧を加えてきたのである。因果関係が完全にひっくり返っているのだ。
そればかりか、今の日本では中国・ベトナム・ミャンマーなどから外国人労働者を「技能実習生」の名目で呼び寄せて過酷な低賃金・長時間労働で働かせるという、事実上の奴隷労働・人身売買が国家的に公然と行われているではないか。「第2次世界大戦中の「慰安所や強制連行」のように、制度として人間を搾取するようなこと」は、戦後70年を経た21世紀の今でも平然と許容されている。


「日本の歴史家を支持する声明」が描写する「戦後日本像」、すなわち「戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と、政治的な寛容さ」「最も弱い立場の人を含め、あらゆる個人の命と権利を価値あるものとして認めている」なるものは全く事実に反する。すなわちこの声明(及びこれを作成した者達)自体が歴史修正主義の権化という事だ。
ところがこの声明では驚いた事に「日本の多くの勇気ある歴史家が、アジアでの第2次世界大戦に対する正確で公正な歴史を求めていることに対し、心からの賛意を表明」すると同時に、「彼女たちの身に起こったことを否定したり、過小なものとして無視したりすることも、また受け入れることはできません」として日帝の犯罪行為を隠蔽する歴史修正主義勢力(便宜上、以下「日本極右」とする)を批判する素振りを見せている。敗戦後日本の歴史を歪曲した者が、敗戦前日本の歴史を歪曲している者を批判する? 歴史修正主義者同士の言い争いではないか。このような行為こそ、日本帝国主義の被害者にとって実に迷惑千万なものである。日本極右という歴史修正主義者が、別の歴史修正主義者に批判された所で痛くも痒くもない。「おまえ達も歴史をねじ曲げているではないか」と言われておしまいだ。それどころか日本極右勢力に「不当な攻撃にさらされた」という「正当化」の口実すら与える事になりかねない。
この声明は従軍慰安婦はじめとする日帝被害者には何のプラスにもならず、むしろ有害無益なものだ。それはこの声明自体が歴史修正主義の塊であるからに他ならない。

なぜこの声明ではここまで「戦後日本」を超美化しなければならなかったのか? 日本極右がそうであるように、あらゆる歴史歪曲には政治的動機がある。この声明の歴史歪曲はいかなる政治的動機に基づいているのだろうか?

一方で気がかりな部分は他にもたくさんある。この声明が歪曲して伝えているのは「戦後日本の歴史」だけではなく、現在の我々を取り巻く国際情勢についても同様だったからだ…。
(続く)

「日本の歴史家を支持する声明」について その1

・楔子(序文)

日本国内閣総理大臣・安倍晋三曰く。

私は日本の軍国主義者でございます。
나는 왜놈군국주의자로소이다.
我是日本鬼的軍国主義者。
I am Jap militarist.

安倍晋三という男、日本で最も政治的地位の高い人間にして、日本で最も面皮極厚な人間なり。地位の高さとツラの皮の厚さで日本一のこの男、自ら右翼の軍国主義者を以って任じている。だが、このような露骨な主張が戦後日本の首相にこれまで許された事があっただろうか。今の日本は国を挙げて総右傾化の時代、選挙をやっても安倍自民党が当たり前のように勝ち、日本国民の多くがこの「右翼の軍国主義者」に選挙という「民主主義手続き」によって圧倒的支持を与えている。安倍晋三すなわち、「日本国民が民主主義手続きを以って選出した右翼の軍国主義者」なり! 
だがそれだけだろうか? 周辺国との関係を考えれば、日本の首相がいかに自国民によって「認められた」からといって「私は右翼の軍国主義者」などという露骨過ぎる主張が出来るはずもない。安倍が自らをそのように言っても構わないという、ある種のお墨付きともいう「力の論理」が作用したからに他ならないだろう。
ではそのお墨付きを与えた力とは何であろうか? 何故にそれが許され、そしてそれが許された現在とはいかなる時代なのであろうか? 日本を取り巻く国際情勢をこそ正しく見抜く必要があるのではないだろうか。

・「日本の歴史家」を支持する?

2015年5月5日、世にも珍妙な声明が発表された。アメリカの日本研究者や歴史学者ら187人が連名で発表した「日本の歴史家を支持する声明」なる声明文である。これの声明自体は広く公開されているので、原文を読むのは難しくない。検索すれば英語の原文も日本語訳文も簡単に出て来る。
この声明は安倍晋三宛てに直接送られたもので、アメリカの学者達が日本政府に対して過去の過ち(従軍慰安婦問題)を認めて清算する事を求めたものだという。
大日本帝国は朝鮮半島や中国などの占領地で現地女性を強制徴用し、自国軍兵士の性奴隷にした。この事は否定しようもない厳然たる事実であり、とりわけ旧日本軍の元下級兵士はおろか、後の首相である中曽根康弘や産経新聞社長となる鹿内信隆のような将校クラスの者達でさえ従軍慰安婦があった事を認めていたのだから。にも関わらず、日本政府は戦後も長らくこれを認めず、謝罪も賠償も一貫して拒否し続けてきた。謝罪を拒否? いや、1995年の村山談話があったと反論する者もいるだろう。だがこの時村山富一は朝鮮併合が不法であったかどうかについては終始言葉を濁し、植民地侵略の違法性すなわち法的責任は決して認めようとしなかった。これが果たして真に謝罪などと呼べるものだろうか? 従軍慰安婦問題に限らず、日本帝国主義による朝鮮植民地支配は今まで何一つ真の謝罪は行われていない。

最近「日韓関係悪化」という事がよく言われる。その原因について尋ねれば、とりわけ従軍慰安婦問題をはじめとする歴史問題がその原因だという答が一様に返って来るだろう。これは日本のマスコミにおいても韓国のマスコミにおいても全く違わない。このように歴史清算を依然として無視し続ける日本に対し、ついにアメリカを代表するような知識人達からの突き上げとして発表されたのが今回の「日本の歴史家を支持する声明」だった。
この声明に名を連ねた学者達には「世界的に大きな影響力を持つ学者も多く含まれ(by 朝日新聞)」ており、韓国マスコミでは右派の朝鮮日報から左派のハンギョレまでこの声明をおおむね肯定的に受け止めており、あたかも100万の味方を得たかのような反応を見せている。
一方の日本はと言うと、リベラル・左派的な人々の間ではおおむね良好な受け止め方をしているようだ。右派でもよほどの日帝バンザイ極右派(在特会系や東京裁判否定派、朝日新聞排斥派に多く見られるような気がする)でない限りは、これを頭ごなしに排斥する者は(筆者の見た範囲では)見当たらない。
今回の声明は韓国でも日本でも、右から左まで広く受け入れられてはいるようだ。これこそ正義である、と。例えば…

「非常に傾聴すべき点が多い声明」
(東洋経済編集局記者:福田恵介 談)

「安倍首相と日本政府の姿勢を批判するもの」
「署名した研究者たちが日本における歴史研究が政治的な攻撃に晒されていることを危惧し、日本政府や歴史修正主義者たちによるまっとうな歴史学への攻撃に対抗しようとしている」
「一番の目的は、歴史修正主義的な政府と世論の圧力に晒され、自由な研究や報道を脅かされている日本の歴史学者やジャーナリストらを支援すること」
(上記いずれも小山エミ 談)

「安倍首相が言った、「人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性」を、歴史的な日本人自身の体験に則して、いかに実現できるかが、夏までに問われている。新たな防衛協力・安全保障枠組みに先だって、こうした歴史に根ざした問題を避けずに、むしろ、先駆けて積極的に解決にむけて努力して欲しいと願わずにはいられない」
アメリカの先生方が生んでくださったせっかくの総意という宝物を日韓で協力してどのように生かすか、それが問われている」
(上記いずれも早稲田大学教授:浅野豊美 談)

この3者はいずれもこの声明を高く評価して支持する日本人達であり、支持表明の代表例と言って良いだろう。この声明を支持する他の日本人(プラス韓国人も)の多くの思考もこれらとほぼ同等なのではないか。
が、しかし…。

このような声明に納得して支持する者が韓日両国でこんなにいるという現実にこそ、筆者は戦慄した。この声明の何が素晴らしいというのか? この声明、読めば読むほど実に恐るべき内容を孕んでおり、この声明を日本政府と韓国政府が仮に受け入れて、その通りに従軍慰安婦問題の「解決」が図られて、韓日の「和解」が行われた場合、どれだけ悲惨な展開が待ち受けているか分かったものではない。それをこれから述べていきたいと思う。


まず第一に、声明の題名からして馬鹿げたものではないか。「日本の歴史家を支持する声明」だと? この声明は従軍慰安婦問題の解決を日本政府に促すものだとされている。ではなぜ、当の従軍慰安婦被害者達を支持する声明としなかったのか? 

ある犯罪被害者がいた。この被害者は、加害者が大変な勢力家であった為に逮捕される事もなかったばかりか、その為に長らく泣き寝入りを強いられて補償も受けられなかった。それでも長い歳月が過ぎて、その被害者の遭った事件の詳細を知る者も少しずつ増え、事の真相を独自に調査・研究する記者や学者、さらには裁判を支援する弁護士や支援者も現れ始めた。この被害者を仮にAさんとして、話が広く知られるに至って各界の著名人士達がとうとう声明を発表した。「Aさんを支援し、救済を求める声明」と。

これは例え話だが、こうした声明などを発表する時は「当の被害者への支持」と銘打って発表するのが当然なのではないか? 被害者を応援する記者や弁護士や支援者達の行いはもちろん立派なものだが、だからといって「支援者である弁護士または記者を支持する声明」などとは言わない。常識以前の話だ。
今回の声明も真に被害者の側に立つならば「従軍慰安婦被害者を支持(または支援)する声明」さらに具体的に言えば「日本帝国主義の侵略による被害者を支持する声明」とでもすべきだろう。それなのに被害者当人達を支持・支援するのではなく、飽くまで「支援者」の立場でしかない「日本の歴史家」を支持するなどとこの声明では言っている。その「歴史家」も侵略被害国である朝鮮半島や中国のそれではなく、加害国である日本のそれではないか。何故に被害者と被害国に連帯し、直接支持しようとしないのか? 出来ない理由が何かあるのか? この声明に対する疑念を真っ先に抱かせるのがこの傲慢の極みな「題名」である。一番重要で救われるべき被害者にそっぽを向いているのだから。
名は体を表わすもの。ならば声明本文に大きな問題がある事をこのたわけた題名が示してくれているのではないか?
まさにその通りで、声明本文にはさらに驚くべき事が山のように書かれていたのである。

(続く)

歴史歪曲の役割分担

日本の右派による歴史歪曲言辞・活動が酷いのは誰もが知る通り。曰く

「日本はアジアを西洋の植民地から解放する為に戦争した」
「日韓併合は合法」
「南京大虐殺も強制連行も従軍慰安婦もなかった」
「軍艦島は日本の産業革命遺産」
「日本は植民地統治下の朝鮮やパラオにいい事をしてやった」
「韓国と中国の経済発展は日本のおかげ(by 安倍)」

などなど、戦前(以外にももちろん少なくないが)の大日本帝国の侵略や残虐行為について、こうした目立った歴史歪曲が特に多く見られる。

では、それに対する日本左派はどうなのだろう。左派にも酷い歴史歪曲言辞・活動というのはあるだろうか?
ある! 曰く

「戦後日本は平和国家だった」
「憲法9条は人類の崇高な平和思想」
「アジアを侵略した事をお詫びします。でも法的責任は認めません(村山談話的な例のアレ)」
「日本は真面目に謝罪してきた。なのに韓国や中国の反日民族主義がそれを受け入れずいつまでも謝罪を要求し続けたせいで、日本では嫌韓・嫌中がはびこってしまった(大沼保昭的な例のアレ)」

右派は主に戦前を、左派は主に戦後から現在の歴史を歪曲するという、ある程度の役割分担が暗黙のうちに出来ているのではないかという気がする。

一方、韓国ではどうだろうか。韓国の保守・極右勢力の歴史歪曲言辞・活動も酷いものである。曰く

「朝鮮王朝は極めて腐敗堕落した三流国家であり、その為に日本に併呑された」
「日本の植民地統治がそうした堕落した韓国を救い、近代化を整備してくれた」
「建国大統領李承晩ッッッッ!」
「韓国は朴正熙のおかげで経済発展した。朴正熙こそ経済発展最大の恩人」
「朴正熙時代の経済発展のおかげで韓国の民主化の基礎が作られた。だから韓国民主化の最大の功労者は朴正熙」
「ベトナム戦争は自由社会を守る為に必須の戦いであり、韓国の参戦は誇るべき聖戦であるッッッッ!」

などなど、知らない人が聞いたら仰天するかもしれないが、これらは全て韓国極右勢力の間で「正史」扱いされている歴史認識である。つまり李明博・朴槿恵の2代にわたる韓国保守政権の歴史認識もこれと基本的に同一という事だ。日本と韓国の極右は歴史認識において何一つ違わない。仲良しッッッッ!

では、それに対する韓国の進歩派・左派はどうなのだろう。韓国の左側にも酷い歴史歪曲言辞・活動というのはあるだろうか?
ある! 曰く

「1987年民主化宣言以降の韓国は素晴らしい民主国家だ」
「韓国民は自力で民主化と経済発展の両方を成し遂げた」
「韓国はベトナムに対して真面目に謝罪してきた(例:金大中)」
「ベトナムの経済発展は韓国のおかげ

…これらは冗談などではなく、本当に今の韓国の進歩派と言われる人々や報道機関の多くに共通する歴史認識である。保守派の歴史歪曲が主に植民地時代・独裁政権時代に集中しているのに対し、進歩派のそれは主に民主化宣言以降に集中しているという点で、ここでも歴史歪曲の役割分担が見事に成立していよう。
韓国の民主化は「自力」で成し遂げられた。すなわち外国からの援助、とりわけ在日(総連系含む)からの民主化支援が果たした役割というものが、今の韓国進歩派マスコミや進歩派知識人の間ではほぼ「なかった事」にされている。

「(総連は)反省もなく北を追従し、同胞から無視され始めた。その間、韓国は経済発展と民主化を同時に達成した。若い世代の在日コリアンは父の世代とは違う。北朝鮮のパスポートより世界各国に行ける韓国のパスポートを選び出した」

という最低な記事がハンギョレに載り、しかも日本語版はもっと酷いもので、この記事を二日間くらいサイトのトップ記事としてデカデカと載せていた。ハンギョレというメディアは韓国本家も酷いが、日本語版は機械翻訳の上にこういう酷い記事だけはうれしそうに訳してトップに乗せるなど、本家以上に悪質かつ陰湿であろう。産経新聞やアジアプレスと違わないような記事をデカデカと載せて、日本政府による在日同胞への公安弾圧に手を貸しているのだから。
そしてこの記事にある「(総連は)反省もなく北を追従し、同胞から無視され始めた。その間、韓国は経済発展と民主化を同時に達成した」という部分は、韓国の民主化に総連とその系列の同胞が果たした歴史的役割を完全に黙殺・抹殺した歴史歪曲の極みである。逆に言えば韓国という国が今まで在日に何をしてくれたというのか、それを答えてみろという話だ。ハンギョレが「独裁政権」と侮蔑しきっている北の政権よりもましな民族教育への支援や人権問題への取り組みをどれだけやったというのか。独裁政権・民主政権を通して在日の教育や人権状況には何一つまともに支援せず、民団の一部の層と癒着して利益を得てきたのが大韓民国という国ではなかったのか。
ハンギョレというメディアは本当に来るとこまで来てしまったという感がする。「総連の没落」などとエラソーに言うが、真に没落と堕落の極みにあるのはハンギョレの方だろう。

ベトナム戦争の韓国軍派遣問題についても、最近韓国の進歩派メディアでやたら記事が載る事が多い。オーマイニュースでもハンギョレでもそれらの記事に共通する事柄が三つある。

1)韓国はベトナムに対し、金大中が真面目に謝罪してくれた。これぞまさに「メルケル精神(笑)」! 日本とは違うんですッッッッ!
2)韓国はベトナムに多大な経済協力をした。ベトナムが経済発展したのは韓国のおかげ。
3)朝鮮民主主義人民共和国がベトナムを助ける為に送った「抗米援越」の援軍派遣とその戦いを一切無視して語らず、なかった事に扱う。

韓国軍がベトナム戦争にアメリカの援軍として派兵され、残虐行為を行った(そしてこのベトナム特需によって韓国の経済発展「漢江の奇跡」は成し遂げられた)事実をハンギョレはじめとする韓国進歩派メディアが調査報道してきたのは確かである。「自国のそうした恥ずべき歴史にも向き合わねばならない。そうでなければ日本を批判する資格を失う」それは確かにそうだろう。だが、そうした韓国自身によるベトナム戦争の犯罪行為追求・告発行為の目的も今ではかなり変質してきている。「韓国は真面目に謝罪してきた」「ベトナムが経済発展したのは韓国のおかげ」などというのは、日本の右翼や「国民基金」派の妄言と何も違わない。その最悪の例が以下のオーマイニュースの記事だと思う。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002110954
を備えて謝罪した金大中、自尊心強いベトナムの反応が…(韓国語記事)
ベトナム戦争終戦40周年ルポ(4)韓国はベトナムの発展モデル

ベトナムの今日をあらしめた金宇中と金大中そして三星電子

1995年、金宇中(大宇財閥会長:訳注)はみなが引き止める時期に「漢江の奇跡を輸出しよう」として、ベトナムに大金を投資して外資誘致の糸口を見せた。

ベトナム人達はアメリカと戦って勝った戦勝国という自負心と自尊心が強く、相手構わず金をもらったりしなかった。金(大中)大統領が礼を備えて謝罪した為に、ベトナムが韓国の支援金(「賠償金・補償金」にあらず!:訳者注)をもらったのだった。

韓国はベトナムが経済成長の発展モデルにベストとして学ぶ国家だ。

「ベトナムは俺様(韓国)のおかげで経済発展したんだッッッッ!」という傲慢さが露骨すぎ。先日米議会上下両院合同演説で安倍が言った自画自賛と何が違うんだ? それに言っちゃ悪いが、金大中の謝罪発言も日本の河野談話や村山談話とそう違わない水準であり、真摯な謝罪とまで言い切れるかどうかはかなり疑問である。もちろんベトナム戦争において韓国はアメリカにくっついて参戦した「従犯」であり、朝鮮植民地支配の「主犯」である日本とは違う部分はあるにしてもだ。韓国の進歩派だの民主勢力だのも結局はこの程度の水準であり、歴史歪曲によって日本と同じ道をたどってしまったという事だろう。

そして何よりも、現在韓国で報道されているベトナム戦争検証記事においては朝鮮共和国のベトナム援軍の事が基本的に一切言及されない。そりゃそうだろう。

同じ民族でありながら南はアメリカに従ってベトナム侵略の片棒を担ぎ、片や北はアメリカの侵略に抵抗するベトナム民衆を助ける為に援軍を出した。

なんて事を史実通りに正しく書いてしまったら、「韓国は真面目に謝罪してきた」「ベトナムが経済発展したのは韓国のおかげ」などという自画自賛自慰行為が出来なくなっちゃうじゃありませんか(笑)! 「経済発展と民主化を同時に達成した偉大なる韓半島唯一の合法政府にして、自由・民主・人権の大韓民国」が人道に反する残虐行為を行い、対して事もあろうに「権力を世襲する独裁政権(朴槿恵は?)にして、韓半島の北部を不法に占拠する反国家団体」である「北韓」が民族自決の為に人道に則った戦いをした、などとは南の歴史修正主義者達にとっては死んでも認められないという事だろう。だから今韓国で発表されているベトナム戦争関連の記事類には「北の抗米援越戦争」は一切無視するか、極めて小さい扱いをする。

「ベトナムの民衆に謝罪し、反省せねばならない。これを自らちゃんと清算しないと、日本を批判する資格を失う」
韓国のベトナム戦争参戦問題追求というのは当初はこういう目的だったのかもしれないが、今は
「韓国は真面目に謝罪したんだし、そんなに悪くない」
「北の抗米援越戦争を隠蔽する」
という方向、すなわち歴史歪曲・歴史修正主義に大きく向きを変えている。このまま行けば何年もしないうちに「韓国はそんなに悪くない」がさらにエスカレートして「韓国は戦争でベトナムにいい事をしてやった」に間違いなく変わるのではないか。最近発表される韓国のベトナム戦争関連記事でもう一つ必ず登場するのは、「韓国に感謝している」と発言するベトナム人だという事も付け加えておきたい。この手の人々を呆れるほどピックアップするというのは、これまで日本の右翼や「国民基金」派やしばき隊(笑)がさんざんやってきたのと同じ手口であるし、同時に南を感謝しているベトナム人だけを登場させる事で、今でも北の援軍に感謝しているベトナム人の姿を目立たなくさせる意味もあるだろう。

韓国でも日本でも歴史歪曲や歴史修正主義は右翼だけの専売特許ではない。左派も同じくらい酷い歪曲を平然とやるという事にも注意する必要がある。特に韓国のそれは「朴裕河的日韓和解」や、その先にある韓米日軍事同盟体制強化、すなわち日米新ガイドライン体制の下部構造に韓国を従属させる為の下ならしの為に出されているものとして警戒を怠ってはならない。

「金甲洙近現代史特別講座」より

韓国の作家・金甲洙氏が自身のフェイスブックで連載した記事「金甲洙近現代史特別講座」の内容を所々翻訳して以下に抜粋する。強調部分は訳者による。


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/370641403086810
「朝鮮が滅びた理由を捏造するべからず!」
「日本は西洋覇道の手先に過ぎず」
金甲洙近現代史特別講座(2)

我々の近現代史において最も大きく歪曲された歴史は、近現代史ではなく朝鮮(王朝)史という事を常々私は強調してきた。朝鮮が劣っていて滅びたなどという。やや訳知りに言うなら「朝鮮は矛盾によって滅びた」ともいう。でなければ「日本が優れていて朝鮮を食った」などという。もう少し訳知りに言って「日本は近代化に成功した為に朝鮮を征服出来た」という。断言するが、この中でどれ一つとして正確な歴史認識ではない。

朝鮮は東学と義兵戦争で50万人近い戦死者を出した。朝鮮の官吏・学者達の中に自決で抗日した人の数は数え切れないほど多い。朝鮮の最後の皇帝・高宗は日韓併合を告示した詔勅についに署名しなかった(日本人達は強奪した国璽を押しただけだ)。俗な言葉で言って、朝鮮は決して「与し易い国」ではなかった。

一例として、身分社会という理由で朝鮮を批判する人達がいる。だが皮肉な事に「身分 신분」という言葉自体が朝鮮にはなかった言葉だ。我々はこの言葉が日本から輸入された語彙だという点で、身分社会をという事を理由に朝鮮を批難する論理がどのように作られたか暗示を受ける事が出来る。世の中に身分社会でない国がどこにあるのか?

もう一つの例を挙げてみよう。朝鮮統監・伊藤博文は朝鮮に近代的法制度を移植する為に梅謙次郎を送り、民法などを制定する事前措置として旧慣調査を実施させた。その意図は、近代法である日本民法をそのまま朝鮮に適用したら様々な問題が発生するだろうと予想し、近代法に適合しない旧慣を調査した後に朝鮮独自の民法を作ろうとしたのだった。

だが実際に調査を進行してみるとこうした予想は外れ、近代的所有権と極めて類似した土地所有権がすでに朝鮮には存在していたという事が確認された(宮嶋博史論文、「日本史認識のパラダイム転換のために」)

以下は梅謙次郎が伊藤博文に送った報告書の一部だ。

「現在としては、一般的に土地所有権を人民に認定しているという事は疑いようがなく見え(中略)要するに所有権と言える権利が朝鮮の人民には少なくとも数百年前から認定されてきたという事は否定出来ません」

これはアメリカの東アジア専門家ブルース・カミングスが朝鮮を「農業官僚社会」と規定した事とも脈を同じくする。


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/371500416334242
「優れた朝鮮」は初めてという方々の為に
金甲洙近現代史特別講座(3)

今日の私の文は「優れた朝鮮とは初めて」という方々の為に急ぎ掲載するものだ。最近になって朝鮮を正当に評価する良い文章達が多く生産されているが、その中でも今日は三星経済研究所刊「韓国と日本方程式」に収録された韓永愚教授(한영우 ハン・ヨンウ ソウル大国史学科)の論文「法古創新と東道西器の道」を一部だけ抜粋して紹介する事にしたい。

「一流国家になろうという夢は今日の我々だけでなく昔の祖先達も同様に持っており、実際にあの時代の水準から一流国家を不断に生産してきた事が我々の歴史である。

中国人達が我が国を「君子之国」または「東方礼儀之国」と指して言い、我が国の使臣を周辺各国の使臣の中で最も上席に配置しながら手厚く優待したのは、国際社会で一流国家として認識されていた事を端的に証明するものだ。我が国の通信使が日本に行けば国力を傾く程に厚遇されたのも、我々が一流国家であったからだ。実に我々は20世紀100年を除けば常に一流国家として生きてきた。

朝鮮王朝は特に各王朝の中でも最も模範的な国家と言える。伝統文化の韓国的特性が最も洗練されて発現したのがこの時代であり、中国文化を情熱的に受容したのもこの時代であり、朝鮮後期には西洋の天主教と科学技術に対しても最初は比較的友好的に受け入れた。相手が我々の伝統文化を正面から破壊しようという侵略性を露にしない限り、常に心の扉を開いて外来文化を摂取してきたのが我が祖先達の基本姿勢であった。

我が国は儒教の為に科学技術が発展出来なかったという俗説は根拠のない話だ。むしろ日本人達が持てなかった人文的教養と全人的思考力は、これから我々が日本を凌駕する一流国家になれる潜在力であるとみなさねばならない。

朝鮮王朝が果たして日本の武力によって国恥を受けたといえども、侵略者を批難すべきであって祖先を責める事ではない。紳士が不良の輩に殴られたからといって、紳士を咎める事が出来ないのと同じ脈絡だ。我々は国恥以後100年間、朝鮮王朝を恨みながら生きてきたが、これからは朝鮮王朝の名誉回復の為に努力すべき時だ。それが歴史に対する虚無主義を克服して新文明を創造する活力素となる事だろう」


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/371545222996428
昨今の大韓民国、朝鮮末期よりもましなのか
金甲洙近現代史特別講座(4)

国が滅びるのには二つがある。一つは自ら滅びる「破亡」であり、もう一つは外部勢力の侵略によって滅びる「敗亡」だ。朝鮮は日本によって敗亡した王朝である。それならば、もし日本が侵略しなければ朝鮮はどうなったろうか?

朝鮮が末期に入って急速に衰退の道に入った事は否定出来ない史実だ。表現を変えるならば、朝鮮は19世紀に入って破亡の道を歩んでいたといえる。だが人類の歴史で滅びなかった国はない。ましてや朝鮮は518年という最長寿の王朝寿命を維持した国だ。

日本が朝鮮を侵略しなければ、朝鮮はどのようになったろうか? 自己内部の改革または革命で生まれ変わり、次の寿命をつないでいった事だろう。この過程で国号を変更する事になって、「朝鮮」という名は歴史の裏道に押し出された可能性もある。

我々には滅び行く朝鮮を再生させる事も出来た歴史がなかった訳ではない。私はそこで東学を挙げるのを躊躇しない。東学は実に偉大な「挙事」であった。そして東学は革命へと昇華させられるハードウェアとソフトウェアをあまねく備えていた。

東学軍は最低でも朝鮮半島の60%以上の地域で挙兵した。東学軍が掲げた「弊政改革案(日本では「秕政改革案」と記述される事が多いが、正しくは「弊政」である:訳注)」は非常に革新的であり、特に東学軍の対民指針は50年後にも興起する中国共産革命軍のものよりも優れていた。

最近になって、当時の東学軍指導者達がどれだけ優れた人格体であったかを証言する日本側の記録が大量に発見されている。その記録達は一様に東学軍指導者達を「見識ある者達だ」「朝鮮国民の中の先覚者だ」と語っている。(日本「香川新報」など)
だが東学軍は日本軍によって殲滅された。当時日本軍が打ち出したスローガンは「匪徒掃滅」というものだった。1890年に東学軍が殲滅された事によって朝鮮は再起の機会を喪失し、1910年代義兵の壊滅によって朝鮮はそのものが台無しになってしまった。

朝鮮に正規軍がなかった訳ではない。日露戦争と乙巳勒約を体験した1905年の時点においても3500名の官軍が残っていた。日本は朝鮮の官軍を解体させた。すると彼らは義兵に変身して抵抗したが、やはり日本軍によって制圧された。

重要なのは、もし日本軍がいなければ東学革命は間違いなく成功していただろうという点だ。文治を志向した朝鮮は伝統的に民乱に寛大であった為である。これは日本軍が入って来て、東学軍対処レベルを調整する為に調査した報告書にも表れている。反乱民軍に最も野蛮的に対処したのは、自分達が精一杯近代化だと自称していた明治維新以後の日本政府である事を知った日本人達は、当惑を隠す事が出来ない。


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/372006292950321
一体アメリカは何をしたのか
朝鮮は「滅びた」のではなく「してやられた」のだ
金甲洙近現代史特別講座(5)

日本が朝鮮を強奪するのにアメリカの果たした役割はどの程度であったか? これまでは黙認・幇助したというのが定説だった。我々は桂・タフト密約を知っている。ここで桂とは1905年当時の日本首相であり、タフトとはアメリカ陸軍長官で3年後にアメリカ第27代大統領になる人物だ。

最近になって、日本が朝鮮を強奪するのに(米国は)黙認・幇助する程度ではなく積極的に周旋して駆り立てたという主張があちこちで提起されている。日本の朝鮮独占が決定付けられたのは日露戦争だったが、まさにこの日露戦争に天文学的な戦費を支援したのがアメリカであった。

(中略)

ならばなぜ西欧帝国主義国家達は日本を支援したのであろうか? 中国大陸を征服したがっていた西欧帝国主義国家達は、中国と日本の連合戦線を未然に防止する必要があったのだ。ここに付和雷同してアジアに裏切りをうったのが日本であり、それが初めて結実した歴史的事件が明治維新というものであった。

このような状況で亡ばない国がどこにあろう? こうして見た時、朝鮮は「滅びた」のではなく「してやられた」のだった。なぜなら当時の朝鮮は騙されたあまりに日本を除く西欧列強の侵略下心を知る事が出来ず、特に開化知識人達の場合むやみに西欧を憧れて羨望する愚かさまで露出したからだ。

列強も列強だが、問題はまさに「銃」にあった。東学軍は竹槍と火縄銃を手にしていたが、日本軍は最新式ライフル小銃で武装した軍隊だった。数十万の東学軍と義兵を殲滅したのは、わずか4000人の日本軍が所持した現代式兵器だった。

ここにもう一つの疑問が提起され得ると思う。「いかに日本軍が新式兵器を持っていたとしても、数十万の兵力と1000万の人口があった朝鮮がやられたのは問題ではないか?」だがこれは旧式武器に対して「銃」が持つ恐るべき威力を知らない為に言う言葉だ。

(中略)

朝鮮が劣っていて滅びたのか? それならば次の論理に承服せねばならない。

一人の少女がいる。少女がどこにいようと関係ない。男が近寄ってナイフを突きつけ、スカートを脱げという。少女は拒否する。すると男はガス銃で少女を気絶させた。男が汚れた欲望を満たしている間、少し遠くでは警察達が見張りをしてやっていた。

この少女は劣っていてやられたのだろうか? 行いが悪くて、あるいは服装がけばけばしくてやられたのだろうか? そうでなければ、少女が男のようにナイフとガス銃を持っていなかった為にやられたのだというのか? このように答える人間は、朝鮮が劣っていて滅びたのだろうと言っても差し支えないだろう。ただその者は帝国主義的な人格を持っているか植民史観に染まった人間だ。


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/374435452707405
西欧崇拝日本を他山の石とせねば
「間抜けな奴」がうようよしている大韓民国
金甲洙近現代史特別講座(7)

21世紀に入って日本はアジアにおいて周辺国へと押し出されている。シンガポール・香港・台湾の国民所得は早々に日本を抜き去っており、韓国も日本の国民所得の90%ラインまで肉迫して入った。日本の国家競争力が中国に押されて久しく、遠からずインドにも遅れる事が確実視される。

日本は韓国との関係が円満ではなく、中国とは疎遠で、朝鮮共和国との関係はほぼ敵対的な水準だ。のみならず、日本は地震・台風・火山噴火など自然災害の恐怖から一時も自由になった事がない国だ。

(中略)

事実日本の後退は全くおかしな事ではない。歴史の目で見た時はなおさらそうだ。日本は明治維新以前である19世紀中頃までアジアの中心国家だった事がない。したがって周辺国家であった国が再び周辺国家に戻る事をおかしく思うなら、それこそまさにおかしな事ではないか?

宮嶋博史教授は論文「日本史認識のパラダイム転換のために」で、「現在日本は経済的にはどうだか分からないが(それも相当におかしくなっているが)政治的にも社会的にも周辺各国に遅れている」と語るが、こうした観点は日本の学者達の間でもはや広範囲に共有されている。

断言するが、私は日本が再びアジアの中心国家となる可能性はないと見る。


https://www.facebook.com/kimcapsu/posts/375137185970565
先烈達の尊姓大名を呼ばわせよ
南満州の抗日烈士達
金甲洙近現代史特別講座(7)

李紅光(리홍광 リ・ホングァン)を知っているか? 1910年に京畿道龍仁で貧農の息子として生まれた彼は、1931年に南満州で初めて抗日武装闘争隊伍である赤衛隊を組織した人物だ。同時に彼は卓越した武装闘争の指導者であったばかりか、農民運動の指導者でもあった。

「李紅光は抗日武装闘争の輝ける指導者の中の一人にして革命軍首領であり、共産党員であった。強烈に日本に抵抗し、艱苦奮闘した彼の業績は誰もがよく知る所だ」(1938年 毛沢東)

「東北抗日連軍の参謀長であり、第1軍第1司長であった李紅光同志は抗日連軍の中でも一番高位の首領の一人だった」(1946年中国「解放日報」【南満州を揺るがした李紅光同志】)

李紅光烈士は1935年5月、華子区黒瞎子望近辺で26歳の若い歳で戦死した。

似た名前の李東光(리동광 リ・ドングァン)を知っているか? 1904年に咸鏡北道慶源郡で生まれた彼は、1936年東南満州省委員会組織部長を歴任した。彼は群集事業の卓越した指導者だった。彼は南満州で農民達から最も厚い信望を得た。祖国光復会南満州代表として猛烈に活動していた彼は、1937年に黄土江山突破戦で戦死した。彼は名前の似た李紅光と共に南満州抗日闘争史に赫々と記録された先烈である。

許亨植(허형식 ホ・ヒョンシッ)を知っているか? 1909年に慶尚北道亀尾で生まれた彼は、哈爾浜メーデーデモで投獄され、満州事変以後出獄した。1930年序盤から反日遊撃隊に加担した彼は、抗日第3路軍総参謀長などを歴任しながら柳樹河子村戦闘、拉拉屯戦闘、五道崗戦闘などで優れた軍事的能力と自己犠牲精神を見せてくれた。日本軍の大討伐によって小部隊遊撃戦に転換して以後も彼は現場を離れず最後まで闘争し、1942年8月壮烈に戦死した。当時の先烈の歳は33歳であった。

楊林(양림 ヤン・リム)を知っているか。楊林の名になじみがなければ彼の本名・金勛(김훈 キム・フン)を記憶しているか? 3.1抗争以後中国に入った彼は、モスクワ東方労力者大学に留学した後、1930年に遊撃闘争の指導者となった。以後中国共産党に抜擢され、江西ソビエト地域に転勤した彼は、紅軍大学教官職を遂行しながら大長征に参加、多くの武功を立てた。惜しい事に彼は大長征を終えた直後、毛沢東の直接率いる東征戦闘で38歳の若さで戦死してしまった。

友らよ 備えよ 手にした武器
帝国主義侵略者を打ちのめし
勇進勇進 進めや 勇敢に
億千万回死のうとも 敵を討とう
(遊撃隊行進曲)

李秋岳(리추악 リ・チュアッ)を知っているか? 彼女の本名は金錦珠(김금주 キム・グムジュ) 、1901年に平安南道の貧しい農民の家庭で生まれた彼女は、7歳の時に父を失って母と友に片や勉強、片や労働して育った。彼女の学習熱は大変なものだった。彼女は国内独立運動の渦中でも大変な読書をした。3.1抗争以後指名手配されて中国に渡った彼女は楊林と夫婦の縁を結ぶ。彼女は行く先々で抗日演説を敢行、朝中人民が連合して抗日武装隊を組織して帝国主義の侵略に反撃しようと訴えた。

1932年秋、李秋岳は中共珠河中心県委に派遣された。彼女は県委委員、婦女部長、鉄北区委書記などの職務を務めた。彼女はすでに反日遊撃区の著名な抗日女性英雄となっていた。1936年8月27日、彼女は敵達に逮捕されて酷い拷問を受けるが、最後まで屈服しなかった。日本軍は1936年9月3日通河城西門外で彼女を銃殺した。その時の烈士の歳は35歳だった。

東満州第2軍パルチザン女性大将・金确実(김확실 キム・ファッシル)を知っているか? 第6師団不死鳥裁縫隊長・崔姫淑(최희숙 チウェ・ヒスッ)を知っているか? ならば第4師団機関銃女性班長・許成淑(허성숙 ホ・ソンスッ)を知っているか? 彼女が間三峯戦闘で轟かせた威容を覚えているか?

「残酷な刑罰は革命戦士の筋肉と骨を削る事は出来るが、女性英雄の確固たる意思を屈服させる事は出来なかった。敵は何とかする事が出来なくなるや、許成淑同志に死刑判決を下した。許成淑は死を少しも恐れなかった。ただ戦友達と共に民族の解放を戦い取れなかった事が惜しまれるだけであった」(満州抗日烈士列伝)

許成淑は叫んだ。「私は朝鮮民族の娘です」瞬間、銃声が響き、烈士の歳は24歳であった。

名前のみ羅列するにも紙面が足りない抗日烈士達、ここへ無名の烈士達まで合わせて夜空の星ほどにも数多く、そして玲瓏と輝くべき先烈達の名を我々は覚える事が出来ない。いや、彼らの名を呼ぶ事すら禁句視されている現実で、我々はせいぜい梨花学堂出身の柳寛順(류관순 リュ・グァンスン)烈士の名について何だかんだと言い争うだけだ。我々に先烈達の尊姓大名をまともに呼べるようにしてくれ。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=375522025932081&set=a.126958834121736.27678.100004228604235&type=1
「朝鮮革命が完成する前には、私にとって平和は苦痛なだけ」
三分法で見る朝鮮独立運動勢力
金甲洙近現代史特別講座(9)

我々の独立運動は大きく三つに分けて見る事が出来る。上海から重慶に至る臨時政府中心勢力、広東蜂起から大長征そして延安に至った中国人民革命参加勢力、最後に間島すなわち満州反日武装闘争勢力だ。

便宜上上海派・延安派・満州派と呼称するならば、まず上海派は光復軍、延安派は朝鮮義勇軍、満州派は朝鮮人民革命軍を組織したという点が最も重要だ。最近北朝鮮で言われる「白頭山血統」は満州派に属する。

ただこのように単純に三分法のみだと、早くからソウル都城で義兵を起こした旺山・許蔿(허위 ホ・ウィ)、沿海州へ行って闘争した安重根(안중근 アン・ジュングン)、北路軍政署総裁・徐一(서일 ソ・イル)、青山里の主役達である洪範図(홍범도 ホン・ボムド)金佐鎮(김좌진 キム・ジャジン)李範奭(리범석 リ・ボムソッ)などと、いわゆる北京派として無政府主義と関連する李会栄(리회영 リ・フェヨン)などを外してしまうかもしれない。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=375522402598710&set=a.126958834121736.27678.100004228604235&type=1
「歴史の神」を冒涜する朴槿恵政権
最善の独立運動勢力は「満州派」だった
金甲洙近現代史特別講座(10)

独立運動の第3列、3列とは言うがこれら満州派こそ最も純粋で熾烈で体系的で自主的に武装闘争を展開した勢力であった。李紅光、李東光、許亨植、崔庸健(최용건 チウェ・ヨンゴン)、金策(김책 キム・チェッ)、金日成(김일성 キム・イルソン)、崔賢(최현 チウェ・ヒョン)、姜健(강건 カン・ゴン)などが代表性を帯びる。これらのうち生き残った崔庸健、金策、金日成、崔賢、姜健らは朝鮮民主主義人民共和国の権力核心となった。

これらは東北抗日連軍という名で中国軍と合作して抗日闘争を展開した。だが朝鮮人達の資質が何分にも抜きんでいた為、別に朝鮮人民革命という呼称が付与されもした。抗日遊撃戦の中で普天堡戦闘と間三峯戦闘は特に有名だが、この二つの戦闘はみな金日成が指揮したものだ。金日成は論理的ながらも親和力とリーダーシップがあり、中国共産党とソ連共産党からいずれも認められた。


金甲洙氏のこの連載は全72回にわたって連載されたもので、近日書籍化の予定もあるという。今はとても全てを翻訳する余裕がないので、とりあえず必要な部分だけ翻訳抜粋して御紹介した。以前に御紹介した「徐仲錫の現代史の話」と並んで、ぜひ同胞はもちろん日本人にも一読を進めたい。もちろん徐仲錫教授の記事と同じで一部細かい部分で筆者とは歴史観や見解を異にする部分はあるが、朝鮮半島の近現代史を知る為の読み物・入門書としては優れた内容であろう。
とりわけ金甲洙氏は、日本の右翼や韓国のニューライト勢力が主張する「朝鮮王朝は何もかも劣っていた国だから植民地化された」という植民史観の誤りや、日本のアジア侵略の背後でアメリカが果たした極めて重要な歴史的役割などを度々強調する。これらは意外に見過ごされがちだが、極めて重要な歴史的視点である。特にアメリカが日本の朝鮮侵略において共犯・教唆犯であったという史実は、「日本の歴史家を支持する声明」を考える上でも重要なポイントだ。日帝の被害国である朝鮮半島や中国の研究者を排除し、加害国側であるアメリカと日本側が勝手に自分らの都合ででっち上げて一方的に押し付けてきた声明に正義はあるのか? 
「桂・タフト密約」と「日本の歴史家を支持する声明」にどれほどの違いがあるというのか?
帝国主義列強が裏で手を組んで植民地の分け前を話し合う。それは今も昔も本質的に変わらない。
金甲洙氏のこの記事に関する詳しい推薦と紹介はまた改めて後日書きたいと思う。

今回これら金甲洙氏の記事を翻訳して取り上げたのは、例の関川夏央の酷過ぎる民族差別主義と歴史修正主義へのちょっとした反証でもある。関川という作家の差別暴言や歴史歪曲・捏造について筆者は前々から問題と思っていたのだが、最近はそれに拍車が掛かっているようだ。しかもそれを岩波書店の編集者が幇助・教唆している。朝鮮侵略・攻撃の現場犯と幇助犯。これではまるで日帝と米帝の関係ではないか(笑)!

・関川夏央
「韓国がそれ(ナショナリズム)にすがるなら、北朝鮮の愚行と蛮行を恥じなくては平仄があいません。韓国がそのあたりをあえて無視しているのは、やはり「物語」だからだね。――というようなことを岩波書店の坂本政謙さんに話したところ、それをぜひまたやってください、といわれました。」

・日露戦争当時の日銀副総裁・高橋是清
「韓国がロシアにすがるなら、日本は愚行と蛮行を厭わず戦争しなくては領土拡大が出来ません。日本がロシアと戦争するのにそのあたりで障害になっているのは、やはり「戦争資金」が足りないからだね。――というようなことをアメリカはクーン・レーブ商会のジェイコブ・シフさんに話したところ、金貸すからそれをぜひやってください、といわれました。」

…冗談はともかく、関川の民族差別主義は桜井誠・野間易通・石丸次郎・橋下徹らの、歴史歪曲・捏造は八木秀次・藤岡信勝らのそれとほとんど同じレベルの酷さだろう。桜井・野間・石丸・橋下・八木・藤岡の特に酷い部分だけを一身に寄せ集めて出来上がった不細工なキメラが関川夏央の人間性という事だ。
そもそも「日本時代の韓国には、事実上独立運動はなかった。独立は日本の敗戦によって自動的に得られたもので、解放後も新政府樹立を名のり出るものはいなかった。」とか言ってる時点で、一般常識レベルの歴史すら知らないか嘘をついているのは明白だろう。それを積極的に駆り立てている岩波の坂本とかいう編集者も凄いが、そもそも関川の嘘など韓国の作家の記事をわざわざ翻訳引用するという面倒なことをせずとも、他ならぬ岩波自身が刊行した雑誌に載っている宮嶋博史の論文一つで完膚なきまでに粉砕されるレベルのものではないのか。坂本という編集者はこうした自社刊行物の中身すら十分に把握していないと見える。それとも宮嶋教授は「岩波書店の著者」ではないとでも言いたいのだろうか。
関川とそれを喜んで起用する編集者。これはまさに現在の岩波書店の惨状を象徴する事例に他ならない。
さらに言うと関川と坂本は、アジア各国に古くからある民族主義や、ナセル時代のエジプトやカダフィ時代のリビア、今ではキューバやベネズエラなど南米左派政権諸国の反帝民族主義というのを全く理解出来ていない。それらを欧米日帝国主義諸国の国家主義とごちゃ混ぜにするという重大な誤謬を犯している。アジアや第三世界の民族主義と帝国主義国家の国家主義は根本的に別のものだ。いや、関川らもこれらの区別がついていない訳ではないだろう。これらの差異にちゃんと気付いており、自分ら「日本鬼的軍国主義」の邪魔となるアジアや第三世界の民族主義を抹殺せねばならない必要性から、ああいう誹謗中傷を言っているに過ぎない。
こうした被侵略国や弱小民族の民族主義に対する先進国の攻撃性という観点もまた、「日本の歴史家を支持する声明」を考えるのに重要なポイントである。

関川にせよ坂本にせよ、安倍晋三と同じで呆れるほど帝国主義的人格と植民史観に染まった人間である。それこそ「レイプされた少女が悪い」と平然と言ってしまいそうなぐらい、骨の髄まで「日本鬼的軍国主義者」だ。


「笑壊人、日本鬼的軍国主義就是不死!」
(笑わせるぜ。ジャップの軍国主義は死なずって事か!)


「関川夏央・坂本政謙・安倍晋三都是面皮極厚、対嘲諷置若罔聞」
(関川夏央・坂本政謙・安倍晋三はいずれもツラの皮が分厚く、嘲笑われても聞き捨てている)

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