忍者ブログ

Home > 翻訳記事

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【翻訳記事】日本人は軍艦島がどういうとこか知ってるの?

北朝鮮、日本の長崎「軍艦島」世界文化遺産登録の試みを批判

入力2012.10.29 16:42:38 修正2012.10.29 16:49:30

日本が九州端島をユネスコ世界文化遺産に登録しようという事に対して、北朝鮮が「犯罪の歴史を遺産にする国」と批判した。

北朝鮮は去る27日朝鮮中央通信社論評で「最近日本が九州の端島を『日本近代化の象徴』だとしてユネスコ世界文化遺産に登録しようとしている」としてこのように明らかにした。

中央通信は「太平洋戦争時代に日本は朝鮮から強制連行してきたおよそ1000人に達する無辜な人民達を、この島の地下1000メートルの海底炭鉱に押し込んで現代版奴隷労働を強要した。日帝野獣達の過酷な蛮行によりここで悲惨に息を引き取った朝鮮人の数は、明らかになっただけで120人を超える」と指摘した。軍艦のようなので「軍艦島」と呼ばれるこの島は高い防波堤の為に脱出が不可能で「監獄島」という別名も持っている。

中央通信は「内外に悪名ばかりを轟かせている端島、鳥肌の立つこの犯罪の現場を日本は『近代化に貢献した産業遺産』として2015年ユネスコ世界文化遺産にしようというもの」だと明かした。続いて「日本は端島のみならず三菱造船所など朝鮮人強制労働の他の現場も世界文化遺産に登録しようと策動している」とし「これは朝鮮人民に対するもう一つの耐え難い特大型冒涜行為、歴史歪曲行為」とした。

中央通信はまた「日本は朝鮮などアジア各国に対する侵略戦争に対しても欧米列強からの『解放』で、太平洋戦争を『植民地解放の為の大東亜戦争』として歪曲している」として「その延長線上で繰り広げたのがまさに端島をはじめとする、朝鮮人強制労働現場に対する『文化遺産登録策動』とやら」だとした。

訳 ZED
韓国語原文記事はこちら
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201210291642381&code=910100

最近また軍艦島の世界遺産登録が話題になっている。以下リンク先参照。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082701002007.html
世界遺産に産業革命遺産を推薦 有識者会議 

日本の歴史的無知と歪曲ここに極まれりという所だろう。この軍艦島こと端島は、かつて強制連行してきた朝鮮人を奴隷労働させて石炭を掘らせた現場だという事をどれだけの日本人が知っているだろうか。いわばアウシュビッツ収容所や731部隊基地とほとんど同じ性質の場所という事だ。
アウシュビッツ収容所はすでに(ナチスドイツの犯罪を後世に伝える負の意味で)世界遺産になり、731部隊の跡地も同じく日本の犯罪を伝える負の遺産として登録準備が進められている。仮に軍艦島を世界遺産にするならば、これらと同じように「負の世界遺産」として登録するしか道はない。ところが実際には全く逆に、日本の犯罪行為を隠蔽する為に「近代化の象徴」として世界遺産登録を進めているのだ。これほど人を馬鹿にした話はない。

軍艦島の世界遺産登録の動きが出始めた00年代終わり頃、日本の漫画界でもこの島を舞台にした作品がやたら発表され始めた。特に熱心だったのは講談社のヤングマガジンで、その一つである3億円事件を同時にネタにした「モンタージュ」は今でも連載が続いている。だがこれらの作品で朝鮮人強制連行の歴史と絡めた作品はこれまで筆者の見た範囲では1本もなく、単なる地元日本人のセンチメンタリズムに訴えるばかりの便乗作品の域を出ないものばかりだった。
「はだしのゲン」がああいう扱いをされるようになったのも分かる気がする。「はだしのゲン」閲覧制限問題が大きく話題になった時だけ日本の著名漫画家達はこれ見よがしに良識派ぶってわざとらしく声を上げるが、そういう問題が起こる前の普段の振る舞いはどうだったのかという事なのだ。軍艦島をネタにしても朝鮮人強制連行の話は何一つ触れようとせず、それどころか最近の日本の漫画雑誌は現在の「別冊漫画ゴラク(ここは以前にも少し取り上げた事があるが、今はさらに凄絶な誌面になっている。キモイ物見たさの人は自己責任でコンビニで立ち読みしてみると良い)」や廃刊直前の頃の「漫画サンデー」のような右翼漫画が異常増殖しているではないか。それを見て見ぬ振りしてきたり、自らもそれで商売してきた漫画家や編集者はまず自分の胸に手を当てて考えてみろと思う。ここに至るまでの日本漫画界の右傾化を何一つ問題にせず、自分の著作権ビジネスしか頭になかった連中ばかりが、アリバイ作りの為に「はだしのゲン」問題で良識派ぶっているようにしか見えない。
これは「風立ちぬ」の韓国上映の為だけに心にもない「護憲」「従軍慰安婦への賠償」というアリバイ発言を繰り返したジブリの宮崎駿&鈴木敏夫とも全く同じ思考方式である。「風立ちぬ」はひどい事に韓国上映が決まってしまったようで、今頃宮崎や鈴木が祝杯を上げていると思うと非常に腹立たしい。「風立ちぬ」のゼロ戦は知っての通り三菱の戦闘機であり、この映画の協賛企業にも三菱(商事)が堂々と名を連ねる。軍艦島の炭鉱も三菱のものだった。ゼロ戦を作る為の材料の鉄、工場の働き手、その工場を動かす燃料の石炭を掘る人員、これらは全て植民地朝鮮から日本がかっぱらったものではないか。朝鮮からかっぱらった鉄と、朝鮮野郎から吸い上げた血でゼロ戦と軍艦島は成り立っている。宮崎駿のアニメと軍艦島世界遺産登録は「戦犯企業三菱」の偉大なる復活の狼煙という事だ。

今回取り上げたのは去年の京郷新聞の記事で、朝鮮民主主義人民共和国でも軍艦島の世界遺産登録に強く反発している事を伝えている。もちろん南の韓国でもこれについては強い反発が続いており、「일제 군함섬」(日帝 軍艦島)で検索すればそうした記事は山ほど見つけられるだろう。日本語に訳された記事としては以下のものがある。ハンギョレ日本語版というのがちょっと腹立たしいが(笑)、とりあえずこの問題を手軽に読める記事ではある。ちなみにハンギョレのこの記事を書いたのは例の親日特派員・鄭南求(チョン・ナムグ)ではなく、別の記者だった。まあそうだろうね…。あいつにはこんなテーマは無理だろうから。逆に鄭南求に軍艦島の記事なんか書かせたら大惨事になってたろう。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/15391.html
朝鮮人は‘地獄労働’で亡くなったのに…日本 "近代化象徴" 観光開発

とりあえず軍艦島問題については、南北朝鮮いずれも強く反発しているという事実は明確にしておきたい。
 

PR

【翻訳記事】韓日「仲良く」空軍訓練・憲法違反・侵略戦争「しようぜ」

進歩党「韓日合同空中訓練、日本再武装を支える…即刻中断すべき」
「域外軍事訓練は憲法違反…米派遣政策に韓国軍動員してはならない」
入力2013.08.22 11:13:06 修正2013.08.22 11:40:45

アメリカのアラスカ上空で米太平洋軍司令部主管の下で進行中である空軍訓練「レッドフラッグアラスカ RED FLAG-Alaska」に韓国空軍と日本航空自衛隊が合同訓練を実施して問題になっている中、統合進歩党(旧・民主労働党:訳者注)は22日「日本の軍国主義再武装を支えて韓米日軍事同盟を本格化する、韓日軍事協力を即刻中断せよ」と求めた。

進歩党の呉秉潤(오병윤 オ・ビョンユン)院内代表と閔丙烈(민병렬 ミン・ビョンリョル)最高委員、韓国進歩連帯の崔ウナ(최은하 チウェ・ウナ)自主統一委員長はこの日国会で記者会見を開き「韓国政府が日本に過去に対する反省と措置を要求して日本再武装の動きを阻止するどころか、日本との軍事協力に乗り出して自衛隊の海外活動拡大、軍国主義再武装を事実上支える先頭に立つというのはあり得ない事」だと明らかにした。

これらは「アメリカは韓米日軍事同盟完成の為に韓日軍事協力を持続的に強調して推進してきている」とし「だが韓米日軍事同盟強化の動きは北朝鮮と中国に対する攻撃性と牽制の意図を明確にしていて域内軍備競争と対立を煽る要因となっており、日本の軍国主義再武装を支えているという点で我々の国益と明白に反している」と指摘した。

これらはまた「今回の『レッドフラッグアラスカ演習』過程で韓国の戦闘機が初めて空中給油を受け、朝鮮半島を抜け出して海外連合訓練に参加したと言う」とし「軍の作戦範囲を朝鮮半島域内ならぬ他の地域へと拡大するのは明白に攻撃的で覇権的な政策への転換」と主張した。

続けて「我が憲法は侵略戦争を断固として反対しており、領土防衛の為の軍事力使用を許容している」とし「軍の国防政策は憲法精神を決して違反してはならない」と強調した。

これらは「最近東北アジア域内対立が深化する状況で、韓国がアメリカの戦争に便乗して朝鮮半島を離れた広域作戦を試みれば、中国を刺激して東北アジア対立を増幅させるのは火を見るより明らかだ」とし「アメリカの覇権政策に韓国軍が動員されなければならない理由はない。政府は朝鮮半島域外作戦を上程する一切の軍事訓練、武器増強の試みを即刻中断せよ」と求めた。

訳 ZED
韓国語原文記事はこちら
http://www.vop.co.kr/A00000669854.html


日本ではなぜかほとんど話題になっていないのだが、上記記事にあるように今アラスカで米軍主管による大規模な多国籍空軍訓練が行なわれている。一応それについて述べた日本側の記事と防衛省の広報にはリンクを貼っておく。

http://flyteam.jp/news/article/25069
航空自衛隊、レッド・フラッグ・アラスカに参加
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H25/0724.html
米空軍演習への参加について

日本の反戦運動体や護憲派が全くと言って良いほどこの軍事訓練を黙殺しているのは不思議で仕方ないのだが、日本の再軍備や海外派兵はもう規定路線の年中行事みたいなもんだから反対するだけ無駄と諦めているのだろうか。それでも韓国では左派政党である統合進歩党が反対の声を上げたが、日本はどうなのか。共産党や社民党はこの軍事訓練に何か文句の一つも言ったのだろうか。詳しい人がいたら教えていただきたいと思う。

それにしても韓国と日本の関係が戦後最悪だなどと言っている馬鹿のツラが見たい。両国共にアラスカで実に仲睦まじく軍事訓練やってるではないか。これのどこが「戦後最悪の関係」なのやら。この空軍訓練は北朝鮮や中国を想定しているのはもちろんだが、それ以外の国にも軍事介入する事をより想定している。早く言えばアメリカやヨーロッパの対テロ戦争や新植民地侵略戦争への加担・参戦だ。イラクやリビアの時のように。日本でも違憲や改憲という事が言われているが、朴槿恵政権下の韓国でも同じく憲法違反の軍事訓練が現在進行中だという事だ。日本の再武装を側面支援、いや共同歩調をとるという最悪の形で。言っておかなければならないが、現在ソマリアには自衛隊だけでなく韓国軍も派兵されている。アメリカの下で韓国と日本は実に緊密に軍事行動・訓練を続けている真っ最中なのだ。
朴槿恵政権下の韓国と安倍晋三政権下の日本は今や共に欧米の覇権戦争地域に出征し、共に互いの憲法をより攻撃的・侵略的なものへと改悪するのに協力し合っている。これも「韓日2013年体制」の大きな特徴だ。アメリカの下における韓国と日本の悪しき癒着関係が、戦後これほどまでに緊密になった事はないだろう。今ほど韓日関係が親密な時代はなかったのだ。

日本で嫌韓と言われている連中がいるが、今後韓日共に憲法改正がなった際、真っ先に使い捨てな鉄砲玉の兵隊にされるのはこういう連中だろう。そうしたエピソードは「はだしのゲン」に詳しい。「はだしのゲン」に閲覧制限をかけるのは、連中にしてみれば実に理に適った行動なのである。代わりに宮崎駿の新作映画ガルパンでも可)を見て感動しろ、という事なのだろう。

野間易通どもに言われるまでもなく、今の韓国と日本の支配層・軍事協力関係ほど「仲良くしている」間柄はない。そしてこの「最も悪しき韓日友好関係」は独島の問題があろうが日本でレイシズムの嵐が吹き荒れようが、不変のものなのである。むしろ強まるものだ。野間らの運動や安田浩一の著書は言うまでもなくそれを社会の底辺最下層から支える補完物である、という事も参考までに付け加えておきたい。
 

【翻訳記事】韓国プレシアンの安田浩一インタビューの内容が凄絶過ぎる件について「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません(安田浩一談)」訳者解説

のっけから「進撃の巨人」だの「ジャパニメーション」だのがどうのこうのという前ふりからして嫌な予感のプンプンする記事でしたが、予想に違わぬ凄絶な内容であった事がお分かりいただけたでしょう。安田浩一の言ってる事もひど過ぎるのですが、聞き手であるプレシアンの記者もロクなもんじゃありません。

ちなみに「進撃の巨人」は作品内容だけでなく作者の諫山創(いさやま・はじめ)自身もかなり右翼的な漫画家だという事は指摘しておかねばなりません。諫山は自身のブログでこの漫画に旧日本軍の将校である秋山好古をモデルにしたキャラを登場させて、自身も秋山の事を尊敬していると告白しています。

http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/3639547.html

秋山好古とは何者でしょうか。日露戦争で大きな手柄を立てた事で有名な軍人であり、弟の真之と共に司馬遼太郎の「坂の上の雲」の主人公としても広く知られています。しかしながら日露戦争とはどんな戦争だったのでしょうか。朝鮮と満州の支配権を巡ってロシアと大日本帝国が争った、典型的な帝国主義植民地争奪戦争に他なりません。司馬遼太郎がいかに小説でこの戦争を「日本の自衛戦争」と美化・正当化しようとも、史実とは全く異なります。その戦争の「英雄」だった秋山兄弟の本質もまた帝国主義者・植民地主義者でしかありません。そればかりか好古をはじめとする秋山兄弟が植民地朝鮮でどのような権勢を振るっていたか、どれだけの日本人が知っているでしょうか。秋山好古は1916年から17年にかけて植民地朝鮮に駐留する日帝朝鮮軍(朝鮮駐箚軍)の司令官でしたが、この軍は対ソ連防衛を担当する以上に、植民地朝鮮の独立運動を弾圧・鎮圧する事が目的だったのです。民衆蜂起や義兵闘争が起こればそれを武力鎮圧する為にすっ飛んでくる。その司令官である秋山好古はまさに植民地朝鮮の弾圧将軍だったのです。秋山好古が司令官を退任して2年後の1919年に何が起こったでしょう。3.1独立運動です。実際に3.1運動の弾圧と虐殺を行なったのは好古の次の次の司令官である宇都宮太郎(後の自民党議員である宇都宮徳馬の父。ただし徳馬は後に父とは大分違う道を歩んだが)でしたが、3.1独立運動の時期が少し早いか好古の任期が数年違っていれば、この男が朝鮮の民衆を大虐殺していたのです。3.1独立運動の弾圧と直接関係ないにしても、秋山好古が武断統治と呼ばれるとりわけ弾圧の厳しかった時代に、朝鮮の民衆に銃口を向けて威圧・抑圧していた総大将だった事は厳然たる事実なのですから。
さらにその前の1907年には、外交権を剥奪された朝鮮(大韓帝国)がその不当性を訴えるためにオランダのハーグで行われる万国平和会議に密使を送ったハーグ密使事件がありました。が、この時派遣された李儁(리준 リ・ジュン)・李相卨(리상설 リ・サンソル)・李瑋鍾(리위종 リ・ウィジョン)ら3密使の事を調べ上げて会議に参加出来ないように妨害したのが、他ならぬ秋山好古だったのです。秋山好古は一貫して朝鮮を日本の植民地にし、その独立を妨害する事に生涯を捧げた人間でした。
好古だけではありません。好古の兄である秋山正矣(あきやま・まさなり 後に岡家へ養子に行って岡正矣と改姓)は朝鮮京城電気の重役でした。つまり秋山兄弟というのは植民地朝鮮の軍事面と経済面で権勢を振るった植民地利権者一族だったのです。朝鮮半島の分捕り合いである日露戦争で手柄を立てたファミリーが、その「戦利品」である植民地朝鮮へ乗り込んでデカいツラして大きな権力を握り、独立運動を武力・謀略で弾圧する。秋山兄弟というのは日本の朝鮮侵略と植民地支配を一身に体現したような一族だった訳です。朝鮮人・韓国人であればこの秋山一族が行った事を決して忘れてはいけません。
そんな植民地主義者の軍人に

何より本当...自分ごときが、自分ごときの腕で、この方を
モデルにするのはおこがましいくて恐れ多い事なんですが
一応参考にさせていただいています....


日露戦争の逸話もすごいですが、
元帥の地位を蹴って田舎の小学校の校長を務め、
自分の作戦で失った兵士のために生涯質素に過ごしたとかの
真っ当を貫く姿勢や人柄に畏敬の念を覚えます


という最大級の賛辞を送ったのが諫山創という漫画家だという事を特に強調しておきましょう。この男と小林よしのりや細野不二彦・平松伸二らに果たしてどれほどの違いがあるのやら。諫山創は個人的には「進撃の巨人」が完結した後が色々な意味で「楽しみ」だと思っています。おそらく佐藤秀峰や青山剛昌のように、露骨に日本の国家体制や権力に迎合する作品を描くようになるのではないかと予想していますが。
とは言え、だからこそそんな右翼漫画家の作品に在特会やネット右翼が熱狂しているのではないかというプレシアン側記者の推測にはまあ一理あるでしょう(この記者が諫山創の右翼志向や秋山好古をモデルにしたキャラの事について気付いているかどうかは知りませんが)。しかしそれ以上に問題なのは、そんな右翼漫画家の作品が韓国でもヒットしてしまっているという現状です。最近の韓国の若者の歴史的無知はあまりにひどい(そうさせた韓国の教育制度や教科書に原因があるが)ものですが、「進撃の巨人」のヒットはそれを象徴する典型的現象と言えるでしょう。まさに「日韓の若者が過去の侵略戦争や植民地支配の歴史をきれいさっぱり忘れて互いの文化を楽しむ」という、安田浩一&李明博的な「日韓未来志向」が半ば現実化しつつある訳で、暗澹たる気分にしかなりません。

さて、話を主題である安田浩一のインタビュー内容に戻すと、これを最初から最後まで読み通せた方々にはとりあえず敬意を表します。よくもこんだけひど過ぎる気持ちの悪いインタビューを全部読み通せたその精神的耐久力に! いや、筆者も訳しててさすがに途中ですごく腹が立って嫌になってきましたよ。まともな人間なら今回の安田のインタビューを読んで激怒するか、極めて不愉快になるか、どっちかしかありませんから。今回のインタビューに、安田の知人の在日女性が在特会の集会を見て大変な精神的苦痛を受けて泣いたという話が出てきますが、安田の諸発言もまた在特会のそれに劣らぬ精神的苦痛を在日に与えるものでしょう。その為に肝とも言うべき重要なトンデモ発言部分を強調して、そこだけ読むように予め警告した訳です。でもその部分だけ拾い読みしてもたぶん相当な精神的苦痛を受けるでしょうが。
で、そうした安田のトンデモ発言・バカ発言の数々を読み終えた人達(筆者含む)はまず間違いなく次のように突っ込む事でしょう。

「んな訳ねーだろ!」と。

あまりにひど過ぎる発言の数々に、果たしてどこから言及して良いか分からなくなるのですが、それでもまずはこの発言から槍玉に挙げねばなりますまい。

「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」

?????????????????
日本で極右政治家が勝った事は一度もないだって? そんなん初めて聞いたわ! 「フリンジ FRINGE」じゃあるまいし、安田は一体どこの平行世界の話をしているんだ? 今の日本の総理は誰よ? 安倍晋三でしょ? 安倍晋三は極右政治家じゃないんだ? 今の大阪市長は誰? 橋下徹でしょ? 橋下徹は極右政治家じゃないんだ? 橋下と一緒に維新の会の共同代表やってるのは誰よ? 石原慎太郎でしょ? こいつら全員極右じゃないと? 安田浩一はこいつら全員極右ではなく、共産主義の極左だとでも言いたいのでしょうか。日本維新の会は現在衆議院では53議席の堂々たる第3党ですよ。総理も衆議院第3党の党首達もみんな極右ではないとおっしゃる!

いやあ、さすが講談社ノンフィクション賞を受賞したジャーナリストの言う事は違いますなあ。これはもう講談社どころかピューリッツア賞、いやノーベル文学賞すら与えてもいいんじゃないでしょうか。普通絶対言えません。日本で極右政治家が勝った事は一度もないなどと断言出来る、その「文学的センス」の深奥さにはまさに脱帽です! これには昭和天皇の「言葉のアヤ」発言も敵わないのではないでしょうか! 日本が世界に誇る名ジャーナリスト、安田浩一記者に何としてもノーベル文学賞を受賞させようではありませんか!

…冗談はともかく、ここまで事実として完全に間違った事が平然と言えるそのセンスには、確かにある意味で脱帽したくはなります。確かに今の日本の醜悪な現実を必死に覆い隠してごまかそうとしているジャーナリストや評論家などは掃いて捨てるほどいるものの、ここまで言い切ったのは筆者の知る限り安田浩一だけでしょう。しかもそれを韓国に対して言っている所がポイントです。同時に安田はこんな事も言っていました。

「みなさんから見て日本社会が非常に右側に傾いているように見えるかもしれませんが、極右達の主張を受け入れる環境では決してないという点を申し上げたいと思います」

お分かりでしょうか。安田は飽くまでも日本は右傾化していないと、必死になって韓国側に訴えてる訳です。言うまでもなく韓国の民衆にとって「日本の右傾化」とはかつての植民地支配と侵略戦争・帝国主義の正当化やそれらの復活と同義であり、決して受け入れられるものではありません(一部の親日派や政治的・経済的支配層除く)。そして現在の日本は誰がどう見てもそうなりつつあるのに、それを安田は「右傾化なんかしてない。極右の主張を受け入れる環境はない」として必死にごまかしに走っている。恥ならぬ嘘の上塗りを繰り返してまで「日本は悪くない」という事を韓国側に信じ込ませようとしているこの男は、一体どれだけ恥知らずで犯罪的なのでしょうか。その為ならこの男は安倍晋三の肩すら持とうとする。

「安倍首相も今は韓国や中国と良い関係を維持しようと発言しました。これもまた日本社会の雰囲気だという事です」
「私が非常に嫌っていて恐らくみなさんも好きでない(笑)安倍首相でさえ「在特会などのデモは大変遺憾だ」と答弁しない訳にはいきませんでした」

ここで本来言わなければならないのは、こうした言動が安倍の本心によるものでは全くないという事でしょう。安倍や稲田朋美といった連中がある日急に態度を変えた理由はただ一つ、アメリカの機嫌を損ねそうだという事に気付いたからに過ぎません。決して日本国内のレイシズムを反省したり反対しているからではないので韓国や中国は油断するな、と警告するのがジャーナリズムに携わる者が本来言うべき事なのです。それを「安部でさえもレイシズムに遺憾を表明して韓国・中国と良い関係を維持しようとしている「美しい国」日本」という大いなる虚像を振り撒いて、韓国や中国の民衆を惑わせようとしているだけではありませんか。
さらに安倍の態度変化や橋下を切り捨てるような言動は、言うなれば橋下だけを悪者に仕立て上げて自分を美化する姑息な手段でしかありません。今の日本ではこのように、在特会や橋下徹のような「一部の目立った過激分子」さえバッシングすればどんなにひどい右翼や差別主義者であっても自分は差別に反対している人権派か人道主義者のように装えるという、極めて醜悪なアリバイ作りというか自己正当化が流行っており、安部のそれはまさに典型例です。在特会さえスケープゴートにすれば、朝鮮学校への無償化や補助金排除などといったひどい差別政策から目を逸らさせる事が出来る。日本政府こそ在特会以上の民族差別の総元締めであるという事を、日本国内はもちろん韓国はじめとする外国にも気付かせないようにしたいのが安田浩一の狙いだという事です。
安田は「おそらくみなさんは安倍政権が右翼政権だと考える事でしょう(笑)。在特会にそのような話をすれば笑われるでしょう」と言っていますが、安田自身だって「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」すなわち安倍政権が極右ではないと言っているじゃありませんか。安田も在特会も「日本は右傾化なんかしていない」と必死に嘘を言ってごまかしているという点では同じ穴のムジナでしかないのです。

こうした事実として完全に間違った事を平然と主張する安田のペテン癖は他にもまだ見つかります。例えば

「「村山談話」が何の反対もなく国会で通過する事が出来たでしょう」

なんて事まで言ってるのですから。村山談話が何の反対もなく通過しただって? そんなん初めて聞いたわ! 安田浩一という人は「平行世界」の話を創作するのが大変お好きなんですね。ジャーナリストを廃業して、SF作家に転進した方が大成するのではないかと冗談抜きで思います。
当時村山談話が出される事に対して強硬に反対した政治家なんて山ほどいますよ。まずは、今や生活の党というみじめな蟻の巣の主人にまで落ちぶれながら、なぜか狂信的な信者だけは(それもある系統の左翼業界で特に)一定数いる小沢一郎がそうでした。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130620/1371739834
当時の内閣は村山連立(社会党)政権で、自民党は与党に属していたが、自民党内には「大東亜戦争肯定論」の立場にたつ「民族派」と日本は敗戦で生まれ変わったとする「戦後改革派(ニュー・ライト)」との対立があって意見がなかなかまとまらなかった。他方、野党の新進党(九四年一二月結党、党首海部俊樹、幹事長小沢一郎)は、侵略行為や植民地支配という言葉を認めず、「おわび」も削除せよと強硬に主張した。

また、何よりも村山談話に反対した政治家の筆頭代表として挙げるべきは他ならぬ安倍晋三でしょう。安倍は当時どのような行動をしていたのか。

http://www.wadaharuki.com/abe.html
安倍晋三氏は議員初当選の翌年、一九九四年に奥野誠亮会長の「終戦五十周年国会議員連盟」の事務局次長となった人である。右翼的な歴史観から戦後五〇年国会決議、村山談話、河野談話に反対したかぎりでは、党内の傍流にすぎなかったが、一九九七年から頭角をあらわし、小泉首相の後継者に指名されて、右翼政治家のプリンスとして、主流派にのし上がった。

http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_387.html
彼は村山談話が出た時、自民党の非主流強行派である‘戦後50周年国会議員連盟’の事務局長代理だった。この議員集団は、日本の国会が、戦後50年決議案(‘歴史を教訓として、平和のための決議を新しくする’、1995年7月、国会可決)を、採択しようとするや、これに反対する議員らが1994年12月1日結成した。

連合軍占領体制下で、“日本に対する断罪と、自虐史観を正し、公正な事実に基づいた歴史の流れを解明し、日本と日本人の名誉と自矜心(じきょうしん_誇り、自慢)を回復しなければならない。”と言うのが結成趣旨だ。この集団は、日本が引き起した侵略戦争を‘日本の自衛自存とアジアの平和’の為だったと主張し、村山談話の発表に猛烈に反対した


どこを見ても当時安倍(と他に奥野誠亮はじめとする終戦五十周年国会議員連盟所属の議員達)が村山談話に強硬に反対していたという話ばかりです。こんな安倍晋三らの反対行動が当時厳然とあったにも関わらず、講談社ノンフィクション賞を受賞した日本を代表する名ジャーナリスト・安田浩一記者によると「「村山談話」が何の反対もなく国会で通過する事が出来た」そうです! 安倍総理はその前の河野談話にも強硬に反対していたのに、安田記者のありがたいお話によれば「何の反対もな」かったそうです! 「(従軍慰安婦に対しては)21世紀以前まではそれでも日本の恥部という認識が共有されてい」たのだそうです! 安田記者によれば「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」すなわち、村山談話に猛反対していた安倍総理や小沢一郎や奥野誠亮達は全然極右政治家じゃないんだそうです! その安倍総理については、在特会も安田記者と同じ見解で「右じゃない」とみなしているとの事。両者の「安倍総理は極右でも右翼でもない」という貴重な証言が、国際社会における安倍総理のイメージをどれだけ向上させてくれたか計り知れないものがあるではありませんか! 安田記者と在特会は両者共にガッチリとスクラムを組んで、日夜安倍総理と日本のイメージ向上の為の「愛国的広報活動」に勤しんでいるのです! おまえらどんだけ安倍総理が大好きなんだよと言いたくなるではありませんか!

…冗談はともかく、もうここまで来ると何が何だか引用してる方も訳分かんなくなってきます。こういう嘘や捏造を平然と言いふらす人間を世間一般には詐欺師とかペテン師と言うのですが、安田浩一はまさにどこに出しても恥ずかしくない堂々たる詐欺師です。あるいはそれでもまだ「記者」を名乗っている以上、「ブラックジャーナリスト」と言ってあげた方がまだ礼にかなっているでしょうか(笑)。

しかも今回のインタビューはプレシアンという、韓国のそれも左派・進歩派メディアで通っている媒体に載ったものでした。韓国の進歩派すなわち民主勢力(のはず)がこういうひど過ぎる歴史歪曲というか、現実を歪めたホラ話をこそ「日本の現状」として伝えたがっている(または信じたがっている)のではないかという疑念すら浮かんできます。そこに安田のようなブラックジャーナリストがつけこんで、勝手な嘘や日本正当化論を韓国に広める。こういう人達が今まで引っ張って来た「韓国の民主化」とは一体何だったのでしょうか。

実は今回のプレシアン記事には全体的な強烈度がやや落ちるので全文翻訳しなかったのですが、やはり韓国進歩派メディアの雄であるオーマイニュースも安田に別途インタビューしていました。その中には今回の「日本で極右政治家が勝った事は一度もない発言」にも引けをとらない、どうしても指摘しておきたいインパクトだけは抜群なバカ発言が一つあったので、それもついでに翻訳抜粋して御紹介しましょう。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001871551
「ネット右翼の主張に政治的性向があると受け止めるのは問題があると思う。彼らは保守でもなく右翼でもない。便宜上ネット右翼と言うが、これらは真正な意味での右翼ではない。既存の日本保守勢力でさえも在特会などのネット右翼を嫌う。伝統的に日本の保守・右翼の中には「サムライは仲間の手を借りない」という美学が一つの文化として定着しているのに、在特会などのネット右翼にはこうした特長がないからだ」

講談社ノンフィクション賞を受賞した日本を代表する名ジャーナリスト・安田浩一記者曰く「日本の伝統的な右翼はサムライ」なんだそうです! これは安田に限らず日本ではよく使われる言い方ですね。言うまでもなくここでの「サムライ」という言葉は非常に肯定的な意味で使われており、安田浩一が日本の右翼を正々堂々・公明正大な存在であると描写している訳です。同時に、それに対して在特会は…という意味も込めて。
筆者は3年ほど前(だったと思う)に朝鮮学校への無償化適用を求める総連系のデモに参加した事があるのですが、その時の右翼の妨害はそれこそ半端じゃありませんでしたよ。その時のデモは日比谷公園から銀座の街を通ったのですが、公園の周囲から沿道まで黒塗りの街宣車が何十台も取り囲み、高速道路の上にまで多数の街宣車が止まっては「朝鮮人は出ていけ」とか何とか凄まじい爆音で罵声を浴びせられました。こんだけたくさんの右翼がどこから集まってきたのかというくらいの規模で、これに比べたら今在特会が新大久保でやってる事なんて可愛いもんです。先日の憲法記念日に見かけた時も同様で、職場近くの公道をこれまた大量の街宣車が走りながら爆音を鳴らし、その威圧感は在特会ごときの比じゃありません。ともあれこのように「既存の」日本の黒塗り街宣車右翼達はこれだけ衆を頼んで在日朝鮮人への民族差別や迫害、改憲の為の行動を繰り返してきました。というか、連中が「仲間の手を借りず」にこうした活動をしているのを見た事がありません。サムライうんぬんとかいうたわけた表現以前に、日本右翼が「仲間の手を借りない」という話がすでに大嘘です。連中は昔から常に大集団で在日を攻撃して来ました。
それにしても呆れるのは、安田浩一は安倍総理ばかりか右翼がどんだけ大好きなんだよという事でしょう。こんなサムライになぞらえてのおべんちゃらや明白な大嘘までついて、日本の右翼を大絶賛しているのですから。そんなに右翼が好きならさっさとジャーナリストなんかやめて、日本青年社(広域暴力団住吉会の下部組織)でも正気塾(1990年に当時長崎市長だった本島等を銃撃して殺人未遂)でも好きな団体の構成員になったら良いのです。そこには安田自身が大絶賛した「サムライ」達がわんさかいるでしょうから、さぞかし安田浩一の「男」を磨いてくれるでしょうよ! 何しろモノホンのヤクザである日本青年社も、天皇の戦争責任を追及した長崎市長を銃撃した正気塾も、安田記者の「理論」に従えばこれらはみんな在特会とは全く違う「仲間の手を借りないという美学が一つの文化として定着している立派なサムライ」なのですから! 安田記者にはぜひこれらの団体に入って、尖閣諸島への上陸や各報道機関への暴力による威嚇行為、長崎市長への銃撃テロなどを実行して欲しいものだと切に思います。あんた、サムライが大好きなんだろ? だったらそれぐらい喜んで出来るよね(笑)。

とにかく最近の在特会関係で「ブレイク(笑)」して以降の安田浩一の言動というのは真面目な話、ジャーナリズムとしての限度を超しています。記者として越えてはならない一線を越えてしまったと言って良いでしょう。一連の韓国マスコミの取材でしゃべった妄言や大嘘はもちろん、日本右翼を「サムライ」になぞらえて美化・礼賛した時点で完全にジャーナリストとして終わりました。日本青年社や正気塾に限らず、安田が「仲間の手を借りないという美学が一つの文化として定着している立派なサムライ」だとして褒め称えている日本右翼がこれまで暴力をちらつかせたり、あるいは実際に暴力行為を行って報道機関を攻撃した例は枚挙に暇がありません。そんな右翼を大絶賛した時点で、これはジャーナリストとして完全なる自殺行為なのですから。悲惨な犠牲者を出した中央公論の風流夢譚事件も、朝日新聞阪神支局襲撃事件も、全て立派な「サムライ」の手による「仲間の手を借りないという美学」の結果だとでも言うのでしょうか。繰り返しますが、安田浩一による右翼の美化・礼賛はジャーナリストとしての完全な自殺行為です。以前は単にヘボな労働問題専門の駄目記者に過ぎなかったのが、今は完全に悪質なデマゴーグに変貌したと言って良いでしょう。
安田がジャーナリストとしての魂を悪魔に売ってまでやった事とは、在特会を自分の個人的なメシの種にするのに成功した事と、その在特会だけを悪役にしてより大きな差別問題から社会的関心を逸らさせ、ひいては日本という国の姿を現実離れして美しい虚像に歪曲しただけです。在特会を攻撃するふりさえすれば誰でも「ヒーロー」になれる。凶暴なテロ集団でしかない旧来の日本右翼でも、日の丸や君が代や天皇が大好きな反原連やレイシストしばき隊でも、石丸次郎や萩原遼のような実際は単なる朝鮮ヘイトの鬼畜レイシストに過ぎない人間であっても、挙げ句は安倍晋三のような人間ですら、在特会さえスケープゴートにすれば善人ぶれる。そんな風潮を作った張本人が安田浩一でした。少なくともそうした風潮作りに大きな役割を果たした事だけは間違いありません。

まだまだ安田浩一の妄言に突っ込みたい所はたくさんある(日本では従軍慰安婦などの歴史問題を真面目に教育してきたとか、日本には韓国ほどのナショナリズムはなかった、アジアで最もナショナリズムの希薄な国は日本だったとか)のですが、いい加減きりがないので今回はこの辺にしておきたいと思います。今回翻訳した安田のインタビュー記事で強調した部分のうち、今回突っ込みきれなかったその他の部分、あるいはその他どの部分でもまた別の方が引用・参考にして、安田浩一への批判または在特会問題への研究に活用していただければと思います。早い話、安田のその他妄言類については、とりあえず他の方々にお任せという事で。

最後に結論として、安田浩一が決してふれようとしなかった事、すなわち在特会とは何なのかという本質的な話を言及しておきましょう。
在特会とは何なのか? この答ほど一見難しそうで、実はこれほど簡単なものもありません。安田浩一はこれについて今回のインタビューでも

「私の考えだと在特会運動は非常に不幸な運動です。何かを獲得する為の運動ではありません。無条件で韓国が、在日コリアンが嫌いだと話す為の運動です。誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動だと思います。」
「彼らの論理を借りて言うと、強者に対する抵抗運動」
「在特会は日本社会の恥部」
「在特会も愛国者というよりは、国家から愛されたいと考える者達でしょう。彼らの主張は日本に自分達を捨てないでくれという主張でもあります。」


などといったおためごかしを繰り返していますが、これらは在特会という団体がそもそも何なのかという本質的な答には全くなっていません。
在特会とは何か? これに対する最も簡潔で本質的な答とは

「日本における国家体制の補完物」

に他なりません。他の旧来右翼と有意な差は何もない訳で、誰だってすぐに分かる話です。安田はその事に気付かなかったのでしょうか? いや、この男がいかに3流記者であってもさすがに気付いているでしょう。単に都合が悪いので、本質的な答を明かしたくなかっただけだと思います。
日本という国においては明治以降の帝国主義とアジア侵略と共に、民族差別が国策として進められてきました。差別は国家的に「正しい事」、国策・国益として行われてきた。日本右翼の最大の存在意義とはそうした事を補完する事にある訳で、在特会もまたそれに極めて忠実に呼応しているに過ぎません。そういう点で在特会ほど日本右翼らしい日本右翼はいないのです。安田浩一のようにこれを「彼らは保守でもなく右翼でもない。便宜上ネット右翼と言うが、これらは真正な意味での右翼ではない」などというのはとんでもない大嘘でしかありません。日本右翼がこれまでに日本の国家体制擁護の為にやってきた民族差別や抑圧、テロ活動、過去史歪曲などを新参者の在特会もまた一生懸命にやっているではありませんか。在特会の言動や主張に目新しいものなど何もありません。どれもこれも旧来の右翼がずっと言ったりやってきた事をそのままなぞってるだけ。いや、振るう暴力の威圧感や凶暴さという点では旧来の右翼の方がはるかに危険です。長崎市長銃撃事件や朝日新聞阪神支局襲撃事件、浅沼稲次郎刺殺事件、風流夢譚事件…その他日本の旧来右翼が無数に引き起こしてきた暴力事件や言論圧殺活動に比べたら、むしろ今の在特会などまだお子様レベルでしかないでしょう。もちろん在特会が今後もっと過激な暴力事件を引き起こすように凶暴化していく可能性は十分にありますが。
警察だって在特会に対しては既存の右翼同様に目こぼしして利用すらしてきました。桜井誠だって逮捕されたけど、案の定すぐに出て来たでしょう? 桜井と在特会にとっては今回の逮捕劇など箔を付けてくれた「勲章」に過ぎず、連中が今後ますます図に乗る事は明らかです。
何よりも在特会は今や日本一の悪役(?)の役回りを引き受けて、他の右翼はもちろん安倍晋三のような極右政治家から、民族差別の総本山たる日本国家そのものを美化させるという引き立て役の大役を立派に果たしているではありませんか。これこそ「体制の補完物」冥利に尽きるというものでしょう。立派に在特会は「お国」の役に立っている訳です。そんな「体制の補完物」そのものである在特会に対して「誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動」などと言っても何の意味もなければ批判にもならない。

在特会とは日本の国家体制を補完する存在の一つであり、日本そのものであるという事。ゆえに在特会だけをスケープゴートにして非難し、それを以って日本国家そのものを美化したり免罪するという事は出来ないし、あり得ません。その事を決して忘れてはいけないでしょう。安田浩一のようにそれをやっている人間は全くの嘘つき・ペテン師であると同時に、その者もまた在特会はじめとする日本右翼同様な「体制の補完物」に他ならないのです。

【翻訳記事】韓国プレシアンの安田浩一インタビューの内容が凄絶過ぎる件について「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません(安田浩一談)」後編

(前回からの続き)
在特会には多様な人間が集まっています。10代の中学生からはじまって70代の老人まで網羅しています。学生・一般会社員・中小企業経営者・家庭の主婦・アルバイター・無職など多様な構成員です。ある意味では日本社会の縮小版です。ではなぜ在特会に参加するのか? 取材の度に私は繰り返し尋ねました。答は多様です。

ある学生は「自分の手で日本を取り戻す為」だと言いました。彼は韓国や北朝鮮・中国が日本を侵略しようとしていると確信しています。それなのに日本の政治家もメディアもまるで戦おうとしないので、市民の手で戦う以外ないと主張しました。またある若者は在日コリアンが日本を押し潰そうとしていると答えました。「日本という国は外国人に親切この上ない。在日コリアンなどの外国人は福祉を奪取して、ついには日本を支配するだろう」と私に訴えました。

日本では今韓国映画とドラマ、K-POPなどの人気が高いです。一例として、本来日本人はサッカーをさして好きではありません。相撲と野球をはるかに好みます。フランスとイタリアの試合が行なわれても関心がありません。ですが韓国と日本のサッカー競技が始まると、普段サッカーを見ない人もテレビを点けます(笑)。


▲2010年10月「朝鮮学校無償教育反対」を訴えて朝鮮学校までデモ行進をしている。真ん中で眼鏡をしている男が在特会会長・桜井誠である。

さらに言えば好むと好まざると、日本は朝から晩まで韓国を意識します。少女時代もKARAも大変好きです。女性達は裵勇俊(ペ・ヨンジュン)を今でも好いています。サイの「江南スタイル」が良いという日本人もたくさんいます。それほど韓国が近い国だという事です。無視したくても無視出来ません。インド首相が日本を批判したとしてもニュースにはなりません。朴槿恵大統領がオバマ大統領に日本を批判する発言をすればインターネットやテレビで騒ぎになります。2012年にロシアがクリル列島に戦艦2隻を派遣するだろうと発表しましたが、その地域を取り巻いてロシアと対立を繰り広げている(いわゆる「北方領土」)日本は非常に静かでした。しばらく後に李明博大統領が独島に上陸した時は一日中大騒ぎでした。

地理的・精神的に近すぎる国、それがまさに日本における韓国の位置です。その為に韓国がする全ての事に神経を使う事になります。日本人であればソニーや東芝がどれだけ売れたかについてだけ神経を使えばいいのに、三星(サムソン)の販売率にも神経を使います。韓国経済が良くなればどうした事か少し腹が立ちます。韓国サッカーが少し調子が良いと、サイがアメリカで大きな公演を開けば腹立ちを感じます。日本人には韓国の動きにやや気に障るようです。いくつかの事件も日本には早く伝わります。中国で連続殺人事件が起こっても報道されませんが、韓国の殺人事件は日本でもそのまま報道されます。良い情報、悪い情報をそれだけ熱心に受け入れるのです。

これが気に入らないと訴える女性もいます。彼女は私に次のように言いました。「日本芸能界、テレビ放送局が韓国や在日コリアンに引き続き侵食されている。このまま行ったら日本文化がなくなってしまうだろう。K-POPが流行したのは韓国と在日コリアンの陰謀だ」領土問題や北朝鮮の拉致事件を契機に愛国心に目覚めて、在特会に参加する人もいます。そのうちの一人は「政府は戦争するという気概がない。そこで我々が戦うしかない。これは抗議行動ではなく、市民戦争だ」と言いました。共通点は、みな「自分達こそ被害者」と考えているという点でした。差別する側は自分達ではなく、自分達こそ在日コリアンから差別されているという意識でした。


▲安田浩一

ある在特会メンバーは私にこう告白しました。「日本という国も、そこに暮らす日本人も、韓国や在日コリアンに多くのものを奪われてしまった。福祉を奪われ、歴史を奪われ、領土を奪われ、テレビのチャンネルを奪われた。それなのに政治家やマスコミは韓国や在日コリアン側しかいない」と。今自分が属しているのは当然そうであるべき日本本来のものではないという考えに至るや、この世の全ての不条理を「敵」の責任に転嫁するようになったという事です。

彼らの立場では雇用不安も、経済的困難も、福祉の後退も、韓流ドラマとK-POPの隆盛も全て「敵」の陰謀だという事です。「在日コリアンが日本を支配している」という荒唐無稽な主張までもこの「奪われた人達」にはそれらしく聞こえるという事です。支離滅裂ですが明快です。どこか分かり易いのです。在日コリアンなど外国国籍住民を侵略者に比喩する極端的象徴がある程度説得力を持つという事です。

プレシアン:アニメーション「宇宙戦艦ヤマト」を見て以後「あの犠牲精神に私は憧れました。愛国心がなければ生きる意味もないと考えました」として極右に加担した男の逸話も興味深くありました。二つの考えが浮かんだのですが。天皇に対する絶対的な忠誠が大衆文化にも自然と染み込んでいる為にナショナリズムの効果が激化しているのか、あるいは大衆文化からして自身の根っこを探すオタク的特性が在特会にも表れていると見るべきかが気になります。

安田:大衆文化とは少し違う意味で、天皇に忠誠を誓う上位下達式文化が日本社会に全般的に根付いているのは事実です。日本の左翼運動も上位下達式でしたしある意味では軍隊と似ているでしょう。イデオロギーとは関係なくそうした自己犠牲精神は所々に埋め込まれています。

サブカルチャーに対して言うならば、アニメーションを好む者達が在特会に多いのは事実です。インターネットで自分達を宣伝する時にアニメーションを度々使いもしますから。在特会本部事務室の場所が秋葉原、アニメーションの本場とも言えるそこにあります。実際に在特会会員だけでなく、会長の桜井誠もアニメファンですよ。

私はアニメを好むのが悪いとは考えません。ただ個人的推測ですが、現実社会から逃げる為にアニメを選択する人間が多いのは事実です。在特会やはり現実社会と十分に対面する事が出来ずにおり、実在する在日コリアンと向かい合おうとせずにただ罵声を浴びせるだけでしょう。ある意味では現実に適応出来ないというのが特徴だと言えます。ゲームの中で戦うのと同様に在日朝鮮人と戦うのかもしれず、アニメと同様に現実社会から逃げているのかもしれません。

最近私の周辺でも、在特会会員達の中にはなぜあれほどアニメを好む人間が多いのか研究する動きが始まりました。まだ答は出ていません。アニメは日本の誇りという自負心が、在特会がアニメに固執する理由のうちの一つではないかとも思えます。ですがそうだとしても、それもまた現実社会を知らずにいる証拠です。ジャパニメーション制作現場は日本から撤収して久しいのですから。ジャパニメーションを作っているのは大部分が中国人です。在特会はそうした事実を知らず知ろうともしないでしょう。これは中国服を着て中国人を罵るのと同様です。アニメーションと在特会の関連性は私も重要だと思うので、これからももう少し考えてみたいです。

インターネットはそうした憤怒の熱気を沸き立たせる最適な道具でもあります。常識を一蹴するような「タブー破り」の快感もある事でしょう。経済生活の不安さ、政治体制に対する不安さによって何かを「奪われた」と考える人達には、しっかり守ってくれたと確信していた既存の価値観や常識が単純な権威に過ぎないものとみなされたのです。

在特会広報担当者は「我々の運動は階級闘争だ」と私に断言しました。「左翼であれ労働組合であれ、あれほどいい暮らしをしている人間達はいません。そんな人間達が在日コリアンのような外国人を庇護しています。差別を受けているのは我々なのです」これぞまさしくネット右翼と呼ばれる人間達に共通的な被害意識です。在日コリアンに「ゴキブリ」「死ね」と叫ぶのは彼らの論理を借りて言うと、強者に対する抵抗運動なのです。

社会に不信感が積もりながら俗説や陰謀論に走り易いメンタリティーが造成されているようです。それが現実とは違う想像の敵を作り出して、攻撃しても構わないという気分に青信号を送ります。もどかしい対立構造です。結局在特会は自分達の戦いに酔っているだけかもしれません。「多くのものを奪っていく巨大な敵と戦っている自分」に高揚感を与えている部分もあります。そして過激であるほど世の中に強く自分をアピール出来て浸透出来ると信じています。


▲在特会が作成した「朝鮮進駐軍」に関するビラ。これには出典も根拠もない。

在特会は極端な例ですが、多くの平凡な日本人達が在特会的な思考を持っている事に私はより多くの危機感を感じます。今の日本社会には強い国家を要求しながら、強い態度を取れば不満や不安で満ちた日常をリセット出来るだろうという根拠なき期待があるようです。平和憲法を取り巻く論議を見てもそのように感じます。安倍政権の誕生にも同じ文脈が隠されているのではないでしょうか? そこで私はこの本で「在特会は憎悪の地下水脈と連結している」と書きました。在特会は日本社会の恥部です。ですがどこかで大衆の気分と連結しています。

ネット右翼を含めて多くの者がナショナリズムに対して大きな期待をかけるようになった点は明らかです。日本には韓国ほどのナショナリズムはありませんでした。強要されなければ誰も日章旗を掲げたり君が代を歌おうとしませんでしたから。事実大部分の日本人達は日本という国の形態に対して無関心だったと言っても過言ではありません。私はアジアで最もナショナリズムの希薄な国が日本だったと思いますから。ですが長い経済不況を体験して、「一生懸命働いて金を稼げば世界ナンバー2になれる」という既存の考えが揺らぎました。世界の人達の関心は日本から中国に移りつつあります。日本人は自信を失っています。自分自身も不安定で国家が不安定な時は何に依存出来るか? そこで重要になるのは右翼という文脈よりも「強い国」という意識です。さらに言ってナショナリズムの隆盛です。こうしたナショナリズムは人種主義と結合するという側面で危険です。

日本人達はナショナリズムをどのように導いて相手する事が出来るのかを悩まねばならない課題を抱く事になりました。日本で「愛国者」が増えたのではないと思います。在特会も愛国者というよりは、国家から愛されたいと考える者達でしょう。彼らの主張は日本に自分達を捨てないでくれという主張でもあります。

韓国のみなさんに必ず知っていただきたいと願う点があります。日本が左傾化し続けていると主張する在特会とは違い、日本の右傾化を心配する方々もこの場に多い事でしょう。ですが私の考えでは、今の雰囲気は皆さんの心配する本当の右傾化なのかは確信出来ません。日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません。極右派達は従軍慰安婦問題が含まれない教科書を作りましたが、現在この教科書を採択する学校は全体の1%にもなりません。みなさんから見て日本社会が非常に右側に傾いているように見えるかもしれませんが、極右達の主張を受け入れる環境では決してないという点を申し上げたいと思います。

橋下徹大阪市長が日本人を代表するとお思いになるなるかもしれませんが、橋下の従軍慰安婦発言以降彼の支持率は急激に落ちました。女性からの信用を失ったのです。保守的な「産経新聞」から進歩的な「朝日新聞」までみな彼を批判しました。駅で売っているタブロイド新聞でさえ「橋下、辞めろ!」という題名を付けました。安倍首相も今は韓国や中国と良い関係を維持しようと発言しました。これもまた日本社会の雰囲気だという事です。

第2に在特会と真面目に戦う日本人達もたくさんいます。最近になって在特会がデモをすると、その両側から多くの抗議集団が姿を現します。抗議に参加する人の数が在特会デモ隊よりも多いです。みなそれぞれの考えが込められたプラカードを掲げて在特会に抵抗しています。「レイシストは失せろ」「レイシストは日本の恥部だ」「人種差別をやめろ」「在特会を許さない」「韓国人・在日コリアンと仲良くしようぜ」そのようなプラカードを持った人が数百人も集まるのです。

この人達もインターネットを見て集まった人達です圧倒的な多数の人達が、ただ平凡な無名の市民達であり、どんな運動組織にも所属していません。みなそれぞれ在特会に対する憤怒を感じて、自分の意思で活動に参加しているのです。在特会を街から追い出そうという署名活動も行なわれています。最近では国会でも問題になり、私が非常に嫌っていて恐らくみなさんも好きでない(笑)安倍首相でさえ「在特会などのデモは大変遺憾だ」と答弁しない訳にはいきませんでした。

日本社会の問題である以上、日本人が主体となって自身の恥部である在特会と戦わねばなりません。そして今必死に戦っています。こうした動きがあるという事実を韓国のみなさんが理解していただければ良いと思います。

プレシアン:在日コリアン達がそうした抗議集会に最も先陣を切らねばならないようなのに、そうでない理由はやはり目立ちたくない為でしょうか。

安田:そうです。在日コリアン達は目立ちたがりません。在特会が登場する前にも、ましてや第2次世界大戦が終わる以前から在日コリアンは偏見の目で見られて攻撃の対象であった為に、日本社会で注目を受けたがりません。在日コリアンの女性にしてジャーナリストである私の友人は、在特会の集会を見て非常に悲しみました。彼女は抗議の声を挙げられないと言って泣きました。自分が抗議に乗り出せば必ず攻撃されるだろうし、これ以上苦痛を受けたくないと言いました。

在特会反対集会に出た日本人達はそんな事実をよく知っています。そこで絶対に被害者達を前面に押し立てません。例えば学校でいじめ事件が発生した時、被害者に出て戦えと言うのは残酷です。いじめられた人間でなくいじめの現場を目撃した人間が乗り出すべきという事です。

韓国の日刊ベストがまだオンラインでのみ活動しているものと知っています。在特会も初期にはそうでした。もちろん日刊ベストも醜悪な主張、差別主義的な主張を多く発言するでしょう。その話をすると口が汚れるので、ただ「特殊な一部のバカ達」と言うかもしれません。私自身も、日本の進歩勢力達もインターネットで「朝鮮人は死ね」と叫ぶ人間をそのように書いていました。いずれにせよ頭の悪いガキ達がインターネットで遊んでいるだけだと思ったのです。

今多くの者達がその点に対して非常に反省しています。インターネットの極右達を過小評価していたのです。事実「朝鮮人は死ね」という言葉が、一部日本人達の「本音」だったという事です。「韓国は嫌いだ!」と大声で叫べなかった者達の代わりになって彼らが声を高めたのです。決して少数の頭の悪い叫びではなく、日本人の本音を映し出す鏡のようなものでした。日本人自体が消えないように、インターネット上のそうした気持ち悪い話も決して消えません。

国家間の政治的対立は存在し得ると思います。時には激烈な論争を必要です。ですが私は人種差別だけは絶対に許す事が出来ません。今在特会がしているのは個人的にも犯罪だと思います。人間の尊厳を毀損して人間の生存権すら奪おうとするからです。これを決して許す事は出来ません。これを許容している社会も許す事が出来ません。その為に多くの市民達と共にこれからも在特会に対して決然とした態度で向かい合おうと思います。同時に在特会を作り出した日本社会の不寛容も十分に意識しながらその原因を探そうと思います。それは記者としての責任でもあります。

キムチはみんなノロウィルスに感染している、半島には怪物ばかりが住んでいるなどの極右達の洗脳を解く為には実在する韓国人、実在する在日コリアンと会う以外にないと思います。日本人の中に悪い人間も良い人間も混ざっているように、韓国人も同様だと言いたいです。実在する人間がいるという事実、実際に存在するという人間同士生きていかねばならないという事実を話してやりたいのです。「ネットと愛国」は私と在特会間の戦いの記録であると同時に交流の記録でもあります。そうした戦いの記録に少しでも関心を持ったなら、私の本を読んでいただければと思います。長い時間ありがとうございました。

プレシアン:私もまた現在の韓国で日刊ベストがあまりに多くの紙面に登場する事について、事実複雑な心情です。インターネットコミュニティ中の一つに過ぎないこの集まりの極右性をあまり仰々しく報道する事でむしろ彼らの存在が実際よりももっと大きくなるのではないかと考えもしますが。

安田:難しい問題ではありますが、無視するよりは批判するのが良いと見ます。マスコミは日刊ベストのそうした主張を拒否するというメッセージを繰り返し伝達する事で、日刊ベストを防ぐ事が出来ると思います。日刊ベスト会員達の考え自体を変える事は出来ませんが、そうした動きを通じて日刊ベストの人達を批判的に眺める視線、絶対に受け入れられないというメッセージが形成され得る事でしょう。日刊ベストは韓国社会で少数派であり、窮地に追いやられた存在という事実をマスコミの力で確実に見せ付けねばなりません。

プレシアン:橋下徹市長の慰安婦発言に対して有名評論家の東浩紀も同調するような発言をして大きな衝撃を受けました。政治家や知識人が必ずしも政治的に正しいと考えませんが、歴史に対する知識面において少なくとも在特会よりはもう少しましな位置にいるのではありませんでしたか。在特会は一部インターネットの「負け犬」だと貶めるのではなく、このような偏見に満ちた認識が社会上層部にも広がっているのだというのを見せてくれる証拠ではないかという気がしました。

安田:私が少し前に東浩紀と対談しました。従軍慰安婦問題について徹底して対立しましたよ(笑)。日本の知識人よりも…うーん、日本社会が問題だと思います。知識があろうとなかろうとあまり関係がありません。その人が歴史をどのように見るかに掛かっています。いかに知識が多くて頭が良くとも、女性に対する差別や歴史を見る視点は関係がありません。

従軍慰安婦に対しては日本社会で合意が出来ていませんが、21世紀以前まではそれでも日本の恥部という認識が共有されていました。その為に1993年当時内閣官房長官を務めていた河野洋平が慰安婦に対して謝罪した「河野談話」であるとか、1995年当時村山富一総理が太平洋戦争当時の日本の植民地支配に対して公式的に謝罪した「村山談話」が何の反対もなく国会で通過する事が出来たでしょう。

そうして一部保守派から従軍慰安婦は嘘だという主張が出てきます。戦争が終わって60年が過ぎたのに日本はいつまで韓国や中国に謝罪せねばならないのかという主張が爆発してしまったのです。彼らは従軍慰安婦問題が自分の父や祖父を侮辱するようで苦痛だと感じるのです。誰も批判されるのは辛くて謝罪するのも嫌います。そこで従軍慰安婦はなかった、あるいは従軍慰安婦の何が悪いのかという話が出たのです。日本には従軍慰安婦に強制性があったのかどうかについての論争ばかりが存在します。もちろんそれも重要な問題ですが、植民地主権の意味であるとか女性の人権の意味についても考えねばならないと見ます。

私は橋下徹の意見に同意しません。万に一つ橋下の言うように、戦場の兵士達の為に女性が必要であったと仮定してみても、なぜその女性達に感謝しないのでしょうか? 女性達は自分の体で兵士達を慰めてくれたのに、彼女達をして売春婦だと言うのは許せない事です。橋下の論理通りならば、あの女性達に本心から感謝せねばならないでしょう。

結論的に知識人であれ大衆であれ、女性に対してそして当時植民地の朝鮮人に対して侮って蔑視する視点が同様に存在します。歴史に対して不誠実な態度にして、同時に人種差別です。その為に二重に許せないのです。そうした視点がある限り、慰安婦に対する十分な検証を出来るはずがないと見ます。


▲日本クーデターを夢見る極右組織「よーめん親衛隊」の訓練光景

※以下、原文記事では「ネットと愛国」の本文からの引用が続きますが、ここでは割愛しました。(訳者注)

訳 ZED

韓国語原文記事はこちら。
http://www.pressian.com/books/article.asp?article_num=50130614155621&Section=01


長くなったので、訳者解説は次の記事にて


【翻訳記事】韓国プレシアンの安田浩一インタビューの内容が凄絶過ぎる件について「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません(安田浩一談)」前編

まずは以前使用していたブログが突然凍結されてしまった事について、ちょっと御説明申し上げます。原因は筆者が以前記事で批判した「言論封殺魔」としか言いようのないある卑劣な人物が、忍者ブログの運営会社に圧力を掛けた事が原因でした。この人物は批判に対して言論で反論するという事をせずにいきなり運営会社に圧力をかけるという手口を好み、本当に言論でメシを食う人間の風上にもおけない下劣な存在としか言いようがありません。
もちろんそれでブログを凍結されたからといって、筆者は簡単に引っ込むつもりはありません。改めてブログを作り直して活動を再開する事にいたしました。過去の記事はこれから少しずつ復活させて順次再掲載していきますので、もう少しお待ち下さい。
忍者ツールの運営会社に圧力を掛けた「言論封殺魔」が何者なのかについては敢えて実名を挙げませんが、大体想像がつきますよね、という事にしておきましょう。筆者がこれまで何度も激烈に批判してきたある人物です。この言論人失格である事を自ら証明してくれた「言論封殺魔」に対して、筆者は今後とも変わらぬ批判を続けていく事は言うまでもありません。


さて、今回の記事は「復帰第1戦」という事になりますが、韓国の進歩派メディア「プレシアン」になかなか凄まじい内容のインタビューが載っていたので、これを翻訳して御紹介したいと思います。今回のインタビュー記事は決して良い意味で読んでいただきたい記事ではなく、悪い意味で知っておいていただきたい記事の代表格と言えるでしょう。この人物は外国のメディアでこんなとんでもない事を口走っている(いや、日本国内のメディアでもロクな事は言ってないけど)という事実を日本の人々に知っていただき、それに対して十分に注意し、その言ってる事を鵜呑みにしてはいけないという警鐘を鳴らす事と、当人を批判する目的で翻訳紹介するものです。そのインタビューされた人物とは…。

在特会を追跡したルポで先日晴れて講談社ノンフィクション賞まで受賞したジャーナリスト・安田浩一さんです!

問題の安田浩一の著書「ネットと愛国」という本は韓国でも翻訳出版されてそれなりに話題になりました。そのせいで安田は6月の3日から数日韓国へ行って、大学での講演や現地マスコミからのインタビューなどを数多く行なったのです。安田へのインタビューはプレシアンやオーマイニュース・民衆の声といった左派メディアから、東亜日報・中央日報といった右派メディアまで進歩・保守系問わず様々なメディアで行なわれ、こうした「モテモテぶり」を見れば安田の韓国行脚はとりあえず「興行的に大成功」だったと言えるのではないでしょうか。が、しかし…。
大事なのは安田がそこで何を言ったのかという事でしょう。前にも筆者は指摘(該当記事はまた後日復活させますので少しお待ちを)しましたが、安田浩一という記者が「ネットと愛国」「韓国のホンネ」といった最近の著書で一番言いたがっている最大のテーマ・結論というのは「日本は悪くない」の一言に尽きます。今の日本では「朝鮮人は死ね。出て行け」と叫ぶ在特会が派手に騒いでいる。ところが安田はなぜ日本でこんなにひどい民族差別が横行しているのか、その根本的な歴史的・政治的原因を決して詳しく掘り下げようとはしません。日本のレイシズムを真面目に語ろうと思ったら、明治以降のアジア侵略・植民地支配や戦後の悪しき日韓癒着と戦後も変わらなかった在日朝鮮人への差別政策といった歴史的・政治的問題を絶対に避けて通れず、それらが未解決のまま現在に至っている事を語らねば何の意味もない訳です。ところが安田はそれらを徹底的に無視して取り上げず、それどころかいきなり話が現在の韓国と日本の若者に飛び「日韓の若者は互いの文化を楽しんでいる」という事を言い出しては、そうした過去の問題がなかったかのような印象を与えようとしているではありませんか。「日韓の若者は互いの文化を楽しんでいる」から両者に対立なんかないんだ、騒いでいる在特会は「少数のバカ」なんだと安田は言いたいのでしょう。日本と韓国の若年層が歴史に無知になっているのは確かですが、安田はむしろそれを喜んでいるかのようにすら見えます。過去の歴史(侵略戦争・植民地支配など)を忘れて若者が互いの文化を楽しむべきという「李明博(朴槿恵でも可)的未来志向」を日本側で最も後押ししている記者が安田浩一ではありませんか。
その「未来志向良心的日本人」が今では在特会に対するカウンターに大挙参加している事をみなさん知って下さい、日本人の多くはレイシズムに反対しています、日本と日本人は悪くありません…という結論で一丁上がりというのが安田の典型的パターンな訳です。言うなれば日本社会の差別主義・レイシズムは「大多数の日本人」には関係ないから、「少数のバカ」在特会が悪いだけだから安心してね、という筋立てが日本社会の俗情の琴線に物の見事に触れてヒットしたと言えるでしょう。
こうした「安田浩一的日本美化・正当化論」がどれだけ日本の過去史清算や民族差別の撤廃に対して有害であるかは言うまでもありません。日本国内でさえこれだけ問題なのですから、これが外国、それも韓国で広められたら目も当てられないでしょう。しかし、それが起こってしまった。韓国の人達が日本の実情をあまり知らないのを良い事に、安田の「日本美化・正当化論」がほぼ無批判で韓国に垂れ流される結果となった。安田を無批判に持ち上げた韓国の大学やマスコミの罪も重大であり、頼むからもう少し日本や在日の現状・歴史を勉強してくれと言いたくなります。それらに十分な知識があったら絶対に安田浩一を無批判で持ち上げるようなアホな事はなかったでしょうから。

安田の著書や発言をよく読めば、この男の言ってる事は矛盾のカタマリだという事が嫌でも気付きます。「在特会の主張は多くの日本人の考えを代弁している」として在特会が日本社会では決して少数派とは言えない事を認めておきながら、一方では「在特会に反対して多くの日本人が立ち上がっている」として一転在特会を少数派のように言うのですから訳分かりません。安田は度々「自分は在特会を『少数のバカ』扱いしてきたのを反省している」と言いますが、実際には今でも在特会を「少数のバカ」扱いする事で日本社会を美化・正当化するのに利用し続けているではありませんか。こうした矛盾する発言が一つのインタビューの中で同時にいくつも混在している事が非常に多く、安田は自分が何言ってるかも分かってないんじゃないかとすら思えてきます。
今回御紹介するプレシアンの安田浩一インタビューはその最たるものでしょう。この間韓国マスコミが行なった数ある安田インタビューの中で、これは一番凄絶な内容ではないかと個人的には思い、翻訳を決めた次第です。安田発言に一貫して見られる日本の美化・正当化の為の弁明はもちろん、論理的矛盾や目を疑うバカ発言までこれほど「充実」したインタビューはないでしょう。今後安田浩一を批判するにあたっては、このインタビュー記事が欠かせないネタ元の「定本」になるものと筆者は考えます(笑)。

先日新大久保で行なわれた在特会とレイシストしばき隊のデモでは、在特会の会長をはじめとして双方に何人もの逮捕者が出ました。しかしながらこのレイシストしばき隊(反原発運動に日の丸や右翼の参加を持ち込んで運動を腐敗させた反原連が母体)とやら、参加者がほとんど在特会と政治的に違わない日の丸主義者や民族差別主義者・日帝のアジア侵略正当化論者などの巣窟であり、両者の衝突はどう見ても右翼同士の内ゲバ以上のものではありません。どこまで言っても在特会と同類の右翼でしかないしばき隊系カウンター行動が自らを正当化する「論拠」なのが、安田浩一の一連の著書や在特会取材記事でした。しばき隊系カウンター行動集団が主張してる事は安田が言ってる事のほとんど引き写しですし、安田自身もまたしばき隊や「仲良くしようぜ運動」を正当化して宣伝してやってる訳ですから。それも韓国のような外国にまで! いわば安田浩一こそ在特会と衝突している右翼カウンター行動(しばき隊・仲良くしようぜ系)の「教祖」的存在であり、その発言内容や本音を知る事は今回の逮捕劇による情勢の展開などを占う意味でも重要と言えます。

前口上が長くなりました。論より証拠で、まずは安田浩一インタビューの全文翻訳をお届けします。特に注目すべき個所は文字の色を変えたり大きくして強調しました。
ただし予め警告というか免責事項というか言っておきたいのですが、このインタビューは筆舌に尽くしがたい極めて醜悪な内容です。ここまで歪んだ日本観というものは極右、それこそ当の在特会のような狂気の言説にも比肩し得るものではないでしょうか。真面目な話、このインタビュー記事を読んで気分が悪くなったり大きな精神的苦痛を感じる人は決して少なくないでしょう。よって、そうした恐れのある方々は以下のインタビュー全文を無理してお読みにならない方が良いかもしれません。文章を飛ばして強調部分だけにざっと目を通すか、次々回の訳者解説(ツッコミ)部分だけ読んだ方が良いでしょう。繰り返しますがこれは本当に冗談でなく、それだけ安田浩一の発言内容がひど過ぎるからです。

果たしてどれだけ凄絶な内容が飛び出すか、百聞は一見にしかず、見ると聞くとは大違い。
文章量が多くブログの字数制限を超えてしまったので、インタビュー記事全文を前後2回に分け、それプラス訳者解説の全3回に亘ってお届けします。


「汚い韓国人、日本から出て行け!」進撃の「極右」とは何者?
【「在特会」と「日刊ベスト」の愚かさ】安田浩一講演及びインタビュー
キム・ヨンオン記者 2013.06.14 午後6:36:28

紅蓮の弓矢
踏まれた花の名前も知らずに
地に堕ちた鳥は風を待ちわびる
祈ったところで 何も変わらない
今を変えるのは戦う覚悟さ

屍踏み越えて進む意思を
嗤(わら)う豚よ家畜の安寧(あんねい)虚偽の繁栄
死せる餓狼の自由を

囚われた屈辱は反撃の嚆矢(こうし)だ
城壁のその彼方獲物を屠(ほふ)る Jager
迸(ほとばし)る衝動に その身を灼きながら
黄昏に緋を穿つ 紅蓮の弓矢

以上は現在人気裏に放送中であるジャパニメーション「進撃の巨人」主題歌「紅蓮の弓矢」の歌詞である。この歌を初めて聞いたのは「ネットと愛国(韓国語版題名 街に出たネット右翼 거리로 나온 넷우익 安田浩一著 キム・ヒョヌッ訳 フーマニタス刊)を読んだ直後だった。


▲荒木哲郎監督の「進撃の巨人」

大衆文化と特定社会的現象を一対一で比較するのは非常に危険な選択だが、いわば一時代の情緒を反映したり大きな影響を及ぼした作品達は明らかに存在した。例えば90年代末の「バブル経済」の中で、世紀末に対する奇異な興奮と倦怠と混乱ぶりが入り混じった状況で庵野秀明のアニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズが及ぼした影響を思い浮かべてみよ。そのシリーズは一つの現象となり、人類を滅ぼす事も救う事も出来る巨大な存在に対するある種の憧憬が大きく広がったものだ。あたかも己を破壊出来る神的存在に対して屈服と愛情が入り混じった悦楽に陥ったように。

それならば今全世界的な不況の時代の情緒である憤怒を反映する作品は、少なくとも日本と韓国では「進撃の巨人」ではないかという考えが浮かんだ。すでに漫画本として出版中である(韓国では鶴山文化社から発行中であり、10巻まで紹介された)この作品がついにテレビアニメとして放映されるという事実に数多くのファン達が沸き返り、1話1話放送される度に数多くのパラダイムと解析が乱舞している最中だ。だが「ネットと愛国」を読んだ後であの歌詞を見た時、自然にある映像が思い浮かぶのをどうする事も出来なかった。


▲「ネットと愛国」の韓国語版「거리로 나온 넷
우익 街に出たネット右翼」

日本の在特会(在日特権を許さない市民の会)、あるいはネット右翼達は自分達を50メートルの城壁に押し込められて制限された平和を享受している人間として設定し、その城壁の向こうからやって来て人間を屠戮する巨人の化け物を自分達の特権を奪う(と主張する)あらゆる種類の他社と同一視しているのではないか。「進撃の巨人」1話オープニングに出て来るオープニングを見よ。「その日人類は思い浮かべた。彼らが支配した恐怖を。鳥籠の中に押し込められた屈辱を」そしてアニメーションの中の人間は巨人達に徹底して踏みにじられた後これ以上恐がって生きる事を、巨人と命を懸けて戦う事を決心するが、おそらく在特会は「人類の力を味わえ!」といって巨人に刀を突き刺すあの場面でこの上ないカタルシスを感じたのではないか。高い壁を越えてちらりと赤い残忍な顔が浮かび上がった時、その赤い巨人の後を追うもう少し人間の形に近い忌まわしい巨人達が人間をむしゃむしゃと食べる時、彼らは自分達が侮辱されて踏みにじられて無視されている「真実」を思い浮かべているのではないか。そこで「反撃の嚆矢」としてもっと力を出して街に飛び出し、「核兵器のない社会の代わりに朝鮮人のない社会を!」「ゴキブリ朝鮮人を日本から追い出せ!」「チャンコロ達を東京湾に放り込め!」と叫ぶのではないか。

日本のフリーランスジャーナリスト安田浩一の「ネットと愛国」は色々な面でこの時代の流れに答える本だ。彼は在特会という忌まわしい集団を人類学的関心事というフィルターを通して「客観的」に観察するのではなく、その中へ直接飛び込んだ。彼は憚りなく戦って憤怒してあるいは好奇心に満たされて在特会会員達と、あるいは在特会以外の極右組織である「主権回復をめざす会」「排外社」「NPO外国人犯罪追放運動」「日本を守る市民の会」などと接触して、熟練した狩り子のように日本極右勢力の根っこと背景を広くたどって一つの核心へと狭めていく。「在特会は『生まれた』のではない。我々が『生んだ』のだ」という取り返しのつかない真実でだ。そしてこの結論は決して韓国の「日刊ベスト(略称 イルベ 極右コメントであふれている韓国版2ちゃんねるのようなサイトの事 訳者注)」に代表される「ネット右翼」とも無関係ではない。

去る6月3日に西江大学茶山館で開かれた著者・安田浩一講演とその後の観客との対話、そして「プレシアン」とのインタビューをこの場で再構成して紹介する。通訳は「ネットと愛国」の翻訳者であるキム・ヒョヌッが務めた。(編集者より)

私が「ネットと愛国」で扱っているのは「在特会」という組織です。正式名称は「在日特権を許さない市民の会」です。今日本では毎週「反在日コリアン」「反韓国」「反北朝鮮」をスローガンにしたデモと街頭行進が起こるのですが、その中心勢力が在特会です。彼らは日章旗を上げて集まって町を歩き「竹島(独島)奪還」「北朝鮮による拉致被害者救出」「在日特権廃止」などを主張します。ですがデモの内容は実際に韓国と在日コリアンに対する差別と誹謗、中傷謀略と見る事が出来ます。


 


d218a071.jpg
▲「ネットと愛国」の著者 安田浩一


彼らはインターネットで使う言葉をそのまま街で叫びます。一角では歩くインターネット掲示板とも言われます。彼らは自らを保守または右翼と主張しますが、反共とは言いません。在特会から見て日本に害悪となるのはもはや共産主義者ではなく、韓国そして在日コリアンです。参考までに在特会から見れば韓国も北朝鮮も同じ存在です。同じ朝鮮半島に暮らしている人間は全て悪い人間と考えるのですから。日本の自民党も全く信用しません。おそらくみなさんは安倍政権が右翼政権だと考える事でしょう(笑)。在特会にそのような話をすれば笑われるでしょう。安倍は朴槿恵に跪く売国奴だと考え、自民党をはじめとする保守勢力も自分達を妨害する存在とのみみなすからです。

そこで在特会集会場には「在日コリアンを日本から追い出せ」「朝鮮人を殺せ」「朝鮮人は毒を飲んで死ね」のような醜悪この上ないスローガンが飛び交います。一体なぜこのように醜悪で低劣な運動が人気を集めるのか? 一体なぜこの人達はこのような運動に引き込まれるのか? その理由を知る為に在特会関係者に話を聞き、彼らの運動を追ったのがこの本です。

私は長らく週刊誌記者として働きました。色々な事件を取材して記事として書くのが私の仕事でした。多くの事件を取材してきましたが、私がライフワークとしているものの一つが「外国人問題」です。日本に暮らす外国人達はどのような生活をしているのか? どのような考えで日本に来たのか? そして日本をどのように考えているのか? そうした質問を主に「ニューカマー(New Comer)」と呼ばれる外国人に聞きました。韓国と同様に日本でも様々な分野で外国人が働いています。特に工場などの製造業、サービス産業、地方の農業などで外国人の存在が最近は不可欠になりました。こうした状況を取材してみると、特に21世紀にはインターネットで外国人を差別する言葉が目について多くなったという事を知りました。私はそうした事実に大変神経を使ったのです。

プレシアン:あなたはその間日本国内の外国人労働者問題を詮索し、既存の著書の中にも「ルポ 差別と貧困の外国人労働者」「外国人研修生殺人事件」などがあるでしょう。これに対して関心を持つ事になった特別な契機があるのでしょうか?

安田浩一(以下安田):長い歳月の間日本では「外国人」とは「アメリカ人」でした。アメリカ人はありのままに受け入れたでしょう。ならば他の外国人はどうでしょう? 取材した結果は差別がありました。私が初めて感じたのはそうした状況を許せないという憤怒であり、そしてこれらが共に生きて行くには何が必要なのか考えるようになりました。彼らも同じ人間であるという事を知らせたかったし、アメリカ人に頭を下げながら他のアジア人達には傲慢に振る舞う日本社会を告発したかったのです。そこに日本の本当の姿が現れるようでした。私が今でも各外国人を取材するのは、日本とは何なのか、どんな国なのかを知りたいからです。

それにそうした外国人の中に在日コリアンが含まれていました。在日コリアンには他の外国人達と決定的に違う点があります。まず大部分が生まれた時から日本に暮らしています。そして歴史問題を外して在日コリアンを語る事は出来ないでしょう。日本人は在日コリアンに愛憎を同時に感じています。親近感を感じもしますが、反面で憎悪もまた生じ易い。この問題は大変難しい問題なのでいつも戸惑う事になります。マスコミでもこの問題を積極的に扱いたがる人は多くないでしょう。そこで私は誰もしないなら自分がやりたいと乗り出したのです。

「外国人が日本人の職場を奪っている」「外国人の為に日本の治安が悪くなった」「外国人の為に村が汚くなる」という悪口がインターネットに飛び交い始めました。さらには一部ネットユーザー達はニューカマー外国人達だけではなく、オールドカマー(Old Comer)と呼ばれる外国人、すなわち在日コリアンにも攻撃の矛先を向けました。「外国人の分際でなぜ日本人と同じ生活が出来るのか?」「在日コリアンは日本の福祉にただ乗りしている」「日本の経済が良くないのは在日コリアンの為だ」のような声が出始めたのです。

もちろん生憎と日本には以前から在日コリアンを差別する人達が存在しました。貧しい在日コリアンが日本の治安を乱す、在日コリアンは犯罪者が多いという話は決して新しいものではありません。しかし21世紀に入って流通される在日コリアンに対する話は古くなった世代の「上から見下ろす差別」とは少し違うようです。今の日本の一部で騒がれている「在日コリアンが日本を支配している」というのは「下から見上げる差別」です。それはユダヤ人を迫害したヨーロッパの雰囲気と似ているのかもしれません。


▲大分で開かれた在特会の「支部発足記念集会」


「日本のマスコミが在日コリアンの肩を持つのは在日コリアンがマスコミを占領してしまったからだ」「日本の全ての資本が在日コリアンに操られている」「政治家の大部分が在日コリアンから金をもらっている」「日本人の生活が厳しいのに、在日コリアンは豪華に暮らしている」のような話がSNSでも多く見られるようになりました。それこそ何の根拠もない陰謀論です。本来選挙権もない在日コリアンが日本を支配出来るはずがありません。それなのにこうした話を信じる人間が急に増えました。

正当な政治論談ではなく、純然たる陰謀論です。韓国人と在日コリアンに「死ね」「殺せ」と低劣な言葉を言い捨てているのを見れば、個人的には「保守」でも「右翼」でもないと思います。民族主義者でもありません。私は「人種差別主義者」「排外主義者」と呼んでいます。すなわち彼らは人間を恣意的に分類して差別する単純な「レイシスト」です。ヨーロッパのネオナチ、アメリカのKKKなどと同じイメージです。ですがレイシストという言葉がまだ一般的でないので、日本では「ネット右翼」と呼ぶ場合が多いのです。

ネット右翼という言葉には主張の論拠を全てインターネットに依存して引用するという意味が込められています。韓国でいま注目されている「日刊ベスト(右翼的書き込みがあふれている韓国版2ちゃんねるのようなサイト。略称はイルベ。 訳者注)」想像すれば分かり易いでしょう。同時に日本のネット右翼はオフライン活動も活発にしています。そうした行動も全てインターネットで公示され、インターネットで動員を主導しているのもネット右翼の特徴です。そして「反共」のような主張もありません。大部分の主張が人種差別的なものです。こうした部分が既存の保守や右翼とは違う為に、日本社会でもある程度注目を受けています。在特会はそのネット右翼の中心勢力という事です。

プレシアン:在特会が最もよく使う言葉が「インターネットで真実を知った」というのは興味深いです。韓国でも似た類の言葉がよく飛び交っていますから。付け加えると「真実」の代わりに「ファクト」という言葉をもっとよく使うのが差異点でしょうか(笑)。こうした者達がインターネットで断片的に提示される「ファクト」を見て全体的真実を知ったと考えるようになるメカニズムがちょっと興味深いのですが、韓国では修学能力試験で国史が選択科目として指定された為に起こった現象だと慨嘆する声が高くあります。正しい教育がなされなかった為だという事です。安田先生はどのように考えますか?

安田:うーん、勉強を特にしていないという考えはあります(笑)。ですが日本の状況は韓国とは少し違います。日本の学校では以前から従軍慰安婦問題や植民地問題などの歴史を非常によく教えています。その為に在特会は日本の教育を左翼教育だと呼ぶのです。歴史教育が不足しているのではなく、そうした左翼教育が間違っていると主張しているのでしょう。教師を敵と考え、教科書が共産主義に染まっているとして、日本の教育を管轄する文部科学省に対しても抗議し、自分達は誤った教育の被害者だと主張します。学校で学んだ事は嘘で真実はインターネットの中にのみあると信じるのです。そうした反発がネット右翼の原動力の中の一つです。

在特会が発足したのは2007年です。発足から今まで会長を務めている人間が桜井誠という人物です。現在41歳です。桜井は本来アルバイトで生計を立てる平凡な若者でしたが、インターネット掲示板では以前から有名人でした。「2ちゃんねる」のようなインターネット掲示板で韓国・北朝鮮・中国・そして在日コリアンを激烈に批判する事で知られていました。インターネットの「カリスマ」とまで呼ばれました。そんな彼が2007年に在特会を結成し、オフラインに登場しました。発足当時会員は500人、参考までに今は1万3000人ですから、6年間に会員数が26倍にも増えた訳です。結成当時には韓国や在日コリアンがどれだけ悪いかを学習するスタディグループでした。そうしていくらも経たないうちに行動に出て人種差別的デモや街頭宣伝などをするようになります。すなわち街に飛び出して来たのです。これを契機に会員達は急増しました。なぜ会員が増えたのか? まさに、在特会活動の一部始終を動画サイトに上げてからだと言います。

在特会はデモや街頭宣伝を動画サイトで生中継します。動画で自分達の主張を可視化させただけではなく、街頭宣伝途中で起こるトラブル(例えばデモや街頭宣伝に対して抗議しに来た人達との些細な紛争や乱闘劇、警察との攻防など)までもずべて編集せずに見せてくれます。多くの人々がこれに魅力を感じました。在特会は社会の開くと必死に戦っているというイメージが定着したのです。そうした必死な姿に感動した人々も少なくありません。

プレシアン:日本国内の公共活動が1970年代全共闘以後は幕を下ろしたじゃありませんか? 3.11以後に原発反対の大規模集会が大きな話題を集めたのもその為だと記憶していますが。

安田: 目に見える運動は1970年代よりも減りましたが、労働運動と社会運動は引き続き存在しました。問題はそうした運動の大義に魅力を感じられない人が増えた事です。もっと理解し易い、自分の不満をストレートに吸収して解消出来る運動に傾いたのでしょう。私の考えだと在特会運動は非常に不幸な運動です。何かを獲得する為の運動ではありません。無条件で韓国が、在日コリアンが嫌いだと話す為の運動です。誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動だと思います。

一方で韓国に対する情報が日本には本当にたくさんあります。それを日常生活で常に敏感に受け入れる人も多くなったでしょう。日本の進歩勢力の中には、韓国に不満があっても植民地時代を思い浮かべてそうした不満を口に出すなとする態度が大部分でした。そこへ欲求不満を感じる者達も多い。私はそうした風な態度に対しても望ましくないと考えます。私は韓国と日本がマスコミを通じて争うべきだと考えます。ですが今このような状況で、日本が在特会のような問題を持っている限り正しい言論の争いは困難です。

私自身も韓国マスコミに対しては不満を持っています。原爆が神の罰だと書いた最近の「中央日報」コラムが代表的な例です。その内容に日本人達はもちろん腹が立ちましたが、在日コリアンの中にも原爆に犠牲になった方々がたくさんいます。同じ韓国人も原爆に犠牲になったという事を想起させたいです。ですが私が韓国のそうした報道に対して反論したくても、在特会会員のような人間に扱われたくないので戸惑いました。人種差別が醜悪な理由はそうした正当な論争も不可能にするという事です。韓国と対等な立場で論争する為にも歴史を直視しなければならないと考えます。その為に日本人は日本人としての責任を尽くす為に、在特会式の運動を必ず追放せねばならないと思います。

(その2に続く)
 

プロフィール

性別:
非公開

ブログ内検索

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

フリーエリア