5月12日に韓国の国防部スポークスマンが「北は消滅すべき国」という妄言を吐いた。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014051200317
「北朝鮮はなくなるべき国」=韓国国防省報道官が公言
【ソウル時事】韓国国防省報道官は12日の記者会見で、北朝鮮について「いつもうそをつき、歴史に逆行したことを言う本当にあり得ない国だ。早くなくなるべきだ」と述べた。
韓国メディアが北朝鮮の主張に惑わされないでほしいという文脈での発言だが、韓国政府の報道官が公に北朝鮮崩壊を願う発言をするのは極めて異例。
報道官は「北朝鮮という国に人権、自由があるか。ただ1人(金正恩第1書記)を維持するために存在しているのではないか」と強調。メディアに対し「北朝鮮の言うことを、あまり意味があるように書かないでほしい」と要請した。(2014/05/12-11:56)
これは朴槿恵政権自体の対北認識が最もよく表れた発言だと思う。ドレスデンでの演説といい、「統一大チャンス論」といい、朴槿恵の思い描く統一論というのは完全な南主導の吸収統一なのだから、当然北が崩壊するかそれに近い状態にならなければ実現出来ない。南の執権者達はもう本音を隠すつもりもないのだろう。南にとって北とは一刻も早く消滅して欲しい国という事である。
一方、日朝協議を続けている日本はどうなのか。これについては2002年の小泉訪朝を裏方として準備した田中均に尋ねるのが一番だろう。株式会社日本総合研究所国際研究所の田中所長、日本にとって朝鮮とはどういう国なの?
http://www.asyura2.com/12/asia14/msg/705.html
田中均氏「日本も南北統一に反対するのは困難」[朝鮮日報]
「統一は、ある日突然訪れる…どのような国造りをするか、あらかじめ準備を」
外務省で外務審議官(政務担当)を務め、2005年に退官した田中均(67)国際戦略研究所理事長が、本紙のインタビューに対し「日本や米国は基本的に、南北の統一、韓国が主導権を持った統一を歓迎するだろう。南北が統一したいというのに周辺国が反対するのは困難」と語った。
先月9日に東京都港区の国際戦略研究所で本紙のインタビューに応じた田中理事長は「民族の統一とは、国際社会の価値から見て望ましいことなので、これに反対するということはあり得ない」として上記のように述べた。
田中理事長は「もし日本が反対すれば、国際社会から強く非難される存在になり、孤立するだろう。一種の陰謀論として『日本は南北統一を嫌っている』と言うこともできるが、現実的にはそんなことはあり得ない」「統一は、計画してできることではない。突然起こるだろう。ある日不意に起こるかもしれない統一を想定し、どういう国造りをするか考えるべき」と語った。
「日本や米国は基本的に、南北の統一、韓国が主導権を持った統一を歓迎」なのだそうだ。もうお分かりだろう。韓国が主導権を持った統一というのはつまり朴槿恵の「南主導の吸収統一」と同じであり、当然北が消滅・崩壊してくれなければ実現しようもない。これは日本やアメリカといった国家の対朝鮮認識であると同時に、田中均個人の認識でもある。日本にとっても朝鮮は一刻も早く消滅して欲しい国なのだ。韓日の価値観は全く一緒である。統一後は「どういう国造りをするか」だって? そりゃ「日本にとって都合の良い統一韓国」だろう。田中均的には! 逆にもし北の主導による統一、あるいは南北が対等な立場で自主的な民族自決統一国家になろうとしたら、日本もアメリカも賛成するかい? その場合、日米は戦争してでも統一を妨害しようとするだろう。田中は戯言を言うな! 田中均のような食わせ物はいない。
また、田中均は韓国で出版された例の怪書(だが、ネタとしてはそれなりに重宝する宝庫)「日本は今何を考えているのか? 일본은 지금 무엇을 생각하는가?」所収のインタビューで「外交とは当初の頃から目的が変わってはいけない」というような事を言っており、小泉訪朝を準備していた頃から本音では「韓国が主導権を持った統一=北朝鮮は消滅すべき」を朝鮮半島外交の究極的な目標としていた事が分かる。田中は植民地支配と拉致問題を同時に清算しようという提案で金正日を説得したのだが、これらは全て甘言のエサに過ぎなかった事が今でははっきりした訳だ。結局小泉訪朝というのは、最初から植民地支配の清算はおろか国交正常化すらする気はなく、日本人拉致の認定や拉致被害者の帰国、朝鮮を揺さぶって圧力を掛けたり弱体化させる事だけが目的だったのだろう。その間日本が朝鮮に「見返り」として与えたのはわずかな食糧支援だけだった。それだけでこれだけの「成果」を上げさせたのだから、田中均は外交官として佐藤優の数万倍は有能だ。何よりも共和国に拉致を認めさせた事によって、日本人がそれまでわずかなりとも持っていた植民地支配の加害者意識をほぼ完全に帳消しさせる事に成功したのは大きかっただろう。日本の改憲や軍拡化・歴史歪曲教育にとってこれほど資するものはない。田中均ほどこの方面での「一等功臣」はいないだろう。この男を「売国奴」などと罵る日本人右翼がいるのは全く理解出来ない。右翼・タカ派の立場からすれば、日本人の朝鮮植民地支配に対する加害者意識や罪悪感をほぼ消滅させるのに成功した田中均ほどの大英雄はいないはずである。新しい歴史教科書をつくる会などがあれほど必死になっても出来なかった事を、田中均という一介の外交官(とそのバックアップをした小泉の存在も大きいが)がやってのけたのだから。あるいは自分らが長年やっても出来なかった事を田中という木っ端役人が成し遂げた事に対する、日本右翼どもの嫉妬なのかもしれないが…。
このように日本という国家にとって朝鮮は「消滅すべき国」であり、放っておいても旧東欧圏のように勝手に崩壊する、さもなければ日本自ら色々手を尽くしてでも崩壊させる対象としかみなしてないという事だ。日本の立場からすればどのみち遠からず滅びる(滅ぼす)べき国に、わざわざ経済協力(賠償にあらず!)の金を払ったり国交正常化する必要があるだろうか? 答ははっきりしていよう。「韓国が主導権を持った統一」をさせてやれば、どのみち北の資源やら何やらは日本やアメリカが濡れ手に粟で我が物に出来るのだから。これは日本が韓国を自分の属国とみなしているという事でもあるという事は指摘しておきたい。
とりあえず日本にとって重要なのは、再調査させて拉致に関する新しい情報を引き出す事である。それまで日本は総連本部のビル売却も一時停止させるし、ミサイル発射実験(もっとも今回のは射程がせいぜい500キロで日本本土には届ず、日本が騒ぐ理由は全くないのだが)があってもまだ我慢しているだろう。「見せ金」のエサとして独自制裁の一部解除くらいはするかもしれない。だがそこまでだ。再調査の結果が出て次第、情勢は一変する。またしても2002年のように「北朝鮮は嘘つき。北朝鮮を許すな」の大合唱が始まるだろう。日本が朝鮮にやるものなど何もない。あの国が崩壊してしまえば労せずに手に入るという考えなのだから。
日韓条約が「第2の李完用」ならば、平壌宣言は「第3の李完用」になるだろう。今回の北京での協議では日本側から公安関係者まで出席して、再調査がちゃんと行われるか確かめるというではないか。大阪の朝鮮学校に橋下を入れてしまった惨事を思い出してしまう。最悪の場合、今回の日朝協議が朝鮮民主主義人民共和国を将来的に「第2の庚戌国恥(1910年の植民地化)」に導く危険すらあるのではないかという予感すらする。
南も日本も、北を「消滅すべき国」としか考えていない。特に日本という国がどれだけ陰険毒辣な国かを、植民地支配していた大日本帝国の頃と全く変わらぬ極悪な国と考えて備えなければ己の身が危ういという事を、共和国の人々は決して忘れてはならないだろう。だって集団的自衛権行使容認だぜ、日本は。
※この記事は前回書いた朝鮮語記事
《독일식 흡수통일》주장하는 무리에 통일문화상 주는 바보멍청이
の一部内容を日本語にして加筆したものです。
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