エジプトで民衆が蜂起して何日も経ち、アジアプレス一派はこのままこの件を無視し続けてほとぼりが冷めるのを待つのかと思った矢先に、やっと石丸次郎が重い口を開いてくれました。
http://twitter.com/ishimarujiro/status/33007705551544321
エジプトの民主化求める大デモの情報が北に入り、当局が影響懸念しているという報道がちらほらが出ている。だが、ほとんど影響はないだろうというのが私の見立て。まず、エジプトは北国民にとっては余りに遠い国。情報も携帯通じて入るのは微々たるものだろう。映像は当然遮断される。
で、発したコメントがこれだけかよ! さぞかしこの件を引き合いに出して北朝鮮の事をボロクソに罵るのかと思いきや、「影響はないだろう」ですか。何を言っているのやら。「遠い国」だろうと「影響」があろうとなかろうと、牽強付会・拡大解釈の強引な屁理屈で無理矢理北朝鮮攻撃に持って行くのがいつものアジアプレス&石丸次郎の得意技じゃありませんか(笑)。いつもの威勢の良さはどうした。大体「遠い国」というならミャンマーだって北朝鮮とは明らかに「遠い国」であり、今回の石丸の理屈で言えば「影響はない」でしょう。それを今までさんざんミャンマーの民主化運動を引き合いに出して北朝鮮を誹謗中傷してきた奴が何を言いますか。
親欧米・イスラエルの現エジプト・ムバラク政権が倒れそうなのが気に食わないだけというのがよく分かります。しかも今回の騒乱でIAEAの事務局長だったエルバラダイがやたらと目立ち、ムバラク後に政権を取るのではないかと言われて、石丸らも安心したのかもしれません。エルバラダイだって親欧米派の人間ですし、IAEAの事務局長としてイラク戦争を止められなかった事から、エジプト内外問わずアラブ・イスラム世界民衆の支持がどこまであるかは怪しいものでしょう。日本ではやたらと今回の蜂起で「エルバラダイはエジプト民衆運動のリーダー」扱いする報道が目立ちますが、これはかなり割り引いて考えるのが無難ではないでしょうか。何しろエルバラダイは「原子力エネルギーが軍事的に利用されるのを防ぎ、平和的に利用されるよう貢献」した(!)という理由で2005年にノーベル平和賞を受賞した人間ですからね。要するに上記エルバラダイのノーベル賞受賞理由を分かり易く「翻訳」すると以下のようになります。
「原子力の平和利用すなわち原子力発電推進に貢献して、青息吐息の原子力産業に貢献した」
将来、間違いなく原発や核廃棄物の事故による大惨事を引き起こす「貢献者」の一人になる事でしょう。それに実際の所を言うと、彼がノーベル賞を受賞したのはIAEA事務局長時代にとにかくマスコミに出まくって世界中に顔を売った事の方が大きいと言えます。彼は当時「国連事務総長よりマスコミに出る時間が多く、有名になった」と陰口を叩かれたものでした。本業である核不拡散の問題では正直ほとんど成果を上げられなかったのに、自己宣伝にかけては誰にも負けなかった、要するにそういうタイプの人間です。
一方で、長年アメリカに奉仕していたのがいざとなると手の平返したように冷たくされて見捨てられるのですから、ムバラクも哀れなものです。ムバラクも確実にかつての朴正煕やマルコス、サダム・フセインらの没落した親米政権と同じ運命をたどりつつあるでしょう。利用価値がなくなると簡単に見捨てられて、首を挿げ替えられる。
もしエルバラダイがエジプトの次期政権者になるとしたら、それこそかつて韓国で朴正煕が倒れた後に全斗煥が政権に就いたように、あるいは2009年に日本で自民党政権が倒れた後に民主党政権が成立した(笑)のと同じ結果になる危険があるので油断は出来ません。
案の定、早くもアメリカのメディアではエルバラダイを大々的に英雄視する報道が始まりました。早くもアメリカは彼を次の手駒として使う意志まんまんです。
戦士エルバラダイ「エジプトの暗黒」を語る
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/01/post-1939.php
この手の記事を見てると、アメリカが過去にさんざんムバラクを利用して甘い汁を吸った事はどこへ行ったのかと言いたくなるではありませんか。今回の民衆蜂起がなければアメリカはムバラクの息子への権力世襲さえ容認したはずです。ちなみに上記ニューズウィーク記事の「エルバラダイ独白」ではかつてのイギリス傀儡統治時代やそれに抵抗して独立を勝ち取ったナセル時代の事に一言も言及されていませんが、やはりナセルというのはそれだけ欧米(とその傀儡)にとって都合の悪い人間だったという事なのでしょうね。少なくともエルバラダイという人間が過去の植民地主義や、現在の先進国による貧困国の搾取・収奪といった問題に対して抵抗する気がない事だけはよく分かるんじゃないでしょうか。
こういう人間が次期エジプト政権を担いそうな情勢であれば、アジアプレスや石丸次郎の立場からすれば大変安心出来るでしょう。エジプトの事は忘れて、改めて北朝鮮攻撃に専念できます(笑)。
いずれにせよ、欧米やイスラエルに激しく挑戦し、社会主義政策で民衆の生活向上を期した英雄・ナセル亡き後、エジプトは長年悪い指導者ばかりが現れすぎました。その不幸を断ち切れるかどうかの大きな瀬戸際です。だからこそそれを考えるとやはり筆者は思うんですよ。
いくら何でも、エルバラダイはねえだろう、と…。
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