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ハンギョレの原発に対する「日和見ぶり」は福島事故以前からだった

ハンギョレ新聞は韓国の代表的な進歩・革新系メディアというイメージが世界的に強く、そのせいもあって同紙は原発にも反対しているだろうと思っている人は日本でも多いだろう。だがそのようなイメージは全くの幻想に過ぎない。
同紙は原発輸出を肯定的にとらえ、核燃料の確保・供給を主張し、挙げ句の果ては「原発はすぐに中断出来ない」とまで2013年4月24日の社説で言い切っているのだから。これは同紙日本語版ではなぜか訳されなかったので、改めて以下に全訳を掲載しておきたい。

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/584392.html
「社説」原子力協定、再処理・濃縮の執着から抜け出さねば(原文は韓国語記事)
登録:2013.04.24 19:11
修正::2013.04.24 19:11

韓米原子力協定改正協議を2年以上進行してきた我が政府とアメリカが、来年に予定される協定満期を2年延長して協議を続けると昨日発表した。核心争点に対する両国の温度差が大きいという意味だ。この事案が3月下旬の韓米首脳会談の足枷にならないようにしようとする意図も垣間見える。

両国の立場と見解を確かめてみると協議難航はむしろ当然だ。政府は40年になる既存協定が現実と合わないので、我々が核燃料再処理とウラン濃縮をやれるようアメリカが許可せねばならないと主張する。原発23機を稼動する世界第5位の原子力生産国として、自力濃縮を通じて核燃料を安定的に確保し、再処理を通じて核廃棄物問題を解決しようとする趣旨は十分に理解が出来る。アメリカが、核非拡散政策に沿わないという理由で濃縮・再処理に反対するのに対し、韓米同盟の水準とはこの程度かという話が出るのも当然だ。我々を北朝鮮と同じ等級で見ているのかという反発も可能だ。

だがアメリカの憂慮も根拠がある。核非拡散はアメリカの世界戦略において核心的な位置を占める。韓国に濃縮と再処理を許せば、北朝鮮・イランなどの核問題はより悪化するのが明らかだ。アメリカが似たような協議を進行中であるベトナム・ヨルダン・サウジアラビアなどに及ぼす影響も小さくない。昨年我が国のミサイル射程距離が延長されたのに続き、原子力協定までもが核分裂物質生産が可能な内容に変われば、我が国が核の戦力化を目論んでいると疑いを買うかもしれない。それでなくても最近の一部政治家と保守勢力が核武装論を公公然と主張して国際社会の警戒心が高まった状態だ。

一言で言って今の政府の立場通りに協定が改正されるのはほぼ不可能だ。ならばもう少し実用的にアプローチするのが賢明だ。今回の協議では、我が国の原発輸出を円滑にする方向で協定を変えるのには相当な進展があったものと伝えられる。これに加えて、我々が直接濃縮再処理をしなくても核燃料を差し障りなく供給を受けて、使用後核燃料をより安全に管理する方法を模索する必要がある。これまで政府は濃縮再処理問題を公論化して国民の意思を問う手続きも経た事がない。

核廃棄物を完璧に処理する方法はまだない。「安くてクリーンなエネルギー」という「原子力神話」はすでに破れて久しい。すぐに原子力利用を中断する事は出来ないが、我々のエネルギー政策も原発縮小の方向へ向かわねばならない。原子力協定もまたこうした趨勢を反映しなければならない。


お読みになれば分かるが、ひどいものである。この社説の原発に対するスタンスは「原発をすぐに停めろ」ではなく「可能な限り原発を長く使い倒そう」という事に尽きるだろう。そうでなければ「核燃料を安定的に確保」「原発輸出を円滑にする方向で協定を変えるのには相当な進展」「核燃料を差し障りなく供給を受けて」「すぐに原子力利用を中断する事は出来ないが」などという発言が出るはずがない。これのどこらへんが脱原発なんだ? 記事の終わり辺りで申し訳程度に「我々のエネルギー政策も原発縮小の方向へ向かわねばならない」などと言っているが、だったら核燃料はもういらないとはっきり言えよという話だろう。「核燃料を安定的に確保」する事を勧めたり原発輸出を喜んでおいて、「原発縮小」もへったくれもない。

だが、ハンギョレのこうした原発に対する日和見・腰砕けな姿勢が、実は今に始まった事ではないという点を指摘しておく必要がある。それも2011年3月11日の福島原発事故が起こる前からこうだったのだ。幸い(?)な事にその社説についてはハンギョレサランバンで訳されていたので、お読みいただくのが早い。

http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/960948.html
[社説] 原子力発電所輸出 喜んでばかりはいられない理由

韓国語原文は以下のアドレスになる。
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/395720.html

この社説で一番問題なのは以下のくだりだろう。
原子力発電所輸出はまず韓国人の技術が国際的に安全性を認められたという意味を持つ。先端技術の結合体である原子力発電所は何よりも安全が重要だからだ。その上に原子力発電所は巨大装置産業であり産業界全般に及ぼす経済的効果も大きい。これだけでも原子力発電所輸出の意味は十分に評価するに値する

「喜んでばかりはいられない」とか言っておきながら、本音では原発輸出が決まった事を評価して喜んじゃっている訳だ。本気で原発に反対しているならばその輸出など論外と斬って捨てねばならないのに、自国の技術が国際的に認められたとまで無邪気にはしゃいでいる様は救いようがない。さらには「原発の経済的効果」である。原発はそれを作る重工業メーカーや、動かす電力会社、推進する政治家など一部の連中が儲かるだけで、それが誘致された地元民などは経済的に奴隷のような状態にされるというのは韓国や日本に留まらぬ万国共通の現象ではないか。そうした点で他の公害産業や迷惑施設と何ら違う所はない。そのような「経済的効果」を「十分に評価するに値する」というハンギョレ新聞って何?という話だ。
そもそも原発を「先端技術の結合体」などと言ってしまっている時点で、この社説を書いた記者は原子力発電所とは何かという事を根本的に分かっていないのではないか。原発ほどローテクで非効率的で危険なだけの発電法はないというのは、少なくとも反原発運動をしてきた人々の間では常識である。わざわざ危険極まりない核燃料の熱でお湯を沸かしてタービン回すだけで、それが「先端技術の結合体」とは笑わせる。どんなにひいき目に見ても「技術の無駄使い」以上のものでは決してない。
この社説から分かるのは、ハンギョレには原発に関する基礎的な知識を持ち合わせた記者すらいなかった(いない)という事だろう。それでも「韓国の代表的進歩派メディア」としてのスタンスから「何かよく分からないけど原発には一応批判的なスタンスもしておいた方が良い」という「政治的判断」だけはして、ああいう愚かな社説を連発したというのが真相ではないか。

このようにハンギョレが原発というものに対して何も分かっていないまま、脱原発っぽいスタンスだけは中途半端にしていたというのは、福島の事故が起こる前から一貫していた。これは早く言えば「進歩派」としてのええ格好しいに過ぎない。そんな事で本当に原発をなくせると思っているのだろうか。いや、福島のような世界最悪の原発事故を目の当たりにしてもハンギョレの考えは全く変わらなかったのだから、これは李明博や日本の民主党政権・自民党政権などと全く違う所がない。

真に原発をなくす為にジャーナリストがやらねばならない事は、原発がそもそもどのような物で、なぜ危険なのか、それが一部の人間達だけを潤してむしろその他大勢の人々を収奪してきた存在であるなどといった事を徹底して暴く事だろう。ハンギョレはそれを今までほとんどやってこなかった。それどころか実際に言ってる事は「原発輸出は韓国の技術が認められた事なので評価出来る。原発は縮小に向かうのが望ましいけど、すぐにはやめられないから出来るだけ長く使い倒そう」なのだから。
ハンギョレの原発に対するスタンスを一言で言い表すと「原発必要悪論」という事に尽きるのである。近年におけるハンギョレの保守化・堕落振りは極まっており、反原発派はハンギョレに対するいかなる幻想も希望も抱くべきではない。むしろ原発輸出を喜ぶハンギョレは明確に反原発の敵であろう。


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