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最初からある程度分かりきった事

11月18日の国連総会第3委員会での「北朝鮮人権決議案」が採択された事で、朝鮮民主主義人民共和国は強く反発している。この反発は当然の事だが、この間の経過からいくつかの事を読み取る事が出来るだろう。

2013年3月、国連人権理事会から権限を委任された北朝鮮人権委員会(COI)が脱北者300人や専門家から聞き取り調査。
2014年2月、ジュネーブでその結果を報告。
同年3月、結果報告書の勧告内容を国連関連機構達が実行出来るよう権限を付与する北朝鮮人権決議案が通過。

このCOIの報告書と決議案では、朝鮮当局が「反人道犯罪」(crimes against humanity)を行い、これに国連総会はCOI報告書を安全保障理事会に提出して反人道犯罪行為責任者達を国際司法制度機構(international criminal justice mechanism)に提訴する事を勧告していた。つまり余計な論争を回避する為に「国際司法裁判所」(ICC)という露骨な書き方はとりあえず避けるある程度の「配慮」をしていた。
ところが国連総会に提出する草案ではこれがはっきりと「国際司法裁判所」になっていた。これを変えさせたのがEUと日本だったのである。その事はデイリーNKの韓国語版で鬼の首を取ったように誇らしげに書かれていた。

http://www.dailynk.com/korean/read.php?cataId=nk01200&num=104975
COI活動、北朝鮮人権運動の新しい地平を開く(韓国語記事)

つまり「金正恩を「人道に反する罪」で国際司法裁判所に送ったろか、コラ!」という恫喝外交を裏で糸引いてたのは他ならぬ日本だったという事だ。一般的に今回の件は「これで南北の対立がますます激化する」と言われ、それは確かにそうなのだが、それを傍から煽り立てた日本の罪がはるかに重い。火事の建物に油を撒くような真似をしているのだから。南北関係の改善や平和統一を目指す者達も今回日本がやった事を肝に銘じておく必要があるだろう。日本という国は植民地支配の清算を無視し続けてきたばかりか、今も南北の対立を積極的に煽り立てている、どれだけ汚い国なのかという事を。

また、この事はもちろん日本が朝鮮との関係改善など全く望んでいない事、さらには安倍政権が拉致問題の解決とやらも内心ではすでに見切りを付けている事も意味していると思う。この間の日朝交渉を考えれば、日本が国連の人権決議案についてある程度手心を加える事もあり得たのに、それが全くなかった。総連本部の建物も結局そのまま落札会社へ所有権が移ったし、朝鮮の外交官にビザを発給しないなどの露骨な行為に出てもいる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141121-00000012-jij-int
北朝鮮外交官にビザ発給せず=日本人遺骨めぐるシンポ中止
時事通信 11月21日(金)2時32分配信

 日本の民間団体主催のシンポジウムに参加するため、今月下旬に来日する予定だった北朝鮮外交官らにビザが発給されない見通しとなったことが20日、分かった。関係者が明らかにした。これを受け、主催団体は急きょシンポジウムの中止を決定し、北朝鮮側にも通知した。
 シンポジウムは終戦前後に現在の北朝鮮地域で亡くなった日本人の遺骨収集や遺族の墓参を支援する「朝鮮北部地域に残された日本人遺骨の収容と墓参を求める遺族の連絡会(北遺族連絡会)」が主催。27~30日の日程で東京、京都、福岡で遺骨問題などを話し合う予定だった。
 北遺族連絡会側は、北朝鮮から日朝協議にも参加する外務省当局者や遺骨調査に取り組む研究者ら計3人を招請し、日本政府にビザ発給を申請。認められれば、日朝合意を受け日本政府が7月に人的往来規制など独自制裁を一部解除して以降、北朝鮮当局者の初の来日となる見通しだった。
 ビザが発給されない理由については明らかになっていない。10月に開かれた日朝協議で拉致問題で具体的な成果が得られなかったことに拉致被害者家族会などから批判が集まる中、日本政府が拉致以外の問題に焦点が当たることを警戒したとの指摘も出ている。 

おいおい、人的往来の制裁は解除したんじゃなかったのかよ? それなのに入国拒否? 結局日本という国にとって国際的な約束なぞ関係ないって事か。恐らく本音を言えば、一か八か新しい拉致被害者の情報が出て来るかもしれない事に賭けて交渉を再開したが、やっぱ無理そうな事が分かったんでこういう行為に走ったという事だろう。まあ、仮に新しい情報が出て来たとしても日本は朝鮮と関係改善したり、ましてや国交正常化や経済協力(補償・賠償にあらず!)の金を出すつもりなど最初から全くなかっただろうが…。朝鮮を最大の「仮想敵国」として、日本軍拡化の口実に最大限利用する事しか頭にない。そんな事は最初からある程度分かりきった話だ。

以下にまとめる。

・11月18日の国連総会第3委員会での「北朝鮮人権決議案」で、「責任者(もちろん最高指導者である金正恩を暗に指している)を国際司法裁判所に送る」と変えさせた犯人はEUと日本である。日本はこういう形で南北朝鮮の対立を今も積極的に煽り立てている。

・日本は対朝鮮の人的往来制裁を解除したにも関わらず、明確な理由もなしに朝鮮外交官の入国を依然として拒否し続けている。明らかに日本は国際的な約束を勝手に破っている。

・この間の日朝交渉でも懸案になった総連本部建物について、日本側はあっさり落札会社のマルナカに所有権を移転させた。もちろん日本当局が対朝交渉を考えてその気になればこんな事はいくらでも先延ばしさせられるばかりか、色々と理由を付けてマルナカを落札辞退させる事だって出来る。前の落札者だった僧侶やモンゴルの会社に対してやったように。国際的な約束すら平気で破る国(笑)にとって自国の商取引制度に「超法規的」な圧力掛けるなど屁みたいなもんだろう。でもそうしなかった。

・国連人権決議や総連本部建物など、日本の「対北朝鮮カード」はこうしたエース級のものがいくつもあった。しかしそれを切る事はなかった。つまり日朝交渉をある程度進めた時点で、拉致被害者の新しい情報が出る見込みがゼロである事に日本側は気付き、内心では早々に打ち切りを決意したのではないか。安倍当人だってもはや横田めぐみが生きているとは思ってもいないだろう。だから国連外交でも総連本部問題でも手心を加えなかったし、外交官の入国を拒否して事実上制裁解除前に戻るような事をした。後は交渉の打ち切りと制裁再発動をいつ公式に宣言するかという時期だけの問題(おそらく今回の国連決議に反発して朝鮮側が核実験やロケット実験などの行動に出るのを待っている)。日本は「北朝鮮は日本人を拉致して不誠実な姿勢に終始」という相変わらずのアジアプレス的な憎悪扇動政策をこれからも半永久的に続けていくつもり。

・日本側は日本人配偶者や残留日本人などの去就には全く興味がなく、朝鮮側がそれらについてどれだけ詳細な情報を調べて提供しても、それに日本側が見返りを与える事は一切ない。

・日本は朝鮮民主主義人民共和国という国を「いずれソ連や東欧共産主義諸国のように崩壊してなくなる国(もし自壊しなければ、日本自ら裏で手を回してでも崩壊させる)。遅かれ早かれなくなる国相手に修交したり大金をやってどうする」と思っているという事。この認識が根本的に変わらない限り関係改善は極めて困難。


さらに言えば、南の朴槿恵の対北認識もまた全く同じで「北はなくなるべき国。そんな相手と関係改善してどうする。バンバン圧力掛けて吸収統一あるのみ」という事は今まで何度か指摘してきた通り。韓国では今回の国連決議の評価について保守派と進歩派で温度差はあるものの、基本的に「北は人権侵害国家」「北の核なんか恐れるな」と右も左もなく恫喝の大合唱をしているのは恐るべき光景である。

保守派の中央日報社説(要約)
「北の核なんか恐れずに、北朝鮮人権法制定を急げ。国連(実際には日本とEUだが)が国際司法裁判所に送れと言っている時に我々が手をこまねいている必要はない」

進歩派の京郷新聞社説(要約)
「北が核実験をちらつかせるのは愚かな事だ。北に対する批判は誰の陰謀でもない(実際には限りなく日本とEUの謀略に近いのだが)。北は自分の立場を自ら振り返れ」

今回の決議、特に朝鮮側が特に阻止しようとした問題部分である国際司法裁判所うんぬんというのが日本の差し金だったという事、つまり韓国は日本の策に掛かって北との対決に踊らされているという事を全く無視している。皮肉にもその事を偉そうに吹聴していたのが、中央日報以上に右よりの対北強硬派なデイリーNKだったというのは何という皮肉か。
もはやすでに南には真の「平和統一勢力」なるものは絶滅したのだと思う。日本の真の「護憲派」と同じで。金大中と盧武鉉の太陽政策も究極的な目的地というか本音は「北の武装解除」によるドイツ式吸収統一だったと、今では考えざるを得ない。吸収統一に反対する勢力も南北関係改善という途中まではそれと同乗出来たが、いずれは別れる時が来るものだろう。だが現実にはその時を待たずに南の統一運動は吸収統一論に収斂されてしまった。

朴槿恵は本気で統合進歩党を潰すつもりマンマンであるし、その為に裁判所へあらゆる圧力を掛けるだろう。そして韓国の裁判所にも政権与党の顔色ばかりうかがう出世主義の「ヒラメ裁判官」が日本に負けないくらい山ほどいる。個人的な見立てでは、統合進歩党に違憲判決・解散命令が下る確率は99.99%と思う。そしてこれを与党だけでなく、民主党や正義党といった他の野党まで諸手を挙げて大歓迎するのも分かりきった展開だ。日本で自民党の亜流政党ばかりが議席の大半を占めているように、韓国もそれに限りなく近くなる。北に対して融和的であったり、国家保安法撤廃を主張する政党はほぼ消滅させられるのではないか。これが朴槿恵政権の残り3年任期の間ずっと続く事になる。ではポスト朴槿恵で状況が変わるのだろうか? これも絶望的だと筆者は考える。今韓国で有力な次期大統領候補と言われているのがセヌリ党代表の金武星と国連事務総長の潘基文ではないか。どちらが大統領になっても南北関係改善などあり得ない顔ぶれである。現状このまま進めば、少なくとも次の次の総選挙&大統領選挙である2022年まで南北関係は改善される望みがないであろう。その間にどれだけの悲劇が繰り返されるか知れたものではない。南の人間達は、「北の人権問題」を突付けば突付くほど軍事的緊張が高まって傷付き、自分ら「南の人権」も改善されずに苦しくなる一方だという事に、このままでは一生気付かないのではないか。

「このままではまた朝鮮半島は冷戦時代に戻る」という声も一部聞かれるが、そうではない。新しい段階の冷戦なんて、朝鮮半島ではもうとっくに始まってる。新しい段階の体制競争、新しい段階の冷戦、すでにそうなっており、平和ボケである南の人間達が気付いてないだけだ。
体制競争に勝ったつもりでいる奴らってえのは甘い。とろけそうなほどに甘い。
「いつ朝鮮半島で冷戦がまた始まりますか」
「もう始まっておる」

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