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韓国の総選挙について

■セヌリ党と朴槿恵政権
言うまでもなく反北・親日の極右与党と政権。南北関係を李明博前政権からさらに悪化させ、開城工業団地の全面中断、北朝鮮人権法やテロ防止法の成立、史上最大規模の韓米軍事訓練と、戦争の危機を高めるだけ高めている。反面日本に対しては放射能汚染の危険が高い日本の食品や産業廃棄物(屑鉄や廃タイヤなど)をバンバン輸入推進して「食べて応援」「産業廃棄物を買って応援」まっしぐら。挙げ句が2015年末の日韓慰安婦合意…。こいつらどんだけ日本大好きなのか! 今の韓国は「アメリカの51番目の州」どころか、そのまた下である「日本の48番目の県」にしかなってないだろう。
韓国の総選挙(日本の「韓国県」県議会選挙?)でセヌリは負けた負けたと言われるがそれでも122議席も(韓国国会総議席数300)あり、おまけに朴槿恵(日本の「韓国県」知事?)の機嫌を損ねて選挙前に離党した無所属当選組(日本の郵政選挙の時の自民離脱組みたいなもん)を即復党させる事も決まったので、こいつらが依然として第1党を維持する事は変わらない。

■共に民主党
現在ここの臨時代表を務める金鍾仁は選挙少し前の今年2月に軍の視察に行き「いつか北が壊滅して統一」と発言して朝鮮民主主義人民共和国を挑発した。その前にも「国民生活に努力しなければ北は瓦解する」という発言をしている。非正規職だらけで世界一の自殺率に何の歯止めも果たせてない南の第一野党代表が、よくもここまでエラソーな事が言えるものだ。まさにおまえが言うなの極みだろう。おまけに金鍾仁は自分とこの議員達のフィリバスターを中止させてまで北朝鮮人権法やテロ防止法を採決させた。
加えて「帝国の慰安婦」の朴裕河が「スターダム」にのし上がる最大のきっかけは、盧武鉉政権が2006年に「和解のために」を文化観光部優秀図書に選定してやった事だという事を忘れてはいけない。前にも述べたが朴裕河は2012年の大統領選挙で文在寅を支持してもいる。反北・親日という点で共に民主党はセヌリとほとんど差異がない。これが「議会第1党(程なく2党になるが)」なのだという。
共に民主党は勝った勝ったと浮かれているが、金鍾仁と文在寅がいなければ実際にはもっと議席増えてたんじゃね? というのは公然の秘…。この二人は日本の民主党(民進党)で言えば前原とか長島とか松原とか、そういう「ポジション」だと言えば日本の人達には分かり易いだろうか。

■国民の党(安哲秀派)
ここの共同代表である安哲秀は2012年大統領選で6.15共同宣言の破棄など、朴槿恵よりも強硬な主張をした事がある。北が大嫌いな守旧反共主義者という点では朴槿恵・金鍾仁・文在寅らと全く違いはない。おまけに2015慰安婦合意を「問題はあるが評価」としている点も以前述べた。「第3党」がこれな訳だから、今後仮に国民の党が勢力をさらに伸ばしたり安哲秀が大統領になったとしても、南北関係の改善や慰安婦合意の破棄などは一切期待出来ない事だけは明らかである。元から安哲秀は「自分とこは民主より右」というふれこみで売り出してる訳だから。


こうした政党達が圧倒的なシェアで国会をジャックしたのが先の第20代韓国総選挙であった。上記三つの政党いずれも親米・親日・反共・反北・反労働者である事に変わりなく(日本のマスコミではよく民主党など野党を「北に親和的」と報じる事があるが、全くの間違い。そうした間違った知識を伝播させて商売してる元凶の一人が辺真一だろう)、これで韓国の政治や社会が何か変わるという事は、残念ながら期待薄であろう。共に民主党はフィリバスターを断念した時「議席が足りないから防げなかった」云々という言い訳をしていたが、じゃあセヌリが大幅に議席減らした今ならテロ防止法廃止法案を提出して当然破棄ですよね? でなきゃ詐欺だよ。まあ、無理だね。

結論:此度の韓国総選挙、韓国民衆の生活とは一切何の関係もなく、南北関係の改善や、ますます凶暴の度合いを増す日米の専横への歯止めにも全くならない、歴史の退歩だけをさらけ出した茶番劇である。セヌリが議席を減らして与野逆転した事だけに浮かれると大変な目に遭うだろう。朴槿恵という取るに足らない独裁者個人がレームダックしておしまい状態だからといって、何かが好転する訳ではない。今の韓国の状況は、日本で言うと1993年の細川連立政権成立時や2009年の民主党政権成立時に極めて似ている。当選した議員の面々を見ていると、南北関係や慰安婦問題に関して言えばむしろ選挙前よりも悪くなるんじゃないかという危惧が非常に大きい選挙結果だったと筆者は考える。

テロ防止法を破棄出来るの?
労働法改悪を阻止出来るの?
北朝鮮人権法を破棄出来るの?
南北関係改善や開城工団再開出来るの?
日本の放射能まみれな食品や産廃を輸入ストップ出来るの?
今の韓国は「遺伝子組み換え作物の壮大な人体実験場」と言われてるけど、それらを規制出来るの?
今の韓国で最大の環境破壊と言われている4大河川工事による水質汚染、原因であるダムをぶっ壊せるのか?
慰安婦合意を覆せるの?
済州島の海軍基地建設をストップ出来るの?
横暴を極める駐韓米軍をどうするの?
原発をいつまで動かし続ける訳?

これらが何一つ今回の選挙で争点にならなかったという事を思い出す必要がある。
何より油断ならないのは、少数与党になったセヌリは今や手負いの野獣という事だ。離党組の復党などまだ可愛いもので、今後は野党への弾圧を強めてくるだろう。選挙が終わって早速検察による選挙違反の摘発が始まっているらしいが、特に野党当選者への捜査だけが特別に厳しくなりそうな気配だ。特に今回の選挙では旧統合進歩党出身の無所属労働者候補が蔚山市で2人当選して、今回の選挙では数少ない朗報だったが、早速検察が選挙法違反容疑でその候補へのガサ入れに入った。これは明らかに嫌がらせ公安捜査と思われる。こういう事をこれから山ほどやってくるだろう。朴槿恵とセヌリ党は選挙に負けて縮み上がるどころか、ますます凶暴の度を増す可能性が高いという事は忠告しておきたい。



最後に別の話題ですが、転送歓迎なので宣伝をしておきます。ギリギリで恐縮ですが、お時間のある方はぜひ御来場を。

【出版記念セミナー】 鄭栄桓著『忘却のための「和解」 ――『帝国の慰安婦』と日本の責任』世織書房

 2014年から2015年、日韓を駆け抜けた『帝国の慰安婦』事態とは何か?
 この問いに正面から挑んだ著作・鄭栄桓『忘却のための「和解」『帝国の慰安婦』と日本の責任』(世織書房、2016年)が、この度世織書房より出版されました。在日朝鮮人史研究者の鄭氏は、『帝国の慰安婦』の問題点とその背景を検証し、日本軍「慰安婦」制度についての日本軍の責任の矮小化、被害者たちの「声」の恣意的な利用、日本の「戦後補償」への誤った根拠に基づく高い評価などの致命的な問題があるにもかかわらず、なぜ『帝国の慰安婦』はこれほどまでに絶賛されたのかについて考察し、日本の言論界の知的頽落について警鐘を鳴らしています。
 今回、同書の出版を記念して、著者とともに『帝国の慰安婦』事態の歴史的・思想的背景を探り、日本軍「慰安婦」問題の真の解決とは何かを考えるセミナーを開催いたします。評者には、日本の歴史修正主義言説への批判的検討を続けてきた能川元一さん、近代日本の公娼制の研究者であり、近年は日本人「慰安婦」についての先駆的な研究を発表されている小野沢あかねさん、朝鮮近代社会史研究の立場から植民地支配責任の問題について積極的に発言している板垣竜太さんをお招きしました。
 『帝国の慰安婦』のみならず、広く日本の歴史修正主義や戦争責任・植民地支配責任の問題を考える有益な議論が展開されるものと思われます。ぜひご参加ください

●登壇者:鄭栄桓、能川元一、小野沢あかね、板垣竜太

日 時:2016年4月17日(日)13:30開場~、14:00開始~
場 所:立教大学池袋キャンパス(東京都豊島区池袋)   タッカーホール講堂8号館
8201教室
資料代:1000円(一般)、700円(学生・非正規)
主催者:忘却のための「和解」書評会実行委員会
連絡先:mail:sd132005@g.hit-u.ac.jp

世織書房のページ
http://bit.ly/1SHNzDA

著者;鄭 栄桓 明治学院大学准教授 歴史学、朝鮮近現代史、在日朝鮮人史
一橋大学社会学研究科博士課程修了(社会学博士、2010年3月)。青山学院大学非常勤講師、立命館大学コリア研究センター専任研究員を経て現職。著書に『朝鮮独立への隘路 在日朝鮮人の解放五年史』(法政大学出版局、2013年)、共訳書に金東椿『朝鮮戦争の社会史 避難・占領・虐殺』 (平凡社、2008年)など。

●書評者

*能川元一:大学非常勤講師(哲学)
<主要研究業績> 共著『憎悪の広告―右派オピニオン誌「愛国」「嫌中・嫌韓」 の系譜』合同出版、2015年、「千田夏光『従軍慰安婦』は『帝国の慰安婦』においてどのように援用されたか」、『季刊 戦争責任研究』 第85号(2015年冬季号)「右派のイデオロギーにおけるネット右翼の位置づけ-道徳概念システム論による分析の試み」、『レイシズ ムと外国人嫌悪』(駒井洋監修・ 小林真生編著、明石書店、 2013年)所収など

*小野沢あかね:立教大学文学部教授 日本近現代史
<主要研究業績> 『近代日本社会と公娼制度―民衆史と国際関係史の視点から
―』 吉川弘文館、2010年。共編著「戦争と女性への暴力」リサーチ・アク ションセンター編『「慰安婦」 バッシングを越えて―「河野談 話」と日本の責任―』大月書店、 2013年。第5回女性学研究国際奨励賞受賞(2000年)第6回女性史学賞受賞 (女性史学賞選考委員会)(2012年)

*板垣竜太:同志社大学社会学部教授 朝鮮近現代社会史文化人類学
<主要研究業績> 『朝鮮近代の歴史民族誌』 (明石書店)、共著『東アジアの記憶の場』(河出書房新社)『日韓新たな始まりのための20章』(岩波書店)、 『Q&A朝鮮人「慰安婦」と植民地支配責任: あなたの疑問に答えます (FFJブックレット)

●関連記事
・日朝国交「正常化」と植民地支配責任 : 【宣伝】『忘却のための「和解」 『帝国の慰安婦』と日本の責任』(世織書房、2016年)
http://kscykscy.exblog.jp/25512248/
・『朝鮮新報』:【講演】「『帝国の慰安婦』事態と日本の知識人」/鄭栄桓
http://chosonsinbo.com/jp/2016/03/03suk-3/
・『ハンギョレ』:日本のリベラル陣営でも「帝国の慰安婦」めぐり激論
http://japan.hani.co.kr/arti/international/23733.html
・アマゾン購入ページ
http://amzn.to/1SHDd6P
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