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SEALDsと韓国マスコミ

詳しくはまた改めて書くつもりなので今回は簡潔にさわりだけ記すが、韓国マスコミではSEALDs(とその関連団体というか界隈団体)の事を虫唾が走るぐらい美化・礼賛した記事があふれている。安保法案が成立するや韓国マスコミの圧倒的大多数が「北に対する抑止力になるから安保法案は歓迎出来る部分もある」と一斉に右へならえ報道したのとそっくりと言うか、間違いなく軌を一にする現象であろう。
歴史的常識を踏まえて考えれば、日帝被害国である韓国が安保法を例え一定たりとも「歓迎・肯定」する事など絶対にあってはならず、100%全否定・反対しなければならないはずなのだが、現実にはそうなっていない。朝鮮民主主義人民共和国の反応とはあまりに違い過ぎる。

前回の記事では面倒なので引用やリンクをしなかったが、それだとやはり言わんとする所がちゃんと伝わらないと思ったので、そうした「日本安保法案は対北抑止力になるからいいとこもある」と主張している韓国マスコミの記事を以下に二つ、保守派(右翼)と進歩派(左翼)の代表格として朝鮮日報とハンギョレを翻訳抜粋して例示しておきたい。いずれも現代韓国の驚くべき歴史的健忘症と崇日事大主義根性と反北主義が克明に表れた最低な記事である。

・韓国保守派メディアの雄・朝鮮日報

http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2015/09/21/2015092100169.html?related_all
中国との対立大きくなり韓国に負担…対北抑止力には助け
2015.09.21

日本はこれ(集団的自衛権)を土台に世界平和に寄与すると主張しているが、退行的歴史認識を持っている安倍晋三政権がこれを軍国主義復活の手段にし得るという憂慮も大きくなっている
(中略)
だが別の一方では日本の集団的自衛権確保が「対北抑止力拡大」など韓国の安保に寄与する部分もあるというのが専門家の診断だ。北韓が核・ミサイル挑発の威嚇をやめない状況で、日本自衛隊の機動力強化と役割拡大は韓米日次元の対北共助をより強化するのに助けになるという話だ。韓半島有事の際に日本が駐韓米軍後方基地の役割をよりしっかり遂行出来るかもしれない。


・「自分とこは韓国マスコミ信頼度ナンバー1」という自画自賛が三度のメシより大好きな、韓国進歩派メディアの雄(笑)・ハンギョレ新聞

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/709576.html
[社説]「危険な刀」日本の安保法案、知恵ある対応を(日本語版未訳記事)
2015.09.19

日本の安倍晋三政権が18日参議院で集団的自衛権行使を骨子とする安保関連11法案を強行処理した。議事堂内で与野議員達が乱闘を繰り広げる非常に稀な光景を甘受しながらも、安倍政権は時間を定めておいて力ずくで法案を押し付けた。これによって第2次大戦敗戦以後70年間守られて来た日本の専守防衛政策は形骸化し、日本自衛隊が世界のあらゆる場所で起こる武力紛争にも介入出来る道が開かれた。

今回の法案通過は安倍総理になって以後、昨年4月に中国の浮上を対象にした日米新ガイドライン改正と、昨年7月に内閣の解釈改憲による集団的自衛権行使容認決定へと続く一連の安保政策の大転換作業にピリオドを打つ意味を持つ。集団的自衛権行使を禁じる根拠となっていた憲法9条(いわゆる「平和憲法」)を改正する問題がまだ残ってはいるが、今回の法案通過で憲法9条は憲法改正いかんに関係なく事実上死文化したと言っても過言ではない。

日本国内的には今回通過した法律が平和憲法に背くのではないかどうか、十分な熟議なき法案の強行処理方式などをめぐって論争が続くだろうが、我が国が注目すべきはこれによって韓半島安保環境がどのように変化するかであり、どのように対応するのが賢明であるかという点だろう。

基本的には、日本が専守防衛から集団防衛に安保政策を大転換する事になった背景には中国の急浮上が大きい。経済的衰退などの理由で一人で中国を牽制するのが難しくなったアメリカが日本の政策転換を積極的に応援し、日本としてもアメリカがこの地域から去る後まで見据えながら独自な軍事力拡張の機会に据えた面がある。アメリカと日本、中国の間で繰り広げられるこうした大きな枠の安保環境変化は、これらの国家と密接な関係を結んでいる我が国にも好むと好まざると大きなショックを呼び起こす以外にない。

我が国は日本の集団的自衛権行使方針に対して事ある毎に「我が国の主権領域に対する自衛隊活動は、我々の同意を得なければならない」という点を強調している。また、憲法上我が領土という理由で北韓地域に対しても外国軍が活動する場合は我々の同意を得ねばならないという要求は言うまでもなく当然だ。また、北韓と関連しても、国際法的に通用し難い要求をするよりそうした状況が発生しないように南北関係を改善する事が最も賢明な方策であるだろう。

日本の安保政策転換によって米軍支援が円滑になれば、韓米連合軍の対北抑止力が大きくなるという側面を看過する事は出来ない。また、中国の暴走を適切に制御する必要があるのも事実だ。反面、日本の軍事活動強化が中国との葛藤と対立を激化する方向に進行したら、我々としては非常に困難な立場に置かれるのは判然としている。中国を圧迫する為の韓米日三角軍事同盟構図に深く巻き込まれる場合が最悪だ。日本の集団的自衛権行使が逆戻り出来ない以上、政府はどのように対応するのが我々の安保に実利的であるかを以って知恵をしぼらねばならない。


右と左の代表的な例として朝鮮日報とハンギョレを挙げたのだが、他のメディアの主張も似たりよったりである。中央日報京郷新聞ニュース1民主新聞YTNニューシスアジア経済…保守・進歩・経済紙の立場を問わず、どれもこれも「北に対する抑止力になるから安保法案は歓迎出来る部分もある」の挙国一致報道だった。「対北抑止力」という安倍の主張をこれほどまでに「反日国家・韓国」のマスコミのほとんどが忠実に復唱して正当化してくれるなんて、日本の記者クラブ制度もビックリだぜ! これには安倍総理も朴槿恵大統領もさぞかしお喜びあそばされている事でしょう! 日韓仲良く安保協力で北朝鮮を滅ぼそうぜ!

このうちハンギョレの社説はまたしても日本語版では翻訳されていない。これまで何度も指摘してきたようにハンギョレ日本版は「自分ら(日本語版スタッフ陣)の立場にとって都合の悪い記事、面倒な長文の記事」はどんなに(良くも悪くも)重要な記事であろうと訳さず日本側に伝えようとしない傾向が非常に強く、この社説を訳さなかったのはやはり「対北抑止力」云々という部分が「韓国の冠たる革新系メディア・ハンギョレ」というブランドイメージを傷付けて都合が悪いという「政治的(商売的?)判断」ではないかと思う。そのくせ、SEALDs大絶賛の提灯記事や日本当局による総連弾圧肯定記事だけは(例え面倒な長文であっても)嬉々として訳した上に長時間サイトのトップに載せるという、まるでアジアプレスみたいな謀略報道(笑)を平気でやるのがハンギョレ日本版だ。以下にスクリーンショットを撮ってあるが、ハンギョレ日本はSEALDs提灯記事を丸2日間もトップに載せ続けた。その前や後はほぼ1日でトップ記事を差し替えていたのに比べると、ハンギョレ日本版のSEALDsびいきがどれだけ偏ってるか良く分かる。総連弾圧肯定記事の時も同じで、3.4日ぐらいトップに乗せ続けていた。


ハンギョレ日本版2015.09.28時点のトップページ


2015.09.29時点のトップページ SEALDS提灯記事をかなり長時間にわたってトップに載せ続けた

ハンギョレ日本は陰険毒辣ぶりで韓国本家をはるかに凌ぐならず者メディアにしてブラックジャーナリズムである。もちろん現在のハンギョレ韓国本家は「反北朝鮮・従北狩り」的論調が非常に強いが、総連弾圧肯定記事を長々とトップに載せていた事を見ても分かるように、日本版は「反北主義」においては本家よりもさらに強烈だ。ハンギョレ日本版を運営する日本人達の本当の氏素性は一体何なのか? どこのネオコン転向左翼なのか? 「反北主義」においては朝鮮日報とハンギョレ本家&日本分家の間に全く違いはない。

かつてハンギョレは福島原発事故後でさえ原発輸出と核燃料輸入を肯定するとんでもない社説を堂々と載せた(当然この社説は日本語版未訳。ハンギョレは断じて「反原発」ではなく、時と場合に応じて原発に反対したり賛成したりの二枚舌なだけである!)事があったが、それと並ぶこの社説の最低ぶりはやはり多くの人に読んでもらわねばならないと思い、全文翻訳した次第である。ハンギョレというメディアにもうこれ以上いささかの希望的幻想も抱いてはいけない! 朝鮮日報と同格な「その程度」の新聞として捉えるべきである。

それにしてもこれは「対北抑止力」云々という部分を除いても酷い内容ではないか。朝鮮日報の記事と比べても決して負けてはいない。「中国脅威論」に丸々乗っかってしまっている不見識さ、韓米同盟を肯定してそれに何の疑問も抱かない駄目さ加減、「今回の法案通過で憲法9条は憲法改正いかんに関係なく事実上死文化した」という度し難い対日認識の甘さ(9条はこれよりもずっと何10年も前にすでに死文化していた)、北つまり朝鮮共和国が自分らの領土だと主張するあさましさなど、これが「韓国民主主義」の成れの果てとは恐れ入る。
こういう不見識と歴史的無知の権化みたいな韓国マスコミ達であるから、日本の正しい情勢など何も知らず(知ってても)伝えず、日本安保法を一定とは言え「歓迎・肯定」してしまうような愚劣極まりない醜態をさらす。

SEALDsの提灯記事が韓国報道界であふれているという事実は日本でほとんど知られていないが、これは韓国マスコミが不見識であったり記者に日本崇拝者が多いというだけでなく、日本側でSEALDsとそれに関係の深い者達が宣伝上手で、頭の足りない韓国マスコミを利用する悪知恵を持っている部分もあると思う。韓国報道界の「日本の良心(ぽく見える)勢力」を無条件崇拝する対日事大主義的傾向が極めて強いという習性を見透かされており、それを運動の正当化に悪用しようという事だ。「かつて日本が被害を与えた韓国からこれだけ好意を以って迎えられているから、我々(SEALDsとそれに関係の深いママの会など)はまっとうな平和運動なんだ!」という、いつぞやの某劇場アニメ公開の際にも見られた「韓国のお墨付き作戦」という奴である。
その典型例と思われる記事が以下のオーマイニュースの記事であろう。

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002146949
「どんな子供も殺してはいけない」街に出た日本のママ達
[特別寄稿]安保法制に反対するママの会@埼玉
2015.09.30
佐藤真由果

まあ、訳す価値もない記事で、中身は要するに自分達の運動自慢と「民主主義って何だ! これが民主主義だ!」のオンパレードである。挙げ句の果てには文末にママの会やSEALDsとその関連団体にアドレスまで列挙してあった。この記事は「特別寄稿」というのを見ても分かるように、韓国マスコミ側が取材したのではなく、日本のママの会側から寄せられた記事だという事になっている。これまでの多くの韓国SEALDs提灯記事というのは基本的に韓国マスコミ側(日本特派員だけでなく、それと関係の深いピースボートの韓国人スタッフ在日朝鮮人記者であったりする場合もあり。いずれもかなりタチの悪い連中)の記事であったのだが、ここに来て「純然たる」日本人による「売り込み」記事が登場する事になった訳だ。もちろん「純然たる」と言うのは御幣があろう。ママの会に自力で一から十まで朝鮮語の文章が書けるとは思えず、かといってこの記事には「翻訳」とか「訳者」が誰彼という表記がなかった。おそらく元は機械翻訳の文章で、それをオーマイニュースの編集者(の表記はあり)が読める水準にまで手を入れたのが真相ではないか。いわば「日韓合作記事」というのがより正しいのであろうが、例えそうであったとしても、韓国に対してここまで「日本の反安保法案運動」を美化して熱心に売り込もうとする姿勢に筆者は嫌悪感しか感じない。このママの会の記事に限らず、一連のSEALDs関連団体提灯記事、それに現在日本の反安保法運動の多くには重大な要素が欠落しているからだ。
(続く)

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