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大韓民国次期大統領選有力候補・金武星曰く

このまま行けば韓国では2017年に次期大統領選挙が行われる。現時点でその有力候補の一人とされているのが、セヌリ党代表の金武星(김무성 キム・ムソン)という男だ。この男が最近大学生相手にタウンミーティングをやったのだが、そこでとんでもない問題発言をした。このタウンミーティングでは大学生がアルバイト先で不当な処遇を受けた事が多いという設問調査のネタがふられ、それに対して金武星曰く。

http://www.vop.co.kr/A00000830581.html
金武星「不当なアルバイト処遇、一生懸命やるべきで方法はない

セヌリ党の金武星代表は26日、不当なアルバイト処遇に対して「人生には良い経験だと思って一生懸命やらなければならない。方法はないと語った。

彼は「若くしてそうした苦労をする事も、これから社会生活をする助けになると思う」とし「人生とは苦難の連続だ。みなさんも若くて体が健康で能力になる時期にアルバイトして苦労するのを、良い薬と思って楽しい気持ちで(せよ)」と強調した。

続けて「アルバイトを探しに行って、そうした人(悪徳業者)でないか見分ける能力を育てねばならない」とし「不当な待遇を受けた時に相手の気分を害さないように説得し、悪い考えを変えさせる事もみなさんの能力」だと語った。


韓国の進歩派メディアの中では、大手四大紙と違って結構骨があると言われている「民衆の声」の記事を翻訳抜粋した(もちろんここも完璧ではなく、以前に安田浩一のインタビューが載るなど変な記事が稀に出る事もあるが、全体的にハンギョレや京郷やプレシアンよりははるかにマシ)。
学生がアルバイトで不当な処遇を受けても「人生には良い経験」「方法はない」「良い薬と思って楽しい気持ちで」やれという、次期大統領選有力候補による実にありがたい「御高説」であった。与党代表国会議員によるブラック企業&不当労働行為の全面肯定とは凄まじい。日本の与党にもこんな議員が山ほどいると言うか、実際に不当労働行為の総本山みたいなブラック企業の会長自らが自民党の議員になっているのだから、まさに「日韓仲良くブラック企業と不当労働行為を正当化しようぜ」している訳だ。日韓仲良くしようぜ! 金武星とワタミも仲良くしようぜ!
今のままで行けばこいつと国連事務総長の潘基文(반기문 パン・ギムン)が2017年に大統領選挙で一騎打ちするという、朴槿恵政権よりももっと恐ろしい地獄絵図が展開されると言われている。

ブラック企業の不当労働行為を「人生には良い経験」「方法はない」「良い薬と思って楽しい気持ちで」の金武星。
アメリカによるシリア空爆を事実上容認して、シリア民衆虐殺のゴーサインを出した潘基文。

2017年の大統領選挙においても韓国には全く希望がないと言うか、2012年の選挙よりも悪くなる事がほぼ確定しているようだ。もっともまさかの「大穴予想」で、その間に朴槿恵が憲法改正して(親父のように)自分が終身政権をやろうとする可能性も否定出来ないが。統合進歩党の解散命令のように、最近の韓国憲法裁判所のザマを見ているとそういう事が起こっても決して不思議ではないだろう…。

ところがこの同じタウンミーティングを報じておきながら、この問題発言を一切取り上げなかった「進歩派メディア」がいる。それは京郷新聞で、ここの記事では「アルバイトの不当な処遇に方法はない」発言を全く書かなかったばかりか、まるで金武星の事をあたかも朴槿恵に対抗する希望の星のごとく報じてもいる。

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201412262200055&code=910402
金武星「私は高校時代に朴正熙独裁政権に抵抗した人間」

セヌリ党の金武星代表(63)が26日に自身の高校時代を回想し「当時は独裁政権下で抵抗したそんな時代だった為に、反政府デモや示威行為に私は多く参加した」と語った。金代表の高校時代(1967-1969年)である故朴正熙元大統領の執権第2期を「独裁政権」と規定した訳だ。朴槿恵大統領の亡父を独裁者と規定した事であり、青瓦台に対する不愉快な気持ちを表したのではないかという解析が出ている。

上記は京郷新聞の記事を翻訳抜粋したものである。最近金武星は朴槿恵の独走振りに不満だと言われているが、要するに京郷は金を朴に対抗する「駒」として必死に持ち上げようとしている、あるいは「次期大統領有力候補」へ露骨にゴマスリしている訳だ。重要な問題発言を一切報じず、金武星が若い頃に反政府デモへちょっと出た(そんな人間は当時いくらでもいる!)というくだらない自慢話を針小棒大に取り上げて、まるで金武星が朴槿恵に対抗出来る唯一の希望の星と言わんばかりである。ブラック企業の不当労働行為を「人生には良い経験」「方法はない」「良い薬と思って楽しい気持ちで」と言ってた奴が? そんな奴が仮に朴槿恵に取って代わったとして、何かいい事あんのかよ? 京郷新聞ってバカ? 
日本でも赤旗だの週刊金曜日だのが、安倍に対抗する腹積もりで他の自民党「リベラル」や長老(石破とか野中とか古賀とか)をやたら持ち上げたがるのとよく似ている。

金武星の不当労働行為正当化発言は、今韓国で起こっている様々な労働者達の抵抗運動を卑下する考えから出たものだろう。このタウンミーティングの最中にも多くの労働者が酷寒の中で絶望的なデモや抗議行動を繰り返し、それが警察による実力行使で妨げられている事を考えれば、金武星の発言はなおさら許し難い。それを批判するどころか、チョーチン記事で持ち上げようとする「進歩派メディア」はもっと許せないと思う。京郷の金武星礼賛は万死に値する。

もう一つ、金武星は今回のタウンミーティングでこうも言っている。上記京郷新聞より抜粋。

金代表は「(北は)『金日成エセ宗教』の国」だとし「自分達はエセ教主に騙された、という事を(住民達に)知らせれば北は倒れる。(政権維持の為に)核爆弾を開発して西側世界を恐喝し、飢えない程度の金をせしめようという事」だとして「北朝鮮崩壊論」を展開した。

典型的な南の保守・極右の対北観だろう。こいつが仮に大統領になっても南北関係を改善するどころか、今よりもっと悪化するのではないか。さらに付け加えると、金武星の親父は金龍周(創氏改名時の日本名:金田龍周)という日帝時代の企業家で、戦時総動員体制下で「朝鮮の若者は天皇陛下の為に聖戦に出よ」という演説をしまくった悪質親日派だった。親父が日帝時代に同胞を売って築いた財産で、金武星は国会議員になれたのである。朴槿恵と何も違わない。悪質親日派・金龍周のドラ息子が、抗日独立運動家の金日成を攻撃するという、まさに親日派の魂百までというやつだ。それもかなりレベルが低い。金日成の悪口言う前に、てめえの親父は何をやったんだという話だろう。おまけに金武星は教学社の教科書(日本の植民地支配を肯定した韓国のニューライト教科書)を「肯定的史観」と大絶賛しており、これまた朴槿恵と同じで蛙の子は蛙とばかりに親子2代に亘る代を継いだ親日派でもある。白楽晴とかもそうだけど、結局親日派の子もまた親日派になるってのが韓国の流行なんだろうか。本当に嫌になってくる。金武星にせよ朴槿恵にせよ、韓国の既得権層ってこんな連中ばっかりだ。
こんな議員を持ち上げる京郷新聞がどんだけ終わってるか、それが良く分かる出来事であった。

隣の芝生は青く見える。日本の報道人には今でも「韓国にはハンギョレ・京郷・オーマイニュース・プレシアンみたいな革新系メディアがあってうらやましい」などと言う者がいるそうだが、これら韓国進歩派メディアの実態は日本のそれと同等に腐敗し切っている。そうした幻想は捨て去って、自分が報道人としてどうすべきかを考えるべきだろう。

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