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金大中と盧武鉉の「元側近衆」はもう壊滅状態 金根植篇

今まで何人もの金大中・盧武鉉の「元側近衆」の妄言や醜態を批判してきたが、もう一人指摘しておきたい輩がいる。韓国慶南大学教授の金根植(キム・グンシッ 김근식)だ。日本での知名度はそれほどでもないが、向こうでは進歩陣営における北の専門家として奮っている論客であり、その研究成果は金大中・盧武鉉政権の太陽政策にも大きく寄与した。また、金根植は2007年の第2次南北首脳会談には特別随行員として盧武鉉に同行しており、金正日とも会っている。こうした経歴だけを聞くといかにも「平和統一運動の代表的な学者」のようなイメージを受けるが、最近のこの男の発言は目も当てられない。他の金・盧大統領元側近衆に決して引けを取らない無残さである。

http://news.kbs.co.kr/news/NewsView.do?SEARCH_NEWS_CODE=2887895&ref=A
保守は抱擁基調を認定、進歩は吸収統一認定せねば(韓国語記事 以下翻訳抜粋)
2014.07.04

今日の討論会で慶南大政治外交学科の金根植教授は、保守は抱擁基調の正当性を認定して進歩もやはり平和的な吸収統一の現実性を認定してこそ不必要な南内部の対立を解消出来ると主張しました。

へ? 何それ? この人はっきり言い切っちゃってるよ。「進歩は吸収統一認定せねば」「吸収統一の現実性」だって…。駄目だこりゃ。金大中と盧武鉉の遺志はどこへ行ったの? 「吸収統一は目指さないし、朝鮮半島には合わない」って言ってた金大中の顔にここまで泥を塗ってへーちゃらな顔してるんだから、実にいい根性してる。

金根植は第1次首脳会談(2000年)の頃には吸収統一をきっぱりと否定しており、当時の「統一ニュース」紙上で当時野党のハンナラ党総裁だった李会昌が吸収統一に傾きすぎている事を批判していたぐらいだったが、それが今や自分から積極的に吸収統一を推進している。この男が吸収統一の否定から肯定に転向したのは2010年暮れで、「南北の力の差を考えたら、南が北を吸収する方式を考えない訳にはいかない」「北が崩壊するような急変事態も考え得る」という事を言い出し始めて、中央日報などの保守派メディアでも結構取り上げられた。2010年と言えば天安艦事件を受けて北との交流・協力を全面中断(開城工団除く)した5.24措置が行われ、李明博政権下で南北対立が最高潮に達した年ではなかったか。南でも平和統一運動が一番打撃を受けた風当たりの強い時期だったが、その真っ最中に「敵」と妥協して早々に吸収統一容認とか、お調子者・機会主義にも程があるだろう。金根植は学生時代に民主化運動で民族解放派(いわゆるNL系列)のバリバリの理論家として活動していた人間だが、それが今やこれである。これではまるで「親日派→左翼の南労党→仲間を売って反共軍人に転身」した朴槿恵の親父並みではないか(笑)。
ちなみに南の平和統一運動や進歩派の世界ではそれまで吸収統一を主張するのは大きなタブーだった。今は全く見る影もないが、かつて3.11以前に日本の左派や市民運動で日の丸・君が代がタブーだったのと同じである。北の政権を(どのような形であれ)打倒・崩壊させて併合・吸収統一というのは、それこそ極右・反共・軍事独裁勢力の路線だったからだ。ところがその平和統一運動の大きな禁句をあっさり破りやがったのが、「かつて民主化闘争ではバリバリのNL派理論家で、太陽政策に大きな影響を与え、盧武鉉に随行して金正日にまで会った事のある進歩派教授」金根植である。これほど酷い裏切り・転向はない。この男は、日本で言えば反原発運動や反差別運動の現場に右翼や日の丸を呼び込んだロフトプラスワン店長や反原連・野間一派並みの許し難いA級戦犯である。韓国でもまた「右も左もない」がどれだけ酷い社会的害悪を垂れ流しているかが良く分かる。

李明博・朴槿恵時代を通じて猛威を振るった(振るっている)対決主義政策のせいで、南北関係の良かったいわゆる「6.15時代」の成果がほとんどパーになり、その間に平和統一運動の陣営からも少なからぬ「離脱者・転向者・本性露呈者」が出た。しかもこれまで見てきたように、丁世鉉や金根植のような太陽政策の指導級人物ほどその脱落ぶりが酷過ぎる。大将達が真っ先に白旗掲げて右翼の吸収統一や対北対決主義に迎合しているのだから、これでは下っ端の真面目な活動家や人道支援団体ほど右往左往せざるを得ないだろう。つまり今の南における平和統一運動というのは、李承晩がトップだった頃の大韓臨時政府みたいな状態という訳だ。
金・盧政権時代に長官職や大統領アドバイザーなどを務めた「側近衆」達、林東源・李鍾奭・丁世鉉・鄭東泳・金根植・文正仁らというのは、

1)最初はまだある程度金・盧大統領の政策に共感してそれに仕えたが、後に情勢の悪化に伴って「現状追認・追従」に心変わりした。
2)最初から北を見下していて吸収統一が本音だったが、地位や権力欲しさに金・盧大統領に面従腹背で従い、今になって本性を露呈した。

かのいずれかに過ぎない事が誰の目にも明らかになったと思う。
この手の連中は自分らの吸収統一論が「現実的」だと言い張るが、そんな事は全くない。南の対北経済協力は途絶えて久しく、今や北では中国はもちろん、ロシア・モンゴル・エジプトなど多くの国と経済協力事業を活発に行っている状態である。今仮に5.24措置を解除して南の企業や経済団体が入っていっても、こうした国々と競争してより良い条件を提示しなければならないのだ。「大規模な経済支援して、それで北を東ドイツのように隷属させる」などという丁世鉉のドイツ式吸収統一策などとうの昔に空論化している。北の政権は依然として民衆をがっちりと掌握しており、ソ連や東欧諸国のような内部崩壊の兆候など欠片も見当たらないし、それをNATOがシリアやリビアでやったような軍事力や政治工作で崩壊させようとしたら恐ろしい結果を招くだろう。おまけに共和国はシリアやリビアと違って核保有国だよ。こいつら本気で核保有国相手に喧嘩を売るつもりなのか? はっきり言って、(平和的であろうとなかろうと)吸収統一ほど非現実的な統一方策はないのである。我こそ一番の現実主義者と思い込んでいる奴ほど、実は一番空理空論のしょうもない妄想家に過ぎなかったというのはよくある喜劇だが、金根植らはまさに典型例だろう。吸収統一を否定し、南北関係を改善して平和を築く事こそ実は最も現実的な統一への道だったのだが、旧太陽政策派の連中はそうした真の現実的手法ばかりか理想すら投げ捨てて吸収統一という邪悪な個人的野欲と妄想の世界にイってしまったという事だ。

連中は今の朝鮮半島がどういう時代かまるで分かっていないのだと思う。重要な事を指摘しておきたいが、今の朝鮮半島は新たな段階の体制競争の最中なのである。かつて冷戦時代に南北朝鮮は熾烈な体制競争を繰り広げ、それは90年代に北が深刻な経済危機に陥った事で終焉を迎えたというのが多くの人々の認識のようだ。その後南北和解と協力の「6.15時代」を迎えたが、それが南の李明博政権になって崩壊し、今の「新・体制競争時代」に突入した。正確には2010年の5.24措置をきっかけに南北朝鮮はこの「新・体制競争時代」に入ったと言える。もちろん好ましい事ではない。だが南の多くの人間達(日本でもそうだが)は「体制競争は南の勝利に終わった」という金泳三的な90年代思考に依然としてとらわれており、今や時代が変わって自分達はまた北との競争に突入したんだという自覚すらないように見える。しかも現状は、経済的に遅れを取った北が新体制の金正恩政権下で猛烈な勢いで追撃を掛けている最中なのだ。南の極右反共勢力の対北対決主義というのは一言で言って、北の現実を無視して卑下と軽蔑の宣伝を自国民に垂れ流すという観念論的妄想主義でしかない。「北では餓死者がそこら中に転がっている」という類の話を依然として言い続けているのだ。「敵を知り己を知れば…」という孫子のような発想は欠片もない。それに迎合して吸収統一に傾倒する連中もまたどれだけオツムが劣化したか分かるというものではないか。

南の平和統一運動がとりあえずやらねばならないのは、臨時政府が李承晩を追い出して再生を図ったように、金根植や丁世鉉らの腐り切った旧太陽政策指導者どもを放逐する事であろう。あいつらこそ妄想主義のニューライトと一緒になるべきなのだ。実際には難しいだろうが…。

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笑傲統一 소오통일

「笑傲統一 소오통일」
今は「統一」を傲然と笑い飛ばすべき時代

朝鮮半島の統一はいつかは成し遂げられねばならない。が、今はまだその時期ではない。特に今の南で言われている「統一論」は保守・進歩を問わず最低な中身ばかりで、文字通りお話にならないからだ。それらの中身を要約すると「韓国の経済成長の為に北(具体的には地下資源や安い労働力など)を吸収して統一せねばならない」というひたすら経済発展・銭勘定の事しか頭にない、金の亡者根性が爆発した強欲の権化そのものである。ニューライト大統領の朴槿恵から金大中・慮武鉉時代の長官だった丁世鉉らに至るまで、その辺はことごとく一緒だ。要するに今の南は帝国主義国家の植民地侵略目線で統一を語っているのである。
南が北を吸収統一すれば、北の人間も豊かに暮らせるのだと連中は言う。だが今の大韓民国とはどういう国なのか? 国家経済のほとんどを少数の大財閥が独占し、民衆は新自由主義政策の下で低賃金・長時間労働に縛り付けられるという体制ではないか。「南主導で吸収統一」というのは、そうした新自由主義を「植民地化した北」にも押し付けるという事に他ならない。さらに多くの者が忘れているようだが、朝鮮民主主義人民共和国は依然として無償医療・無償教育を堅持している国である。それ以外の電気代や水道代といった公共費用も極めて廉価であり、これらだけはどんなに国家経済が逼迫しても何とか死守してきた(だからこそ民衆も現在の朝鮮労働党政権にある程度の信頼を維持してきた)。もし南主導で吸収統一したらそれらはどうするのか、という事をまともに答えた韓国人を見た事がない。それでいて南の現状は医療民営化推進など、福祉を切り捨てる方向へ突っ走っているのだから笑止である。
今の南主導で吸収統一した所で、北の資源や土地や公共施設といった富を南の財閥が独占的に接収して儲けるだけであり、北はもちろん南の民衆も統一の恩恵に預かる事は決してない。旧東欧共産主義諸国が冷戦終結後にたどったのと同じ展開だ。そんな「統一韓国の経済発展」をしてどうするというのか? 有害無益の極みである。

また、軍事問題でも恐ろしい事が起こるだろう。統一すれば南北の対峙がなくなって軍事費も減るとよく言われるが、これほどデタラメな話はない。南主導の統一をした「統一韓国」は間違いなく分断時代よりも軍事費がかつての南北合わせたものより増えるだろう。第1に中国やロシアとの軍事的緊張が高まる(現在朝鮮と中露が定めている国境条約を、「将来の南主導の統一韓国(仮)」は認めない可能性が高く、国境紛争発生の可能性が高い。その時は日本もアメリカも韓国の肩を持つふりして紛争を煽るのではないか)という事。第2に米軍基地が北の地域にも増設される可能性が高いという事。第3にPKO派兵や対テロ戦争・人道的軍事介入といった海外武力行使が激増するだろうという事だ。特に第3の海外への武力行使はあまり多くの人間が危機感を持っていないようだが、南主導で朝鮮半島が統一されたらこれは間違いなく激増する。今の韓国がどれだけPKO派兵に熱心な国である事か! 日本が1992年にカンボジアPKOで戦後初の軍隊派兵を行った時、韓国ではこれに猛烈な反対世論が沸き起こった。が、翌93年になるとこうした反発は嘘のように消えてしまう。1993年に韓国もPKO海外派兵(ソマリア)を開始したからである。以後韓国は現在に至るまで16カ国延べ5000人のPKOを派兵してきたと言えば驚くだろうか。韓国のPKO狂奔度は実に日本といい勝負である。植民地支配を体験した国として道義的に絶対やってはいけない軍事行動(ソマリアの今の混乱の根源はイギリスやイタリアの植民地支配ではなかったのか)を今までさんざんやり続けてきたのが大韓民国という国だ。さらに言えば日本はそれの極めて近しいパートナーだ。先日の南スーダンPKOの実弾提供問題に見られるように、PKOの分野でも韓日の軍事一体化は年々深まっている。南によって朝鮮半島が統一された場合、韓国は日米と一緒に何の気兼ねもなく第3世界への侵略と武力介入に乗り出す事だけは間違いない。つまり統一後のドイツと同じような道をたどるという事だ。朝鮮民族は古来「他民族から侵略された事はあっても、他民族を侵略した事はない」という事を誇りにしてきたが、南に関して言えば今の大統領の親父である朴正熙がベトナム戦争でこれを破った。その後の歴代政権(セヌリ党・民主党いずれの政権問わず)もPKOやイラク派兵(これは慮武鉉時代だった)などを続けて恥の上塗りを重ね、民族的矜持を貶め続けてきたのである。このような国に民族的正当性などあろうはずもなく、これによって統一された国が日米と一緒になってどれだけ第3世界に厄災を撒き散らすか分かったものではない。南主導による「統一韓国」は日本と一緒に手を組んで恐ろしい「プチ帝国主義国家」になる可能性が極めて高い、と言うかそうした未来像しか考えれらないのだが。

こうした諸問題はちょっと考えれば分かるはずなのだが、今の韓国では不思議な事に誰も指摘しない。ひたすら「自由民主主義体制で近いうちに統一」「統一大チャンス」「南よりも勝る所が一つもない北」といった醜悪で好戦的な銭勘定や自画自賛妄言ばかりを繰り返している。朴槿恵も丁世鉉も自分らの主張する方策で統一をしたとして、その後国家保安法をどうするのかという事を今まで一度も語った事がない。南主導の統一を仮にしたとして、その時の政権がセヌリ党だろうと民主党だろうと、連中は決して国家保安法を手放す気はないという事だ。これだけ権力者にとって便利な民衆弾圧法、それも日帝が植民地時代に残した置き土産(旧治安維持法)を「統一韓国」は引き続き悪用し続ける。と言うより、第3世界への武力介入を行う亜流帝国主義・戦争国家になれば、国内の反戦平和運動を押さえ込む為にもますます国家保安法を重宝して手放せなくなるのは当たり前だ。アメリカの愛国者法しかり、日本の特定秘密法や共謀罪(予定)しかり。シリアやリビアなど第3世界への介入が目立つドイツでも、最近は国内で反原発や反戦運動への実力行使弾圧が激しくなっていると聞くが…。

少なくともはっきりしているのは、今の大韓民国には民族の統一国家を担う資格も能力もないという事だ。自国の新自由主義政策や無用な自然破壊工事・国家保安法・PKOはじめとする海外派兵などといった事を改めもせずに何の統一か。全くもって笑止であり、今の南で語られている「統一論」はセヌリ党系・民主党(今は新政治民主連合だが)系問わず全て屁のような戯言に過ぎない。そもそも「南は北よりも経済的に圧倒しているばかりか、全てにおいて勝る」というなら、どうして北と「統一」する必要があるのか? 貧乏臭い北の事など捨て置いて、南だけ独立独歩で繁栄を享受すれば済む話ではないか。本当に南の優位を主張するならば行き着く先は「統一不要論」にしかならないはずである。それなのにわざわざ連中が「統一」をあざとく語るのは果てしのない強欲、それも帝国主義的野欲に取り付かれているからだ。決して民族・民衆の為ではない。
民族運動・統一運動の世界で度々言われてきた「いかなる事があろうとも、統一は分断よりも勝る」という言葉を筆者は否定する。分断体制にすらはるかに劣る「悪しき統一」は確実に存在し、それが今の南(特に朴槿恵政権以降)では与野党問わず主流統一論になってしまっているからだ。今の南では、その「分断体制論」を唱えたはずの白楽晴自身が、分断体制の生んだ最も悪しき社会的リンチである「従北狩り」に擦り寄っている状況である。

繰り返すが、今の南で言われている統一論の中身とは「帝国主義国家の植民地侵略論」そのものでしかない。筆者はこうした朴槿恵や丁世鉉らの邪悪な野欲でしかない「植民地侵略型統一」を断固拒否する。こうした「悪しき統一」を傲然と笑い飛ばして拒絶し、真に民族の為の「良き統一」だけを目指さねばならない。米軍基地・国家保安法・海外派兵・他民族侵略・新自由主義・整理解雇・自然破壊なき統一を見てみたいと思わないだろうか? 

此度の日朝交渉、とりあえずこれだけは読んどきましょう

日本の独自制裁一部解除という事になりそうだが、元より日本の制裁が朝鮮民主主義人民共和国に与えた経済的ダメージ自体はそれほど大きくなかった(向こうとの往来などに制限が課された在日社会には色々と大きなダメージがあったが)。日本と共和国の間の貿易額など元より高が知れたものであったし。それよりも日本が国連やアメリカの制裁をも飛び越えてこうした独自の「有事・戦争法制」を成立させた事にこそ、当時としては大きな意味合いがあったのである。今はそれの上を行く集団的自衛権行使も閣議決定され、朝鮮への独自制裁の持つ意味合いが薄れた以上、それの一部解除くらいは日本にとって屁でもない。その程度の「成果」の為に「全ての機関を調査出来る権限を持った調査委員会」を日本の公安警察まで外交交渉の場に引き込んで確認させる、すなわち国の主権に干渉させた事は間違いなく将来大きな禍根を残す事になるだろう。朝鮮側にとって何の実利もないその程度の制裁解除の為にそこまで譲歩した姿は、1905年の乙巳勒約(을사륵약)を想起させる。

とりあえず一つの記事を御紹介しておきたい。これは2000年秋、つまり南北首脳会談が行われて間もなく、2002年小泉訪朝の2年前に当時ハンギョレ日本特派員であった韓承東が書いたものだ。日本という国の歴史認識とそのアジア支配戦略を当時これほどまでに鋭く看破していた。

http://www.pssp.org/bbs/view.php?board=journal&category1=10&nid=348
社会進歩連帯機関紙 季刊社会運動 2000.10.9号より
朝日修交協議を通して見た日本の東アジア支配戦略
韓承東 ハンギョレ新聞東京特派員(韓国語記事)

あの頃は首脳会談で南北関係も好転し、朝日関係もその流れで良くなるだろうという見通しが、在日社会にも南の民主勢力・平和統一運動にも支配的だったと記憶している。だが、それは甘っちょろい幻想に過ぎなかったというのを、2年後の小泉訪朝と続く日本の拉致・北朝鮮バッシングフィーバーで思い知らされる事になった。今もまた当時と同じく「安倍は本気で関係改善に乗り出している」「金正恩は本気だ」「東アジアの秩序が大きく変化する」という甘い話がまことしやかに囁かれている。だがこの記事内容と現在進行中の集団的自衛権行使容認の有様を見ても分かるように、日本の考えというのは2002年当時と何の変化もないどころか、もっと凶悪になっている事を痛感させられるだろう。朝鮮側も国交正常化を急ぐあまりに無理な手を打っている事から、やはり12年前の教訓から学んでおらず変化が見られない。この記事を読むと、とても14年前のものと思えない所に戦慄させられるだろう。このままではまた朝鮮側は一方的に日本側に騙されて終わるのではないか。
韓承東という記者も今はナマクラだが、14年前はこのようにかなり鋭い事を言っていた。
とりあえず読める人だけ原文でまずはお読みいただければと思う。日本語訳はまた後で公開したい。

南にとっても日本にとっても朝鮮民主主義人民共和国は「消滅すべき国」

5月12日に韓国の国防部スポークスマンが「北は消滅すべき国」という妄言を吐いた。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014051200317
「北朝鮮はなくなるべき国」=韓国国防省報道官が公言
【ソウル時事】韓国国防省報道官は12日の記者会見で、北朝鮮について「いつもうそをつき、歴史に逆行したことを言う本当にあり得ない国だ。早くなくなるべきだ」と述べた。

 韓国メディアが北朝鮮の主張に惑わされないでほしいという文脈での発言だが、韓国政府の報道官が公に北朝鮮崩壊を願う発言をするのは極めて異例。
 報道官は「北朝鮮という国に人権、自由があるか。ただ1人(金正恩第1書記)を維持するために存在しているのではないか」と強調。メディアに対し「北朝鮮の言うことを、あまり意味があるように書かないでほしい」と要請した。(2014/05/12-11:56)

これは朴槿恵政権自体の対北認識が最もよく表れた発言だと思う。ドレスデンでの演説といい、「統一大チャンス論」といい、朴槿恵の思い描く統一論というのは完全な南主導の吸収統一なのだから、当然北が崩壊するかそれに近い状態にならなければ実現出来ない。南の執権者達はもう本音を隠すつもりもないのだろう。南にとって北とは一刻も早く消滅して欲しい国という事である。

一方、日朝協議を続けている日本はどうなのか。これについては2002年の小泉訪朝を裏方として準備した田中均に尋ねるのが一番だろう。株式会社日本総合研究所国際研究所の田中所長、日本にとって朝鮮とはどういう国なの?

http://www.asyura2.com/12/asia14/msg/705.html
田中均氏「日本も南北統一に反対するのは困難」[朝鮮日報]

「統一は、ある日突然訪れる…どのような国造りをするか、あらかじめ準備を」
 外務省で外務審議官(政務担当)を務め、2005年に退官した田中均(67)国際戦略研究所理事長が、本紙のインタビューに対し「日本や米国は基本的に、南北の統一、韓国が主導権を持った統一を歓迎するだろう。南北が統一したいというのに周辺国が反対するのは困難」と語った。

 先月9日に東京都港区の国際戦略研究所で本紙のインタビューに応じた田中理事長は「民族の統一とは、国際社会の価値から見て望ましいことなので、これに反対するということはあり得ない」として上記のように述べた。

 田中理事長は「もし日本が反対すれば、国際社会から強く非難される存在になり、孤立するだろう。一種の陰謀論として『日本は南北統一を嫌っている』と言うこともできるが、現実的にはそんなことはあり得ない」「統一は、計画してできることではない。突然起こるだろう。ある日不意に起こるかもしれない統一を想定し、どういう国造りをするか考えるべき」と語った。


「日本や米国は基本的に、南北の統一、韓国が主導権を持った統一を歓迎」なのだそうだ。もうお分かりだろう。韓国が主導権を持った統一というのはつまり朴槿恵の「南主導の吸収統一」と同じであり、当然北が消滅・崩壊してくれなければ実現しようもない。これは日本やアメリカといった国家の対朝鮮認識であると同時に、田中均個人の認識でもある。日本にとっても朝鮮は一刻も早く消滅して欲しい国なのだ。韓日の価値観は全く一緒である。統一後は「どういう国造りをするか」だって? そりゃ「日本にとって都合の良い統一韓国」だろう。田中均的には! 逆にもし北の主導による統一、あるいは南北が対等な立場で自主的な民族自決統一国家になろうとしたら、日本もアメリカも賛成するかい? その場合、日米は戦争してでも統一を妨害しようとするだろう。田中は戯言を言うな! 田中均のような食わせ物はいない。

また、田中均は韓国で出版された例の怪書(だが、ネタとしてはそれなりに重宝する宝庫)「日本は今何を考えているのか? 일본은 지금 무엇을 생각하는가?」所収のインタビューで「外交とは当初の頃から目的が変わってはいけない」というような事を言っており、小泉訪朝を準備していた頃から本音では「韓国が主導権を持った統一=北朝鮮は消滅すべき」を朝鮮半島外交の究極的な目標としていた事が分かる。田中は植民地支配と拉致問題を同時に清算しようという提案で金正日を説得したのだが、これらは全て甘言のエサに過ぎなかった事が今でははっきりした訳だ。結局小泉訪朝というのは、最初から植民地支配の清算はおろか国交正常化すらする気はなく、日本人拉致の認定や拉致被害者の帰国、朝鮮を揺さぶって圧力を掛けたり弱体化させる事だけが目的だったのだろう。その間日本が朝鮮に「見返り」として与えたのはわずかな食糧支援だけだった。それだけでこれだけの「成果」を上げさせたのだから、田中均は外交官として佐藤優の数万倍は有能だ。何よりも共和国に拉致を認めさせた事によって、日本人がそれまでわずかなりとも持っていた植民地支配の加害者意識をほぼ完全に帳消しさせる事に成功したのは大きかっただろう。日本の改憲や軍拡化・歴史歪曲教育にとってこれほど資するものはない。田中均ほどこの方面での「一等功臣」はいないだろう。この男を「売国奴」などと罵る日本人右翼がいるのは全く理解出来ない。右翼・タカ派の立場からすれば、日本人の朝鮮植民地支配に対する加害者意識や罪悪感をほぼ消滅させるのに成功した田中均ほどの大英雄はいないはずである。新しい歴史教科書をつくる会などがあれほど必死になっても出来なかった事を、田中均という一介の外交官(とそのバックアップをした小泉の存在も大きいが)がやってのけたのだから。あるいは自分らが長年やっても出来なかった事を田中という木っ端役人が成し遂げた事に対する、日本右翼どもの嫉妬なのかもしれないが…。
このように日本という国家にとって朝鮮は「消滅すべき国」であり、放っておいても旧東欧圏のように勝手に崩壊する、さもなければ日本自ら色々手を尽くしてでも崩壊させる対象としかみなしてないという事だ。日本の立場からすればどのみち遠からず滅びる(滅ぼす)べき国に、わざわざ経済協力(賠償にあらず!)の金を払ったり国交正常化する必要があるだろうか? 答ははっきりしていよう。「韓国が主導権を持った統一」をさせてやれば、どのみち北の資源やら何やらは日本やアメリカが濡れ手に粟で我が物に出来るのだから。これは日本が韓国を自分の属国とみなしているという事でもあるという事は指摘しておきたい。
とりあえず日本にとって重要なのは、再調査させて拉致に関する新しい情報を引き出す事である。それまで日本は総連本部のビル売却も一時停止させるし、ミサイル発射実験(もっとも今回のは射程がせいぜい500キロで日本本土には届ず、日本が騒ぐ理由は全くないのだが)があってもまだ我慢しているだろう。「見せ金」のエサとして独自制裁の一部解除くらいはするかもしれない。だがそこまでだ。再調査の結果が出て次第、情勢は一変する。またしても2002年のように「北朝鮮は嘘つき。北朝鮮を許すな」の大合唱が始まるだろう。日本が朝鮮にやるものなど何もない。あの国が崩壊してしまえば労せずに手に入るという考えなのだから。

日韓条約が「第2の李完用」ならば、平壌宣言は「第3の李完用」になるだろう。今回の北京での協議では日本側から公安関係者まで出席して、再調査がちゃんと行われるか確かめるというではないか。大阪の朝鮮学校に橋下を入れてしまった惨事を思い出してしまう。最悪の場合、今回の日朝協議が朝鮮民主主義人民共和国を将来的に「第2の庚戌国恥(1910年の植民地化)」に導く危険すらあるのではないかという予感すらする。

南も日本も、北を「消滅すべき国」としか考えていない。特に日本という国がどれだけ陰険毒辣な国かを、植民地支配していた大日本帝国の頃と全く変わらぬ極悪な国と考えて備えなければ己の身が危ういという事を、共和国の人々は決して忘れてはならないだろう。だって集団的自衛権行使容認だぜ、日本は。

※この記事は前回書いた朝鮮語記事
《독일식 흡수통일》주장하는 무리에 통일문화상 주는 바보멍청이
の一部内容を日本語にして加筆したものです。

少なくとも安倍・日本側に「負け」はない

悪い予感しかしない、というのはまさに今回の日朝協議(ストックホルム協議)だろう。拉致被害者の再調査で「電撃的合意」を見たそうだ。個人的な予測を言わせてもらうなら、今回の協議とそれによる再調査で朝鮮側が得るものは何もないだろう。経済協力などビタ一文入らないのではないか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140530-00000008-mai-int
<特定失踪者>「北朝鮮国内で生活」昨年、日本に伝達
毎日新聞 5月30日(金)7時15分配信
北朝鮮側が日本政府に昨年末、拉致された疑いのあるいわゆる「特定失踪者」が「北朝鮮国内で生活している」との情報を、複数のルートを通じて伝えていたことが明らかになった。複数の政府関係者が明らかにした。

 北朝鮮側は特定失踪者を帰国させることを検討しているとみられる。だが、北朝鮮側は「帰国させたところで、拉致問題に対する日本の厳しい世論は納得しないのではないか」との懸念も日本側に伝えており、日本の世論を慎重に見極める姿勢だという。

 政府は北朝鮮による再調査を通じ、特定失踪者の消息に加え、政府が認定した12人の拉致被害者の生存を確認したい考えだ。北朝鮮は「死亡8人、未入国4人」と主張している。


上記記事にもある通り、朝鮮側が恐れているのは2002年の小泉訪朝の再現である。拉致を正直に認めた結果、当初のシナリオに反して日本側の世論は猛反発して日朝関係は最悪の状態に陥り、もちろん平壌宣言の経済協力も全部パーになって今に至ったのだから。今後再調査をして仮に新しい拉致被害者の生死に関わる情報が出て来たとしよう。そうなれば、再び日本の世論を悪化させる結果になるのは目に見えている。日本政府もそうした世論を抑制させるような事は全くしないだろう。結果、またしても2002年の再現になって朝鮮側は何も得られずに終わる。日本側はそうした及び腰の朝鮮側の尻を叩く為に、今後は経済協力話や「調査結果を発表しても世論問題は大丈夫」という空手形を切る方向で説得にかかるのではないか。そうしたエサだけ見せて調査だけさせ、「特定失踪者」の帰国か少なくとも新情報だけでも得られればそれで安倍政権の「成果」になるのだから。そしてやっぱり日本の世論が猛反発してるから経済協力(と制裁解除)なんか出来ない、という「ただ食い作戦」が安倍のシナリオなのではないかと思う。再調査で新しい発見がなかったとしても、日本側はこれまで同様「北朝鮮側の不誠実な対応 by 石丸次郎」の一言でいくらでも国内世論向けの責任逃れが可能だから、結果がどう転んでも安倍がこの件で傷を受ける恐れは全くない。

再調査の結果がどうであれ、
日本側は朝鮮側に与えるものは何もなく(と言うか、最初から何もやるつもりはないだろう)、失うものもない。
朝鮮側は日本側から得るものは何もなく、失うものばかり。
という事になる。

したがって一部で言われている「今回の協議で韓米日の連携にヒビが入る」という懸念は全くの杞憂に終わるだろう。朴槿恵は沈没した旅客船と違い、大船に乗ったつもりで安心して良い(笑)。
当然、今回の件はまたしても在日朝鮮人への差別・抑圧を強める結果を招くだろう。「北朝鮮がこれまで否認していた新たな拉致被害者」「特定失踪者」が北朝鮮で生きていた(死んでいた)、という事になれば、また日本の右翼や橋下のような極右地方自治体首長が騒いで、それを口実に朝鮮学校への補助金差し止めや無償化除外、現代版皇民化教育押し付けなどの圧力・攻撃をさらに徹底して推進する方向へと走る。日本政府もそれを止めるどころか、煽り立てるような真似をするのは間違いない。これまでのように。
「あんな国に制裁解除や経済支援をするのか」という世論が沸きあがるのは目に見えているだろう。それに逆らってまで安倍が事を進めるとは思えない。それこそ磐石に見えた安倍政権の支持率を自ら粉砕する自殺行為だろう。

仮に天文学的少数の確率で日朝間の交渉が今後とも「順調」に進展したとしても、その場合は「日朝平壌宣言に則った国交正常化」が待っているのだ。南で朴正熙がやったのと同じ方式で、植民地支配責任を棚上げし、賠償や補償ではない、はした金の経済協力やら借款での手打ちという幕引きである。それはまさしく「第2の李完用 by 金鍾泌」そのものだ。
今回のストックホルム合意、どう展開してもロクな結果にならない事だけは間違いなく保証付きである。
その前に総連本部ビルの問題や制裁解除の時期などですでに朝日双方の見解に相当な食い違いが見られており

・朝鮮側発表 「特別調査委員会を作って調査を開始した時点で制裁解除。調査委員会は特別な権限を持つ」

・日本側発表 「省庁間の調整と必要な手続きを経ねばならず、朝鮮側の調査開始の動きを確認してから制裁解除がなされる。万景峰号は入港許可対象に含まれない。総連本部建物についても司法手続きが進行中なので政府は介入出来ず、合意条件に含まれない。調査委員会は全ての機関を調査出来る権限を持たねばならない

またしてもその前に空中分解する可能性も低くないが…。

金正恩はソンチン(선친 先親 朝鮮語で「亡父」の意)と同じ外交的失敗を2代に亘って繰り返すだろう。朝鮮民主主義人民共和国の対日外交の駄目っぷりは矯正しようがないのかもしれない。対日外交に限って言えば、むしろ朝鮮こそ「戦略的忍耐」をした方がまだマシなのではないか。少なくとも傷口を広げる事だけはないのだから。

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