全部空爆で石器時代(by アーミテージ)にしてやる、というのがアメリカの本音だろう。むしろアサド政権を潰す方がより本筋の目的ではないかと思える。前にロシアや中国の反対で頓挫した空爆を、イスラム国(ISIS)という「テロリスト」の掃討という理由でまた性懲りもなくやろうとするのが恐ろしい。
今やイスラム国はシリア反政府勢力の中でも自由シリア軍(FSA)を押し退けて最大勢力になり、内ゲバで分裂したアルカイダシリア支部(JAN)とも抗争関係にある。気になるアサド政権とイスラム国の関係だが、シリア政府軍は反政府勢力の中でもイスラム国以外の勢力を主な標的にしぼっており、両者の関係は「比較的」マシ(反政府勢力達を離間させる狙いが大きいだろうが)なようだ。言うまでもなく自由シリア軍などは完全に米CIAに箸の上げ下げまで指揮されている組織なので、アメリカにしてみれば自分とこの手駒がアサド政権とイスラム国双方から挟み撃ちにされているという事である。アサド政権を主標的として前回空爆を試みた時よりもアメリカ側の戦況が大きく不利になっている訳で、今回の空爆強行はアメリカにしてみればより切迫していたからとも言えよう。だからこそ「イスラム国もアサド政権もまとめて殺(と)ったれや!」という暴挙に走った訳だ。にも関わらずアメリカが前回空爆を試みた時と違い、今回はそれほど空爆反対の声が上がらないのが気がかりである。これはイスラム国の「公開処刑」やそうした残虐行為を特にピックアップした西側の報道も「空爆容認」の空気を生んだ大きな原因であろう。
日本でもアジアプレスなどは早速イスラム国の残虐行為を特筆大書する報道を始めた。またしても「アサド政権が化学兵器を使った」の怪しげな報道を喚き立てた玉本英子のリポートである。アジアプレスというのは基本的に米軍の軍事介入側面支援報道をモットーとする会社なので、正直「またかよこいつら」と本当にウンザリだ。アメリカの空爆に利する事こそアジアプレスの本当の狙いである。
リビアとシリアのこれまで最大の違いはNATOの空爆があったかどうかという点だった。リビアのカダフィ政権が敗れたのも結局それが決定打で、空爆の直前までカダフィ政権はベンガジに拠点を持つ反乱軍を壊滅させる直前だったのだから。シリアの場合はこれまで何とかアメリカの空爆が抑えられてきたが、今回のような事になるとかなり危うい。アメリカはイスラム国とアサド政権おかまいなしに空爆による大虐殺を敢行するだろう。イスラエルもこれに同調してゴラン高原を攻撃し始めている。今こそ反戦運動が激しく行われねばならない時なのだが…。
古代中国は秦王国の大臣で商鞅(本名は公孫鞅)という人物がいた。当時まだ辺境の田舎だった秦に厳格な法制度を作り、それで富国強兵を成し遂げた大臣だ。だが商鞅はあまりにも苛烈な厳罰主義で挑んだ為に旧勢力である貴族達から恨みを買い、国王が代替わりしたのをきっかけに謀反の濡れ衣を着せられて、あわてて夜逃げせざるを得なくなった。その逃亡中に宿に泊まろうとしたのだが「商鞅様の定めた法により、旅券のない方は泊められません」と言われて追い出されてしまう。結局商鞅は己の作った法によって手痛いしっぺ返しを食らう事になったのだ。それも自分が一番ピンチの時に。己の作ったルールや法によって命をなくすというこの故事から、「作法自斃」という言葉が後に生まれた。朝鮮半島や中国ではよく用いられる成句だが、日本ではあまり使われないかもしれない。日本ではむしろ「自縄自縛・自家撞着・自業自得」などの方が多く使われるようだ。いずれも同じ意味である。
作法自斃 작법자폐・自縄自縛 자승자박・自家撞着 자가동착・自業自得 자업자득
今の日本でこれら四字熟語に一番ぴったりな状態に陥っているのは安倍晋三ではあるまいか。例の拉致被害者再調査の件だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140922-00000027-mai-int
<安倍首相>拉致調査 北朝鮮に早期の報告求める考え
当初は9月上旬とされていた調査報告は先送りになったようだ。これは要するに日本側の期待したような内容が(朝鮮からの事前説明に)なかったという事であろう。日本側の期待する内容、すなわち2002年の小泉訪朝時に死亡と発表された拉致被害者や入国記録なしの日本人関係情報や、その後根拠ゼロで日本右翼の妄想の赴くまま大量にでっち上げた「特定失踪者」について目新しいネタが何もなかったか、大した話が出て来なかったという事だ。制裁一部解除までしておいて、これではさすがに発表する事は出来ないだろう。これは筆者の予想だが、朝鮮側からの「事前説明」にはおそらく敗戦後残留日本人の遺骨や死亡記録、日本人配偶者のネタはかなり多く含まれていたのではなかろうか。もちろんこれらは朝鮮側としても早めに清算しておきたい問題であり、だからこそ拉致被害者の再調査とセットという形で仕切り直すという条件に応じたのだろう。坂中英徳がこのアイデアは俺が発案したんだ、と何やらエラソーに自慢話をあちこちで言いふらしているらしいが、まあ坂中(元入管幹部。日本の「国益」に何の足しにもならないクルド人難民を情け容赦なく国外退去させた「実績」あり。そのくせ、朝鮮に対する外交カードとして利用し甲斐がありそうな脱北者だけは保護)の言う事なぞ眉に唾つけて話半分に聞くのが無難である。
それはともかく、それ以前の重大な問題として、安倍政権・日本政府にとって残留日本人や日本人配偶者の存在ってどうなのよという話だろう。今の日本政権がこうした人達の去就や人道問題に興味持つと思って? どう見たってそんな訳ないよね。在特会やネオナチと仲良くしようぜで今をときめく安倍だの山谷えり子だのが、そんな大昔の「棄民」に情を掛けたりしたら、それこそ異常事態だろう。朝鮮民主主義人民共和国を圧迫し、日本国内の「不逞鮮人」を抑圧する口実として、また自分らの票稼ぎとして拉致被害者の新しい情報は何としても欲しいが、そうでない大昔の「棄民」の事など安倍達にとってはどーでもいいという事だ。誰だって簡単に分かる話だろう。坂中が、政治利用し甲斐のある脱北者は一応大事にするのに、そうでないクルド人難民とかは虫けらのように扱ったのと同じ事だよ(笑)。
残留日本人や日本人配偶者について朝鮮側がいかに質・量ともに充実した誠意ある調査結果を出した所で、安倍政権・日本政府はそんな「どーでもいいオマケ」にはほとんど興味がないし、それを労う事などあり得ない。もちろんさらなる制裁解除や国交正常化・経済協力などする気もないだろう。
日本でも韓国でも「安倍はアメリカの圧力に抗してどこまで北朝鮮と話を進められるか」という言い方をする人間が結構いる。だがアメリカはあまり関係ない。日本の対朝制裁は国連やアメリカの制裁をも超越して独自に行ったものであり、完全な「日本マター」という事だ。この「事実上の有事法制」を解除するもしないも全的に日本の胸一つに掛かっている。アメリカがどうのというのは逃げ口上でしかない。
元より安倍は外交上の約束を破ってまで自分を「拉致問題のヒーロー」に押し上げて首相になった人間ではないか。だから朝鮮がどれだけひどい国か、何百人も日本人を誘拐したぞという根拠不明な右翼のデマに乗っかり、あるいは自分も積極的にそれを扇動し続けて来た。ところがそれが後に安倍自身を縛る事になる。その後の拉致問題の交渉に全く進展がないという批判だ。本来安倍の立場からすれば、そんなものは適度に無視するか、嘘でも不渡り空証文でも切ってお茶を濁せば済むだけの話。朝鮮に対してはずっとそうしてたじゃないか(笑)。自分の任期の間はほっときゃいいものを、それを下手に事態を進展させようとして無理な手を打ったと思う。
「横田めぐみは生きている。死亡とされた他の人達も生きている」
「数百人の特定失踪者を北朝鮮から取り戻す」
こうした大見得を切って首相の座に上る事2度、だがそのスローガンが結局自分を縛る事になった。厳罰法治主義で秦の大臣に大出世しながら、それが結果的に己を縛る事になった商鞅と同じではないか。まさに作法自斃である。
もっとも商鞅とは違い、これが安倍政権の致命傷になる事はないだろう。いざとなったら「北朝鮮側の不誠実な対応」といういつものパターンでウヤムヤにするはずだ。読売・産経からアジアプレスまで、そうした論調で安倍を庇ってくれるだろうから。残留日本人遺族の墓参や日本人配偶者の処遇にも何ら進展なく、対朝関係や在日朝鮮人の人権問題は好転どころかむしろ悪化するだけに終わるだろう。そうなった場合、それらは全的に日本政府に責任がある。死んだ人間を生かして帰せという無茶な、あるいは何百人も拉致被害者がいるという荒唐無稽かつ残酷な一方で大いに政治利用し甲斐のある「調査結果」に妄想で胸躍らせて期待していた日本側にだ。
在米韓国人社会にも色々な人間がいるが、その中でもあるメディアを御紹介したい。「民族通信」というニュースサイトで、これは朝鮮民主主義人民共和国と大変友好的な在米同胞がやっている所だ。
この中でも最近特に目に付いた記事は、向こうの最高裁判所を取材したものだ。法廷内部(張成沢が裁判を受けた場所)の写真に加え、最高裁の元老判事にインタビューして共和国の司法制度や人権問題について話を聞いている。
http://www.minjok.com/bbs/board.php?bo_table=tongil&wr_id=4978
【訪朝取材11】エセ人権合唱で真実を駆逐する事は出来ない 最高裁判所探訪
向こうの法曹人が外国のメディアに直接出て語るのは非常に珍しく、貴重なインタビューであろう。最近共和国では「朝鮮人権研究協会報告」を発表し、そうした国連などの圧力に対抗して様々な策をとっている。今回のインタビューはそうした流れの一環でもあるだろう。
この記事の翻訳は後日改めて行いたいと思う。もちろんこれは向こうの判事が対外向けにしゃべったものなので内容的な限界や誇張・美化はあるが、そんな事はどこの国の公式発表にもつきものである。南や日本の裁判官だって外国のメディアに公的な立場でインタビューされたら「我が国の司法に人権侵害などない」と断固として言うだろう。何しろ日本の場合、人権人道大使が国連の会議で逆ギレした挙げ句「シャラップ!」とまで言ったほどだから(笑)。それよりも重要なのは、今回のインタビューでは向こうの弁護士制度や刑務所の実態、再審制度、公開処刑の存在など今までほとんど公には語られなかった部分についてまで述べている所だろう。これを読む限り朝鮮の司法制度にはもちろん問題もあるし、反面西側よりも優れていると思える部分も少なくない。それらを総合して、向こうの人権や司法制度を評価すべきだろう。日本や韓国で共和国の人権問題を槍玉にしたがる者は、自国の弁護士費用を無償にしてからそういう事を言えと思う。また、この記事によると次回の取材の際には教化所(刑務所)の取材も行えるようにするとの事である。
詳しい内容は後日翻訳を御覧いただくとして、朝鮮語の読める方は先に原文でお読みいただきたいと思う。また、「民族日報」というメディア自体にも注目していただきたい。日本の場合、「民族日報」の記事も読んで初めて北朝鮮報道のバランスが取れるくらいではないか。とりわけ最近日本や南の社会情勢があまりに醜悪で無残すぎる。日本では在特会だの東京デモクラシーだの、韓国ではネット右翼(いわゆる「イルベ」層)だの極右保守団体だのが目に余るクレイジーな言動を繰り返しているのばかり見ていると本当に精神衛生上よろしくない。それらとはかけ離れた共和国の現地リポートを併せて見て、精神の平衡を保つ事も必要であると思う。
今まで何人もの金大中・盧武鉉の「元側近衆」の妄言や醜態を批判してきたが、もう一人指摘しておきたい輩がいる。韓国慶南大学教授の金根植(キム・グンシッ 김근식)だ。日本での知名度はそれほどでもないが、向こうでは進歩陣営における北の専門家として奮っている論客であり、その研究成果は金大中・盧武鉉政権の太陽政策にも大きく寄与した。また、金根植は2007年の第2次南北首脳会談には特別随行員として盧武鉉に同行しており、金正日とも会っている。こうした経歴だけを聞くといかにも「平和統一運動の代表的な学者」のようなイメージを受けるが、最近のこの男の発言は目も当てられない。他の金・盧大統領元側近衆に決して引けを取らない無残さである。
http://news.kbs.co.kr/news/NewsView.do?SEARCH_NEWS_CODE=2887895&ref=A
保守は抱擁基調を認定、進歩は吸収統一認定せねば(韓国語記事 以下翻訳抜粋)
2014.07.04
今日の討論会で慶南大政治外交学科の金根植教授は、保守は抱擁基調の正当性を認定して進歩もやはり平和的な吸収統一の現実性を認定してこそ不必要な南内部の対立を解消出来ると主張しました。
へ? 何それ? この人はっきり言い切っちゃってるよ。「進歩は吸収統一認定せねば」「吸収統一の現実性」だって…。駄目だこりゃ。金大中と盧武鉉の遺志はどこへ行ったの? 「吸収統一は目指さないし、朝鮮半島には合わない」って言ってた金大中の顔にここまで泥を塗ってへーちゃらな顔してるんだから、実にいい根性してる。
金根植は第1次首脳会談(2000年)の頃には吸収統一をきっぱりと否定しており、当時の「統一ニュース」紙上で当時野党のハンナラ党総裁だった李会昌が吸収統一に傾きすぎている事を批判していたぐらいだったが、それが今や自分から積極的に吸収統一を推進している。この男が吸収統一の否定から肯定に転向したのは2010年暮れで、「南北の力の差を考えたら、南が北を吸収する方式を考えない訳にはいかない」「北が崩壊するような急変事態も考え得る」という事を言い出し始めて、中央日報などの保守派メディアでも結構取り上げられた。2010年と言えば天安艦事件を受けて北との交流・協力を全面中断(開城工団除く)した5.24措置が行われ、李明博政権下で南北対立が最高潮に達した年ではなかったか。南でも平和統一運動が一番打撃を受けた風当たりの強い時期だったが、その真っ最中に「敵」と妥協して早々に吸収統一容認とか、お調子者・機会主義にも程があるだろう。金根植は学生時代に民主化運動で民族解放派(いわゆるNL系列)のバリバリの理論家として活動していた人間だが、それが今やこれである。これではまるで「親日派→左翼の南労党→仲間を売って反共軍人に転身」した朴槿恵の親父並みではないか(笑)。
ちなみに南の平和統一運動や進歩派の世界ではそれまで吸収統一を主張するのは大きなタブーだった。今は全く見る影もないが、かつて3.11以前に日本の左派や市民運動で日の丸・君が代がタブーだったのと同じである。北の政権を(どのような形であれ)打倒・崩壊させて併合・吸収統一というのは、それこそ極右・反共・軍事独裁勢力の路線だったからだ。ところがその平和統一運動の大きな禁句をあっさり破りやがったのが、「かつて民主化闘争ではバリバリのNL派理論家で、太陽政策に大きな影響を与え、盧武鉉に随行して金正日にまで会った事のある進歩派教授」金根植である。これほど酷い裏切り・転向はない。この男は、日本で言えば反原発運動や反差別運動の現場に右翼や日の丸を呼び込んだロフトプラスワン店長や反原連・野間一派並みの許し難いA級戦犯である。韓国でもまた「右も左もない」がどれだけ酷い社会的害悪を垂れ流しているかが良く分かる。
李明博・朴槿恵時代を通じて猛威を振るった(振るっている)対決主義政策のせいで、南北関係の良かったいわゆる「6.15時代」の成果がほとんどパーになり、その間に平和統一運動の陣営からも少なからぬ「離脱者・転向者・本性露呈者」が出た。しかもこれまで見てきたように、丁世鉉や金根植のような太陽政策の指導級人物ほどその脱落ぶりが酷過ぎる。大将達が真っ先に白旗掲げて右翼の吸収統一や対北対決主義に迎合しているのだから、これでは下っ端の真面目な活動家や人道支援団体ほど右往左往せざるを得ないだろう。つまり今の南における平和統一運動というのは、李承晩がトップだった頃の大韓臨時政府みたいな状態という訳だ。
金・盧政権時代に長官職や大統領アドバイザーなどを務めた「側近衆」達、林東源・李鍾奭・丁世鉉・鄭東泳・金根植・文正仁らというのは、
1)最初はまだある程度金・盧大統領の政策に共感してそれに仕えたが、後に情勢の悪化に伴って「現状追認・追従」に心変わりした。
2)最初から北を見下していて吸収統一が本音だったが、地位や権力欲しさに金・盧大統領に面従腹背で従い、今になって本性を露呈した。
かのいずれかに過ぎない事が誰の目にも明らかになったと思う。
この手の連中は自分らの吸収統一論が「現実的」だと言い張るが、そんな事は全くない。南の対北経済協力は途絶えて久しく、今や北では中国はもちろん、ロシア・モンゴル・エジプトなど多くの国と経済協力事業を活発に行っている状態である。今仮に5.24措置を解除して南の企業や経済団体が入っていっても、こうした国々と競争してより良い条件を提示しなければならないのだ。「大規模な経済支援して、それで北を東ドイツのように隷属させる」などという丁世鉉のドイツ式吸収統一策などとうの昔に空論化している。北の政権は依然として民衆をがっちりと掌握しており、ソ連や東欧諸国のような内部崩壊の兆候など欠片も見当たらないし、それをNATOがシリアやリビアでやったような軍事力や政治工作で崩壊させようとしたら恐ろしい結果を招くだろう。おまけに共和国はシリアやリビアと違って核保有国だよ。こいつら本気で核保有国相手に喧嘩を売るつもりなのか? はっきり言って、(平和的であろうとなかろうと)吸収統一ほど非現実的な統一方策はないのである。我こそ一番の現実主義者と思い込んでいる奴ほど、実は一番空理空論のしょうもない妄想家に過ぎなかったというのはよくある喜劇だが、金根植らはまさに典型例だろう。吸収統一を否定し、南北関係を改善して平和を築く事こそ実は最も現実的な統一への道だったのだが、旧太陽政策派の連中はそうした真の現実的手法ばかりか理想すら投げ捨てて吸収統一という邪悪な個人的野欲と妄想の世界にイってしまったという事だ。
連中は今の朝鮮半島がどういう時代かまるで分かっていないのだと思う。重要な事を指摘しておきたいが、今の朝鮮半島は新たな段階の体制競争の最中なのである。かつて冷戦時代に南北朝鮮は熾烈な体制競争を繰り広げ、それは90年代に北が深刻な経済危機に陥った事で終焉を迎えたというのが多くの人々の認識のようだ。その後南北和解と協力の「6.15時代」を迎えたが、それが南の李明博政権になって崩壊し、今の「新・体制競争時代」に突入した。正確には2010年の5.24措置をきっかけに南北朝鮮はこの「新・体制競争時代」に入ったと言える。もちろん好ましい事ではない。だが南の多くの人間達(日本でもそうだが)は「体制競争は南の勝利に終わった」という金泳三的な90年代思考に依然としてとらわれており、今や時代が変わって自分達はまた北との競争に突入したんだという自覚すらないように見える。しかも現状は、経済的に遅れを取った北が新体制の金正恩政権下で猛烈な勢いで追撃を掛けている最中なのだ。南の極右反共勢力の対北対決主義というのは一言で言って、北の現実を無視して卑下と軽蔑の宣伝を自国民に垂れ流すという観念論的妄想主義でしかない。「北では餓死者がそこら中に転がっている」という類の話を依然として言い続けているのだ。「敵を知り己を知れば…」という孫子のような発想は欠片もない。それに迎合して吸収統一に傾倒する連中もまたどれだけオツムが劣化したか分かるというものではないか。
南の平和統一運動がとりあえずやらねばならないのは、臨時政府が李承晩を追い出して再生を図ったように、金根植や丁世鉉らの腐り切った旧太陽政策指導者どもを放逐する事であろう。あいつらこそ妄想主義のニューライトと一緒になるべきなのだ。実際には難しいだろうが…。
お話にならない極右番組で世に害毒を垂れ流し続けたやしきたかじんだったが、死後の今になって実は在日だったという事が明かされたという。これは筆者も初めて知った。
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2014/09/08/0007312441.shtml
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2014/09/08/1p_0007312441.shtml
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2014/09/08/2p_0007312441.shtml
やしきたかじんさんの隠された出自とは
上記記事はたかじんの事を「カリスマ」扱いして「こんなにたかじんさんは苦労した」みたいな書き方をしているが、この著者の角岡伸彦とやらは何を言っているのか?
はっきり言わせてもらうが、たかじんが同胞だというのがもし事実だとすれば、筆者はなおさらたかじんという男を絶対に許せない。この男の極右番組では「従軍慰安婦は捏造」と主張していたのではなかったのか? 朝鮮高校無償化問題でも筆舌に尽くし難い酷い事をさんざん垂れ流してきたのではなかったか? 北朝鮮問題でも石丸次郎や高英起らのゴロツキどもを呼んでは「北朝鮮の脅威」を煽り立てていたではないか? 自分の出自を徹底的に隠した上で「日本人として」同胞に危害を加えるような事を言いまくったのだから、これほど卑劣な奴はいない。たかじんから目をかけられて番組にしょっちゅう出してもらっていた高英起は、この事を知っていたのか? まあ、知っていてもお互いに共犯関係にある以上言うはずもないだろうが。片や在日である事を公表して、片やその事を徹底して隠した「日本人」として、見事なコンビネーション&チームプレイの役割分担を(知っていたかどうかを問わず結果的に)してきたという訳だから。たかじんの素性が割れたというのは、同時にお仲間である高英起(及びたかじんに取り立てられた事のある他の在日も全て)という男が従来思われてきた以上に悪逆である事を証明してくれた事でもある。
上記記事で角岡はあれこれ言っているが、しょせんやしきたかじんなどという輩は同胞を売って自分の栄達だけを追い求めた卑劣漢の民族反逆者でしかない。模範的親日派である。それも最低の。身も心もすっかり日本人に同化して、右翼日本人に媚びへつらい続けたのがこの男の人生歴程と担当番組だったのだ。以前から酷過ぎる番組だったが、この事を知ってからはなおさら反吐が出る。
たかじんが橋下徹をあれだけ持ち上げてきたのは、要するに同じような立場だったからという事だろう。同胞に不利益をもたらすような言動を平然と行って、それで自分の私利私欲ばかりを追求し、社会に害悪を垂れ流す。
「それ(出自)をバネにして彼は歌手として頑張った」などと角岡は言うが、笑わせてはいけない。この男は後にヒットが出ず歌手として完全に行き詰まり、結局は日本人に媚びへつらい、同胞を売って食い物にする道へ進んだだけの事だ。たかじんが出自を必死に隠し続けたのは単に臆病だったからだろう。あれだけ同胞社会に害や不利益を及ぼす右翼芸人活動をやり続ければ、いずれ同胞達から手痛い制裁や報復を受けるかもしれない。そういう恐怖感に圧迫されての事でしかないだろう。「おまえも朝鮮人のくせに!」と同胞から言われるのを何よりも恐れ、逃げ回った惨めな小心者の小悪党というのがやしきたかじんの本質である。
ただ一つ遺憾なのは、我々はこの男が生きている時に同胞として膺懲・制裁出来なかった事であろう。この男が生きている時に「おまえも朝鮮人のくせに! ふざけるな!」という罵倒をせめて突きつけてやりたかった。小心者らしくこそこそとあの世へ「勝ち逃げ」された事だけは、返す返すも腹立たしく口惜しい。死後とあってはいささか遅すぎる感もするが、せめて今後ともこの親日民族反逆者への徹底した批判を続けていかねばならないだろう。
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