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少なくとも安倍・日本側に「負け」はない

悪い予感しかしない、というのはまさに今回の日朝協議(ストックホルム協議)だろう。拉致被害者の再調査で「電撃的合意」を見たそうだ。個人的な予測を言わせてもらうなら、今回の協議とそれによる再調査で朝鮮側が得るものは何もないだろう。経済協力などビタ一文入らないのではないか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140530-00000008-mai-int
<特定失踪者>「北朝鮮国内で生活」昨年、日本に伝達
毎日新聞 5月30日(金)7時15分配信
北朝鮮側が日本政府に昨年末、拉致された疑いのあるいわゆる「特定失踪者」が「北朝鮮国内で生活している」との情報を、複数のルートを通じて伝えていたことが明らかになった。複数の政府関係者が明らかにした。

 北朝鮮側は特定失踪者を帰国させることを検討しているとみられる。だが、北朝鮮側は「帰国させたところで、拉致問題に対する日本の厳しい世論は納得しないのではないか」との懸念も日本側に伝えており、日本の世論を慎重に見極める姿勢だという。

 政府は北朝鮮による再調査を通じ、特定失踪者の消息に加え、政府が認定した12人の拉致被害者の生存を確認したい考えだ。北朝鮮は「死亡8人、未入国4人」と主張している。


上記記事にもある通り、朝鮮側が恐れているのは2002年の小泉訪朝の再現である。拉致を正直に認めた結果、当初のシナリオに反して日本側の世論は猛反発して日朝関係は最悪の状態に陥り、もちろん平壌宣言の経済協力も全部パーになって今に至ったのだから。今後再調査をして仮に新しい拉致被害者の生死に関わる情報が出て来たとしよう。そうなれば、再び日本の世論を悪化させる結果になるのは目に見えている。日本政府もそうした世論を抑制させるような事は全くしないだろう。結果、またしても2002年の再現になって朝鮮側は何も得られずに終わる。日本側はそうした及び腰の朝鮮側の尻を叩く為に、今後は経済協力話や「調査結果を発表しても世論問題は大丈夫」という空手形を切る方向で説得にかかるのではないか。そうしたエサだけ見せて調査だけさせ、「特定失踪者」の帰国か少なくとも新情報だけでも得られればそれで安倍政権の「成果」になるのだから。そしてやっぱり日本の世論が猛反発してるから経済協力(と制裁解除)なんか出来ない、という「ただ食い作戦」が安倍のシナリオなのではないかと思う。再調査で新しい発見がなかったとしても、日本側はこれまで同様「北朝鮮側の不誠実な対応 by 石丸次郎」の一言でいくらでも国内世論向けの責任逃れが可能だから、結果がどう転んでも安倍がこの件で傷を受ける恐れは全くない。

再調査の結果がどうであれ、
日本側は朝鮮側に与えるものは何もなく(と言うか、最初から何もやるつもりはないだろう)、失うものもない。
朝鮮側は日本側から得るものは何もなく、失うものばかり。
という事になる。

したがって一部で言われている「今回の協議で韓米日の連携にヒビが入る」という懸念は全くの杞憂に終わるだろう。朴槿恵は沈没した旅客船と違い、大船に乗ったつもりで安心して良い(笑)。
当然、今回の件はまたしても在日朝鮮人への差別・抑圧を強める結果を招くだろう。「北朝鮮がこれまで否認していた新たな拉致被害者」「特定失踪者」が北朝鮮で生きていた(死んでいた)、という事になれば、また日本の右翼や橋下のような極右地方自治体首長が騒いで、それを口実に朝鮮学校への補助金差し止めや無償化除外、現代版皇民化教育押し付けなどの圧力・攻撃をさらに徹底して推進する方向へと走る。日本政府もそれを止めるどころか、煽り立てるような真似をするのは間違いない。これまでのように。
「あんな国に制裁解除や経済支援をするのか」という世論が沸きあがるのは目に見えているだろう。それに逆らってまで安倍が事を進めるとは思えない。それこそ磐石に見えた安倍政権の支持率を自ら粉砕する自殺行為だろう。

仮に天文学的少数の確率で日朝間の交渉が今後とも「順調」に進展したとしても、その場合は「日朝平壌宣言に則った国交正常化」が待っているのだ。南で朴正熙がやったのと同じ方式で、植民地支配責任を棚上げし、賠償や補償ではない、はした金の経済協力やら借款での手打ちという幕引きである。それはまさしく「第2の李完用 by 金鍾泌」そのものだ。
今回のストックホルム合意、どう展開してもロクな結果にならない事だけは間違いなく保証付きである。
その前に総連本部ビルの問題や制裁解除の時期などですでに朝日双方の見解に相当な食い違いが見られており

・朝鮮側発表 「特別調査委員会を作って調査を開始した時点で制裁解除。調査委員会は特別な権限を持つ」

・日本側発表 「省庁間の調整と必要な手続きを経ねばならず、朝鮮側の調査開始の動きを確認してから制裁解除がなされる。万景峰号は入港許可対象に含まれない。総連本部建物についても司法手続きが進行中なので政府は介入出来ず、合意条件に含まれない。調査委員会は全ての機関を調査出来る権限を持たねばならない

またしてもその前に空中分解する可能性も低くないが…。

金正恩はソンチン(선친 先親 朝鮮語で「亡父」の意)と同じ外交的失敗を2代に亘って繰り返すだろう。朝鮮民主主義人民共和国の対日外交の駄目っぷりは矯正しようがないのかもしれない。対日外交に限って言えば、むしろ朝鮮こそ「戦略的忍耐」をした方がまだマシなのではないか。少なくとも傷口を広げる事だけはないのだから。

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水産資源の乱獲は韓国も深刻

日本ではここ何年かウナギの記録的不漁と価格高騰が話題になっている。この間にメジャー所のマスコミでは相変わらず「ウナギを安く食卓に届ける為の商社の奮闘」「価格高騰は中国のせいだ」「ヨーロッパのウナギが禁輸になっても、まだアフリカやオーストラリアがある」といった倫理観のかけらもない報道が繰り返されてきた。一部の心ある研究者や専門家からは乱獲の問題が指摘されているものの、依然としてそれが大きく取り上げられたり、水産行政に採用されるに至ってはいないようだ。ウナギの他にもハタハタやイワシ・マグロ・サバ・鯨などもそうだし、今年は特にカツオの不漁が深刻で、これらは明らかに乱獲が原因だと当の漁師達の声も聞かれ始めている。
さらに近海のみならず、日本が遠く外国の海まで行ってそこの魚を一網打尽に乱獲したり、商社がそうした地元の魚介類を金にあかせて買い漁る行為はかなり昔から問題になってきた。
これらは先進国による第3世界への経済侵略の典型的パターンだが、実は韓国でも全く同じ事が進行している。近海の水産資源を乱獲し過ぎて獲れなくなり、外国の漁場を荒らしたり金にあかせて魚介類を買い漁るなど、まだ程度の差はあるが韓国も日本と全く同じ問題を経済成長と共に引き起こしてきた。そしてそのツケを今になって払わされているというオチもそっくりそのままである。以前、韓国の漁獲高に関する公式統計を検索して見た事があるのだが、年を経る毎に右肩下がりで、日本と同じパターンだった。おまけに韓国では李明博政権の時にやった4大河川工事という未曾有の有害無益な自然破壊事業が行われ、これの影響で朝鮮半島南半部の海が今後ますます「痩せて」魚介類が取れなくなる事は間違いない。
筆者が韓国のこの問題について最近考えさせられたのは、向こうの漁業関係者がその解決策として最近とんでもない事を言い出し始めている事がきっかけだ。すなわち、北の水産資源に目を付け始めたという事である。つまり「南で魚が獲れなくなったのは、中国の船が北の漁場で魚を獲ってるからだ」という見当はずれな批判を言い始めたのだ。「このままでは北の水産資源を全部中国に取られる」なんて事まで言い出してる訳で、これまた「中国脅威論」を持ち出して自分らの自然破壊や乱獲をなかった事にしようとしてる日本の姿勢とそっくりである。さらに凄いのは以下のセリフだろう。
「自分達(南)の船が北に入りさえすれば、(中国の船に対して)十分に競争力がある」
これは韓国の元農林水産食品部事務次官で今は韓半島水産フォーラム会長である朴徳培という人物の言葉だが、これはどう見ても北の海で中国の船と乱獲競争して勝ってやるという風にしか読めない…。水産資源を守ってやっていこうという考えはかけらもなし! ただひたすら乱獲して「競争」する事しか頭にない、こういう人間が韓国の農林水産食品部事務次官だったのだ。実に日本と良い勝負ではないか。ここでまたしても我々は次の嫌過ぎるお題目を思い浮かべてしまうのである。
「日韓仲良くしようぜ! 仲良くそっくり水産資源乱獲しようぜ!」

最近の韓国でやたらと「統一したら北の資源は全部韓国のものだ」という金の事しか頭にない強欲の極致である「統一大チャンス論」が扇動されている事を筆者もこれまで何度か指摘してきたが、南の漁業関係者が言ってるこうした主張も全く同じであろう。南の資源を自分らで勝手に乱獲して獲り尽しておいて、それで困ったら北のをよこせというのだから、どこまで身勝手で強欲なのか。それもこういう時だけ「同じ民族同士」「経済交流」「5.24措置解除」などと言い出すのは厚顔無恥の極みとしか言いようがない。ましてや南の連中は日頃から「北の連中は貧乏で飢えている」と馬鹿にしてきたくせに、その「飢えている北」に対して「魚をよこせ」と言うのだから。これは端的に言って、飢えている貧乏人の食い物を強奪しようとしているだけではないか。これでは「民族同士」もへったくれもない。

韓国の漁業と乱獲問題についてはいずれ改めてもっと詳しいデータに基づいたお話をしたいと思う。調べれば調べるほど何て日本とそっくりなんだろうと思い、本当に不愉快極まりない話だ。
韓国の漁業が本来進むべき道ははっきりしているはずだ。よその資源を貪欲に奪う事ではなく、今ある自分の漁場や資源を大事に保護する事ではないのか。南の海を乱獲や環境破壊で滅茶苦茶にしておいて、それで本当に将来統一をするつもりなのか? 今の韓国がやろうとしているのは、自分で南の環境や資源をすっかり荒廃させておいて、その解決策として北を無理矢理に吸収統一して、そのおいしい部分だけ「韓国の経済発展の為に」という美名の下にしゃぶり尽くそうというだけの話だ。これでは飢えたイナゴやネズミの群れと何の違いもない。本当に「飢えて」いるのは北なのか、それとも南なのか? 南は一体何に飢えているのか? 今の朴槿恵政権下韓国の統一方針、すなわち「統一大チャンス論」は次のように言い換えねばならないのだ。

「蝗害統一論」
と。

「憲法9条にノーベル賞を」運動について再び その2

で、この運動に対する韓国での反応についてもう少し詳しく補足を。前回では進歩派4大メディアの一つである京郷新聞の論説委員がこれに賛意を表するという絶望的な醜態を御紹介したが、対する保守派も負けてはいない。「韓国の産経新聞」こと朝鮮日報も「憲法9条にノーベル賞を」を褒めていた。以下に該当記事結尾部分を翻訳抜粋する。強調部分は訳者による。

http://kg50.net/apsun/board.php?board=freeboard&command=body&no=7012&PHPSESSID=ddc70e7d46ca70b2a010d18269143578
朝鮮日報 万物像 「日本国憲法9条」(韓国語記事)

日本国民の意見も解釈改憲に否定的だ。少し前に朝日新聞世論調査で「集団的自衛権行使反対」が63%、「憲法9条維持」が64%だった。数日前にノーベル賞委員会が日本国憲法9条を平和賞候補に上げた。日本のある主婦が「憲法9条に平和賞をくれ」として委員会に手紙を送って後、推進委員会まで出来て請願した結果である。戦争しない国を子孫に受け継がせてやるのが請願運動の目的という。100年前(日清・日露戦争時)と違って現代の日本には、安倍政権の暴走を防ごうとする人が少なくなく、せめてもの幸いだ。

日本にはこんなに平和を愛する「良識派(この中にはもちろんバリバリ改憲派の長島忠美&金子恭之も入る)」がたくさんいるんです! これらが安倍政権の暴走を止めようとしているんです! 100年前と違って韓国にとっては実にラッキーではありませんか!
と、日頃から植民地時代や軍事独裁時代を礼賛し、韓日安保協力の強化を訴えている朝鮮日報は言いたい訳だ。そりゃあそうだろう。今の日本が「過去を反省せず、再軍事化に狂奔し、再び朝鮮半島を勢力圏にしようと狙っている恐ろしい国。国民の間にも民族差別感情や日本人優越主義が蔓延して、それを下支えしている。日本において在特会は決して特別な存在ではない」というありのままの本当の事を正しく書いてしまったら、世論に猛反発されて肝心の韓日安保協力が出来なくなってしまうじゃないか! したがって、一見矛盾するように見えるが、韓国の右派・保守派マスコミというのは日本の左派・リベラルや、最近では「在特会カウンター運動」を過度に「良識派」扱いして持ち上げようとする傾向が強い。そうする事で「日本の市民社会にはこんなに良心勢力がたくさんいるんだぞう。だから日本がまた軍拡化する事はないんだぞう。だから韓国と日本は安保・軍事協力しても何の問題もないし、安心していいんだぞう」という印象を与えて、韓国の民衆の警戒心を緩めさせたい訳である。朝鮮日報が「憲法9条にノーベル賞を」を褒めるのは、連中にしてみれば全く理に適った言い草だ。前に取り上げた温報(オンバオ)が桜井信栄に気持ち悪いラブコールを送ったのももちろんそうだし、朝鮮日報と並ぶ保守メディアの雄・東亜日報も野間易通や木野トシキを「日本の良心勢力」扱いしてヨイショした事があり、これらは全て韓国民衆の日本に対する警戒心を緩めさせる為にやっている。
対する京郷新聞やハンギョレのような進歩派マスコミが日本の左派・リベラルを持ち上げるのは、軍事独裁時代に民主化運動で日本側と連携していた頃からの腐れ縁が続いているのに加え、その後日本社会が左派勢力も含めて大きく右傾化していき、韓国の進歩派も民主化後に大きく堕落して日本に対する批判精神を失った為だ。韓日共に左派勢力が駄目になったという事である。その結果、保守の朝鮮日報から進歩の京郷新聞まで韓国の言論はどこもかしこも「憲法9条にノーベル賞を」運動を左右全マスコミぐるみで賛成するという珍現象に陥ってしまった。韓国では保守派も進歩派も、日本の左派・リベラルを批判しないか出来ない。本来なら進歩派メディアこそ、そのような日本の運動の欺瞞性と偽善性を暴いて批判しなければならないのだが、そうならずに機能不全に陥っている。
韓国の進歩派も保守派も、仲良く日本の憲法9条にノーベル賞がもらえるようにしようぜ!

【日韓修身ナルシズム同盟ノ句】
日韓 ヨイ 国、 強イ 国。
アジアデ 唯二ツ 自由ト 民主主義ニ カガヤク エライ 国!

日韓知識人共同声明が典型例だが「アジアで日本と韓国だけが自由と民主主義の価値観に基づく国家を築き上げた。これからのアジアを牽引していくのは、自由と民主主義の日韓だ」という鳥肌もののキモいセリフを平然と言う知識人が日本にも韓国にもいる。日韓いずれのマスコミ・知識人達も左右問わず、恐ろしいほどのナルシズムにイカれている惨状だ。そりゃあ、こういう狂的ナルシストほどノーベル賞みたいな「権威」が大好きだわなあ(笑)。
(続く)

「憲法9条にノーベル賞を」運動について再び その1

前回の記事で筆者は「憲法9条にノーベル賞を」運動に賛同した国会議員60人の中に、自民党でも特に右寄り(日本会議・神道政治連盟所属)な長島忠美と金子恭之が本当に入っているのか疑問を呈した。どうやらこれは事実だったようである。以下のように貴重な御指摘を拝見出来た。

https://twitter.com/kibikibi20/status/470623303279734785
@kibikibi20⇒前掲「立憲フォーラム」HPによると、長島忠美と金子恭之の2人が賛同したのは事実である⇒
衆参国会議員有志により、「ノーベル平和賞の授与を求める文書」を提出しました
(立憲フォーラムHP、2014年5月17日)
10:51 - 2014年5月25日

https://twitter.com/kibikibi20/status/470623823847374848
@kibikibi20 「賛同者 (ABC順):
[・・・]
/菅 直人/金子 恭之/
[・・・]
/長島 忠美/中川 正春/志位 和夫/」
10:53 - 2014年5月25日

もうこの時点で明らかだろう。この運動がどれだけアホ臭い馬鹿馬鹿しいものかが。金子恭之なんてバリバリの改憲派ではないか。以下の赤旗記事によれば憲法調査推進議員連盟にもその名がある。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-19/02_02.html
保守「2大政党」づくりの 断面
議連に同舟 改憲レース

上記記事から10年後、その金子議員は共産党の志位委員長と一緒に「憲法9条にノーベル賞を」与える運動をするようになりましたとさ。おいおい、赤旗はあんたらの親分と自民党の憲法調査議連所属議員が一緒になってこんな事をしてるのを何とも思わないのか? 思わないんだろうな…。

「9条に平和賞をやる事で安倍政権の暴走に歯止めが掛けられる」などというのは愚かな希望的観測というか馬鹿な妄想に過ぎず、それどころか安倍や金子や長島のような自民党改憲派・タカ派・日本会議派にとっては望ましい事なのだ。「ノーベル平和賞まで日本国民は受賞した」という権威付けのアリバイは軍拡化と戦争を抑止するのではなく、日本人の国威発揚と日本優越主義の強化に直結し、それがさらなる軍拡化を推し進める力になるだろう。ノーベル平和賞を受賞した「日本国民」が
日本ヨイ 国、キヨイ 国。
世界ニ 一ツノ  神ノ 国。
日本 ヨイ 国、 強イ 国。
ノーベル賞ニ カガヤク エライ 国。
というますます酷い修身ナルシズムに陥る事だけは間違いなく、これはまさに大日本帝国そのもの。金子や長島のような極右国粋議員がこの運動を気に入って飛び付いたのはまさにその点だ。ナルシーな日本優越主義者にとって「ノーベル賞」のごとき「世界的権威」はよだれが出るほど大好きだろう。「9条を守る」どころか、安倍を全力で手助けすらしているのが「憲法9条にノーベル賞を」運動なのである。

「護憲」のウィングを右に伸ばし、「従来の護憲派」だけではない、より幅の広い「国民」層を取り込む。また、アジア太平洋戦争については、「加害」の点を強調する(それは「反日」になるから)のはやめて、「被害」の側面を強調し、改憲することによって再び戦争被害を被りかねないことに注意を促す。

佐藤優現象はまさにここに極まれり! 佐藤優現象を今最も体現した醜悪な姿の極致が、この「憲法9条にノーベル賞を」運動に他ならない。
「自共対決」だって? どう見ても「自共仲良く」にしか見えないんだが。
自民党も共産党も仲良くしようぜ! ノーベル賞の為に! 
日本ハ ノーベル賞ニ カガヤク エライ 国!
(続く)

韓非子に曰く

・「9条にノーベル賞を」に対する韓国側の駄目過ぎる絶望的な反応

日本の「憲法9条にノーベル賞を」という呆れた運動について韓国側の反応を色々と調べていたのだが、予想はしていたけれど惨憺たる例ばかりが目に付いた。保守派・進歩派問わずこれにまともに反対している人間を見た事がない。むしろ日本軍拡化のブレーキになって良い事だという意見が言われているくらいだ。その典型例が京郷新聞の論説委員である李鍾鐸が書いた以下のコラムである。この文の結論部分を訳して抜粋しておく。

http://world.khan.kr/816
日本国憲法9条(韓国語記事)

だがこの憲法9条が日本に大きな栄誉をもたらしてくれるかもしれないというニュースだ。日本のある主婦が憲法9条を守ろうというキャンペーン次元でノーベル委員会にノーベル平和賞候補に推薦したが、これが受け入れられたという話である。(中略)結果は未知数だが、今回の事で日本の軍国主義の動きにブレーキが掛けられるなら、それだけで意味があると思う。

ああ、この人は何も日本の実情が分かっていないんだなあと。それでこんなに呑気な事が平然と言えるのだなあと。古代中国で韓非子が指摘していたのはまさにこういう事例だったんだなあと。本当に京郷新聞は終わってんなあと。そんな事を思った。

「9条にノーベル賞」が与えられたら「日本の軍国主義の動きにブレーキ」が掛かるだって? そんな訳ねーだろ。ブレーキどころか、むしろ日本の軍国主義化をさらに助長させる結果になるだろう。オバマがノーベル賞を受賞して、アメリカは核放棄をしたのか? アメリカはその後も変わらず臨界前核実験を繰り返したし、リビアを侵略し、アメリカアフリカ軍(AFRICOM)をアフリカ各国に派兵して侵略行為を繰り返している。シリアにも軍事介入しようとした。仮に憲法9条にノーベル賞が与えられても、日本はアメリカと全く同じ事をしようとするだろう。これを奇貨として「9条を持った平和国家・日本が戦争なんかする訳ない。自分達の軍隊は平和の為なんだ。平和の為に自衛隊を派兵してるんだ」という正当化の口実をさらに前面に押し立てて軍拡化にはげむに決まっている。いわゆる「美しい誤解作戦 by 伊勢崎賢治」というやつだ。思い出すが良い。旧大日本帝国が侵略戦争を始めた時に何と言ったか? 「大東亜共栄圏は東洋平和を保全する為だ by 豊川善曄」と。朝鮮半島の人間は「9条にノーベル賞」を「現代版大東亜共栄圏」と読み替えるべきなのである。
今の安倍政権が進めているのは解釈改憲、つまり憲法の文言はかえないまま「解釈」を変える事で軍拡化するという事なのだから、それにノーベル賞なんかやるのは解釈改憲に「お墨付き」を与えるに等しいという点に朝鮮半島の民衆は気付かねばならない。

日本で「9条にノーベル賞を」運動をしている連中というのは2種類に大別出来ると思う。第1は、本人自身は平和主義者としてこれがウルトラC級の秘策のつもりでいるが、それがどういう結果を生むかという深い予想や推察すら出来ない頭の悪い人達。つまり「無知の善意」を押し付けようとしている愚人で、この運動を始めた主婦などそれにぴったり当てはまるのではないか。第2は、それに便乗して悪用しようとしている悪意の確信犯だ。こちらの層は少なくとも前者のように馬鹿ではなく、自分らの私欲や政治的目的の為に計算ずくで動いている。この運動に賛同している学者や国会議員のような著名人層が該当するだろう。そもそもこれに賛同している「超党派の国会議員有志」に自民党の議員まで含まれている時点で疑いを持たねばならないはずだ。あんたらんとこの総理・総裁が進めてる政策と(表向き)矛盾してねえのか? だったらまずは離党してからそういう運動しろよ、という話だろう。そして、前者(愚人)の層の中のある人々は、ふとしたきっかけでいくらでも後者(確信犯)に鞍替えし得る。

いずれにせよ、韓国の人々はあまりに呑気過ぎる。こんなしょーもない運動に「日本の軍国主義の動きにブレーキ」を期待する事ほど愚かな事はない。韓非子の言う通り、これはまさにウサギが切り株に頭をぶつけてくれるのを待ち続けて笑いものになった農夫の姿そのものだ。憲法9条にノーベル賞が与えられる事で日本の軍拡化にストップが掛かるのを待ち続ける韓国の民衆は、後世間違いなく笑いものになるだろう。

그루터기를 지켜 토끼를 기다린다.
守株待兔
株を守りて兎を待つ

と。

憲法9条にノーベル賞が与えられたとて日本は軍拡化をやめはしないし、むしろそれを正当化の口実に悪用するだろう。日本とその国民達が酔い痴れている偽善と欺瞞を徹底的に引っぺがして対峙する事でしか、アジアの民衆が日本帝国主義と軍拡化を止める術はないのである。

 
【追記】
上記の「9条に平和賞」の意見書をノルウェー大使館に出した超党派議員団60人のメンツが分かる方は、どなたかいらっしゃいませんか? というのも、聯合ニュースの韓国語版に変な事が書いてあったからです。

http://www.yonhapnews.co.kr/international/2014/05/22/0602000000AKR20140522206900073.HTML
「自民党からは長島忠美衆院議員と金子恭之衆院議員ら2名が参加したと共同通信は伝えた」

え? 長島忠美と金子恭之だって? この二人は神道政治連盟だの日本会議だのとズブズブの関係な極右そのものの議員なんですけど…。ましてや金子はバリバリの改憲派で売ってる議員であり、「偽装戦術」だったとしてもこんな所に顔を出すとは考え難い。聯合ニュースの誤報の可能性が高いとは思いますが、他に確認出来るニュースソースもないので確信も出来ません。事実だったら事実だったで、この運動の欺瞞性を証明してくれる好例ではありますけど。まあ、韓国ではこんな変な話も出回って情報が錯綜しており、それだけ日本の事情が分かっていないという事を教えてくれる逆理でもありますが。

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