「週刊金曜日」誌上で佐高信が福沢諭吉擁護及び、福沢批判の急先鋒である安川寿之輔への誹謗中傷を行った事に対して、安川本人や雁屋哲がそれに反論するというのがここ最近の号でありました。
で、最近知ったのですが。その雁屋哲原作による「日本人と天皇」は韓国でも出版されていたのですね。訳者は韓国の有名なアナーキストである金ウォンシッ氏。ウェブ上のレビューなどをいくつか読んでみるとそれなりに評価はされているようです。同書の日本語原書はいそっぷ社と講談社から出ていましたが現在は両方とも絶版となっていました。
韓国では8.15解放後も親日派残党が旧日本軍を思わせる軍事独裁体制を敷くなど、植民地時代の天皇制残滓が社会の隅々に悪影響を及ぼしていた側面があったので、韓国人読者には本書の「近代天皇制とは何か」というテーマが他人事ではなく自らの問題としても考えさせられたのでしょう。
もちろん本書にもいくつかの問題はあります。その一つとして本書では竹内好を「やむなく戦争協力させられた」かのように同情的に描いてますが、
実際の竹内が戦後もアジアに対する侵略主義や蔑視観を抱き続けた実態とは矛盾します。日本における戦争協力者の実像が誤って伝えられる危惧は大いにあるでしょう。その辺りはかなり気掛かりなのですが。
雁屋哲は韓国版序文を新たに書いているので、本が届いたら日本版との比較を含めて新たに述べてみたいと思います。
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