報道を見る限り、平壌に乗り込んだ訪朝団はずいぶんと鼻息が荒い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141028-00000031-jij-pol
「拉致最優先」を伝達=日朝協議、徐委員長が出席
時事通信 10月28日(火)9時52分配信
【平壌時事】外務省の伊原純一アジア大洋州局長を団長とする日本政府訪朝団は28日午前、日本人拉致被害者らの再調査を担っている北朝鮮特別調査委員会の徐大河委員長ら責任者と、平壌の中心部にある特別調査委の庁舎で協議した。
冒頭、伊原氏は、拉致問題の解決が最優先課題と表明した。
情報機関である国家安全保衛部副部長の肩書を持つ徐氏が、日本との公開の協議に出席するのは初めて。日本側は再調査の現状を的確に把握するため、特別調査委トップの徐氏の出席は不可欠と位置付けていた。
協議の冒頭、徐氏は、訪朝団の平壌派遣に日本国内で賛否両論があることを念頭に「日本で食い違った主張が提起されていることは承知している」と指摘。「そういった中で平壌を訪れたことは、平壌宣言に従って朝日政府間合意を履行しようとする日本政府の意思の表れとして、正しい選択だ」と安倍政権の対応を歓迎した。
これに対し、伊原氏は「日本としては、とりわけ拉致問題が最重要課題だ。拉致問題はわが国の主権、国民の生命と安全に関わる重要な問題だ」と日本政府の立場を明確にした。協議では、ずれ込んでいる初回の再調査報告の速やかな実施を迫る考えだ。
「拉致被害者(だけ)を返せ返せ」の一点張りで、残留日本人だの日本人配偶者の事については全く言及がない(記事を読む限りでは)。朝鮮側はこの間に残留日本人の遺骨もずいぶん発掘し、遺族の墓参りも受け入れて誠意を示してきた。残留日本人と言っても、早く言えば当時の植民地朝鮮に入植した日本人であり、今で言えばパレスチナ人の土地に乗り込んで横暴の限りを尽くしているイスラエルのユダヤ人入植者と本質的にはほとんど違わない。朝鮮民衆の立場からすれば、何でそんな侵略者の骨をわざわざ掘り出して墓まで作ってやんなきゃいけないんだというのが正直な感情だ。でも朝鮮民主主義人民共和国はそれを敢えてするという、極めて太っ腹な措置をしてやったのである。植民地支配に何の賠償も謝罪もしようとしない「旧宗主国」に対して!
実際に遺骨の発掘に動員された現地人達もそうした感情が多分にあったようで、掘り出した骨をぞんざいに扱う事が最初は結構あったという。むしろ、それを監督する党の指導員達が「自分の先祖の骨のように、もっと丁寧に扱え」と叱責するほどだった。
それに対して日本はどう応えたか? 今回の「拉致被害者だけ返せ、他はどうでもいい訪朝団」は以下の事例とセットで考えねばならない案件である。
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2014102600888
太平洋戦争で戦死の朝鮮人遺骨発掘 日本が事実上拒否
2014/10/26 14:35
【ソウル聯合ニュース】日本政府が、太平洋戦争戦没者の遺骨発掘事業への朝鮮人遺族の参加を求める要請を拒否したことが26日までに確認された。
これまで太平洋戦争当時に徴兵または徴用され命を落とした朝鮮人の遺骨に関する問題への立場を示さなかった日本政府が事実上、朝鮮人犠牲者の遺骨発掘の意向がないことを初めて明らかにしたとみられる。
韓国の太平洋戦争被害者補償推進協議会、日本の「NPO法人戦没者追悼と平和の会」と「在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会」は6月、日本の民主党「未来に向けて戦後補償を考える議員連盟」を通じ遺骨発掘事業に朝鮮人遺族を参加させ、全ての遺骨のDNA検査を実施することを骨子とする要望書を厚生労働省に提出していた。
これに対し厚生労働省は8月、日本政府による発掘の過程で朝鮮半島出身者の遺骨だと確認された場合は外務省を通じ韓国政府と協議するようになっているとした上で、外国人はその国の政府が実施する遺骨発掘・帰還事業に参加しなければならないと返答した。
DNA鑑定についても「資料を通じ遺族と推定でき、その遺族がDNA鑑定を望むなら韓国政府と協議する」と答えた。
これに対し同協議会は、DNA鑑定は身元確認のためのものだが、その条件として遺族を確認できる資料を求めたことは実質的に鑑定の可能性を閉ざしたとみている。
こうした日本政府の態度について、徴兵・徴用問題解決の責任があるにもかかわらず事実上、背を向けたのではないかとの指摘が出ている。
日本政府はこれまで朝鮮人と推定される遺骨を発掘しても身元確認を行わないまま火葬後、日本軍戦死者と共に戦没者墓地に安置したためだ。
日本の市民団体は戦没者墓地に日本人のほかに朝鮮人や台湾人も安置されているという案内板の設置を要求したが聞き入れられなかったという。
ソウルで25日に開催された「2014韓日過去清算市民運動報告大会」に出席するため来韓した在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会の古川雅基さんは、植民地時代に「日本人」として強制的に動員しておきながら今では韓国政府に解決させようとしていると批判した。
古川さんによると、太平洋戦争当時、日本軍戦死者240万人のうち2万2000人余りが朝鮮人と推定されるが、いまだ発掘されていない遺骨について把握さえできていない。
古川さんはこれからでも遺族からDNAを採取し鑑定を行うべきだと主張する。「日本政府は遺品などの資料を通じて朝鮮人だと確認された場合にDNA鑑定を行うことができると言うが、身元を明らかにする遺品が出る可能性はほとんどない。韓国政府も関心を持って日本に強く要求すべきだ」と述べた。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
被害者である朝鮮側は、かつて勝手に侵略・入植して住みついた日本人の遺骨を掘り出して墓まで作ってやり、可能な限りその遺族が墓参りまで出来るようにしてやった。
加害者である日本側は、かつて勝手に拉致や強要で使い捨ての兵隊にしたり奴隷労働で虐待死させた朝鮮人の遺骨を知らんぷりし、遺骨発掘事業への遺族の参加も拒否した。「事実上、朝鮮人犠牲者の遺骨発掘の意向がない」のだそうだ。そもそも発掘すら全くやらないという訳で、当然墓参りがどうこう以前の問題。(もちろんこの問題は本来ならば南北が共同で日本に詰め寄らなければならない問題なのだが)
人道にもとるのは果たしてどちらなのか。これで日本は平壌に乗り込み「拉致被害者(だけ)を返せ返せ」と一方的にがなり立てている。それが通用すると思っているのが日本の「外交」なのだろう。日本というのはどれだけ身勝手な国なのか、日本というのは人間の言葉であるとか常識がそもそも通用しない国なのだなという事がよく分かるエピソードであった。
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