来る12日に平壌で開催される重量挙げの国際大会で韓国選手団の参加が決まり、しかも南の「愛国歌」演奏と太極旗掲揚を認めたという。これは朝鮮戦争以来初めての事だ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2013/09/06/0300000000AJP20130906002400882.HTML
北朝鮮 平壌で韓国の国旗掲揚と国歌演奏を初容認 2013/09/06 14:58
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮で初めて韓国の国旗掲揚と国歌演奏が行われる見通しだ。
韓国統一部は6日、北朝鮮の平壌で今月中旬に開催される重量挙げの国際大会に出場する韓国選手団の訪朝を承認した。韓国選手が北朝鮮で試合を行うのは2003年以来10年ぶり。
大韓重量挙げ連盟所属クラブの7チームの選手と役員、連盟関係者41人は10日に平壌入りし、18日に韓国へ戻る予定。北朝鮮は今大会で太極旗(韓国国旗)掲揚と愛国歌(韓国国歌)演奏を認めたという。
統一部は同大会がアジアウエイトリフティング連盟(AWF)が主催する国際大会である上、北朝鮮が別途に韓国選手団の身辺安全を保障したことなどを踏まえ、訪朝を承認した。大会は12日~17日まで行われる。
韓国や日本の極右・反北朝鮮勢力(例えばアジアプレス・石丸次郎など)の目からすれば「経済危機の北朝鮮が白旗を掲げて、韓国の国旗と国歌を認めた」というように映るかもしれない。だが現実は全く逆で、今の情勢ではこれによってむしろ朝鮮民主主義人民共和国の「ポイント」は高まるだろう。
この記事を書いている段階ではまだ日本マスコミの扱いは小さいが、南北朝鮮の外交戦という観点から見た場合の意味は小さくない。すでに述べたように南では統合進歩党の「極左議員」が北を信奉して内覧陰謀を企てた、それを国会で逮捕同意案まで可決した、という、30年以上前の軍事独裁政権時代にタイムスリップしたかのような状況なのだ。南は「自由と民主主義の大韓民国」を標榜しながらも、北に少しでも肩入れするような奴は絶対に許さず、与野党、保守・進歩メディア、官民一体になって集団リンチという、実態は旧態依然の反共ファシズム体制そのままである事を世界中に曝け出した。ニューヨークタイムズにまでも取り上げられるほどである。それに対して北は、南の「国歌」「国旗」を許容するという。これを今の時点で第3国の目から見たらどう映るだろう。「何だ。北は南の国旗・国歌まで容認したのに、南の方は相手の事を一切認めようとしない狭量でひどいファシズムじゃないのか」という事になるではないか。
韓国政界では与党セヌリ党はもちろん、それに馴れ合う野党の民主党や正義党も「国家保安法&米軍駐留体制」を容認してナアナアで済まそうとしている(日本の野党の大部分が明文・解釈問わず改憲になびいているのとほぼ同じ)中、それにしつこく反対する統合進歩党(旧・民主労働党)は少数政党ながらも一番煙たがられていた。それで今回の「内乱陰謀嫌疑」でやられる事になった訳である。
今回の「李石基・統合進歩党事件」、朴槿恵にしてみればウザい「アカ・従北派」を親父の手法に倣って一掃したつもりだろうが、今は60年代・70年代ではない。国際ニュースにこの話が載れば笑い者になるだけだ。何よりも憎き北がそれを利用しないはずがない。北が今度の重量挙げ大会で南の愛国歌と太極旗を認めたのは、明らかに南の「アカ・従北狩り」風潮を意識してのものだろう。朴槿恵政権は国内政治にかまけて、国際外交では墓穴を掘ったのだ。実際今の韓国では極右団体が北の共和国旗を焼くようなデモを連日繰り返しており、これを並べて見れば外国の反応は決定的だろう。「朝鮮民主主義人民共和国では南の国旗を尊重しているのに、大韓民国では北の国旗を焼き討ちしている」と。恥をかいたのは南なのだ。
一方、北が南の「国旗・国歌」を許容したのはもう一つ別の理由がある。それは北がかつての経済難や飢饉を脱し、核や長距離ミサイルの開発をかなり成功させたことで相当な自信をつけた事による精神的余裕だろう。最近、中国朝鮮族や在米韓国人らの訪朝旅行記などを読むと、そうした意識の高揚が官民問わず高まっているらしい。「核武装したおかげで、もうアメリカの侵略に怯えなくていいんだ。これからは生活向上と経済開発に専念出来る」と、朝鮮の民衆達は異口同音に言うという。2006年に朝鮮では徴兵制を撤廃して兵役を志願制に切り替えたが、これはそうした延長線上にあるだろう。80年代には大規模な韓米合同軍事訓練が起こる度に、国民を総動員して厳戒態勢に入っては工場や農村の生産活動停止を強いられ、それが90年代の飢饉・経済危機の遠因になった。それはもう過去の話であり、朝鮮の民衆の多くが携帯電話やパソコンを使うに至り、「中国製品は信用出来ない。やっぱり国産品だ」と平壌市民が語るのが2013年8月現在の朝鮮民主主義人民共和国の現状なのだという。だがそれらの詳しい話はまたこの次に…。
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