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【再掲翻訳記事】権赫泰インタビュー「韓国の独裁政権と日本政府は共犯関係」

以下は2012年末の日本の総選挙と韓国の大統領選挙直前に、今は閉鎖された旧ブログに載せた権赫泰教授(聖公会大学)のインタビュー記事翻訳である。
昨年末の選挙の結果、韓国では朴槿恵が大統領になり、日本では自民党が勝利して安倍晋三が再び総理の座に返り咲いた。朴正煕の娘と岸信介の孫が同時期に揃って韓日の国家元首となり、ここに戦後日韓癒着・共犯関係の総仕上げというか究極形態とも言うべき「日韓2013年体制」が確立した事になる。韓国と日本という国は戦後一貫して悪しき癒着関係(植民地支配清算の骨抜き、歴史歪曲、お互いの民主主義抑圧、北朝鮮や中国に対する「反共の防波堤」という名の韓米日軍事同盟と軍事政策、財閥や大企業の不公正な経済活動など)を続けて来た。金大中・盧武鉉政権のようなある程度例外的な時期はあったものの、その後の李明博政権によるニューライト政権への交代で再び時計の針が過去へ戻ってしまったようだ。朴槿恵政権の登場により、そうしたこれまでの悪しき日韓共犯体制が最も強化された時代に我々は生きている。韓国ではかつての軍事独裁政権を髣髴とさせる民衆運動や進歩勢力への弾圧が甦り、親日派や植民地近代化論の復権が相次いでいる。日本でも3.11以降は社会の右傾化に歯止めが掛からなくなり、反原発運動をはじめとする市民運動・社会運動も軒並み翼賛化して挙国一致報国会的なものへと変質してしまった。在日朝鮮人への差別と抑圧もさらにヒートアップしたと言ってよい。この両国が今やアメリカの下で一緒に仲良く対北朝鮮軍事訓練を大々的に行っている。憲法9条もへったくれもない。
こうした日韓癒着の背景はいかなるものであったのか。それに答えてくれたものが以下の権赫泰教授のインタビューである。韓国の旧軍事独裁政権がどれだけ日本に代わって日帝植民地被害者の声を圧殺してやったか、日本は韓国をはじめとするアジア諸国の犠牲とアメリカの核の傘という条件を利用してどれだけ自分だけ「平和国家」といういい思いをしてきたのか、その歴史を知らずに現状を知る事も未来を切り開く事も出来はしない。「日本と韓国の過去の関係には癒着もあったが、使命感の共有もあった」といってこうした悪しき歴史を美化・正当化する小此木政夫のような者の歴史観が、どれだけ韓国にとっても日本にとっても真の歴史清算と民主主義のガンになってきた事だろうか。
今回の権教授の発言についてはその後京都大学新聞が行ったインタビュー

http://www.kyoto-up.org/archives/1779
http://www.kyoto-up.org/archives/1811

とも内容的に重なる部分も多いが、こちらの方がより具体的に踏み込んだ部分もあるので、両方を照らし合わせて読んでいただければと思う。

余談だが、このインタビューが載ったのがプレシアンというのも今となっては隔世の感がある。ほんの1年前の話なのに…。同紙はその後、ハンギョレなど他の韓国進歩派マスコミと同様にさらなる保守化の一途をたどって、今ではほとんど読むに値する記事がなくなった。これは翻訳して日本に知らせたい、と思う記事がなくなったという事でもある。朝中東と一緒になって統合進歩党をバッシングしておきながら、今になって「民主主義の危機」とか慌てても遅いんだよ。

 

【訳者より】
日本と韓国両方で運命の分かれ道となる大きな選挙が目前に迫っています。投票を前にして投票権のあるなしに関わらず、日本に住む多くの人達に読んで欲しいという思いから以下の記事を翻訳してお届けする事にしました。おなじみ韓国のインターネット新聞プレシアンに昨日掲載された、権赫泰教授が現在の日本と韓日関係を大いに語ったインタビューです。長い前置きは不要。結構長いですが、まずは読んでいただきましょう。今回の衆院選における「酷過ぎる構図」の中でいかに考えるべきなのか、投票すべきなのかについて、一介の朝鮮人・韓国人の視点から見える日本の姿から多くの事を読み取って欲しいと思います。


「韓国の独裁政権と日本政府は共犯関係」
「東アジアとのインタビュー」【2】権赫泰(クォン・ヒョッテ)聖公会大学教授
記事入力 2012-12-13 午前11:15:12

最近数ヶ月間、日本と関係のあるニュースがあふれ出た。上半期には韓日軍事情報協定のショックがマスコミの紙面を飾ったとするならば、下半期には独島(竹島)と慰安婦問題がその座に代わった。乱れるほどに韓日関係のシーソーゲームが激しかった2012年であったという事だ。また、中国と日本の間で尖閣=釣魚島領土紛争が激化しながら「これでは戦争になるのではないか」という憂慮も渦巻いた。日本の右傾化と軍事大国化を憂慮する声も大きくなった。

日本はなぜこうなのか? 日本がおかしいのか、日本を眺める我々の視角に問題があるのだろうか? この気掛かりを解くべく聖公会大学日本語日本学科の権赫泰(クォン・ヒョッテ)教授に会った。権教授は日本の一橋大学で日本経済史研究で経済学博士学位を取得した。主要論文としては「在日朝鮮人と韓国社会」「教科書問題を通じて見る日本社会の内面読み」「日本の憲法改正と韓日関係の非対称性」などがあり、代表的著書としては「日本の不安を読む」、訳書に「裕仁とマッカーサー」がある。論文と著書・訳書の題名を見ても、彼の幅広くも深く延びている日本への関心を知る事が出来る。

インタビューは11月15日午後にソウル麻浦区(マポグ)合井洞(ハプチョンドン)のとあるカフェで、平和ネットワークのイ・ジェヨン幹事、キム・ユスンインターンが進行した。2時間を越える間に権赫泰教授は情熱的に日本と韓日関係、そして韓国政府の対日政策に対する問題点を項目毎に指摘した。最大の関心事である日本の右傾化に対する話から切り出してみた。


・多くの人達が日本の右傾化を憂慮している。日本の右傾化現象とは、適切な診断だろうか?


▲権赫泰 聖公会大学教授

右傾化に対してこういう表現を聞いた事がある。「日本政府が取っている政策が世界的水準と比べて必ずしも右側にあるとは見なせない為、日本の政治意識の断面図を表現するのに右傾化とは適切な用語ではないという事」だというのだ。この言葉を聞いた当時は2000年代初頭だったが、韓国政府が執っている国内政策や外交安保政策と日本の政策を比較してみた時、日本が右側にいると見なし難いという趣旨だった。だが右傾化というのはストック(stock)ではなくフロー(flow)、すなわちある流れと方向を表すものであって、特定政策の理念的性格を断面図で診断する言葉ではない。つまり過去に比べて右側へ流れて行くという言葉だ。

日本の最近60年の歴史を見た時、自民党長期執権を含めてどの政府であれ左旋回もあったし右旋回もあった。だが全体的な流れで見ると右傾化が持続的に成し遂げられて来たのは事実だ。特に1990年代後半以降では、右傾化の流れを制御出来る政党と市民勢力が弱まる状態になった。1990年代に社会党が倒れたところが大きい。また、自民党と民主党の政治理念の間に有意味な差異が存在すると見るのは難しい。


・2009年に民主党が政権交代に成功した時には雰囲気が違っていたのではないか?

2009年に民主党が執権した時にこういう事があった。当時韓国のメディアではおおむね、日本に民主党政権が出来たのだから韓日関係がうまく回復するだろうし、東北アジア情勢にも良い日が来るだろうという楽観的な評価をした。当時私はこう言った。「民主党と自民党の間には有意味な差異がなく、民主党の勝利を選択した有権者の心理は小泉純一郎の自民党政権を支えたそれとさほど差異がない。だから民主党に過度の期待はしないように」と注文した。

今の状況を見ると私の憂慮通りに流れて来た。右傾化に対する制御装置が消えた1999年を普通は右傾化元年と言うのだが、この後その流れが今まで持続してきている。橋本龍太郎も2000年代に入って、小泉時代に日本政府が執っている右傾化政策を見ると大変心配だ、という表現をした事がある。また、日本で「どこを見ても右傾化一色」という表現も登場する。韓国でのみ使われる表現ではない。右傾化とは流れを指して言うものだ。


・日本で右傾化とは、果たして何を意味するのか気になる。ナショナリズム(nationalism)を言うものなのか?

右傾化とは何かと聞かれればいくつかの説明がし得る。ナショナリズムは国家主義、国民主義、民族主義などに訳されるが、敢えて言うなら国家主義的な性格が強い。そしてアメリカとの関係を除外すれば、孤立主義的な外交路線が目に付く。過去とは変わったが、基本的に外交安保軍事上の存在感(presence)をアジアで育てていく事が日本で強く支持を受けている。それは1990年代くらいまで約50年間守って来たとする「平和主義」という名分すらも否定するものだ。もちろん現実にはすでに以前から多くが進行していたのだが、という話だ。


・社会党など右傾化を制御出来る政治勢力の消滅は、日本右傾化の「条件」ではないか? より直接的な「原因」と「背景」には何があるのか?

これは長い答弁になるだろう。敢えて遡ると1945年に戦争を終わらせる方式、処理する方式にすでに今の状況が込められていた。「平和主義」の内容とは何であり、なぜそれが1990年代以降否定されたのかを見なければならない。日本の「平和主義」を構成する要素は平和・民主主義・経済成長だ。これを支えた最も大きな条件のうち一つは保守-革新のバランスだ。1980年代末、正確に言うなら1993年度まではそれが作動した。

自民党は憲法改正を政綱政策に込めている政党だ。1955年以降から自民党は連立を含めて議会で常に過半数を占めて来たが、3分の2以上を占めた事はない。内閣責任制でこの事実は重要だ。3分の2以上を占めれば憲法改正が可能であるからだ。自衛隊廃止と日米安保条約廃棄を掲げた第1野党社会党はただの一度も過半数を超えた事はなかったが、常に3分の1以上は占めた。こうして憲法改正も不可能だが、だからといって社会党政権になって自衛隊を廃止して日米安保条約を廃棄する事も出来なかった。

憲法改正の最も重要な争点は憲法9条だ。大韓民国は憲法1条で民主共和国だという政治体制を規定しているが、日本国憲法にはそれに相応するものがない。国号を見れば大韓民国はROK(Republic of Korea)であり、北朝鮮すなわち朝鮮民主主義人民共和国はDPRK(Democratic Prople's Republic of Korea)だが、日本はそのままJAPANだ。それは政治体制を規定する事が出来なかったからだ。立憲君主制なのか共和制なのか中途半端な状態で戦後体制が出帆した。9条は基本的に武装を禁止している。

憲法を改正するという事は「平和主義」の基礎を否定して自主国防をするという事だ。日本社会の一方では社会党を中心に平和憲法を守ろうとし、一方では改正しようとする様相が続いて来た。もちろん自民党は憲法を改正して軍隊を持つ事がさほど有利ではないと判断をしていた。国防費も掛かるし、周辺地域に軍事的緊張をもたらして軍備競争の悪循環に陥る可能性があるからだ。したがって日本政府は駐日米軍に外交安保を任せ、自衛隊戦力で補助的役割をさせる事にしたのだ。それが日米同盟体制である。その構図が長らく続いて来た。だがアメリカは1946年に日本に憲法を作らせておきながら、すぐに後悔する。日本が一定の軍事的役割をしてくれる事を望んだのに、そう出来なかった為だ。しかし冷戦解体後にこの構図が破れたのである。


・平和憲法制定当時には日本国民達が反発しなかったのか?

憲法制定は日本国民の選択ではない。アメリカが強要した憲法だ。だが改正する道を選ぶ事はしなかった。戦争の記憶と体験があった為である。経済成長でちゃんと食っていい暮らしをする事を選択した。だがだからといって、憲法条項通りに完全なる非武装を支持したのではなかった。自衛隊と日米安保条約は支持した。それで日本の平和憲法を平和主義と読み取るのには無理があるものの、とりあえず限定的な意味で「平和主義」という用語を使うならば、その平和主義が作動した条件を理解せねばならない。

だが日本社会は平和主義が特殊な条件下で作動したものだという事実を知らなかったり、あるいは認めずに、平和主義の果実だけをもいで食った側面がある。日本人達は、自衛隊は軍隊ではないと言う。だがそれは事実ではない。日米安保条約が日本を守ってくれたからである。軍事力を否定する憲法9条を米軍という巨大な軍事力が支えてくれたのだ。また日本には非核3原則がある。核を作ってはならず、保有してもならず、持ち込んでもならないという三つの原則だが、これはどれだけ素晴らしい内容であろう。

しかしながらそれがどのように機能したのか。日本社会の平和に対する意思が強くてそうだと言えるだろうか? それは虚構に過ぎない。アメリカの核の傘の下に作動したのが、まさに非核3原則である。もし非核3原則と平和主義が日本社会の内面的哲学だというならば非同盟外交をしたりすべきで、日米同盟体制に入っていてはならなかった。それなのにアメリカの軍隊も入って来ており、アメリカの核の傘の中にいながら非核3原則と平和憲法を押し立てる。その構図の中で平和、民主主義、経済成長の果実を1980年代末まで享受してきた。それを支える国内条件が保守と革新の絶妙な同居だった。


・自衛隊は軍隊ではないのか? すでに平和憲法は有名無実化したのではないか?

それは憲法解釈の問題と連結している。アメリカは日本に軍隊を作れと言った。そして日本も軍事主義への欲望があった。けれども憲法上軍隊を作ってはならない。ならば自衛隊とは何か。アジアの一般的な水準で見れば、自衛隊はとてつもない軍事力だ。だが日本社会は軍隊がないと言いながら、自衛隊が実際に軍事力として機能しているという事実を認めない。憲法と自衛隊が両立出来ない為に憲法解釈を変える。規定を変えるのは大変だから、解釈を変える解釈改憲をする。日米安保条約に規定された駐日米軍が憲法の禁ずる武装に該当するかも論争であった。だが「外国軍隊は該当しない」「自衛隊は専守防衛をする」「集団的自衛権は認めない」という解釈で1990年代までもたせてきたのだ。


・「平和主義」を維持させる国際的な状況はなかったのか?

もちろんある。アジアでは韓国と台湾が重要だ。韓国の徴兵制は冷戦構造の中で見れば、世界資本主義の戦闘部隊として背後にある日本とアメリカを守る役割もする。もし韓国の徴兵制がなかったり、南北朝鮮が統一して日本に敵対的な、あるいは非同盟的な政府が立ち上がったら、日本の平和憲法が存立可能ではなかっただろう。自分が軍隊に行かざるを得ない韓国の現実と、軍隊に行かなくても良い日本の若者との現実の間には非常に緊密な相関関係がある。だが日本の「平和主義」の観点ではそのように見ない。韓国は軍事独裁の国で、日本は民主主義と平和の国だと考え、両者間の相関関係を見逃した。1960-1970年代にはみなそうだった。それに対する自覚が出たのは後日の事である。


・なら逆に言って、韓国の民主化が日本の右傾化に影響を与えたという意味か?

韓国には徴兵制があって、日本には徴兵制がない。日本の「平和主義」は韓国の徴兵制と日米安保条約、アメリカの核の傘によって支えられたという逆説的な構造に置かれている。それがなければ作動しないのに、日本社会はその相関関係に対する自覚が弱かった。そこで、こうした構造を支える韓国の軍事独裁政権と日本政府は一種の共犯関係と言う事が出来る。

植民地被害者達の声が公開的に噴出したのはいつ頃からだろう? 1990年代以後からだ。韓国の過去史関連団体達の大部分が1990年代以後に結成されたものだ。なぜ日帝支配が終わってすぐにはほとんどなかったのに、1990年代以後にあふれ出たのか。日本帝国主義の被害者達が下から声を上げるのを、韓国の独裁政権が日本政府に代わって防いでやったからだ。

1990年代以後に民主化で政治的空間が開かれながら、矛盾の中に置かれていた人々が声を上げた。日本列島を守ってやった韓国が変化する可能性が大きくなったのだ。日本で一部の人達は平和、民主主義、経済成長の果実が真に自分の物ではなく、特定の時空間で支えられた結果物に過ぎないという事実を悟ったし、彼らが慰安婦賠償問題などに飛び込んだのだ。他の一部では、韓国での過去史問題の噴出をナショナリズム一般の問題として批判し始めた。特に脱国家主義の傾向を見せた1980年代の知識人達は韓国と日本の間のナショナリズムの衝突を指摘しながら、ナショナリズムを自制しようと言った。

また、太陽政策を通じて南と北が「仲良く」務めようという動きが現れた。日本の安全保障において新しい変化要因であった。それを管理するのはアメリカだったが、金大中・盧武鉉政権が反米とまでは行かないにしても、明らかにアメリカの操り人形政権ではなかった。過去の軍事独裁政権のように、韓日関係の為に被害者団体の反発を物理的に防ぐ事もなくなった。そして韓国が北朝鮮と対立しながら、日本列島の軍事的緩衝の役割をしてやらねばならなかったのに、それもしなかった。日本の中で外交安保に対する不安感が大きくなり、中国脅威論と北朝鮮脅威論が台頭した。

そうすると自分の手で守ったりアメリカに期待するしかないという言説が現れる。自分の手で守ろうというのは自主国防論であり、後者は日米同盟強化論だ。この二つの路線が合わさりながら1990年代以降の右傾化を導く。湾岸戦争が起こった時、アメリカが派兵要求をしたが日本は憲法上自衛隊を送れないという理由を挙げて、最初は金銭支援で代行した。国際社会で非難世論が沸きかえった。「日本も金だけでなく、人を送れ」「平和は血で戦い取るものだ」「日本も国際社会で軍事的役割をすべきだ」という意見が噴出した。そうするには憲法を変えねばならないが、明文改憲は難しいから解釈改憲を拡大し始めたのだ。


・アメリカが1990年代以降に日本の軍備増加を要求したという事か?

アメリカが要求したのは大変古くからだ。ただ要求する方式を少し変えた。最初は駐日米軍駐屯費を負担したり、東北アジアで一定部分の役割をせねばならないというものだった。そのうちアメリカは世界軍事戦略の一環として自衛隊を位置付けし始める。そして日本社会が持っていた内部の欲望、50年間自主的な軍隊を持てなかったという不満が1990年代のアメリカの要求、周辺国の民主化による危機感と噛みあって噴出したのだ。

周辺地域との非対称性は昨日今日の話ではなく、19世紀以降持続して来たものだ。非対称的構造を解決しなければ、どんな問題も解決し難い。こちらの平和があちらの平和を支える構造でなければならないのに、こちらの平和があちらの非平和に連結する構造だ。そこで私は東アジアの連帯がどれだけ難しいかを語る。連帯が作動する構造ではないからだ。1990年代以降社会党は、憲法改正に反対して自衛隊撤廃と日米安保条約廃棄を主張していた既存の自分の立場を変えた。現実化政策を執ったのだ。自衛隊を認めて日米安保条約廃止を要求しなくなるや、自民党との差別性が減ってしまった。これは政権を握る意思を明らかにした側面もあるが、結局は社会党の「平和主義」が温室の中で作動していたに過ぎないという事実を内外に自己告白した事例でもある。

アメリカの立場から見れば政権交代は構わないが、自民党に代わる政府が社会党になって日米安保条約を廃棄したらどうするのかという憂慮があった。アメリカが望むのはアメリカ式共和党-民主党のような保守-リベラル(liberal)2党体制だ。小沢一郎という人間がそれを構想してきたし、結局はそれが実現されたのだ。現在、外交安保政策において民主党と自民党の間に有意味な差異はないか、あるいはあったとしても「右」と「極右」の差異に過ぎない。


・平和憲法改正が焦眉の関心事だ。その可能性についてはどう見るか?

もちろん憲法改正は容易い事ではない。国民投票法は安倍晋三内閣の時に作られたが9条だけでなく、1条、人権概念などなどであれこれ差異があって、一つの案で妥協案を作り出すのが極めて難しい。特に1990年代以降政党体制が流動化しながら、特定政党が圧倒的な多数党になるのが難しい構造が続いている。そこで憲法改正を公約に掲げておきながら、実際には一つの憲法案を掲げて国会で3分の2の賛成を得る形態の明文改憲は極めて難しい。おそらく解釈改憲を拡大する方向へ行ったり、代替立法をする可能性が大きい。

だがはっきりしているのは1980年代まで作動していた自衛隊廃止論、自衛隊違憲論のように「平和主義」の中で作動していたもの達が、今再び争点になる事はなくなったという点だ。さらに言えば、過去には自衛隊廃止か維持かが争点だったとすると、1990年代以降は自衛隊維持か自衛隊の軍隊化かが争点になった訳である。だからといって平和憲法の存在意義がなくなったのではない。すでにボロボロになってはいるが、平和憲法という形式と名分がより多くの右傾化を防いでくれている最後の砦の役割をするからだ。


・平和憲法が東アジアで役割を果たせるという事に否定的なのか?

正直言えばそうだ。2005年度の安倍晋三内閣の時に憲法改正問題が現実化された際、ピースボート(Peace Boat 世界の平和と人権増進、地球環境の保護などを目的に1983年に設立された日本の国際的市民団体)を中心に憲法改正に反対する連帯組織体を作ったし、私も協力した。うまく行けば良い事だろう。

平和憲法のアイデアは極めて優れている。だが、そのアイデアは特定の条件下で作動するものであり、特に日本にのみ利益がある制度だった。日本の平和憲法を守る事が重要なのは、それが東北アジアに新しい平和秩序をもたらし得る新しい最善のビジョンを持つからではなく、日本のよりさらなる右傾化という最悪を形式と名分において最小限に防いでくれる役割が出来るからだ。東北アジアの平和問題は日本の問題でもある。平和憲法下においても日本は世界的な軍事大国になった。万一この制御装置がなくなったら、日本の右傾化はどうしようも出来なくなる。したがって日本が憲法改正を出来ないよう助けるのは意味がある。


・福島事故以来原発反対集会に多くの人達が集まったのは励みになる。これをどう見るか?

原発反対運動に助けになるという理由だけで日本の状況を誇張してはならない。福島以降日本で原発反対運動が強くなったといっても、それが既存の政治の地形とどのような関係を結ぶのかが重要になる。右派の中にも脱原発を主張する者がいる。最近の原発集会を見ると日の丸(日章旗)を掲げて参加する場合が多くなった。過去には想像も出来ない事だ。韓国で太極旗が持っている意味と、日本で日章旗が持っている意味は違う。日本で反政府運動をする左派にとって日章旗は禁句にも等しい。原発反対集会を主導する人にこれについてどう考えるかを聞いてみた。返って来た答は「今は左右を問う時ではなく原発廃棄が重要な事なので、政策的連帯はいくらでも可能だ」というものだった。

それはそうだろう。だが本当にこれで大丈夫なのか疑問が浮かぶ。これは新しい形のナショナリズムだ。広島と長崎の被爆を経験した「日本」という主体を引っ張り出して、先祖代々受け継いだ土地に西洋が作った原発が相応しいのかという風に、生態主義がおかしな方向に変わって行く可能性もある。実際に原発を廃棄すべきかどうかに関係なく、そうした流れを既存の進歩的談論や平和主義とは違う脈絡で見なければならないのではないかと思う。国家の再構成の次元で見れる事だ。

「廃墟から復興へ」というスローガンが見せてくれるように「日本人は一つ」という宣伝が社会の隅々に広がっている。これは今まで50年間に見る事の出来なかった姿だ。1923年の関東大震災と1945年の敗戦当時と似ているが、廃墟を通じて「日本」というアイデンティティを再び復活させる流れが大きくなり始め、その流れが下手をしたらおかしな生態主義と天皇主義が結合しながら思いもよらない方向へと行く可能性が大きい。これを良い方向へと進行させるには労組や政党が流れを制御する側面がなければならないのだが、それが作動しないのでとても心配だ。3.11以降約1年半の間の流れを見ると、「よりさらに右側へ!」というのが現実だ。


・ならば福島事故が政治社会の地形変動にはさしたる影響を与えなかったという意味か?

広島と長崎で2度も被爆を体験した日本は、自らの政治体制を反核国家としてきた。それなのに原発を54機も稼動させてきた。福島以降に起こり得る事は二つのうち一つでなければならなかった。民衆反乱が起こるか、政権交代が起こるべきだった。しかし何もなかった。菅直人から野田佳彦に首相が替わったが、それも事故が起こってかなり経ってからの事だ。

替わる過程も必ずしもこれと関係があるとは言えず、別の理由がより大きかった。3.11という災難にも関わらず、政治上の進歩的変化は全くなかった。10万人が原発反対集会に集まれば何をするか。原発に反対する候補達が地方選挙でただの一人も当選せず、原発支持候補達が圧倒的に当選した。福島においても東京電力の候補が当選した。

3.11以降既存の秩序が変化すべきという考えは増えたが、集会に10万人集まろうがなかろうがその間に具体的な政治行為として現れた痕跡は見つける事が出来ない。この流れが左側に行かず反対側に進んでおり、その上に覆い被さっているのは国難克服の物語(narrative)だ。続いて思い出されるのが1945年の敗戦状況だ。ナショナリズムの物語が再構成されている。

もちろん幸いなのは眠っていた人々がデモをするという事実だ。柄谷行人は日本がデモをする社会に変わらねばならないと言い、デモをして何が変わるかよりもデモそのものが重要だと言った。私もそこまでは認める。だがその流れが既存の政治的右傾化の流れを変えられるかに対しては否定的だ。


▲昨年5月 日本・東京の東京電力本社前で行なわれた原発反対デモ


・周辺国が日本に対して持っている誤解は何なのか? 我々が日本に対して間違った期待をしている部分もあるのか?

日本に対しては相反する二つの誤解があるようだ。一つは日本が民主主義国家・平和主義国家・先進国だという誤解であり、もう一方では日本は国家主義的で軍国主義的だという誤解だ。相反する誤解が場合によっては一人の人間の頭の中に同居する場合もある。日本に対しては韓国人4000万人が専門家だ。年間100万人が日本を訪問し、日本関連学科が全国で100を超える。ここ(インタビューが行なわれたソウル合井洞)だけを見回っても一軒おきに日本食堂だ。若い層が巨大な軍事的・政治的事案と関係なく日本の大衆文化に心酔してるからといって、どうこう言う必要はない。簡単な日本語を出来る人も多く、全般的に日本に対する常識というのが形成されている。

その常識の実態をのぞいてみると二つの事が共存している。一つは軍国主義の姿だ。日本料理を好んで食べる人々も、政治の話が出たら軍国主義・民族主義の話をする。だが、国民性・民族性という言葉は人文社会科学的分析を放棄した言葉だ。文化とは変わるものであり、その中でも多様な人間が存在する。反面、韓国社会では幅広い日本ファンが存在する。若い層に日本の大衆文化は人気がある。若い層だけではない。私が日本に1980年代中盤に初めて行って感じたのは、1960年代中盤に私が韓国で読んだ漫画が全て日本から来たという事だ。アトムや黄金バットが全てリアルタイムでやって来た。

だが、また違う日本を見なければならない。日本にも体制に反対する人が長らく存在してきたし、犠牲になった人が少なくないと言う事をよく見なければならない。日本が歩む主流的な流れに対抗する人が多く、彼らが残した痕跡も大きい。だが我々は支配秩序の感覚でのみ把握してきた為に、その底流にいる人々についてよく知らない。

もし韓国で日本の近代史を書く事になれば二つの側面で扱う事が出来る。第一は抵抗する流れを通じて日本近現代史を再構成する事、第二は沖縄・アイヌのように主流の歴史から排除された人々で再構成する事。こうした事は日本が出来なければ韓国がやる事も出来る。日本が進む道を韓国が行く事も出来るが、必ずしも行かねばならないのではない。


・日本にとって東アジアとは何か? 例えば「脱亜入欧」という言葉もあるが。

私は韓日問題や中国問題を東アジアという範疇でアプローチする事にさほど友好的ではない。未来志向的に東アジアで何かしようというのは分かるが、まるで東アジアというのが存在したかのように語るのには同意しない。ヨーロッパと違ってアジアには文化的・歴史的共同体としては存在しないのだ。「脱亜入欧」は時間差をおいてアジアの全ての国家で発見される。韓国も中国も同様だ。19世紀日本が歩んだ道を第三世界国家達が歩んでいる。みな西洋に向かって前進し、競争する構図だ。

だが19世紀に日本が歩んだ先駆的位置から何かがおかしくなり始めた。悪い前例を残した。日本がそうしたように、韓国も自分をアジアと考えようとしない。考えたとしても非常に機能的にのみ考える。本来アジアという言葉自体が西洋から見た範疇だ。他者から強制された呼び方である。オリエンタリズムの典型的な構図だ。ただそれを抵抗の構図に変えられないかと苦悩した人はいる。

再び日本の話に戻るなら、19世紀日本のアジア主義者達は侵略主義と結合した。19世紀日本のアジア主義者達は朝鮮侵略の尖兵となる。日本のアジア主義というのは反西洋の価値を持っていながらも、アジアにおいて日本を盟主とする位階秩序を意味するものであり、19世紀末で一時的に失敗しながら後に大東亜共栄圏へと吸収された。やはり韓国の主流的流れも「脱亜入欧」である。低開発・貧困・野蛮と刻印付けられたアジアに対するオリエンタリズムを、日本を通して吸収した訳だ。抵抗の流れとしてアジアを再構築するのは日本だけの問題ではない。


・日本では「アジア」がそのように否定的なニュアンスでのみ存在するのか?

他の次元のアジアを構想する人々もいた。1970年代以降に韓日連帯運動、金大中誘拐事件、徐勝・徐俊植政治犯救援運動、韓国民主化支援運動の流れが登場したのは事実だ。1990年代以降に慰安婦を支援するグループも出て来た。対米一辺倒の軍事同盟や外交秩序に対する代案としてアジア共同体構想がある事はある。だが未来の規範的姿としてアジアを理解するという事はあり得るが、現在問題の代案として取り上げるのには同意しない。日本政府の立場から出る東アジア共同体や経済共同体はまた別の脈絡だ。


・過去史問題、特に日本の植民地支配と戦争責任が今日でもこの地域の和解を妨げていると見られるが、日本は過去史問題を解決する意思があるのか?

ないと思う。もちろん解決ではなく妥協や縫合の試みはあった。アジアとの関係の中で新しい流れを作ろうとしたのは、1970年代以降に生じた。1995年に国民基金が作られようとした時に一部知識人達がその流れから離脱した。国民基金は極めて良からぬ妥協、あるいは縫合の事例を残した。慰安婦を引っ張って行ったのは日本政府なのに、国民基金というのは国家責任を認めないものである。当時社会党連立政権下で作られたものなのだが、今ではそれすらも否定するのが主流的な流れだ。

2000年代に入ってからは河野談話、村山談話のような基礎すらも否定されている。私は日本政府の謝罪というのが、法的責任を回避出来る最も費用の掛からない方法だと批判した事がある。歴史問題が謝罪の文句として凝縮し、その水位を取り巻いて論議が進行するのが腹立たしい。被害者が広範囲にいるのだから法的責任を認定して賠償せねばならず、これを継続して要求しなければならない。


・普通は戦犯国として日本とドイツをよく比較する。違いが多いようだが。

日本のリベラル陣営でもそのように語るし、韓国でも日本とドイツをよく比較する。簡単な構図で比較したいのは理解出来るが、両国の条件が違い過ぎて意味があるのか分からない。理由は二つある。まずドイツの戦後処理過程を見よう。ドイツの場合は、ドイツが被害を与えた国とドイツを占領した国が一致する。ドイツは連合国と戦争をし、その連合国達が戦争後に占領した。日本はアジア国家に被害を与えたが、占領はアメリカが行った。被害を受けた国々が占領したドイツの戦後処理方式と、被害を受けた国々に全く発言権がなかった日本の戦後処理方式には途轍もない違いがある。戦争を終結する方式が謝罪の可否や、戦争に対する責任意識を持つかどうかを決定するのだ。

第二は戦争責任と植民地支配の違いだ。韓国の立場としては決定的違いなのだが、韓国は日本から植民地支配の被害を受けた。東京裁判は植民地支配に関するものではなく、1928年から1945年までの中国を含む侵略行為に対して処罰したものだ。韓国などの植民地支配責任の話は一言も出なかった。

国際社会で植民地支配を受けた国家が植民地支配国家から賠償を受けた事例はない。そこで韓国の賠償要求は世界史的意味を持つ。靖国問題を提起する時も中国と韓国は同じ立場に見えるが、決定的にはスタンスの違いがあるべきだ。中国ではA級戦犯合祀さえ問題にすれば済む。中国は戦争被害者であるからだ。韓国の立場としてはA級戦犯合祀問題を含めて、約2万余人の朝鮮人合祀問題などが重要だ。なぜなら韓国は植民地支配被害国であるからだ。


・ドイツも植民地を保有していた点では日本と同様ではないか?

ドイツの植民地は第1次世界大戦でほぼ消滅した。それで第2次大戦が終わって今に至るまで植民地問題が重要な争点にならない。もちろん第1次大戦以前にドイツの支配を受けたナミビアがドイツに謝罪要求をしたし、ドイツは賠償金ではなく慰撫金を支給した事例があるにはある。そこがドイツと日本は違う。ただ、帝国主義国家達は植民地支配に対して絶対に法的責任を認めないという事実を念頭におく必要がある。それは先進国クラブの共通事項だ。

2002年度に南アフリカ共和国でイランを中心にして、奴隷貿易と植民地支配に対する法的補償を決議しようとしたのだが、色々な国々の反発があって文案が婉曲にされた。それすらもアメリカなどの帝国主義国家達が棄権した。そこで韓国社会で日本に賠償を要求するのは、19世紀以来の帝国主義の責任を問う国際主義的性格を持つ。世界史的に意味があることだ。植民地支配を受けた国が帝国主義国家の法的責任を問い、帝国主義国家から賠償を獲得する事になれば、第三世界国家の中において重要なモデルになる。それで韓国の被植民地体験を他の第三世界国家のそれと共有して、韓国の経験を普遍化する事が重要だ。


・東アジアで領土問題が頻発する理由は何なのか? 独島問題に対する意見も聞いてみたい。

大変慎重を要する主題だ。独島問題に対して韓国にも日本にも冷笑的な視線がある。韓国であれ日本であれ「領土というのは線引きじゃないか」という視線がある。国家というのは自然共同体な性格がない訳ではないが、基本的に近代的概念だ。ベネディクト・アンダーソンが言った「想像の共同体」まで持ち出さなくても、日本という国家はいくら遡った所で明治維新から始まったと言う事が出来る。独島が誰の土地かと聞かれれば、近代以降にどのような過程を経て誰の土地になったかが最も重要だ。

領土というのは支配に基づくものである。アフリカや中東を見ると国境が定規を当てて引いたように一直線だ。それは自然共同体でなく帝国主義国家達が引いたものだからだ。その前提が大変に重要だ。国家に自然共同体的性格がない訳ではないが、領土というのは近代以降に帝国主義国家達の秩序構築過程で一方的に線引きした結果だ。国際秩序を作る時に日本が発言権を持っていたから、海に日本海と名付けたのだ。前近代時代に朝鮮海・東海という名称もあり、日本海という名称もあるのは国際秩序が存在しない状況でそれぞれが自国の名前を付けた結果である。今に来て東海とするのは一方ではナショナリズムの性格が強いものの、別の一方では植民地支配賠償要求と同様に19世紀帝国主義国家達が作った秩序に対する異議提起の側面がある。植民地支配に対する反対の意味だ。

だが日本では植民地の問題と分離して領土問題と見る傾向が強い。ここで視角の違いが発生する。日本は独島編入が1910年「日韓併合」以前に行われたのだから当然国際法上「日韓併合」と無関係であるばかりか、領土に対する権利の放棄を規定した1952年サンフランシスコ講和条約にも該当しないとみなす。だが日本が領土と主張している場所は全て19世紀以来日本列島に限定されていた領土が徐々に増えていく過程で生じたものだ。北海道が日本に編入されたのは1869年である。沖縄が日本に編入されたのは1872年だ。そして1895年の日清戦争以降に台湾を呑み込んだ。中国と紛争を繰り広げる尖閣列島問題もそこから発生した。日本は台湾を併合する時に澎湖諸島も一緒に持って行った。だがサンフランシスコ条約で台湾と澎湖諸島の領有権を放棄すると言った時に、日本はそこに尖閣が含まれないと主張した。日露戦争の時にも旅順半島、サハリン、朝鮮半島までかっさらい、その次が満州だった。このように日本の領土問題は日本帝国主義の対外膨張と分離出来ない問題である。東アジアの領土紛争は基本的に日本問題であり、日本帝国主義の問題だ。


・領土問題の多様な国内政治・国際政治的性格も念頭に置かねばならないようだが、どう見るか?

サンフランシスコ条約の時に整理をしながら一部の島と列島で日本の領土が縮小確定した。だが尖閣を含めて一部の島に対してはアメリカがわざと明文化させなかった。日本の反対もあったと言うが、最近ではアメリカがわざと領土紛争の種を残したという陰謀論的解釈も登場する。周辺国と紛争をしてこそ、日本がアメリカに依存するからだ。独島は韓国が現在実効支配しているという事実が重要だ。日本では独島がどこにあるのかも良く知らず無関心だった。忘れそうになると日本当局者や外交官が一言言うような形だった。先程言った1990年代以降に右傾化の流れが形成されながら独島問題が浮上した。領土紛争が国民国家を再構成するのにおいて、ナショナリズムを高揚させる最も良い方法の一つだからだ。国境を越える市民社会の国際連帯の枠を破る最も効果的な方法でもある。

最近日本の知識人達が独島は韓国の土地だという声明を出したが、ほんの少し前だけでも韓国市民団体と日本市民団体が連帯する時に核問題、平和憲法問題、歴史認識問題においては意見の一致を見ても、独島は取り上げるのが難しかった。日本の市民団体には負担の大きい問題であったからだ。日本政府が独島の話をするのはバラバラに散っている人々を、領土を媒介に再結集させるのに効果的な争点であるからであり、今もその構図は変わっていない。だから李明博大統領の独島訪問はこのフレームに利用された側面がある。


・歴代韓国政権の中で韓日関係を最も良く処理したと評価出来る政権があるならば?

基本的にないと見ているが、相対的には金大中・盧武鉉政権が良くやった。100点満点で仮定するなら、李承晩・朴正熙・全斗煥政権はマイナスの点数を付けられる。それでも低い点数とはいえ付けられるのは金大中・盧武鉉政権だ。


・先程南北関係の改善が日本にとって負担になったと言ったが、このような改善は金大中・盧武鉉政権で成し遂げられたものだ。それでいて同時に韓日関係もうまく処理する事が可能なのか?

南北関係の改善は国際秩序の変化を前提にするだけでなく、新しい秩序の創造を意味する。したがって南北関係の改善が日本にとって新しい変化要因として作用するのは事実だが、これは日本の問題だ。南北関係の改善で日本が外交安保上に負担を感じるからといって、韓国が日本に負担を与えない方向で外交政策を繰り広げる事は出来ない。既存の構図を維持する為に南北朝鮮が対立して、これに対する負担を朝鮮半島に居住する人々が全て背負う事など出来ないではないか? 解放後50年間はそうしてきた。南北関係の改善はそうした意味で画期的だった。

南北関係を改善しながら日本にも負担にならないようにする外交的努力は確かに存在した。金大中政権がそうしていた。そこで慰安婦問題や過去史問題において金大中政権や盧武鉉政権は強力な問題提起を控えた。歴史問題と外交安保問題を分離しようとしたのだった。金大中政権はこれから過去史に対して言及しないと語り、盧武鉉政権は早期には静かなる外交を行った。だが効果を挙げたようには見えなかった。なぜなら日本社会に対して、あるいは日本の市民社会に対して過度に楽観的な評価を下していたからだ。


・それでも先程言ったように、民主化を起点に対日政策が変わった事があったではないか。金大中・盧武鉉政権に以前よりももう少しましな面があるなら、その点について説明して欲しい。

金大中・盧武鉉政権で過去史問題に対する各種委員会が国内に作られたのだが、これが重要だ。関東大震災の時に朝鮮人5000-1万人が死んだというが、その数字を明らかにしたのは在日朝鮮人達だ。国家が国家である為には何人が死んだのか、誰がなぜどのように死んだのかは知らねばならないのではないか。日帝時代に連れて行かれたというが、この人達は誰で、どこで暮らし、金はちゃんともらっていたのかを知るべきではないのか。

大韓民国が50年間放置してきた事を金泳三政権から少しずつスタートし始め、金大中・盧武鉉政権で各種委員会が作られた。民主化がもたらしてくれた大きな成果だった。日本の右派新聞が過去史関連委員会を反日委員会だと非難した事があるが、反日かどうかを離れて、国家が国家である為にすべき基礎的な作業を解放されてから50年以上が過ぎてやっとやるようになったのだ。反共軍事独裁政権が出来なくさせた事を民主化以降にようやく始めたのだ。


・では最近の韓日関係に焦点を移そう。李明博政権の韓日関係を評価してみると?

李明博政権に対してはよく分からない。温水と冷水を行ったり来たりして哲学もビジョンも原則もない外交であった為に、果たして何をやったのかと思う。不意に韓日軍事情報協定の話が出て大変憂慮した。もちろん軍事交流は金大中政権の時からやっていた。当時にも問題はあったが、李明博政権では具体的な形態に発展して中身も明らかにならない状態で推進しようとした。おそらくアメリカの意向が強く反映したものと思われる。

さらに理解出来ないのは6月に軍事協定締結を断念して担当秘書官を更迭させたのに、8月に大統領が独島を訪問して天皇の謝罪を要求した事だ。その間に何が起こったのか知り様がない。事実関係すらも分からず、どういうつもりでやったのかも分からない。どれだけ過ぎれば秘密が明らかになるのか分からないが、なぜ急に180度転換する事になったのか分からない。李明博政権の対日政策がどうだったのかを問うなら、評価するだけの材料すらないと思う。けれども重要なのは李明博政権になってから、民主化以降に作られた過去史関連各種委員会達が解体されたり方向性が曲げられて、制度的成果達が否定されたり歪曲されているという点だ。こうした事例を見ると問題は非常に深刻な水準に来ている。


・最後に次期韓国政府の対日政策に対して語って欲しい。

相手がいるから対日政策は簡単な事ではない。一旦新政府が立ち上がったら、これまで民主政府の時にあった委員会達を温存させた形態で復活させ、真相調査もして補償体系も作らねばならない。依然として被害者がおり、その子孫達がいるではないか。また日本に対して要求するのも重要だが、国内的な政策は対日関係に関係なく持続的に行わねばならない。

併せてもう一つ肝に銘じておかねばならないのは、朝鮮半島が世界でも稀に見るディアスポラ(離散)の国だという事だ。世界で移民研究をするならインドや中国を対象にする場合が多いのだが、人口比例で見ると朝鮮半島ほど人口海外流出の多い国はない。ほぼ20%だ。家族辺り1人程度は離散の歴史を経験した。離散は日本帝国主義の支配と分断の為だ。

適切ではないかもしれないがイスラエルを例にしてみよう。ヨーロッパ帝国主義国家達の庇護の下にパレスチナ人の土地に人口国家を作ったではないか。その時帰化法というものを作った。海外にいるイスラエル民族が帰って来るのに必要な行政的手続きをワンストップで提供したのだ。だが今我々は手続きがあまりに複雑だ。在外同胞に限ってでも、帰って来るというなら帰って来れるように助けて定着出来るように機構や施設も整えてやらねばならない。帰って来るかどうかはその方々の決定に任せて、制度的な準備は整えねばならない。

そして日本に対して要求する過去史問題はもちろん外交的な問題ではあるものの、外交戦術によって変える事の出来ないある原則に立脚すべきだ。実現可能性可否を尺度にしてはならない。なぜなら、この原則は朝鮮半島統一国家の基本的な理念となる重大なものであるからだ。朝鮮半島は植民地支配と戦争を経験した。反帝国主義と反戦国家になれる歴史的土壌を備えているのだ。だが結果的には極めて矮小な反日・反北(反共)国家になってしまった。

反帝国主義と反戦が我々の歴史的アイデンティティである。これが原則であり、朝鮮半島の基本理念にならねばならない。日本に要求すべき事は引き続き要求せねばならないが、同時にベトナム戦争に対して韓国政府が積極的な態度を執らねばならない。この問題達は複合的に絡まっているが、植民地と戦争を経験した社会が平和主義を内面化するのが極めて重要だという認識を持たねばならない。

・日本と韓日関係を理解するのに大きな助けを頂き感謝申し上げる。

私にとっても有益な時間だった。良い企画をしてくれて感謝申し上げる。


市民団体である平和ネットワークは皆さんの後援で運営されています。
平和ネットワーク
http://www.peacekorea.org/

訳 ZED

韓国語原文記事はこちら。
http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=30121211153150&section=05


訳者あとがきはまた後で述べたいと思います。選挙が終わった後になっちゃいそうですが…。

 

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【翻訳記事】アジアプレスの「北朝鮮社会を蝕む覚醒剤」報道の嘘・捏造・歪曲を撃つ! その1

アジアプレスが大々的に売り出している例の「北朝鮮社会を蝕む覚醒剤」報道について、その大嘘を暴く韓国の記事を御紹介したいと思います。前回の記事で問題のアジアプレス記事が何と1年前の韓国語記事を翻訳しただけのセコイ使いまわしだった事を暴露しましたが、ではその記事内容の真偽はどうなのでしょうか。それに最も良く答えてくれる記事を2本翻訳して御紹介したいと思います。
これからお届けする記事は韓国在住の脱北者が2011年初にオーマイニュースに発表したものでした。この2011年初旬という日付を覚えておいて下さい。当時の韓国では今の日本と同じで、朝鮮日報などの右派メディアが「北では麻薬が大流行している」と大々的に報道した時期だったのです。この「北朝鮮で麻薬が蔓延」報道には多くの脱北者が(金目当てで)協力していたのですが、中にはそうした風潮を嘆いて反論する脱北者もいました。それが今回の記事を書いた崔スンチョルという人です。筆者はこの人の北朝鮮政権に対する考えや対北政策の意見には賛成出来ない部分も少なくない(脱北してきた人間なので向こうを多少なりとも悪く言うのはやむを得ないのでしょうが)のですが、それでも「北朝鮮で麻薬が蔓延」報道の嘘を暴き、またそうした嘘が朝鮮半島の統一に悪影響を及ぼすという事、脱北者はそうした韓国の極右勢力に利用されるべきでないという主張には賛同出来ます。その点に関しては、金目当てで朝鮮民主主義人民共和国に対するデマを韓国や日本の極右勢力に売って回っている悪質な脱北者とは一線を画していると言えるでしょう。脱北者にしては珍しく、朝鮮半島情勢をある程度客観視出来る貴重な人なのだと思います。
まずは記事を実際に御覧下さい。これを読めば石丸次郎やアジアプレスがどれだけ無茶苦茶で矛盾だらけのデマを言ってるかがお分かりになる事でしょう。
なお強調部分は訳者によるものです。


北朝鮮住民達が麻薬漬けだって? 呆れた
【脱北者が語る1】事実と異なる「北朝鮮ニュース」がなぜ出るのか
2011.01.21 15:25 最終アップデート 2011.01.26 14:36 崔スンチョル


▲2009年11月18日午後ソウル世宗路の米大使館前で開かれた北朝鮮人権団体連合主催「アメリカのオバマ大統領歓迎及び北朝鮮の人権に積極行動を求める記者会見」で北朝鮮軍服装と顔を隠した脱北者達が北朝鮮の人権状況に対するパフォーマンスをしている。

最近北朝鮮関連ニュースが度々マスコミに登場している。大体は北朝鮮政権が不安定だという内容で、北朝鮮の内部崩壊が迫っているという根拠を提示するもの達だ。北朝鮮関連ニュースは大部分が「朝鮮日報」など保守陣営媒体達が報道する。

これらが北朝鮮から持って来る情報(消息)達は大概が脱北者の手を経る。デイリーNK、NK知識人連帯などは北朝鮮に通信員(北朝鮮住民情報提供者)を置き、彼らが提供する情報を中国を通じて韓国に持って来るのだが、大概は電話で情報をもらったり、最近ではインターネットを利用したりもする。

中国と隣接している北朝鮮国境地域では中国の通信信号が捉えられる。これを利用して北朝鮮住民と脱北者多数が情報を交流する。中国で電話やインターネット(無線)に加入して携帯電話やインターネット受信機器を北朝鮮に持ち込んで使用させるのだ。

北朝鮮情報どこまで信じるべきか

北朝鮮情報達は最初、保守陣営のデイリーNKと進歩陣営の「良き友たち」がほぼ独占していたが、今は多くの言論媒体達が自前の「ライン」を持って北朝鮮情報を収集する。すなわち競争者が多くなったのだ。競争者が増えてみると、今や「特ダネ」が必要になった。北朝鮮関連「一般的な情報」は差別性がなく注目を受けない為に、特ダネを通じて対北媒体としての絶対的優位と存在感を認められねばならないからだ。

特に特ダネ記事に没頭する余り、今や北朝鮮から入って来る情報は北朝鮮通信員の取材中心ではなく、企画取材をする傾向まで表れている。だが北朝鮮で活動する通信員達は民主主義社会でのマスコミの価値と役割に対する理解が全くなく、経済的代価によって情報を提供する。

情報を提供する北朝鮮通信員には一種のインセンティブ(北朝鮮の所得の現実を考慮すれば、これは莫大な経済的報酬だ)が提供される。代わりに北朝鮮通信員達は、北朝鮮当局の統制下で自身の命を担保に活動せねばならない。

こうして企画取材に没頭する余り、対北関連ニュースの歪曲はよりひどくなる傾向がある。主に保守陣営の言論媒体達は自分の口に合うように北朝鮮ニュースを報道するのだが、北朝鮮情報を十分に把握する事の出来ない大多数の市民達はそれをストレートに信じるしかない。

しかしこうした歪曲された北朝鮮関連ニュースが統一を思う国民情緒に否定的な影響を及ぼし、正しい北朝鮮情報に基づいて対北政策と統一政策を樹立せねばならない政府に悪い影響を与えるとしたら、これは明らかに深刻な問題だ。

北朝鮮関連ニュースが歪曲される事実を実例で見てみよう。

昨年(訳者注:2010年)12月24日にNK知識人連帯という脱北者団体が北朝鮮住民の麻薬吸入動画を報道した。この動画は「聯合ニュース」に提供され、ほぼ全ての媒体が動画の内容を報道した。また1月5日には保守媒体である「ニューデイリー」が「清津では10代と20代達も麻薬をたくさんやっている」式の記事を報道した。


▲NK知識人連帯が提供して2010年12月24日に「聯合ニュース」が報道した、北朝鮮住民達のヒロポン吸入動画。

北朝鮮の現実を知らない南の人達が見れば「あんなに北の人々は麻薬を一般的にやるのか」となるが、北朝鮮で暮らして来た脱北者である私の目からすれば誇張された内容だ。

私もあの動画を見た。動画を撮影した場所は北朝鮮地域に見える。だが問題は麻薬の価格だ。動画では麻薬1グラムが北朝鮮の金で5万ウォンくらいすると出ている。だがこれは常識的に考えて、金のない北朝鮮の人々が買うのは困難な価格だ。

今北朝鮮で「ドル」のように通用するトウモロコシ(北朝鮮では市場でほぼ全ての物価がこのトウモロコシ価格によって決定される)価格は地域毎に若干の差異があるものの、1キロあたり大概500ウォン-700ウォン程度だ。結局、麻薬1グラム買おうとしたらトウモロコシ100キロ程度の金が必要だ。


北朝鮮住民多数が麻薬中毒者?

ほぼ大多数の北朝鮮住民達は一日一日を稼いで食うのにも忙しいのにトウモロコシ100キロに相当する麻薬を、それもまるで全国民が吸入するという風に語るが、これは北朝鮮の現実を知る人間にとってはいささか荒唐無稽な話に過ぎない。

もちろん北朝鮮でも麻薬をやる人間がいない訳ではない。私が北朝鮮を離れる時にも麻薬をやる人間がいたが、そうした者達は大部分が食っていく心配のない富裕層の一部ごく少数の人間達だった。一般人は麻薬を見る事も難しく、また麻薬が手に入ったとしても金に換えて米を買って食おうと考える。

韓国の焼酎のような酒一瓶すら買って飲むのも難しい北朝鮮住民が食料100キロに該当する価格の麻薬を、それも一般人の多くがやるだと? これは嘘だ。数日前、北朝鮮にいる兄弟達と通話をする同僚脱北者達にこの内容について確認してみたのだが、関連するような事実を全く知らないという。 「麻薬をやる? そんな人がいるの?」と反問する北朝鮮住民もいたという。

南の人は北の食糧事情に対する情報が不足して理解し難いだろうが、韓国式にくだいて表現すると、月20-30万ウォンの家賃も払えない人間が一回の利用に500-1000万ウォン出さねばならない飲み屋に通うと考えれば良い。

北朝鮮では食料1キロもなくて飢え死ぬ人間が大半だ。それなのに一般人達が食料100キロ買える金で麻薬を購入するというのは常識に合わないだけではなく、北朝鮮住民の所得水準を勘定してみても合わない悪意的な話に過ぎない。


▲北朝鮮最大の慶祝日である金日成主席の誕生日「太陽節」を迎えて、脱北者団体である自由北朝鮮運動連合会員達が2009年4月15日午前、京畿道坡州市臨津閣で対北ビラと北朝鮮貨幣を入れた大型風船を北に飛ばしている。

さらにもどかしいのは、こうした荒唐無稽で歪曲された北朝鮮関連報道達を、我々脱北者達が作り出したという事実だ。脱北者達の大部分は北に対する敵愾心の為に保守性向の思考をしており、保守陣営の団体や組織達と一緒に行動する。

私は進歩性向の思想や考え方をしているが、多数の脱北者達が参加する北朝鮮人権運動や民主化運動自体に反対しない。むしろ今よりもより広範囲で効率的にしてくれる事を望む。北朝鮮政権は明らかに反人倫的で腐敗している。これは事実だ。

だが事実と異なる話をしてまでも北朝鮮をこき下ろす必要はない。もちろん「北朝鮮にも麻薬をやる人間が少しでもいるのだから、嘘は言ってないじゃないか」と反駁する人間もいるだろう。だがこれは、南で別荘を持って暮らしている極少数の事例を録画してから北で放映し「南の住民はみんな別荘を持って暮らしている」と言うのに等しい。

マスコミの命は事実性と正確性だ。事実と異なる歪曲された報道を出すマスコミは、マスコミとしての価値がない。北朝鮮情報を提供する脱北者団体は覚醒せねばならない。我々の軽率な行動が民族の念願である統一を妨害し、統一後の北朝鮮住民をより辛くするのであれば、今のような「北朝鮮民主化運動」はすぐに引き払わねばならない。今回の記事のように、穏健な北朝鮮の人間全てを麻薬中毒者に仕立て上げてしまう行為は、我が故郷北朝鮮の兄弟達に対して罪を犯す事だ。


「保守」脱北者団体、北朝鮮住民を麻薬中毒者に仕立て上げてうれしいのか

天安艦事件、延坪島事態のせいで今や南の北に対する情緒と感情は良くない。こうした状況で統一に反対する者達が事実と異なる「麻薬動画」を見れば「北朝鮮住民は今や麻薬漬けで暮らしており、あんなのを我々が全部面倒みなきゃならないのに、どうして統一するんだ!」という反応まで見られるだろう。

我々脱北者達が統一運動や北朝鮮民主化運動、北朝鮮人権運動をなぜするのか。北朝鮮住民の為にするのではないのか。それなのに北朝鮮住民をにわかに全て麻薬中毒者に仕立て上げてしまったこのような行為が、果たして北朝鮮住民の為のものなのか?

我々脱北者団体もこれからは北朝鮮関連情報を外部に提供する時にもう少し細心にならねばならない。すなわち正確な事実に基づいて世論を作るのが重要だ。それが南の社会に正しい統一意識を持たせる事であり、北で命を懸けて情報を提供してくれる通信員に対する礼儀だ。

北朝鮮情報がこのように歪曲されたままマスコミに公開されるのは、情報の事実如何を南で検証する事が出来ないからだ。北が元より閉鎖された国家であるからと北朝鮮関連報道を確認する術がなく、歪曲された報道を垂れ流す報道機関も責任を取る所がない。これからはこうした歪曲された北朝鮮関連報道達が乱発されないように制御する仕組みも、今や必要だと思う。

李明博政権の対北・統一政策達が、「金正日死亡説」のようなハプニングを作り出す歪曲された対北情報に基づいた政策でない事を願う。

訳:ZED
韓国語原文記事はこちら。
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001508743

崔スンチョル氏の書いた北朝鮮の麻薬報道に関する記事はもう一つあります。そちらは同時に「北朝鮮では軍人が飢えている」という件(これもやはり石丸次郎が最近しきりに言いふらしている)の嘘についても暴かれていました。それは次回、訳者解説と併せてお送りします。

【翻訳記事】日本人は軍艦島がどういうとこか知ってるの?

北朝鮮、日本の長崎「軍艦島」世界文化遺産登録の試みを批判

入力2012.10.29 16:42:38 修正2012.10.29 16:49:30

日本が九州端島をユネスコ世界文化遺産に登録しようという事に対して、北朝鮮が「犯罪の歴史を遺産にする国」と批判した。

北朝鮮は去る27日朝鮮中央通信社論評で「最近日本が九州の端島を『日本近代化の象徴』だとしてユネスコ世界文化遺産に登録しようとしている」としてこのように明らかにした。

中央通信は「太平洋戦争時代に日本は朝鮮から強制連行してきたおよそ1000人に達する無辜な人民達を、この島の地下1000メートルの海底炭鉱に押し込んで現代版奴隷労働を強要した。日帝野獣達の過酷な蛮行によりここで悲惨に息を引き取った朝鮮人の数は、明らかになっただけで120人を超える」と指摘した。軍艦のようなので「軍艦島」と呼ばれるこの島は高い防波堤の為に脱出が不可能で「監獄島」という別名も持っている。

中央通信は「内外に悪名ばかりを轟かせている端島、鳥肌の立つこの犯罪の現場を日本は『近代化に貢献した産業遺産』として2015年ユネスコ世界文化遺産にしようというもの」だと明かした。続いて「日本は端島のみならず三菱造船所など朝鮮人強制労働の他の現場も世界文化遺産に登録しようと策動している」とし「これは朝鮮人民に対するもう一つの耐え難い特大型冒涜行為、歴史歪曲行為」とした。

中央通信はまた「日本は朝鮮などアジア各国に対する侵略戦争に対しても欧米列強からの『解放』で、太平洋戦争を『植民地解放の為の大東亜戦争』として歪曲している」として「その延長線上で繰り広げたのがまさに端島をはじめとする、朝鮮人強制労働現場に対する『文化遺産登録策動』とやら」だとした。

訳 ZED
韓国語原文記事はこちら
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201210291642381&code=910100

最近また軍艦島の世界遺産登録が話題になっている。以下リンク先参照。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082701002007.html
世界遺産に産業革命遺産を推薦 有識者会議 

日本の歴史的無知と歪曲ここに極まれりという所だろう。この軍艦島こと端島は、かつて強制連行してきた朝鮮人を奴隷労働させて石炭を掘らせた現場だという事をどれだけの日本人が知っているだろうか。いわばアウシュビッツ収容所や731部隊基地とほとんど同じ性質の場所という事だ。
アウシュビッツ収容所はすでに(ナチスドイツの犯罪を後世に伝える負の意味で)世界遺産になり、731部隊の跡地も同じく日本の犯罪を伝える負の遺産として登録準備が進められている。仮に軍艦島を世界遺産にするならば、これらと同じように「負の世界遺産」として登録するしか道はない。ところが実際には全く逆に、日本の犯罪行為を隠蔽する為に「近代化の象徴」として世界遺産登録を進めているのだ。これほど人を馬鹿にした話はない。

軍艦島の世界遺産登録の動きが出始めた00年代終わり頃、日本の漫画界でもこの島を舞台にした作品がやたら発表され始めた。特に熱心だったのは講談社のヤングマガジンで、その一つである3億円事件を同時にネタにした「モンタージュ」は今でも連載が続いている。だがこれらの作品で朝鮮人強制連行の歴史と絡めた作品はこれまで筆者の見た範囲では1本もなく、単なる地元日本人のセンチメンタリズムに訴えるばかりの便乗作品の域を出ないものばかりだった。
「はだしのゲン」がああいう扱いをされるようになったのも分かる気がする。「はだしのゲン」閲覧制限問題が大きく話題になった時だけ日本の著名漫画家達はこれ見よがしに良識派ぶってわざとらしく声を上げるが、そういう問題が起こる前の普段の振る舞いはどうだったのかという事なのだ。軍艦島をネタにしても朝鮮人強制連行の話は何一つ触れようとせず、それどころか最近の日本の漫画雑誌は現在の「別冊漫画ゴラク(ここは以前にも少し取り上げた事があるが、今はさらに凄絶な誌面になっている。キモイ物見たさの人は自己責任でコンビニで立ち読みしてみると良い)」や廃刊直前の頃の「漫画サンデー」のような右翼漫画が異常増殖しているではないか。それを見て見ぬ振りしてきたり、自らもそれで商売してきた漫画家や編集者はまず自分の胸に手を当てて考えてみろと思う。ここに至るまでの日本漫画界の右傾化を何一つ問題にせず、自分の著作権ビジネスしか頭になかった連中ばかりが、アリバイ作りの為に「はだしのゲン」問題で良識派ぶっているようにしか見えない。
これは「風立ちぬ」の韓国上映の為だけに心にもない「護憲」「従軍慰安婦への賠償」というアリバイ発言を繰り返したジブリの宮崎駿&鈴木敏夫とも全く同じ思考方式である。「風立ちぬ」はひどい事に韓国上映が決まってしまったようで、今頃宮崎や鈴木が祝杯を上げていると思うと非常に腹立たしい。「風立ちぬ」のゼロ戦は知っての通り三菱の戦闘機であり、この映画の協賛企業にも三菱(商事)が堂々と名を連ねる。軍艦島の炭鉱も三菱のものだった。ゼロ戦を作る為の材料の鉄、工場の働き手、その工場を動かす燃料の石炭を掘る人員、これらは全て植民地朝鮮から日本がかっぱらったものではないか。朝鮮からかっぱらった鉄と、朝鮮野郎から吸い上げた血でゼロ戦と軍艦島は成り立っている。宮崎駿のアニメと軍艦島世界遺産登録は「戦犯企業三菱」の偉大なる復活の狼煙という事だ。

今回取り上げたのは去年の京郷新聞の記事で、朝鮮民主主義人民共和国でも軍艦島の世界遺産登録に強く反発している事を伝えている。もちろん南の韓国でもこれについては強い反発が続いており、「일제 군함섬」(日帝 軍艦島)で検索すればそうした記事は山ほど見つけられるだろう。日本語に訳された記事としては以下のものがある。ハンギョレ日本語版というのがちょっと腹立たしいが(笑)、とりあえずこの問題を手軽に読める記事ではある。ちなみにハンギョレのこの記事を書いたのは例の親日特派員・鄭南求(チョン・ナムグ)ではなく、別の記者だった。まあそうだろうね…。あいつにはこんなテーマは無理だろうから。逆に鄭南求に軍艦島の記事なんか書かせたら大惨事になってたろう。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/15391.html
朝鮮人は‘地獄労働’で亡くなったのに…日本 "近代化象徴" 観光開発

とりあえず軍艦島問題については、南北朝鮮いずれも強く反発しているという事実は明確にしておきたい。
 

【翻訳記事】韓日「仲良く」空軍訓練・憲法違反・侵略戦争「しようぜ」

進歩党「韓日合同空中訓練、日本再武装を支える…即刻中断すべき」
「域外軍事訓練は憲法違反…米派遣政策に韓国軍動員してはならない」
入力2013.08.22 11:13:06 修正2013.08.22 11:40:45

アメリカのアラスカ上空で米太平洋軍司令部主管の下で進行中である空軍訓練「レッドフラッグアラスカ RED FLAG-Alaska」に韓国空軍と日本航空自衛隊が合同訓練を実施して問題になっている中、統合進歩党(旧・民主労働党:訳者注)は22日「日本の軍国主義再武装を支えて韓米日軍事同盟を本格化する、韓日軍事協力を即刻中断せよ」と求めた。

進歩党の呉秉潤(오병윤 オ・ビョンユン)院内代表と閔丙烈(민병렬 ミン・ビョンリョル)最高委員、韓国進歩連帯の崔ウナ(최은하 チウェ・ウナ)自主統一委員長はこの日国会で記者会見を開き「韓国政府が日本に過去に対する反省と措置を要求して日本再武装の動きを阻止するどころか、日本との軍事協力に乗り出して自衛隊の海外活動拡大、軍国主義再武装を事実上支える先頭に立つというのはあり得ない事」だと明らかにした。

これらは「アメリカは韓米日軍事同盟完成の為に韓日軍事協力を持続的に強調して推進してきている」とし「だが韓米日軍事同盟強化の動きは北朝鮮と中国に対する攻撃性と牽制の意図を明確にしていて域内軍備競争と対立を煽る要因となっており、日本の軍国主義再武装を支えているという点で我々の国益と明白に反している」と指摘した。

これらはまた「今回の『レッドフラッグアラスカ演習』過程で韓国の戦闘機が初めて空中給油を受け、朝鮮半島を抜け出して海外連合訓練に参加したと言う」とし「軍の作戦範囲を朝鮮半島域内ならぬ他の地域へと拡大するのは明白に攻撃的で覇権的な政策への転換」と主張した。

続けて「我が憲法は侵略戦争を断固として反対しており、領土防衛の為の軍事力使用を許容している」とし「軍の国防政策は憲法精神を決して違反してはならない」と強調した。

これらは「最近東北アジア域内対立が深化する状況で、韓国がアメリカの戦争に便乗して朝鮮半島を離れた広域作戦を試みれば、中国を刺激して東北アジア対立を増幅させるのは火を見るより明らかだ」とし「アメリカの覇権政策に韓国軍が動員されなければならない理由はない。政府は朝鮮半島域外作戦を上程する一切の軍事訓練、武器増強の試みを即刻中断せよ」と求めた。

訳 ZED
韓国語原文記事はこちら
http://www.vop.co.kr/A00000669854.html


日本ではなぜかほとんど話題になっていないのだが、上記記事にあるように今アラスカで米軍主管による大規模な多国籍空軍訓練が行なわれている。一応それについて述べた日本側の記事と防衛省の広報にはリンクを貼っておく。

http://flyteam.jp/news/article/25069
航空自衛隊、レッド・フラッグ・アラスカに参加
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H25/0724.html
米空軍演習への参加について

日本の反戦運動体や護憲派が全くと言って良いほどこの軍事訓練を黙殺しているのは不思議で仕方ないのだが、日本の再軍備や海外派兵はもう規定路線の年中行事みたいなもんだから反対するだけ無駄と諦めているのだろうか。それでも韓国では左派政党である統合進歩党が反対の声を上げたが、日本はどうなのか。共産党や社民党はこの軍事訓練に何か文句の一つも言ったのだろうか。詳しい人がいたら教えていただきたいと思う。

それにしても韓国と日本の関係が戦後最悪だなどと言っている馬鹿のツラが見たい。両国共にアラスカで実に仲睦まじく軍事訓練やってるではないか。これのどこが「戦後最悪の関係」なのやら。この空軍訓練は北朝鮮や中国を想定しているのはもちろんだが、それ以外の国にも軍事介入する事をより想定している。早く言えばアメリカやヨーロッパの対テロ戦争や新植民地侵略戦争への加担・参戦だ。イラクやリビアの時のように。日本でも違憲や改憲という事が言われているが、朴槿恵政権下の韓国でも同じく憲法違反の軍事訓練が現在進行中だという事だ。日本の再武装を側面支援、いや共同歩調をとるという最悪の形で。言っておかなければならないが、現在ソマリアには自衛隊だけでなく韓国軍も派兵されている。アメリカの下で韓国と日本は実に緊密に軍事行動・訓練を続けている真っ最中なのだ。
朴槿恵政権下の韓国と安倍晋三政権下の日本は今や共に欧米の覇権戦争地域に出征し、共に互いの憲法をより攻撃的・侵略的なものへと改悪するのに協力し合っている。これも「韓日2013年体制」の大きな特徴だ。アメリカの下における韓国と日本の悪しき癒着関係が、戦後これほどまでに緊密になった事はないだろう。今ほど韓日関係が親密な時代はなかったのだ。

日本で嫌韓と言われている連中がいるが、今後韓日共に憲法改正がなった際、真っ先に使い捨てな鉄砲玉の兵隊にされるのはこういう連中だろう。そうしたエピソードは「はだしのゲン」に詳しい。「はだしのゲン」に閲覧制限をかけるのは、連中にしてみれば実に理に適った行動なのである。代わりに宮崎駿の新作映画ガルパンでも可)を見て感動しろ、という事なのだろう。

野間易通どもに言われるまでもなく、今の韓国と日本の支配層・軍事協力関係ほど「仲良くしている」間柄はない。そしてこの「最も悪しき韓日友好関係」は独島の問題があろうが日本でレイシズムの嵐が吹き荒れようが、不変のものなのである。むしろ強まるものだ。野間らの運動や安田浩一の著書は言うまでもなくそれを社会の底辺最下層から支える補完物である、という事も参考までに付け加えておきたい。
 

【翻訳記事】韓国プレシアンの安田浩一インタビューの内容が凄絶過ぎる件について「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません(安田浩一談)」訳者解説

のっけから「進撃の巨人」だの「ジャパニメーション」だのがどうのこうのという前ふりからして嫌な予感のプンプンする記事でしたが、予想に違わぬ凄絶な内容であった事がお分かりいただけたでしょう。安田浩一の言ってる事もひど過ぎるのですが、聞き手であるプレシアンの記者もロクなもんじゃありません。

ちなみに「進撃の巨人」は作品内容だけでなく作者の諫山創(いさやま・はじめ)自身もかなり右翼的な漫画家だという事は指摘しておかねばなりません。諫山は自身のブログでこの漫画に旧日本軍の将校である秋山好古をモデルにしたキャラを登場させて、自身も秋山の事を尊敬していると告白しています。

http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/3639547.html

秋山好古とは何者でしょうか。日露戦争で大きな手柄を立てた事で有名な軍人であり、弟の真之と共に司馬遼太郎の「坂の上の雲」の主人公としても広く知られています。しかしながら日露戦争とはどんな戦争だったのでしょうか。朝鮮と満州の支配権を巡ってロシアと大日本帝国が争った、典型的な帝国主義植民地争奪戦争に他なりません。司馬遼太郎がいかに小説でこの戦争を「日本の自衛戦争」と美化・正当化しようとも、史実とは全く異なります。その戦争の「英雄」だった秋山兄弟の本質もまた帝国主義者・植民地主義者でしかありません。そればかりか好古をはじめとする秋山兄弟が植民地朝鮮でどのような権勢を振るっていたか、どれだけの日本人が知っているでしょうか。秋山好古は1916年から17年にかけて植民地朝鮮に駐留する日帝朝鮮軍(朝鮮駐箚軍)の司令官でしたが、この軍は対ソ連防衛を担当する以上に、植民地朝鮮の独立運動を弾圧・鎮圧する事が目的だったのです。民衆蜂起や義兵闘争が起こればそれを武力鎮圧する為にすっ飛んでくる。その司令官である秋山好古はまさに植民地朝鮮の弾圧将軍だったのです。秋山好古が司令官を退任して2年後の1919年に何が起こったでしょう。3.1独立運動です。実際に3.1運動の弾圧と虐殺を行なったのは好古の次の次の司令官である宇都宮太郎(後の自民党議員である宇都宮徳馬の父。ただし徳馬は後に父とは大分違う道を歩んだが)でしたが、3.1独立運動の時期が少し早いか好古の任期が数年違っていれば、この男が朝鮮の民衆を大虐殺していたのです。3.1独立運動の弾圧と直接関係ないにしても、秋山好古が武断統治と呼ばれるとりわけ弾圧の厳しかった時代に、朝鮮の民衆に銃口を向けて威圧・抑圧していた総大将だった事は厳然たる事実なのですから。
さらにその前の1907年には、外交権を剥奪された朝鮮(大韓帝国)がその不当性を訴えるためにオランダのハーグで行われる万国平和会議に密使を送ったハーグ密使事件がありました。が、この時派遣された李儁(리준 リ・ジュン)・李相卨(리상설 リ・サンソル)・李瑋鍾(리위종 リ・ウィジョン)ら3密使の事を調べ上げて会議に参加出来ないように妨害したのが、他ならぬ秋山好古だったのです。秋山好古は一貫して朝鮮を日本の植民地にし、その独立を妨害する事に生涯を捧げた人間でした。
好古だけではありません。好古の兄である秋山正矣(あきやま・まさなり 後に岡家へ養子に行って岡正矣と改姓)は朝鮮京城電気の重役でした。つまり秋山兄弟というのは植民地朝鮮の軍事面と経済面で権勢を振るった植民地利権者一族だったのです。朝鮮半島の分捕り合いである日露戦争で手柄を立てたファミリーが、その「戦利品」である植民地朝鮮へ乗り込んでデカいツラして大きな権力を握り、独立運動を武力・謀略で弾圧する。秋山兄弟というのは日本の朝鮮侵略と植民地支配を一身に体現したような一族だった訳です。朝鮮人・韓国人であればこの秋山一族が行った事を決して忘れてはいけません。
そんな植民地主義者の軍人に

何より本当...自分ごときが、自分ごときの腕で、この方を
モデルにするのはおこがましいくて恐れ多い事なんですが
一応参考にさせていただいています....


日露戦争の逸話もすごいですが、
元帥の地位を蹴って田舎の小学校の校長を務め、
自分の作戦で失った兵士のために生涯質素に過ごしたとかの
真っ当を貫く姿勢や人柄に畏敬の念を覚えます


という最大級の賛辞を送ったのが諫山創という漫画家だという事を特に強調しておきましょう。この男と小林よしのりや細野不二彦・平松伸二らに果たしてどれほどの違いがあるのやら。諫山創は個人的には「進撃の巨人」が完結した後が色々な意味で「楽しみ」だと思っています。おそらく佐藤秀峰や青山剛昌のように、露骨に日本の国家体制や権力に迎合する作品を描くようになるのではないかと予想していますが。
とは言え、だからこそそんな右翼漫画家の作品に在特会やネット右翼が熱狂しているのではないかというプレシアン側記者の推測にはまあ一理あるでしょう(この記者が諫山創の右翼志向や秋山好古をモデルにしたキャラの事について気付いているかどうかは知りませんが)。しかしそれ以上に問題なのは、そんな右翼漫画家の作品が韓国でもヒットしてしまっているという現状です。最近の韓国の若者の歴史的無知はあまりにひどい(そうさせた韓国の教育制度や教科書に原因があるが)ものですが、「進撃の巨人」のヒットはそれを象徴する典型的現象と言えるでしょう。まさに「日韓の若者が過去の侵略戦争や植民地支配の歴史をきれいさっぱり忘れて互いの文化を楽しむ」という、安田浩一&李明博的な「日韓未来志向」が半ば現実化しつつある訳で、暗澹たる気分にしかなりません。

さて、話を主題である安田浩一のインタビュー内容に戻すと、これを最初から最後まで読み通せた方々にはとりあえず敬意を表します。よくもこんだけひど過ぎる気持ちの悪いインタビューを全部読み通せたその精神的耐久力に! いや、筆者も訳しててさすがに途中ですごく腹が立って嫌になってきましたよ。まともな人間なら今回の安田のインタビューを読んで激怒するか、極めて不愉快になるか、どっちかしかありませんから。今回のインタビューに、安田の知人の在日女性が在特会の集会を見て大変な精神的苦痛を受けて泣いたという話が出てきますが、安田の諸発言もまた在特会のそれに劣らぬ精神的苦痛を在日に与えるものでしょう。その為に肝とも言うべき重要なトンデモ発言部分を強調して、そこだけ読むように予め警告した訳です。でもその部分だけ拾い読みしてもたぶん相当な精神的苦痛を受けるでしょうが。
で、そうした安田のトンデモ発言・バカ発言の数々を読み終えた人達(筆者含む)はまず間違いなく次のように突っ込む事でしょう。

「んな訳ねーだろ!」と。

あまりにひど過ぎる発言の数々に、果たしてどこから言及して良いか分からなくなるのですが、それでもまずはこの発言から槍玉に挙げねばなりますまい。

「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」

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日本で極右政治家が勝った事は一度もないだって? そんなん初めて聞いたわ! 「フリンジ FRINGE」じゃあるまいし、安田は一体どこの平行世界の話をしているんだ? 今の日本の総理は誰よ? 安倍晋三でしょ? 安倍晋三は極右政治家じゃないんだ? 今の大阪市長は誰? 橋下徹でしょ? 橋下徹は極右政治家じゃないんだ? 橋下と一緒に維新の会の共同代表やってるのは誰よ? 石原慎太郎でしょ? こいつら全員極右じゃないと? 安田浩一はこいつら全員極右ではなく、共産主義の極左だとでも言いたいのでしょうか。日本維新の会は現在衆議院では53議席の堂々たる第3党ですよ。総理も衆議院第3党の党首達もみんな極右ではないとおっしゃる!

いやあ、さすが講談社ノンフィクション賞を受賞したジャーナリストの言う事は違いますなあ。これはもう講談社どころかピューリッツア賞、いやノーベル文学賞すら与えてもいいんじゃないでしょうか。普通絶対言えません。日本で極右政治家が勝った事は一度もないなどと断言出来る、その「文学的センス」の深奥さにはまさに脱帽です! これには昭和天皇の「言葉のアヤ」発言も敵わないのではないでしょうか! 日本が世界に誇る名ジャーナリスト、安田浩一記者に何としてもノーベル文学賞を受賞させようではありませんか!

…冗談はともかく、ここまで事実として完全に間違った事が平然と言えるそのセンスには、確かにある意味で脱帽したくはなります。確かに今の日本の醜悪な現実を必死に覆い隠してごまかそうとしているジャーナリストや評論家などは掃いて捨てるほどいるものの、ここまで言い切ったのは筆者の知る限り安田浩一だけでしょう。しかもそれを韓国に対して言っている所がポイントです。同時に安田はこんな事も言っていました。

「みなさんから見て日本社会が非常に右側に傾いているように見えるかもしれませんが、極右達の主張を受け入れる環境では決してないという点を申し上げたいと思います」

お分かりでしょうか。安田は飽くまでも日本は右傾化していないと、必死になって韓国側に訴えてる訳です。言うまでもなく韓国の民衆にとって「日本の右傾化」とはかつての植民地支配と侵略戦争・帝国主義の正当化やそれらの復活と同義であり、決して受け入れられるものではありません(一部の親日派や政治的・経済的支配層除く)。そして現在の日本は誰がどう見てもそうなりつつあるのに、それを安田は「右傾化なんかしてない。極右の主張を受け入れる環境はない」として必死にごまかしに走っている。恥ならぬ嘘の上塗りを繰り返してまで「日本は悪くない」という事を韓国側に信じ込ませようとしているこの男は、一体どれだけ恥知らずで犯罪的なのでしょうか。その為ならこの男は安倍晋三の肩すら持とうとする。

「安倍首相も今は韓国や中国と良い関係を維持しようと発言しました。これもまた日本社会の雰囲気だという事です」
「私が非常に嫌っていて恐らくみなさんも好きでない(笑)安倍首相でさえ「在特会などのデモは大変遺憾だ」と答弁しない訳にはいきませんでした」

ここで本来言わなければならないのは、こうした言動が安倍の本心によるものでは全くないという事でしょう。安倍や稲田朋美といった連中がある日急に態度を変えた理由はただ一つ、アメリカの機嫌を損ねそうだという事に気付いたからに過ぎません。決して日本国内のレイシズムを反省したり反対しているからではないので韓国や中国は油断するな、と警告するのがジャーナリズムに携わる者が本来言うべき事なのです。それを「安部でさえもレイシズムに遺憾を表明して韓国・中国と良い関係を維持しようとしている「美しい国」日本」という大いなる虚像を振り撒いて、韓国や中国の民衆を惑わせようとしているだけではありませんか。
さらに安倍の態度変化や橋下を切り捨てるような言動は、言うなれば橋下だけを悪者に仕立て上げて自分を美化する姑息な手段でしかありません。今の日本ではこのように、在特会や橋下徹のような「一部の目立った過激分子」さえバッシングすればどんなにひどい右翼や差別主義者であっても自分は差別に反対している人権派か人道主義者のように装えるという、極めて醜悪なアリバイ作りというか自己正当化が流行っており、安部のそれはまさに典型例です。在特会さえスケープゴートにすれば、朝鮮学校への無償化や補助金排除などといったひどい差別政策から目を逸らさせる事が出来る。日本政府こそ在特会以上の民族差別の総元締めであるという事を、日本国内はもちろん韓国はじめとする外国にも気付かせないようにしたいのが安田浩一の狙いだという事です。
安田は「おそらくみなさんは安倍政権が右翼政権だと考える事でしょう(笑)。在特会にそのような話をすれば笑われるでしょう」と言っていますが、安田自身だって「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」すなわち安倍政権が極右ではないと言っているじゃありませんか。安田も在特会も「日本は右傾化なんかしていない」と必死に嘘を言ってごまかしているという点では同じ穴のムジナでしかないのです。

こうした事実として完全に間違った事を平然と主張する安田のペテン癖は他にもまだ見つかります。例えば

「「村山談話」が何の反対もなく国会で通過する事が出来たでしょう」

なんて事まで言ってるのですから。村山談話が何の反対もなく通過しただって? そんなん初めて聞いたわ! 安田浩一という人は「平行世界」の話を創作するのが大変お好きなんですね。ジャーナリストを廃業して、SF作家に転進した方が大成するのではないかと冗談抜きで思います。
当時村山談話が出される事に対して強硬に反対した政治家なんて山ほどいますよ。まずは、今や生活の党というみじめな蟻の巣の主人にまで落ちぶれながら、なぜか狂信的な信者だけは(それもある系統の左翼業界で特に)一定数いる小沢一郎がそうでした。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130620/1371739834
当時の内閣は村山連立(社会党)政権で、自民党は与党に属していたが、自民党内には「大東亜戦争肯定論」の立場にたつ「民族派」と日本は敗戦で生まれ変わったとする「戦後改革派(ニュー・ライト)」との対立があって意見がなかなかまとまらなかった。他方、野党の新進党(九四年一二月結党、党首海部俊樹、幹事長小沢一郎)は、侵略行為や植民地支配という言葉を認めず、「おわび」も削除せよと強硬に主張した。

また、何よりも村山談話に反対した政治家の筆頭代表として挙げるべきは他ならぬ安倍晋三でしょう。安倍は当時どのような行動をしていたのか。

http://www.wadaharuki.com/abe.html
安倍晋三氏は議員初当選の翌年、一九九四年に奥野誠亮会長の「終戦五十周年国会議員連盟」の事務局次長となった人である。右翼的な歴史観から戦後五〇年国会決議、村山談話、河野談話に反対したかぎりでは、党内の傍流にすぎなかったが、一九九七年から頭角をあらわし、小泉首相の後継者に指名されて、右翼政治家のプリンスとして、主流派にのし上がった。

http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_387.html
彼は村山談話が出た時、自民党の非主流強行派である‘戦後50周年国会議員連盟’の事務局長代理だった。この議員集団は、日本の国会が、戦後50年決議案(‘歴史を教訓として、平和のための決議を新しくする’、1995年7月、国会可決)を、採択しようとするや、これに反対する議員らが1994年12月1日結成した。

連合軍占領体制下で、“日本に対する断罪と、自虐史観を正し、公正な事実に基づいた歴史の流れを解明し、日本と日本人の名誉と自矜心(じきょうしん_誇り、自慢)を回復しなければならない。”と言うのが結成趣旨だ。この集団は、日本が引き起した侵略戦争を‘日本の自衛自存とアジアの平和’の為だったと主張し、村山談話の発表に猛烈に反対した


どこを見ても当時安倍(と他に奥野誠亮はじめとする終戦五十周年国会議員連盟所属の議員達)が村山談話に強硬に反対していたという話ばかりです。こんな安倍晋三らの反対行動が当時厳然とあったにも関わらず、講談社ノンフィクション賞を受賞した日本を代表する名ジャーナリスト・安田浩一記者によると「「村山談話」が何の反対もなく国会で通過する事が出来た」そうです! 安倍総理はその前の河野談話にも強硬に反対していたのに、安田記者のありがたいお話によれば「何の反対もな」かったそうです! 「(従軍慰安婦に対しては)21世紀以前まではそれでも日本の恥部という認識が共有されてい」たのだそうです! 安田記者によれば「日本で極右を主張する政治家が勝利した事は一度もありません」すなわち、村山談話に猛反対していた安倍総理や小沢一郎や奥野誠亮達は全然極右政治家じゃないんだそうです! その安倍総理については、在特会も安田記者と同じ見解で「右じゃない」とみなしているとの事。両者の「安倍総理は極右でも右翼でもない」という貴重な証言が、国際社会における安倍総理のイメージをどれだけ向上させてくれたか計り知れないものがあるではありませんか! 安田記者と在特会は両者共にガッチリとスクラムを組んで、日夜安倍総理と日本のイメージ向上の為の「愛国的広報活動」に勤しんでいるのです! おまえらどんだけ安倍総理が大好きなんだよと言いたくなるではありませんか!

…冗談はともかく、もうここまで来ると何が何だか引用してる方も訳分かんなくなってきます。こういう嘘や捏造を平然と言いふらす人間を世間一般には詐欺師とかペテン師と言うのですが、安田浩一はまさにどこに出しても恥ずかしくない堂々たる詐欺師です。あるいはそれでもまだ「記者」を名乗っている以上、「ブラックジャーナリスト」と言ってあげた方がまだ礼にかなっているでしょうか(笑)。

しかも今回のインタビューはプレシアンという、韓国のそれも左派・進歩派メディアで通っている媒体に載ったものでした。韓国の進歩派すなわち民主勢力(のはず)がこういうひど過ぎる歴史歪曲というか、現実を歪めたホラ話をこそ「日本の現状」として伝えたがっている(または信じたがっている)のではないかという疑念すら浮かんできます。そこに安田のようなブラックジャーナリストがつけこんで、勝手な嘘や日本正当化論を韓国に広める。こういう人達が今まで引っ張って来た「韓国の民主化」とは一体何だったのでしょうか。

実は今回のプレシアン記事には全体的な強烈度がやや落ちるので全文翻訳しなかったのですが、やはり韓国進歩派メディアの雄であるオーマイニュースも安田に別途インタビューしていました。その中には今回の「日本で極右政治家が勝った事は一度もない発言」にも引けをとらない、どうしても指摘しておきたいインパクトだけは抜群なバカ発言が一つあったので、それもついでに翻訳抜粋して御紹介しましょう。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001871551
「ネット右翼の主張に政治的性向があると受け止めるのは問題があると思う。彼らは保守でもなく右翼でもない。便宜上ネット右翼と言うが、これらは真正な意味での右翼ではない。既存の日本保守勢力でさえも在特会などのネット右翼を嫌う。伝統的に日本の保守・右翼の中には「サムライは仲間の手を借りない」という美学が一つの文化として定着しているのに、在特会などのネット右翼にはこうした特長がないからだ」

講談社ノンフィクション賞を受賞した日本を代表する名ジャーナリスト・安田浩一記者曰く「日本の伝統的な右翼はサムライ」なんだそうです! これは安田に限らず日本ではよく使われる言い方ですね。言うまでもなくここでの「サムライ」という言葉は非常に肯定的な意味で使われており、安田浩一が日本の右翼を正々堂々・公明正大な存在であると描写している訳です。同時に、それに対して在特会は…という意味も込めて。
筆者は3年ほど前(だったと思う)に朝鮮学校への無償化適用を求める総連系のデモに参加した事があるのですが、その時の右翼の妨害はそれこそ半端じゃありませんでしたよ。その時のデモは日比谷公園から銀座の街を通ったのですが、公園の周囲から沿道まで黒塗りの街宣車が何十台も取り囲み、高速道路の上にまで多数の街宣車が止まっては「朝鮮人は出ていけ」とか何とか凄まじい爆音で罵声を浴びせられました。こんだけたくさんの右翼がどこから集まってきたのかというくらいの規模で、これに比べたら今在特会が新大久保でやってる事なんて可愛いもんです。先日の憲法記念日に見かけた時も同様で、職場近くの公道をこれまた大量の街宣車が走りながら爆音を鳴らし、その威圧感は在特会ごときの比じゃありません。ともあれこのように「既存の」日本の黒塗り街宣車右翼達はこれだけ衆を頼んで在日朝鮮人への民族差別や迫害、改憲の為の行動を繰り返してきました。というか、連中が「仲間の手を借りず」にこうした活動をしているのを見た事がありません。サムライうんぬんとかいうたわけた表現以前に、日本右翼が「仲間の手を借りない」という話がすでに大嘘です。連中は昔から常に大集団で在日を攻撃して来ました。
それにしても呆れるのは、安田浩一は安倍総理ばかりか右翼がどんだけ大好きなんだよという事でしょう。こんなサムライになぞらえてのおべんちゃらや明白な大嘘までついて、日本の右翼を大絶賛しているのですから。そんなに右翼が好きならさっさとジャーナリストなんかやめて、日本青年社(広域暴力団住吉会の下部組織)でも正気塾(1990年に当時長崎市長だった本島等を銃撃して殺人未遂)でも好きな団体の構成員になったら良いのです。そこには安田自身が大絶賛した「サムライ」達がわんさかいるでしょうから、さぞかし安田浩一の「男」を磨いてくれるでしょうよ! 何しろモノホンのヤクザである日本青年社も、天皇の戦争責任を追及した長崎市長を銃撃した正気塾も、安田記者の「理論」に従えばこれらはみんな在特会とは全く違う「仲間の手を借りないという美学が一つの文化として定着している立派なサムライ」なのですから! 安田記者にはぜひこれらの団体に入って、尖閣諸島への上陸や各報道機関への暴力による威嚇行為、長崎市長への銃撃テロなどを実行して欲しいものだと切に思います。あんた、サムライが大好きなんだろ? だったらそれぐらい喜んで出来るよね(笑)。

とにかく最近の在特会関係で「ブレイク(笑)」して以降の安田浩一の言動というのは真面目な話、ジャーナリズムとしての限度を超しています。記者として越えてはならない一線を越えてしまったと言って良いでしょう。一連の韓国マスコミの取材でしゃべった妄言や大嘘はもちろん、日本右翼を「サムライ」になぞらえて美化・礼賛した時点で完全にジャーナリストとして終わりました。日本青年社や正気塾に限らず、安田が「仲間の手を借りないという美学が一つの文化として定着している立派なサムライ」だとして褒め称えている日本右翼がこれまで暴力をちらつかせたり、あるいは実際に暴力行為を行って報道機関を攻撃した例は枚挙に暇がありません。そんな右翼を大絶賛した時点で、これはジャーナリストとして完全なる自殺行為なのですから。悲惨な犠牲者を出した中央公論の風流夢譚事件も、朝日新聞阪神支局襲撃事件も、全て立派な「サムライ」の手による「仲間の手を借りないという美学」の結果だとでも言うのでしょうか。繰り返しますが、安田浩一による右翼の美化・礼賛はジャーナリストとしての完全な自殺行為です。以前は単にヘボな労働問題専門の駄目記者に過ぎなかったのが、今は完全に悪質なデマゴーグに変貌したと言って良いでしょう。
安田がジャーナリストとしての魂を悪魔に売ってまでやった事とは、在特会を自分の個人的なメシの種にするのに成功した事と、その在特会だけを悪役にしてより大きな差別問題から社会的関心を逸らさせ、ひいては日本という国の姿を現実離れして美しい虚像に歪曲しただけです。在特会を攻撃するふりさえすれば誰でも「ヒーロー」になれる。凶暴なテロ集団でしかない旧来の日本右翼でも、日の丸や君が代や天皇が大好きな反原連やレイシストしばき隊でも、石丸次郎や萩原遼のような実際は単なる朝鮮ヘイトの鬼畜レイシストに過ぎない人間であっても、挙げ句は安倍晋三のような人間ですら、在特会さえスケープゴートにすれば善人ぶれる。そんな風潮を作った張本人が安田浩一でした。少なくともそうした風潮作りに大きな役割を果たした事だけは間違いありません。

まだまだ安田浩一の妄言に突っ込みたい所はたくさんある(日本では従軍慰安婦などの歴史問題を真面目に教育してきたとか、日本には韓国ほどのナショナリズムはなかった、アジアで最もナショナリズムの希薄な国は日本だったとか)のですが、いい加減きりがないので今回はこの辺にしておきたいと思います。今回翻訳した安田のインタビュー記事で強調した部分のうち、今回突っ込みきれなかったその他の部分、あるいはその他どの部分でもまた別の方が引用・参考にして、安田浩一への批判または在特会問題への研究に活用していただければと思います。早い話、安田のその他妄言類については、とりあえず他の方々にお任せという事で。

最後に結論として、安田浩一が決してふれようとしなかった事、すなわち在特会とは何なのかという本質的な話を言及しておきましょう。
在特会とは何なのか? この答ほど一見難しそうで、実はこれほど簡単なものもありません。安田浩一はこれについて今回のインタビューでも

「私の考えだと在特会運動は非常に不幸な運動です。何かを獲得する為の運動ではありません。無条件で韓国が、在日コリアンが嫌いだと話す為の運動です。誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動だと思います。」
「彼らの論理を借りて言うと、強者に対する抵抗運動」
「在特会は日本社会の恥部」
「在特会も愛国者というよりは、国家から愛されたいと考える者達でしょう。彼らの主張は日本に自分達を捨てないでくれという主張でもあります。」


などといったおためごかしを繰り返していますが、これらは在特会という団体がそもそも何なのかという本質的な答には全くなっていません。
在特会とは何か? これに対する最も簡潔で本質的な答とは

「日本における国家体制の補完物」

に他なりません。他の旧来右翼と有意な差は何もない訳で、誰だってすぐに分かる話です。安田はその事に気付かなかったのでしょうか? いや、この男がいかに3流記者であってもさすがに気付いているでしょう。単に都合が悪いので、本質的な答を明かしたくなかっただけだと思います。
日本という国においては明治以降の帝国主義とアジア侵略と共に、民族差別が国策として進められてきました。差別は国家的に「正しい事」、国策・国益として行われてきた。日本右翼の最大の存在意義とはそうした事を補完する事にある訳で、在特会もまたそれに極めて忠実に呼応しているに過ぎません。そういう点で在特会ほど日本右翼らしい日本右翼はいないのです。安田浩一のようにこれを「彼らは保守でもなく右翼でもない。便宜上ネット右翼と言うが、これらは真正な意味での右翼ではない」などというのはとんでもない大嘘でしかありません。日本右翼がこれまでに日本の国家体制擁護の為にやってきた民族差別や抑圧、テロ活動、過去史歪曲などを新参者の在特会もまた一生懸命にやっているではありませんか。在特会の言動や主張に目新しいものなど何もありません。どれもこれも旧来の右翼がずっと言ったりやってきた事をそのままなぞってるだけ。いや、振るう暴力の威圧感や凶暴さという点では旧来の右翼の方がはるかに危険です。長崎市長銃撃事件や朝日新聞阪神支局襲撃事件、浅沼稲次郎刺殺事件、風流夢譚事件…その他日本の旧来右翼が無数に引き起こしてきた暴力事件や言論圧殺活動に比べたら、むしろ今の在特会などまだお子様レベルでしかないでしょう。もちろん在特会が今後もっと過激な暴力事件を引き起こすように凶暴化していく可能性は十分にありますが。
警察だって在特会に対しては既存の右翼同様に目こぼしして利用すらしてきました。桜井誠だって逮捕されたけど、案の定すぐに出て来たでしょう? 桜井と在特会にとっては今回の逮捕劇など箔を付けてくれた「勲章」に過ぎず、連中が今後ますます図に乗る事は明らかです。
何よりも在特会は今や日本一の悪役(?)の役回りを引き受けて、他の右翼はもちろん安倍晋三のような極右政治家から、民族差別の総本山たる日本国家そのものを美化させるという引き立て役の大役を立派に果たしているではありませんか。これこそ「体制の補完物」冥利に尽きるというものでしょう。立派に在特会は「お国」の役に立っている訳です。そんな「体制の補完物」そのものである在特会に対して「誰かを幸福に出来る運動ではありません。彼ら自身も幸福になれるわけではないからです。そうした意味で非常に悲しい運動」などと言っても何の意味もなければ批判にもならない。

在特会とは日本の国家体制を補完する存在の一つであり、日本そのものであるという事。ゆえに在特会だけをスケープゴートにして非難し、それを以って日本国家そのものを美化したり免罪するという事は出来ないし、あり得ません。その事を決して忘れてはいけないでしょう。安田浩一のようにそれをやっている人間は全くの嘘つき・ペテン師であると同時に、その者もまた在特会はじめとする日本右翼同様な「体制の補完物」に他ならないのです。

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