野次馬が他人の喧嘩に首を突っ込むなど愚の骨頂ですが、それをやってるのが今の日本です。周知の通り韓国哨戒艇が沈没した件ですが、これについては韓国当局の説明が二転三転しているのでほとんど信用がおけません。中国やロシアも韓国の調査結果をほとんど信用していない状況ですし、それがまともな反応でしょう。日本では一方的に韓国当局の言い分を垂れ流して北朝鮮による攻撃と断定、鳩山首相は「独自の制裁」まで検討するなどと言う始末。自分が攻撃された訳でもないのに制裁など見当違いもいい所です。本来なら第三者として冷静に対応すべき問題を自ら争いの渦中に飛び込むのだから、鳩山にせよ岡田外相にせよその愚かさは安倍晋三と何ら変わる所がありません。
が、愚かなのはこれら日本の政治家達だけではありません。言うまでもなく今回の件を選挙に悪用しようとしている韓国の李明博政権の危険さと愚劣さは最悪・最低と言えます。自らを「韓国のCEO」などと称して自画自賛し、あたかも「韓国を強国に導いた男・朴正煕」の再来であるかのように思い込んで悦に浸っている李明博がやった事といえば太陽政策を反故にして南北関係を緊張させ、国内では軍事政権に戻ったかのような統制を強いただけです。今回の件で北朝鮮もついに李明博政権とは対話を行わないと宣言するにいたりました。
彼の古巣である現代財閥は創業者・鄭周永が北の出身であった事からいち早く南北協商に乗り出して後の太陽政策へとつながる下地を築いた一方、国内では他の財閥達と同様に厳しい労働運動弾圧を行ったという二つの顔を併せ持った企業グループです。もっとも鄭周永の訪北については過大評価すべきではありません。鄭周永は度々北へ行って金日成とも会談し、牛を何頭も引き連れて軍事境界線を歩いて越えた事は有名ですが、南北首脳会談&太陽政策以前の南というのは国家保安法によって北への訪問が厳しく統制されており、一般の人間が北へ(第3国などを経由して)行って戻って来たらブタ箱行きを覚悟せねばなりません。鄭周永は財閥の当主として商売の話をしにVIP待遇で北へ行って来た訳ですが、その一方で商売ではなく真摯に民族の和解と平和の為にその身を犠牲にして北へ行った勇敢な人達が何人もいた事を忘れてはいけないでしょう。文益煥牧師や作家の黄皙暎、当時学生運動の闘士だった林秀卿(現在の彼女は完全に社会運動から引退してしまいましたが)といった人々こそ後の南北首脳会談と6.15共同宣言の最大の功労者です。現代財閥の当主は国家保安法に違反する事も身の危険を感じる事もなく南北を往来して商売の話をする事が出来ましたが、文益煥のような人達が軍事境界線を越えるのは命懸けだったのです。鄭周永がかつて訪北した事も南北の和解に寄与しましたしそれを全否定はしませんが、一方で文益煥らのようにゼニ勘定の為ではなく民族の為に己の身を犠牲にして訪北した者達といずれが偉大であったかは改めて述べるまでもないでしょう。かつて89年は林秀卿だけでなく鄭周永も訪北した年でしたが、ちょうどその頃南の現代重工では労働環境の改善を求めて激しいストライキが起こっていたのです。
さて、「民族和解」と「労働者弾圧」というジキルとハイドのように相反する二つの顔を持った現代財閥ですが、そこの大幹部からソウル市長を経て大統領にまで出世した李明博という男は古巣の持つ顔のうち「民族和解」というジキルの面は受け継がなかったようです。彼が受け継いだのは「労働者弾圧」という現代財閥にとってはまさにハイドの顔にあたる暗黒面の方でした。朴正煕の劣化コピーに現代財閥の悪い面とグローバリズムを合成すると李明博が完成するという、これはまさに出来の悪い韓国大統領を製造する為の方程式と言って良いでしょう。この男が哨戒艇沈没事件を北の仕業と決め付け、それを日本やアメリカ相手にはしゃぎ回りながら協力を仰ぐ姿は醜悪を通り越して滑稽ですらあります。6.15共同宣言に謳われた民族自決の精神などこの男の頭には欠片もありません。
それにもう一人、今回の件でその愚劣さを指弾しておかねばならない韓国人がいます。国連事務総長である潘基文その人に他なりません。潘基文という男はかつて盧武鉉政権下で外相を務め、太陽政策を推し進めた人物であった事から、その国連事務総長就任によって朝鮮半島の緊張緩和と和解に寄与するのではないかと期待する向きも当初は多かった事でしょう。筆者も最初はそう思いました。実際にこの男は事務総長就任直後に北朝鮮を訪問するつもりがあると発言しましたし、韓国の大統領が盧武鉉から李明博に変わっても国連事務総長が太陽政策の外相であった潘基文であれば、南北関係が今後緊張するような事になっても一定の歯止めになるのではないかという期待もあったのです(潘基文は盧武鉉政権末期の2007年から国連事務総長に就いており、その翌年に韓国では大統領が変わった)。が、結果は現在の通り。国連総長になってからの潘基文は北朝鮮を訪問するどころか朝鮮半島の平和に寄与する具体的な行動は何一つ出来ず、それどころか
ハイチ大地震では災害にかこつけて同国を事実上軍事占領するアメリカの後押しをする始末でした。このハイチ大地震に際して潘基文が取った言動は極めて毒辣にして、災害に苦しむハイチ国民と第三世界に対する重大な犯罪行為そのものと言って良いでしょう。そしてついには今回の哨戒艇の件で以下リンク先の記事のようなアホ発言まで垂れ流すにいたります。
【ニューヨーク=吉形祐司】国連の潘基文(パンギムン)事務総長は24日記者会見し、韓国海軍哨戒艦が北朝鮮の魚雷攻撃で沈没した事件について、「国連安全保障理事会が、国際的な平和と安全維持のために適切な措置をとり、責務を全うすると信じる」と述べ、安保理の役割に強い期待感を表明した。
事務総長は、韓国軍・民間合同調査団が出した調査結果を「否定し得ないもの」と支持。その上で、「北朝鮮の容認しがたい行為は、地域の平和と安定を促す国際努力に反する」と北朝鮮を厳しく非難した。
韓国出身の事務総長は、「韓国国民の焦燥感と怒りが十分に理解できる。国連事務総長としても、一人の韓国国民としても、非常に心が痛む。私の気持ちがわかるでしょう」と語り、「私の祖国だ」と付け加えた。国連事務総長が公の場で、出身国に対する感情を吐露するのは異例だ。
実際には韓国政府の発表が二転三転して信用がおけない上に、合同調査団にしても「座礁後に米船と衝突した事故」とした委員を無理矢理解任したり、やはり米艦との衝突を疑ったKBSの報道番組を封殺する為に名誉毀損で告訴(大組織が都合の悪い報道を封じる為にやる嫌がらせ訴訟。いわゆるSLAPP訴訟)までやっている現状を考えればとても信用がおけません。少なくとも慎重に対してしかるべきです。「北朝鮮訪問」という当初の「公約」すらまともに実行せず、朝鮮半島の平和に対して何一つ具体的な行動を取らなかった人間が安保理という戦争一歩手前のリンチ裁判だけは大乗り気なのですから。何よりも朝鮮・韓国人として許し難いのは「私の祖国だ」という発言です。この男の言う「祖国」とはどこの国ですか。なるほど。確かに潘基文という男は韓国出身の国連事務総長です。この男にとっては大韓民国が国籍上の「祖国」でしょう。では朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮は潘基文にとって「祖国」ではないのですか。不幸な歴史的経過によって分断されましたが、元は同じ民族の一つの国でした。従って国籍という視点ではなく、民族的視点からすれば北朝鮮と韓国のどちらも「祖国」と言えるはずなのです。ところがこの男の発言からはそうした意思は全く読み取れません。「韓国国民の焦燥感と怒り」とやらを盾に南だけが己の「祖国」と言わんばかりの妄言を吐く。「焦燥感と怒り」を抱いているのは南の国民だけではないでしょう。北の国民も同じなのです。太陽政策が反故にされて南やアメリカとの軍事的緊張が高まっている中、北の同胞の心の痛みが感じられなければ民族がどうこう言う以前に人間としておしまいではありませんか。北の同胞達の「焦燥感と怒り」も理解出来ずに北のもう一つの「祖国」をリンチ裁判にかけようとする。一日も早く韓国人をやめるべき人間です。潘基文という男は。
今回の発言はこれが本当に太陽政策の外相だった者の言う事かと己の耳を疑いたくなりましたが、潘基文という人間(? 言動を考えると人間以外の生物とも思えますが)の本性というのを考えればある意味で得心がいく事でもあります。つまり潘基文は自分の考えというものがないコットゥガッシ(朝鮮語で操り人形の意)に過ぎず、ただその時々の上司の意のままに行動する事しか出来ない者なのです。盧武鉉や金大中が上司になれば太陽政策を推し進めるし、李明博が大統領になれば北朝鮮との敵対政策に加担する。国連の事務総長になれば、そこを事実上取り仕切っているアメリカをはじめとする先進国の利益の為に動く。ただそれだけの存在に過ぎません。
李明博と潘基文という現在の韓国を代表する最も愚かな人間の姿を見て強く感じるのは、この国が目指すのは一体何なのかという事です。それは第三世界の側に立ってそれらの国々と共に歩むのか、それとも先進国クラブの仲間入りをして第三世界を収奪したりその為に軍事力を行使する側に回るのかという未来の行方に他なりません。李明博と潘基文という大統領と国連事務総長のコンビは明らかに後者を目指す者達の代表例です。グローバリズムの権化とも言うべき企業の経営者出身で南北の関係をこじらせた大統領。己の意思を持たずにその時々の上司の意のままに行動する事しか知らず、挙句の果ては先進国による第三世界への侵略行為に加担した国連総長。
南北朝鮮半島の未来の為にも、何よりも第三世界の為にも「李明博&潘基文」的な存在を拒否する事が我々に求められているでしょう。
「ノーモア李明博&潘基文」なのです。
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