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【翻訳記事】韓国プレシアンの安田浩一インタビューの内容が凄絶過ぎる件について「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません(安田浩一談)」前編

まずは以前使用していたブログが突然凍結されてしまった事について、ちょっと御説明申し上げます。原因は筆者が以前記事で批判した「言論封殺魔」としか言いようのないある卑劣な人物が、忍者ブログの運営会社に圧力を掛けた事が原因でした。この人物は批判に対して言論で反論するという事をせずにいきなり運営会社に圧力をかけるという手口を好み、本当に言論でメシを食う人間の風上にもおけない下劣な存在としか言いようがありません。
もちろんそれでブログを凍結されたからといって、筆者は簡単に引っ込むつもりはありません。改めてブログを作り直して活動を再開する事にいたしました。過去の記事はこれから少しずつ復活させて順次再掲載していきますので、もう少しお待ち下さい。
忍者ツールの運営会社に圧力を掛けた「言論封殺魔」が何者なのかについては敢えて実名を挙げませんが、大体想像がつきますよね、という事にしておきましょう。筆者がこれまで何度も激烈に批判してきたある人物です。この言論人失格である事を自ら証明してくれた「言論封殺魔」に対して、筆者は今後とも変わらぬ批判を続けていく事は言うまでもありません。


さて、今回の記事は「復帰第1戦」という事になりますが、韓国の進歩派メディア「プレシアン」になかなか凄まじい内容のインタビューが載っていたので、これを翻訳して御紹介したいと思います。今回のインタビュー記事は決して良い意味で読んでいただきたい記事ではなく、悪い意味で知っておいていただきたい記事の代表格と言えるでしょう。この人物は外国のメディアでこんなとんでもない事を口走っている(いや、日本国内のメディアでもロクな事は言ってないけど)という事実を日本の人々に知っていただき、それに対して十分に注意し、その言ってる事を鵜呑みにしてはいけないという警鐘を鳴らす事と、当人を批判する目的で翻訳紹介するものです。そのインタビューされた人物とは…。

在特会を追跡したルポで先日晴れて講談社ノンフィクション賞まで受賞したジャーナリスト・安田浩一さんです!

問題の安田浩一の著書「ネットと愛国」という本は韓国でも翻訳出版されてそれなりに話題になりました。そのせいで安田は6月の3日から数日韓国へ行って、大学での講演や現地マスコミからのインタビューなどを数多く行なったのです。安田へのインタビューはプレシアンやオーマイニュース・民衆の声といった左派メディアから、東亜日報・中央日報といった右派メディアまで進歩・保守系問わず様々なメディアで行なわれ、こうした「モテモテぶり」を見れば安田の韓国行脚はとりあえず「興行的に大成功」だったと言えるのではないでしょうか。が、しかし…。
大事なのは安田がそこで何を言ったのかという事でしょう。前にも筆者は指摘(該当記事はまた後日復活させますので少しお待ちを)しましたが、安田浩一という記者が「ネットと愛国」「韓国のホンネ」といった最近の著書で一番言いたがっている最大のテーマ・結論というのは「日本は悪くない」の一言に尽きます。今の日本では「朝鮮人は死ね。出て行け」と叫ぶ在特会が派手に騒いでいる。ところが安田はなぜ日本でこんなにひどい民族差別が横行しているのか、その根本的な歴史的・政治的原因を決して詳しく掘り下げようとはしません。日本のレイシズムを真面目に語ろうと思ったら、明治以降のアジア侵略・植民地支配や戦後の悪しき日韓癒着と戦後も変わらなかった在日朝鮮人への差別政策といった歴史的・政治的問題を絶対に避けて通れず、それらが未解決のまま現在に至っている事を語らねば何の意味もない訳です。ところが安田はそれらを徹底的に無視して取り上げず、それどころかいきなり話が現在の韓国と日本の若者に飛び「日韓の若者は互いの文化を楽しんでいる」という事を言い出しては、そうした過去の問題がなかったかのような印象を与えようとしているではありませんか。「日韓の若者は互いの文化を楽しんでいる」から両者に対立なんかないんだ、騒いでいる在特会は「少数のバカ」なんだと安田は言いたいのでしょう。日本と韓国の若年層が歴史に無知になっているのは確かですが、安田はむしろそれを喜んでいるかのようにすら見えます。過去の歴史(侵略戦争・植民地支配など)を忘れて若者が互いの文化を楽しむべきという「李明博(朴槿恵でも可)的未来志向」を日本側で最も後押ししている記者が安田浩一ではありませんか。
その「未来志向良心的日本人」が今では在特会に対するカウンターに大挙参加している事をみなさん知って下さい、日本人の多くはレイシズムに反対しています、日本と日本人は悪くありません…という結論で一丁上がりというのが安田の典型的パターンな訳です。言うなれば日本社会の差別主義・レイシズムは「大多数の日本人」には関係ないから、「少数のバカ」在特会が悪いだけだから安心してね、という筋立てが日本社会の俗情の琴線に物の見事に触れてヒットしたと言えるでしょう。
こうした「安田浩一的日本美化・正当化論」がどれだけ日本の過去史清算や民族差別の撤廃に対して有害であるかは言うまでもありません。日本国内でさえこれだけ問題なのですから、これが外国、それも韓国で広められたら目も当てられないでしょう。しかし、それが起こってしまった。韓国の人達が日本の実情をあまり知らないのを良い事に、安田の「日本美化・正当化論」がほぼ無批判で韓国に垂れ流される結果となった。安田を無批判に持ち上げた韓国の大学やマスコミの罪も重大であり、頼むからもう少し日本や在日の現状・歴史を勉強してくれと言いたくなります。それらに十分な知識があったら絶対に安田浩一を無批判で持ち上げるようなアホな事はなかったでしょうから。

安田の著書や発言をよく読めば、この男の言ってる事は矛盾のカタマリだという事が嫌でも気付きます。「在特会の主張は多くの日本人の考えを代弁している」として在特会が日本社会では決して少数派とは言えない事を認めておきながら、一方では「在特会に反対して多くの日本人が立ち上がっている」として一転在特会を少数派のように言うのですから訳分かりません。安田は度々「自分は在特会を『少数のバカ』扱いしてきたのを反省している」と言いますが、実際には今でも在特会を「少数のバカ」扱いする事で日本社会を美化・正当化するのに利用し続けているではありませんか。こうした矛盾する発言が一つのインタビューの中で同時にいくつも混在している事が非常に多く、安田は自分が何言ってるかも分かってないんじゃないかとすら思えてきます。
今回御紹介するプレシアンの安田浩一インタビューはその最たるものでしょう。この間韓国マスコミが行なった数ある安田インタビューの中で、これは一番凄絶な内容ではないかと個人的には思い、翻訳を決めた次第です。安田発言に一貫して見られる日本の美化・正当化の為の弁明はもちろん、論理的矛盾や目を疑うバカ発言までこれほど「充実」したインタビューはないでしょう。今後安田浩一を批判するにあたっては、このインタビュー記事が欠かせないネタ元の「定本」になるものと筆者は考えます(笑)。

先日新大久保で行なわれた在特会とレイシストしばき隊のデモでは、在特会の会長をはじめとして双方に何人もの逮捕者が出ました。しかしながらこのレイシストしばき隊(反原発運動に日の丸や右翼の参加を持ち込んで運動を腐敗させた反原連が母体)とやら、参加者がほとんど在特会と政治的に違わない日の丸主義者や民族差別主義者・日帝のアジア侵略正当化論者などの巣窟であり、両者の衝突はどう見ても右翼同士の内ゲバ以上のものではありません。どこまで言っても在特会と同類の右翼でしかないしばき隊系カウンター行動が自らを正当化する「論拠」なのが、安田浩一の一連の著書や在特会取材記事でした。しばき隊系カウンター行動集団が主張してる事は安田が言ってる事のほとんど引き写しですし、安田自身もまたしばき隊や「仲良くしようぜ運動」を正当化して宣伝してやってる訳ですから。それも韓国のような外国にまで! いわば安田浩一こそ在特会と衝突している右翼カウンター行動(しばき隊・仲良くしようぜ系)の「教祖」的存在であり、その発言内容や本音を知る事は今回の逮捕劇による情勢の展開などを占う意味でも重要と言えます。

前口上が長くなりました。論より証拠で、まずは安田浩一インタビューの全文翻訳をお届けします。特に注目すべき個所は文字の色を変えたり大きくして強調しました。
ただし予め警告というか免責事項というか言っておきたいのですが、このインタビューは筆舌に尽くしがたい極めて醜悪な内容です。ここまで歪んだ日本観というものは極右、それこそ当の在特会のような狂気の言説にも比肩し得るものではないでしょうか。真面目な話、このインタビュー記事を読んで気分が悪くなったり大きな精神的苦痛を感じる人は決して少なくないでしょう。よって、そうした恐れのある方々は以下のインタビュー全文を無理してお読みにならない方が良いかもしれません。文章を飛ばして強調部分だけにざっと目を通すか、次々回の訳者解説(ツッコミ)部分だけ読んだ方が良いでしょう。繰り返しますがこれは本当に冗談でなく、それだけ安田浩一の発言内容がひど過ぎるからです。

果たしてどれだけ凄絶な内容が飛び出すか、百聞は一見にしかず、見ると聞くとは大違い。
文章量が多くブログの字数制限を超えてしまったので、インタビュー記事全文を前後2回に分け、それプラス訳者解説の全3回に亘ってお届けします。


「汚い韓国人、日本から出て行け!」進撃の「極右」とは何者?
【「在特会」と「日刊ベスト」の愚かさ】安田浩一講演及びインタビュー
キム・ヨンオン記者 2013.06.14 午後6:36:28

紅蓮の弓矢
踏まれた花の名前も知らずに
地に堕ちた鳥は風を待ちわびる
祈ったところで 何も変わらない
今を変えるのは戦う覚悟さ

屍踏み越えて進む意思を
嗤(わら)う豚よ家畜の安寧(あんねい)虚偽の繁栄
死せる餓狼の自由を

囚われた屈辱は反撃の嚆矢(こうし)だ
城壁のその彼方獲物を屠(ほふ)る Jager
迸(ほとばし)る衝動に その身を灼きながら
黄昏に緋を穿つ 紅蓮の弓矢

以上は現在人気裏に放送中であるジャパニメーション「進撃の巨人」主題歌「紅蓮の弓矢」の歌詞である。この歌を初めて聞いたのは「ネットと愛国(韓国語版題名 街に出たネット右翼 거리로 나온 넷우익 安田浩一著 キム・ヒョヌッ訳 フーマニタス刊)を読んだ直後だった。


▲荒木哲郎監督の「進撃の巨人」

大衆文化と特定社会的現象を一対一で比較するのは非常に危険な選択だが、いわば一時代の情緒を反映したり大きな影響を及ぼした作品達は明らかに存在した。例えば90年代末の「バブル経済」の中で、世紀末に対する奇異な興奮と倦怠と混乱ぶりが入り混じった状況で庵野秀明のアニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズが及ぼした影響を思い浮かべてみよ。そのシリーズは一つの現象となり、人類を滅ぼす事も救う事も出来る巨大な存在に対するある種の憧憬が大きく広がったものだ。あたかも己を破壊出来る神的存在に対して屈服と愛情が入り混じった悦楽に陥ったように。

それならば今全世界的な不況の時代の情緒である憤怒を反映する作品は、少なくとも日本と韓国では「進撃の巨人」ではないかという考えが浮かんだ。すでに漫画本として出版中である(韓国では鶴山文化社から発行中であり、10巻まで紹介された)この作品がついにテレビアニメとして放映されるという事実に数多くのファン達が沸き返り、1話1話放送される度に数多くのパラダイムと解析が乱舞している最中だ。だが「ネットと愛国」を読んだ後であの歌詞を見た時、自然にある映像が思い浮かぶのをどうする事も出来なかった。


▲「ネットと愛国」の韓国語版「거리로 나온 넷
우익 街に出たネット右翼」

日本の在特会(在日特権を許さない市民の会)、あるいはネット右翼達は自分達を50メートルの城壁に押し込められて制限された平和を享受している人間として設定し、その城壁の向こうからやって来て人間を屠戮する巨人の化け物を自分達の特権を奪う(と主張する)あらゆる種類の他社と同一視しているのではないか。「進撃の巨人」1話オープニングに出て来るオープニングを見よ。「その日人類は思い浮かべた。彼らが支配した恐怖を。鳥籠の中に押し込められた屈辱を」そしてアニメーションの中の人間は巨人達に徹底して踏みにじられた後これ以上恐がって生きる事を、巨人と命を懸けて戦う事を決心するが、おそらく在特会は「人類の力を味わえ!」といって巨人に刀を突き刺すあの場面でこの上ないカタルシスを感じたのではないか。高い壁を越えてちらりと赤い残忍な顔が浮かび上がった時、その赤い巨人の後を追うもう少し人間の形に近い忌まわしい巨人達が人間をむしゃむしゃと食べる時、彼らは自分達が侮辱されて踏みにじられて無視されている「真実」を思い浮かべているのではないか。そこで「反撃の嚆矢」としてもっと力を出して街に飛び出し、「核兵器のない社会の代わりに朝鮮人のない社会を!」「ゴキブリ朝鮮人を日本から追い出せ!」「チャンコロ達を東京湾に放り込め!」と叫ぶのではないか。

日本のフリーランスジャーナリスト安田浩一の「ネットと愛国」は色々な面でこの時代の流れに答える本だ。彼は在特会という忌まわしい集団を人類学的関心事というフィルターを通して「客観的」に観察するのではなく、その中へ直接飛び込んだ。彼は憚りなく戦って憤怒してあるいは好奇心に満たされて在特会会員達と、あるいは在特会以外の極右組織である「主権回復をめざす会」「排外社」「NPO外国人犯罪追放運動」「日本を守る市民の会」などと接触して、熟練した狩り子のように日本極右勢力の根っこと背景を広くたどって一つの核心へと狭めていく。「在特会は『生まれた』のではない。我々が『生んだ』のだ」という取り返しのつかない真実でだ。そしてこの結論は決して韓国の「日刊ベスト(略称 イルベ 極右コメントであふれている韓国版2ちゃんねるのようなサイトの事 訳者注)」に代表される「ネット右翼」とも無関係ではない。

去る6月3日に西江大学茶山館で開かれた著者・安田浩一講演とその後の観客との対話、そして「プレシアン」とのインタビューをこの場で再構成して紹介する。通訳は「ネットと愛国」の翻訳者であるキム・ヒョヌッが務めた。(編集者より)

私が「ネットと愛国」で扱っているのは「在特会」という組織です。正式名称は「在日特権を許さない市民の会」です。今日本では毎週「反在日コリアン」「反韓国」「反北朝鮮」をスローガンにしたデモと街頭行進が起こるのですが、その中心勢力が在特会です。彼らは日章旗を上げて集まって町を歩き「竹島(独島)奪還」「北朝鮮による拉致被害者救出」「在日特権廃止」などを主張します。ですがデモの内容は実際に韓国と在日コリアンに対する差別と誹謗、中傷謀略と見る事が出来ます。


 


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▲「ネットと愛国」の著者 安田浩一


彼らはインターネットで使う言葉をそのまま街で叫びます。一角では歩くインターネット掲示板とも言われます。彼らは自らを保守または右翼と主張しますが、反共とは言いません。在特会から見て日本に害悪となるのはもはや共産主義者ではなく、韓国そして在日コリアンです。参考までに在特会から見れば韓国も北朝鮮も同じ存在です。同じ朝鮮半島に暮らしている人間は全て悪い人間と考えるのですから。日本の自民党も全く信用しません。おそらくみなさんは安倍政権が右翼政権だと考える事でしょう(笑)。在特会にそのような話をすれば笑われるでしょう。安倍は朴槿恵に跪く売国奴だと考え、自民党をはじめとする保守勢力も自分達を妨害する存在とのみみなすからです。

そこで在特会集会場には「在日コリアンを日本から追い出せ」「朝鮮人を殺せ」「朝鮮人は毒を飲んで死ね」のような醜悪この上ないスローガンが飛び交います。一体なぜこのように醜悪で低劣な運動が人気を集めるのか? 一体なぜこの人達はこのような運動に引き込まれるのか? その理由を知る為に在特会関係者に話を聞き、彼らの運動を追ったのがこの本です。

私は長らく週刊誌記者として働きました。色々な事件を取材して記事として書くのが私の仕事でした。多くの事件を取材してきましたが、私がライフワークとしているものの一つが「外国人問題」です。日本に暮らす外国人達はどのような生活をしているのか? どのような考えで日本に来たのか? そして日本をどのように考えているのか? そうした質問を主に「ニューカマー(New Comer)」と呼ばれる外国人に聞きました。韓国と同様に日本でも様々な分野で外国人が働いています。特に工場などの製造業、サービス産業、地方の農業などで外国人の存在が最近は不可欠になりました。こうした状況を取材してみると、特に21世紀にはインターネットで外国人を差別する言葉が目について多くなったという事を知りました。私はそうした事実に大変神経を使ったのです。

プレシアン:あなたはその間日本国内の外国人労働者問題を詮索し、既存の著書の中にも「ルポ 差別と貧困の外国人労働者」「外国人研修生殺人事件」などがあるでしょう。これに対して関心を持つ事になった特別な契機があるのでしょうか?

安田浩一(以下安田):長い歳月の間日本では「外国人」とは「アメリカ人」でした。アメリカ人はありのままに受け入れたでしょう。ならば他の外国人はどうでしょう? 取材した結果は差別がありました。私が初めて感じたのはそうした状況を許せないという憤怒であり、そしてこれらが共に生きて行くには何が必要なのか考えるようになりました。彼らも同じ人間であるという事を知らせたかったし、アメリカ人に頭を下げながら他のアジア人達には傲慢に振る舞う日本社会を告発したかったのです。そこに日本の本当の姿が現れるようでした。私が今でも各外国人を取材するのは、日本とは何なのか、どんな国なのかを知りたいからです。

それにそうした外国人の中に在日コリアンが含まれていました。在日コリアンには他の外国人達と決定的に違う点があります。まず大部分が生まれた時から日本に暮らしています。そして歴史問題を外して在日コリアンを語る事は出来ないでしょう。日本人は在日コリアンに愛憎を同時に感じています。親近感を感じもしますが、反面で憎悪もまた生じ易い。この問題は大変難しい問題なのでいつも戸惑う事になります。マスコミでもこの問題を積極的に扱いたがる人は多くないでしょう。そこで私は誰もしないなら自分がやりたいと乗り出したのです。

「外国人が日本人の職場を奪っている」「外国人の為に日本の治安が悪くなった」「外国人の為に村が汚くなる」という悪口がインターネットに飛び交い始めました。さらには一部ネットユーザー達はニューカマー外国人達だけではなく、オールドカマー(Old Comer)と呼ばれる外国人、すなわち在日コリアンにも攻撃の矛先を向けました。「外国人の分際でなぜ日本人と同じ生活が出来るのか?」「在日コリアンは日本の福祉にただ乗りしている」「日本の経済が良くないのは在日コリアンの為だ」のような声が出始めたのです。

もちろん生憎と日本には以前から在日コリアンを差別する人達が存在しました。貧しい在日コリアンが日本の治安を乱す、在日コリアンは犯罪者が多いという話は決して新しいものではありません。しかし21世紀に入って流通される在日コリアンに対する話は古くなった世代の「上から見下ろす差別」とは少し違うようです。今の日本の一部で騒がれている「在日コリアンが日本を支配している」というのは「下から見上げる差別」です。それはユダヤ人を迫害したヨーロッパの雰囲気と似ているのかもしれません。


▲大分で開かれた在特会の「支部発足記念集会」


「日本のマスコミが在日コリアンの肩を持つのは在日コリアンがマスコミを占領してしまったからだ」「日本の全ての資本が在日コリアンに操られている」「政治家の大部分が在日コリアンから金をもらっている」「日本人の生活が厳しいのに、在日コリアンは豪華に暮らしている」のような話がSNSでも多く見られるようになりました。それこそ何の根拠もない陰謀論です。本来選挙権もない在日コリアンが日本を支配出来るはずがありません。それなのにこうした話を信じる人間が急に増えました。

正当な政治論談ではなく、純然たる陰謀論です。韓国人と在日コリアンに「死ね」「殺せ」と低劣な言葉を言い捨てているのを見れば、個人的には「保守」でも「右翼」でもないと思います。民族主義者でもありません。私は「人種差別主義者」「排外主義者」と呼んでいます。すなわち彼らは人間を恣意的に分類して差別する単純な「レイシスト」です。ヨーロッパのネオナチ、アメリカのKKKなどと同じイメージです。ですがレイシストという言葉がまだ一般的でないので、日本では「ネット右翼」と呼ぶ場合が多いのです。

ネット右翼という言葉には主張の論拠を全てインターネットに依存して引用するという意味が込められています。韓国でいま注目されている「日刊ベスト(右翼的書き込みがあふれている韓国版2ちゃんねるのようなサイト。略称はイルベ。 訳者注)」想像すれば分かり易いでしょう。同時に日本のネット右翼はオフライン活動も活発にしています。そうした行動も全てインターネットで公示され、インターネットで動員を主導しているのもネット右翼の特徴です。そして「反共」のような主張もありません。大部分の主張が人種差別的なものです。こうした部分が既存の保守や右翼とは違う為に、日本社会でもある程度注目を受けています。在特会はそのネット右翼の中心勢力という事です。

プレシアン:在特会が最もよく使う言葉が「インターネットで真実を知った」というのは興味深いです。韓国でも似た類の言葉がよく飛び交っていますから。付け加えると「真実」の代わりに「ファクト」という言葉をもっとよく使うのが差異点でしょうか(笑)。こうした者達がインターネットで断片的に提示される「ファクト」を見て全体的真実を知ったと考えるようになるメカニズムがちょっと興味深いのですが、韓国では修学能力試験で国史が選択科目として指定された為に起こった現象だと慨嘆する声が高くあります。正しい教育がなされなかった為だという事です。安田先生はどのように考えますか?

安田:うーん、勉強を特にしていないという考えはあります(笑)。ですが日本の状況は韓国とは少し違います。日本の学校では以前から従軍慰安婦問題や植民地問題などの歴史を非常によく教えています。その為に在特会は日本の教育を左翼教育だと呼ぶのです。歴史教育が不足しているのではなく、そうした左翼教育が間違っていると主張しているのでしょう。教師を敵と考え、教科書が共産主義に染まっているとして、日本の教育を管轄する文部科学省に対しても抗議し、自分達は誤った教育の被害者だと主張します。学校で学んだ事は嘘で真実はインターネットの中にのみあると信じるのです。そうした反発がネット右翼の原動力の中の一つです。

在特会が発足したのは2007年です。発足から今まで会長を務めている人間が桜井誠という人物です。現在41歳です。桜井は本来アルバイトで生計を立てる平凡な若者でしたが、インターネット掲示板では以前から有名人でした。「2ちゃんねる」のようなインターネット掲示板で韓国・北朝鮮・中国・そして在日コリアンを激烈に批判する事で知られていました。インターネットの「カリスマ」とまで呼ばれました。そんな彼が2007年に在特会を結成し、オフラインに登場しました。発足当時会員は500人、参考までに今は1万3000人ですから、6年間に会員数が26倍にも増えた訳です。結成当時には韓国や在日コリアンがどれだけ悪いかを学習するスタディグループでした。そうしていくらも経たないうちに行動に出て人種差別的デモや街頭宣伝などをするようになります。すなわち街に飛び出して来たのです。これを契機に会員達は急増しました。なぜ会員が増えたのか? まさに、在特会活動の一部始終を動画サイトに上げてからだと言います。

在特会はデモや街頭宣伝を動画サイトで生中継します。動画で自分達の主張を可視化させただけではなく、街頭宣伝途中で起こるトラブル(例えばデモや街頭宣伝に対して抗議しに来た人達との些細な紛争や乱闘劇、警察との攻防など)までもずべて編集せずに見せてくれます。多くの人々がこれに魅力を感じました。在特会は社会の開くと必死に戦っているというイメージが定着したのです。そうした必死な姿に感動した人々も少なくありません。

プレシアン:日本国内の公共活動が1970年代全共闘以後は幕を下ろしたじゃありませんか? 3.11以後に原発反対の大規模集会が大きな話題を集めたのもその為だと記憶していますが。

安田: 目に見える運動は1970年代よりも減りましたが、労働運動と社会運動は引き続き存在しました。問題はそうした運動の大義に魅力を感じられない人が増えた事です。もっと理解し易い、自分の不満をストレートに吸収して解消出来る運動に傾いたのでしょう。私の考えだと在特会運動は非常に不幸な運動です。何かを獲得する為の運動ではありません。無条件で韓国が、在日コリアンが嫌いだと話す為の運動です。誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動だと思います。

一方で韓国に対する情報が日本には本当にたくさんあります。それを日常生活で常に敏感に受け入れる人も多くなったでしょう。日本の進歩勢力の中には、韓国に不満があっても植民地時代を思い浮かべてそうした不満を口に出すなとする態度が大部分でした。そこへ欲求不満を感じる者達も多い。私はそうした風な態度に対しても望ましくないと考えます。私は韓国と日本がマスコミを通じて争うべきだと考えます。ですが今このような状況で、日本が在特会のような問題を持っている限り正しい言論の争いは困難です。

私自身も韓国マスコミに対しては不満を持っています。原爆が神の罰だと書いた最近の「中央日報」コラムが代表的な例です。その内容に日本人達はもちろん腹が立ちましたが、在日コリアンの中にも原爆に犠牲になった方々がたくさんいます。同じ韓国人も原爆に犠牲になったという事を想起させたいです。ですが私が韓国のそうした報道に対して反論したくても、在特会会員のような人間に扱われたくないので戸惑いました。人種差別が醜悪な理由はそうした正当な論争も不可能にするという事です。韓国と対等な立場で論争する為にも歴史を直視しなければならないと考えます。その為に日本人は日本人としての責任を尽くす為に、在特会式の運動を必ず追放せねばならないと思います。

(その2に続く)
 

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