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韓国の「民主主義」とやらが名実共に消滅する日

韓国で統合進歩党の政党解散審判が12月19日に下される事になった。予想よりもはるかに早い宣告になったが、これはそれだけ解散命令が下される可能性が高い、すなわちヤバイ状況という事を意味していると思う。今回の審判は「政党活動の自由」を根本的に揺るがしかねないものであり、まともに審理しようと思ったら少なくとも数年はかかって然るべき性質のものだからだ。日本でも裁判官がロクに審議も公判もせず数日で「本件を棄却する」で終わらせる酷い裁判(特に権力や大資本を訴える裁判に多い)がたくさんあるが、統合進歩党の解散審判もそれに非常に近い。この審判で提出された資料はとてつもない量(約167000頁)なのだが、憲法裁判官達がそれにちゃんと目を通したかどうかも疑わしく、問答無用の解散命令を下す腹づもりではないのか。
韓国法務部がこの政党解散審判を請求したのは2013年11月5日であり、その時多くの法曹人はこの審判が長引くだろうと予想し、朴槿恵政権の任期中には終わらないのではないかという予想もあったほどだ。だが、それは政権がある程度まともだったり常識的な場合の話であって、今の朴槿恵政権にそんな常識的な展開を期待する方が間違っていたのだろう。親父の維新独裁時代とほとんど変わらない。
憲法裁判官は全部で9人おり、そのうち6人賛成すれば解散決定となる。この9人のうち与党や大統領に指名された者が実に5人、つまりこれらは解散賛成票を投じる事が100%確実な連中であり、残り4人(野党や与野合意、最高裁判長からの指名者)から1人でも解散賛成すればおしまいだ。そしてそうなる可能性が極めて高い。

仮に統合進歩党に解散命令が下った場合はどうなるのか。まず、命令が下されたその時から解散命令の効力が発生する。その瞬間に進歩党という政党は即座に「違憲政党」として消滅する事になるのだ。そして党の財産は全て国庫に没収、今後同じ名称の党を作る事が出来ないのはもちろん、類似した党を作る事も出来ない。つまり党の綱領や政策そのものが違憲となる訳だ。これは実に重大な意味を持っている。統合進歩党は国家保安法撤廃と駐韓米軍撤退を綱領に掲げている党であり、それらも全て「違憲」という事になるのだから。今後韓国で国家保安法と駐韓米軍に反対する事自体が「憲法違反」という、恐ろしくも実に馬鹿げた事態になるのである。大韓民国という国の国家体制が根本的に転換するか憲法が改正されない限りは、それがずっとだ。これがどれだけとんでもない事か、韓国でも日本でも気付いてない連中があまりに多い。
とりわけ「韓国と日本はアジアでただ二つの人権・民主主義先進国」とばかりにキモ過ぎる自画自賛をしてた変態的ナルシー集団「日韓知識人共同声明」の連中は今回の件をどう思っているのか。そもそも「知識人共同声明」系の連中は今回の件でほとんど何もしてないではないか。もちろんこの声明署名者の中には朝中東の保守三大紙はもちろん、2012年以降統合進歩党に対する「従北狩りキャンペーン」に狂奔したハンギョレ・京郷新聞・オーマイニュース・プレシアン(いわゆる「ハン京オプ」)といった進歩四大紙の代表者達も雁首を揃えていたのだから、進歩党の解散に本気で反対するはずもない。今日の事態に反対しなかったどころか、むしろ煽り立ててきた日韓のナルシー知識人達の罪は重いだろう。

一方でかつて進歩党から出て行った連中の集まりである正義党が何やら怪しげな動きを見せているが、この正義党というのは前にもちょっと書いたように日本で言えば「転び社会党」そのものと言って良い集団で、進歩政党どころか実際には左翼崩れの政治的ゴロツキ集団でしかない連中だ。ここの連中はかつて2012年の選挙では統合進歩党の比例で当選した議員が大半だったが、党の主導権を握れなかった為に「党内予備選挙が不正だった。執行部は従北だ」と言いがかりを付けて騒ぎを起こした(予備選挙の不正疑惑もでっち上げであり、むしろ騒ぎを起こした正義党系や柳時敏の旧参与党系の連中こそ不正をしていた事が後の調査で判明している。しかしながらハンギョレはじめとする韓国の大手進歩派メディアはこの事を完全に黙殺して今でも「統合進歩党執行部は党内予備選で不正をした」と書き続けている。ハンギョレやプレシアンは歴史修正主義どころか現在修正主義であろう)。これが今回の政党解散審判と李石基議員事件の発端となった「2012年統合進歩党事態」であり、それを韓国のマスコミは右の朝鮮日報から左のハンギョレまで魔女狩りのごとく「統合進歩党は有害な政党だ。従北だ」と連日社会的集団リンチし続けて今に至っている。
今の正義党の連中は、進歩党を脱党した後も議員職を維持する為(比例当選の議員が自分から離党する場合は議員辞職しなければならない)に、自分で自分を除名する「セルフ除名」(党によって除名された場合は議員職が維持される為、こういう形式を執った)という限りなく違法としか思えない詐欺的手口に訴えた。これだけでこの連中がインチキなのは明白だろう。この「セルフ除名」は今でも裁判が続いており、正義党側が負けたら該当議員達は辞職しなければならない。逆に統合進歩党が解散となればその必要もなくなるので、正義党にしてみれば統合進歩党が潰れてくれた方が都合が良いのである。正義党というのがいかに信用ならない政治ゴロ集団かが良く分かるだろう。それを抜きにしても、正義党は次の選挙では自力で当選者を出せず壊滅するのが確実な「泥舟」そのものであり、これに乗っかるのは何重にも間違っている。正義党のゴロツキどもがどうなろうと知った事ではないが、この連中が私利私欲の為に起こした騒動によって韓国の進歩政党が完全消滅する危機を作った罪は本当に万死に値する。

もちろん明日の解散が宣告されなければ良いが、そうでない可能性の方がはるかに高い。統合進歩党が解散させられる事になった場合、12月19日は大韓民国という国のほとんど形骸化した民主主義や政治的自由すら再び完全抹殺された日として記録される事になるだろう。時の大統領・朴槿恵、与党・セヌリ党、憲法裁判所の裁判官、事の発端を起こした正義党や柳時敏ら、そして従北キャンペーンに狂奔した保守・進歩を問わぬ報道機関達もまた全員その共犯者として歴史に記しておかねばならない。それほど民主化後の韓国にとって重大な事件になるという事だ。

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