1)
韓国で統合進歩党の解散審判請求が出され、朴槿恵政権の反共独裁回帰志向がますます露骨になりつつある。朴槿恵のやり方というのは親父の手法をずっと側で見て学んできた訳で、維新政権のデッドコピーそのものであり、それ以外の政治手法を知らない。大統領選挙で国情院はおろか軍までもが不当に介入していた事が判明して大問題になっているが、それだけ朴槿恵というのは韓国の極右・保守派・分断勢力が総結集して今の韓国の政治体制(南北分断体制、狂信的な反共・反北思想、新自由主義経済体制、財閥による富の独占など)を不動なものにしようと手段を選ばず「準備された大統領」という事だ。また、韓国のこうした政治体制というのは国際政治の側面から言うと「アメリカの傘下における日本との同盟」と密接不可分というか、それなしには維持し得ない。故に朴槿恵政権の本質は韓国の歴代政権中でもトップクラスの親日・親米政権である。何度も指摘してきたが、最近の相次ぐ韓米日合同軍事訓練や、「日本の植民地支配が立ち遅れた朝鮮を近代化してくれた。植民地支配は正しかった」と主張する植民地近代化論者を国史編纂委員長に据えるなどの事例がこれを雄弁に語っていよう。朝鮮の海に倭奴(왜놈 ウェノム)の軍艦が土足で入り込むなどとても信じられない話だ。朴槿恵がいかに表向き「やまぬ対日批判」をしようと、そんなものは全て大嘘の八百長である。
「日本の一部の指導者は謝罪する気もなく、元(従軍)慰安婦を侮辱し続けている。(安倍首相と)会談しない方がましだ」
だって? その慰安婦を「強制動員ではなく、自発的な海外就業のようなもの」と侮辱している学者を自国の国史編纂委員長に取り立てた奴が何を言っているのか。
何度でも指摘しておくが、今の「日韓対立」は全て大嘘の八百長プロレス・無気力相撲である。韓国も日本も表向き歴史問題で対立を装い、実際にはどちらも自国で侵略戦争・植民地支配正当化の動きを仲良く急ピッチかつ強権的に進めているのが実態だ。韓国と日本は「首脳会談が出来ない」ほど険悪なのではなく、「首脳会談をするまでもない」ほど気心の知れた関係なのである。間違えてはいけない。今「日韓対立」を口にする者は全員嘘つきのペテン師か、何も知らない馬鹿と見て間違いない。日本のマスコミが朴槿恵政権下で行なわれている韓米日合同訓練の親密さや、国史編纂委員長人事をはじめとする韓国の親日派復権の動きなどを何一つ報道しないのはどういう意味を持っているのか。それを真っ先に考えねばならない。
朴槿恵の顔は今も昔も変わらず、同族の北ではなく、日本とアメリカの方だけを向いている。
2)
統合進歩党の問題に話を戻すと、同党をここまで追い込んだのは保守派以上に、同じ野党や進歩派マスコミの罪が大きいと思う。他の野党である民主党や正義党は今になって今回の解散請求を「民主主義への脅威」などと言って非難しているが、だったらなぜ李石基議員の逮捕案に同意したのかという事だ。あれに反対していれば事態はここまで行かなかっただろう。日本であまり知られていない当時の状況を説明すると、あの時は進歩党以外の野党とほぼ全ての進歩派マスコミ(例外は民衆の声くらいか)が集団リンチ状態で逮捕案に賛成した。それもそのはずで、民主党も正義党も内心では進歩党が潰れてくれた方が都合が良かったからである。
民主党はセヌリ党との馴れ合い政治(日本で言うと55年体制下の自民党と社会党みたいなもん)を進めるのにうるさ型の進歩党が邪魔で仕方がない上に、とばっちりで「従北」のレッテルを貼られるのが何よりも嫌だった。民主党代表の金ハンギルの当時の発言にそれが明確に表れている。
正義党の方はと言うと、ここは元々進歩党から分裂して出来た所帯なのだが、分裂する時に所属議員のほとんどが「セルフ除名(比例当選者は自分から脱党したら議員辞職しなければならないが、党から除名された場合は議員職が維持される制度を悪用し、自分で自分を除名した)」という違法手段に訴えて出て行ったという弱点を持っていた。これで古巣の進歩党と裁判になっており、これで負けたら正義党の議員は選挙区当選の1人を除いて全員議席を失う事になる。しかも裁判は正義党の方が分が悪いともっぱらの話だ。正義党にとっては「自分らの議席がなくなるか、進歩党が潰れるか」の二者択一しかない訳で、民主党の場合以上に進歩党が潰れてくれないと困るのである。
民主党と正義党が、進歩党への攻撃や李石基逮捕に同意してきたのはまさに「陣営論理・党利党略」そのものであり、「大韓民国の憲法価値や民主主義」とは何の関係もない。連中が今になって慌てているのは所詮ポーズであり、本気で進歩党の解散に反対はしていないだろう。朴槿恵の「日本批判」とおんなじで。むしろ今回の件を、「カタブツで融通が利かなくてウザくて目障りな進歩党」を排除する為の「奇貨」とすら考えているはずだ。
ハンギョレ・オーマイニュース・京郷新聞・プレシアンのいわゆる進歩派4大メディア「ハン・京・オ・プ」の偏向報道もこれら野党に劣らずひどい。2012年4月の総選挙後からこれらは「朝・中・東」の保守派3大メディアと一緒になって進歩党を「アカ・北の手先」だとバッシングの大合唱を繰り返し、解散請求が出された今になって慌てて「民主主義の危機」などと騒いでいる。これは盧武鉉が自殺した時と全く同じで、あの時も不正献金疑惑で保守派のマスコミから盧武鉉は連日叩かれた。が、この時はハンギョレはじめとする進歩派マスコミも盧武鉉の事を連日悪魔のように攻撃し続けたのである。オーマイニュースに至っては所属する市民記者が盧武鉉を擁護する記事を投稿しても、編集部権限で難癖を付けて没にしたり、その記者がある程度キャリアがあったり知名度の高い人の場合はやむを得ず載せたものの、それを目立たない所に配置して読者の目に触れ難くするなどの姑息な手段を繰り返したほどだった。盧武鉉もまたかつては民主化運動の人権派弁護士であり、ハンギョレには少なからぬ出資やカンパをしてきたのだが、それが後年になって自分を自殺に追い込むようなバッシングキャンペーンをしようとは夢にも思わなかったろう。韓国進歩派言論達の度を超したバッシングが大きな原因になって盧武鉉が自殺してしまうと、連中はどうしたか? 今度は手の平返すように盧武鉉の事を「不世出の英雄」のように追慕する記事を載せ始めたのだ。今更そんな事したって遅いんだよ! 生きてる時に「批判的支持・応援」をせずにどうするのか? 盧武鉉の側近で、後の大統領選で朴槿恵と争った文在寅も「朝・中・東から攻撃されても(いつもの事だから)対して痛痒はなかったが、ハンギョレなどの進歩派メディアから不当に攻撃されたのは本当にこたえた」というような話を後に語っている。
進歩党が解散させられそうな状況にまで事態が進んでから「ハン・京・オ・プ」が慌てふためいているのは、盧武鉉の時の過ちから何も学んでいない事を意味する。韓国進歩言論のこうした病理は本当に深刻で、こうした体質を改善・克服出来なければ未来はない。
日本のリベラル・左派の腐敗・堕落振りは非常に深刻だが、韓国のそれもまた負けていない所が問題だろう。
3)
山本太郎の天皇直訴問題で色々と世間は騒がしいようだ。中には「天皇の人権を考えろ」などとトンチンカンな事を言い出す者もいる始末。
「天皇の人権」だって? そんなん初めて聞いたわ!
天皇に人権などあるのか。これについては、今よりももう少しまともだった頃の佐高信が良い事を言っていた。いつだったか、皇太子妃雅子に対してバッシング報道があった頃に、確か週刊金曜日のコラムで以下のような事を言っていたと思う。
「彼ら(天皇や皇太子夫妻など)が持っているのは『人権』ではなく『特権』なのだ」
まさにその通りだろう。天皇や皇太子らこそ日本最高の特権の所持者ではないか。これは馬鹿なネット右翼や在特会が言っている「在日特権」などという嘘ではなく、本当の意味での特権そのものだ。それを天皇は依然として持ち続けている。
「下々の皆さん(by 麻生太郎)」のちっぽけな「人権」などよりも、天皇ははるかに強大な特権を持っているのだから。人権と特権は相反するものであり、両立は出来ない。特権者が人権など元より必要としないのは当たり前の事である。もし本当に「天皇の人権を考えろ」というならば、まずは天皇の特権を剥奪して「下々の皆さん」になってもらった上でしか成立しない。天皇が大きな特権を保持し続ける事も天皇制の重要な要素の一つなのだから。
「天皇の人権」をどうこう言う連中は、天皇支持者の中ですら、天皇制の本質を理解してないかなりレベルの低い連中という事である。「天皇の人権うんぬん」を言う者というのは誰一人として「天皇が特権者」である事に気付いてない「アホ」なのだ。さらに言えば、こうした天皇制の本質を理解せずに「陛下の御心」「天皇陛下はありがたい」と盲従する「アホ」が多数いるおかげで、天皇制は千代に八千代に安泰だという逆理もまた天皇制の大きな特徴である。
コメントを受けつけておりません。
プロフィール
最新記事
カテゴリー
ブログ内検索
カレンダー
フリーエリア