岩波書店の就業規則改定案を見て驚いた。まさかここまでやるのか、一体同社の経営陣は何を考えているのか、どこを向いているのかと思う。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-49.html
岩波書店の就業規則改定案について
改定案の「諭旨解雇または懲戒解雇」の条文(第41条の4)の特色は、その対象の一つとして、「会社および会社の職員または著者および関係取引先を誹謗もしくは中傷し、または虚偽の風説を流布もしくは宣伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき」を挙げていることである。
会社の「著者」や「取引先」の悪口を言うなという事だが、それで「会社業務に重大な支障を与えたとき」という非常に曖昧な文言を入れている所がポイントだろう。これは漫画の表現既成条例や特定秘密保護法と同じで、いくらでも拡大解釈の余地がある。出版社という言論機関が自らこのような就業規則を設ければ、どのような結果が起こるかは誰の目にも明らかだろう。社内の人間達は誰もものが自由に言えなくなり、結果は言論機関そのものの死へとつながる。
「会社の職員」が誹謗中傷された際もこうした処分にするというのもあまりに酷い話で、これは会社のお偉方が仮に経営判断ミスや背任行為を働いたとしても、それの内部告発すら出来なくなってしまうだろう。それとも自社内でそんな内部告発封じまがいの事をしなければならない(後ろめたい)理由が、岩波の経営陣には何かあるのか。おまけに自社内の告発や問題提起すら統制・抑圧する出版社の本で、政府機関や他の企業の内部告発を報じる事が出来るのかという話にもなるだろう。報じた所でその信用性を大きく疑われる事になるのは間違いない。「あの自社内の言論を強権的に統制してる岩波の本に載ってた事だぜ」などという陰口を読者から言われるのは、出版人として最も不名誉な事ではないか。
読売や毎日や共同通信など他の報道機関と比べてもあり得ない、それどころか日本の企業社会全体においてもあり得ず、憲法違反ですらあるような「法」を社内に作ろうとしている異常性をこそ岩波書店は自覚すべきであろう。
このような事は三尺童子でも分かりそうなのにも関わらず、こうした就業規則改定を敢えて行おうという、その目的は何なのか。
岩波の経営状態が最近思わしくない事は広く知られている。こうした会社が内部を引き締めて社員に緊張感を持たせようと試みる場合もあるだろう。だがどう見ても今回の岩波の場合はそうしたものではあるまい。この改定案にはただただ隣組的な「恐怖政治」と「言論封殺」と「排除の論理」があるだけで、職員達に良い意味で緊張感を持たせて業績を回復しようという意味があるとはとても思えない。
だとしたら、理由は金光翔氏のパージが主目的なのではないか。この間に金光翔氏が行ってきた「佐藤優現象批判」や岩波書店内部の諸問題指摘などが図星であっただけに、会社側もずいぶんと氏をいじめてきた。そしてついに会社側は自らを省みることなく、こうした「悪法」の制定とそれの濫用出来る体制作りへ乗り出したという事だろう。
「法の濫用」は「無法」以上に悪質にして危険なり。韓国の朴槿恵政権にせよ日本の安倍政権にせよ、この「東アジアの双子の極右政権」に共通する危険性の一つが「法の濫用」にある。統合進歩党強制解散しかり、沖縄辺野古の米軍基地建設強行しかり。これでどうして安倍政権を批判出来るのか? こうした言論封殺行為を自社内で行う出版社が社会的信用を得られるだろうか? 極右のデモすらヨイショする得体の知れない学者もどき(新派御用学者?)なら別かもしれないが。
結局この間に「佐藤優現象」はじめとする岩波書店の問題点を指摘してきた者が金光翔氏しかいなかったという事につきるだろう。しかもその告発者が在日朝鮮人であった事が余計に会社側を逆上させたのではないか。
「君は、岩波書店に入社したという時点で、在日の方としては特権的な、恵まれた地位にある」という発言が最も象徴的だが、会社側のこうした居丈高な民族差別意識が今回の異常な就業規則改定案に至ったのは間違いないであろう。岩波書店こそこうした自らの過ちを認めて改めるべきである。
岩波書店がこの間金光翔氏に行ってきた言論封殺をはじめとする抑圧的行為ならびに今回の就業規則改定案は、在日朝鮮人に対する民族差別行為であり、筆者はこれに強く抗議し撤回を求めるものである。
岩波書店は今こそ自分自身を省みて、「佐藤優現象」を推進してきた事や、様々な不当労働行為問題、今回の就業規則が改定される事による言論・報道界への悪影響を考え直さねばならない。
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