韓国の進歩派メディアがここ何年か凄まじい勢いで右傾化・保守化というか腐敗堕落しているという実態について、筆者はこれまで何度も指摘してきた。日本では今でもハンギョレ新聞の事を「韓国の良心的報道人達が結集して作った素晴らしい革新派メディア」のように思っている者が結構多く、本多勝一も週刊金曜日創刊の際にはそんな感じでハンギョレの事を羨望するかのような事を言っていた事が懐かしい。しかしながらその後のハンギョレは良い記者がどんどん抜けていき、変な雑誌を副業で出して大赤字を出したり、三星(サムスン 삼성)財閥を批判する記事を書けば広告引き上げで報復されてあっさり白旗という情けない醜態を何度も繰り返してきた。韓国が原発で使う核燃料確保や原発輸出をほめそやす社説を載せた事もある。それも3.11後に! ハンギョレというとあたかも反原発のように思う者も多いだろうが、こうした社説を見ても分かるように同紙は原発問題に対してこれといった定見を持っていない。と言うより、所属している記者・編集者達の多くが原子力発電というのがそもそもどういうもの(難しい話ではない。ただの「原子力湯沸かし器」である!)で、放射能がどうして危険なのか(難しい話ではない。「はだしのゲン 맨발의 겐」は韓国でも翻訳出版されたはずだが?)という基礎的な科学知識すらほとんど持ち合わせていないからだろう。その典型例が日本特派員であるキル・ユニョンだ。この男は自身のコラム(以下リンク先参照)で「自分は福島原発事故の後も放射線というのが何なのかちゃんと理解出来なかった」と語っている。正直と言えば正直だが、ハンギョレの記者達がいかにそうした問題について実は無知であったか、原発密集度世界一の国の記者としていかに恥ずかしい事であるかを象徴するエピソードだろう。ハンギョレは前任の日本特派員だった鄭南求も「日本は戦後真面目に謝罪してきた」などの妄言が酷かったが、その後任も負けず劣らず酷い。おめえ学生時代は日本語を習ってハンギョレに就職後も日本特派員のくせに、原爆の放射能で人が死ぬ描写が山ほどある「はだしのゲン 맨발의 겐」すら読んだ事がなかったのかよ? 病院でレントゲンを撮った事はなかったのか? 今のハンギョレの記者ってどんだけレベルが低いんだ?
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/674808.html
「特派員コラム」あなたは出来るか?(韓国語記事 日本語版では未訳)
これらの話は日本ではあまり知られていない事実である。こうした馬鹿な事を繰り返して、今やハンギョレはすっかり便所紙にもならないような新聞に成り果ててしまった。筆者は日本人が「韓国にはハンギョレみたいに言いたい事が言える革新系メディアがあってうらやましい」などと言うのを見ると、本当に変な気分になる。それ全然違うから。言いたい事が言えるどころか、今のハンギョレって有力政治家や大資本に屈服してばっかりだから。2012年の大統領選挙前には朴槿恵をヨイショする記事やコラムも結構載ったし…。世界でもハンギョレとアルジャジーラほど世間一般のイメージと実態がかけ離れたメディアってないから。ハンギョレも週刊金曜日も初期の頃はともかく、後になって誌面や論調がメチャクチャ酷くなったという点では全く同じ道を歩んだのである。日韓仲良く進歩派メディアの論調が堕落したという、実に気分悪い「日韓シンクロ現象」がまたしても…。
ここ何日かのハンギョレもずいぶん悲惨な記事が何本も載った。とりわけ社説が凄絶過ぎる。
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/19411.html
[社説]「我がこと」になってきたイスラム国問題
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/19451.html
[社説]許せない「イスラム国」の蛮行
イスラム国による日本人人質事件について論じているのだが、読んでお分かりの通りこの2回にわたる社説でハンギョレはしつこく「(日本は)西欧各国とは違って軍事活動には参加していない」「軍事活動に加担していない」し、2億ドルの支出も「国際支援」「人道的分野の支援」と繰り返している。日本は何も悪い事はしていない、むしろ人道支援という「いい事」をしていると言わんばかりで、ハンギョレは日本の右派メディア以上の安倍政権擁護をしているのだ。何よりも「我がこと」とまで言っている。日本人への攻撃は韓国への攻撃でもあると言わんばかりで、集団的自衛権を行使して戦争したいのは安倍以上にハンギョレの方ではないのかと言いたくなる。
確かにイスラム国はカルト集団としか思えないし、裏ではアメリカや西欧の支援や手心を受けている(シリアのアサド政権打倒の為に利用されている)疑惑がいつも絶えず、今回の人質殺害も確かに残虐で被害者には同情するが、韓国という国にしてみれば飽くまでも他人事でしかない。単なる同情というレベルをはるかに飛び越して、何で「我がこと」と受け止めねばならないのか。韓国にとってそんな義理がどこにあるというのか。おそらくその理由は以下のくだりによく表れていよう。
・[社説]「我がこと」になってきたイスラム国問題より
日本はイスラム国対策の国際支援として2億ドルを出すことを明らかにしていた、西欧各国とは違って軍事活動には参加していない。それでも日本人を人質としたことを思うと、地球上の誰もが人質になりうると見るべきである。イスラム国のこのような行為は安倍政権が進めている「積極的平和主義」の問題点とは別個に許すべきではない。地球市民の公憤を買うほかはない行動だ。
・[社説]許せない「イスラム国」の蛮行より
イスラム国のこのような行為は国際社会に対する日本の影響力と地位を利用して自分たちに対する圧力の一線に亀裂を起こそうとする戦術とみられる。しかしこのような非人道的で残虐な行為はむしろイスラム国に対する憤りを招くだけである。しかも日本は米国や一部の西欧国家とは違って軍事活動に加担していない。安倍首相が今月中旬の中東訪問の過程でイスラム国対策として2億ドルを支援することにしたことを口実にした逆恨みと見られるが、人道的分野の支援という点から見てとんでもないウサ晴らしといえよう。
今回の事件が一層衝撃的なのはイスラム国の問題が西側だけでなく、まさに我々の足下にまで押し寄せていることを実感させられるためだ。イスラム国にこのほど自ら“入国”したと推定されるキム君の件でも、一部キリスト教団体のイスラム地域に対する無分別な布教活動は我が国(韓国)の市民が日本人よりイスラム国の標的になる可能性がより高い可能性があるということを示している。韓国政府は今回の事件を機にテロ防止のための国際協力に積極的に参加すると共に、国民保護にいっそう努めるべきであろう。
「イスラム国のこのような行為は安倍政権が進めている「積極的平和主義」の問題点とは別個に許すべきではない」とまで言っているが、それ違うだろ。それどころか、今回の件はまさに安倍の「積極的平和主義」が引き起こした事件そのものではないか。今回の中東訪問で安倍がどれだけたくさんの軍事産業関係者を連れて行ったのかもハンギョレは知らないのであろう。2014年3月に武器輸出3原則に代わって防衛装備移転3原則を閣議決定してから日本は事実上武器輸出を解禁した訳で、それ以来どれだけ日本が急速に紛争地への武器売り込みに必死になってきたかは韓国でも度々報道されてきた(難しい話ではない。当のハンギョレもその事を何度も報じている!)はずである。中東の紛争につけこんで兵器輸出で儲けようとする日本のどこが「軍事活動に加担していない」と言い切れるのか。また、2億ドルの支援については安倍もはっきりと「イスラム国の脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」と明言しており、その実態はイスラム国との紛争に使われる為のものである事は誰にでも分かる話だろう。イスラム国との紛争地域の国々に「戦争代」をばら撒き、同時に兵器も売って儲けようというのが安倍の狙いなのである。2億ドルというのはいわば死の商人稼業で儲ける為の「先行投資」なのだ。明らかに日本がイスラエルや欧米各国と同じ側にいるのは明白であろう。
さらに決定的なのは昨年9月の安倍の発言だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H0A_U4A920C1EAF000/
首相「空爆でイスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談
2014/9/24 10:19
【ニューヨーク=永沢毅】安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。大統領は「国際的な努力は支持したい」と応じた。
「空爆でイスラム国壊滅を」だってさ。明らかに安倍はイスラム国に喧嘩を売っており、しかもエジプトなどの紛争当事国を煽っているではないか。安倍政権日本は決してイスラム国絡みの中東紛争の部外者ではなく、積極的に加担しようとている。これでは今回のような事件が起こって当たり前だろう。
それなのにハンギョレはこうした日本側の振る舞いを全く無視して、日本側が一方的被害者のように述べているのだから空いた口がふさがらない。
ハンギョレの今回の記事は率直に言って日本による「対テロ戦争」参入を応援するものであり、同時に韓国もこうした戦争へ介入するのを促す意図があるのだと思う。「一部キリスト教団体のイスラム地域に対する無分別な布教活動は我が国(韓国)の市民が日本人よりイスラム国の標的になる可能性がより高い可能性があるということを示している。韓国政府は今回の事件を機にテロ防止のための国際協力に積極的に参加すると共に、国民保護にいっそう努めるべきであろう。」という記述がそれを最も表わしていよう。「テロ防止のための国際協力」「国民保護」…日本やアメリカも戦争や軍拡化の際に必ずこういう事を言ったのを我々はよく覚えている。そのような無茶な布教活動を韓国のキリスト教関係者がしているというならば、そのような活動をやめさせるのが筋であるし、この地域を空爆して民衆虐殺を行う欧米やそれに食い込もうとしている日本と距離を置くようにするのが正しい判断ではないのか。それなのにハンギョレは、自国宣教師による中東イスラム諸国民衆の信教への介入に反対もせず、むしろ欧米や日本とテロ防止の為に積極的に協調しろという。
この事件に関連して韓国の主な新聞をウォッチングしてきたが、ここまで露骨に日本安倍政権擁護と韓国の対テロ戦争「参戦」を煽ったメディアは中央日報ぐらいだろう。それこそハンギョレと中央日報は同じ人間が書いたんじゃないかと思えるほどそっくりな社説だった。東亜日報はこれらほど露骨に安倍政権擁護や対テロ参戦を主張してはいないが、韓国政府も早く哀悼の意を表明して日本人の歓心を買えというような事を言っており、「親日度」について言えばハンギョレや中央日報以上かもしれない。不思議な事に朝鮮日報は事実経過を坦々と報じるだけで、こうした露骨な主張はさしあたって見られなかった。しかしながらアメリカや日本のように自国民がイスラム国に殺されてすらいない(例え殺されたとしても対テロ戦争参戦など論外だが)時点でここまで積極的に「参戦」を唱えるのだから、これらの論調は日米政府よりもずっと危険で恐ろしいのではないか。いずれにせよハンギョレや中央日報のように、安倍政権による紛争地への支援と言う名の介入や武器輸出を全面擁護し、韓国もそうした対テロ戦争へ積極的に「参戦」しろと主張するなど、2015年1月現在、韓国のマスコミは左右問わず日本の右派メディア以上の安倍政権擁護派にして恐ろしいタカ派だという事は指摘しておく。
「韓国を代表する民主派・革新派・進歩派・反権力メディアにして、大手新聞を脱退した反骨の記者達が結集して作ったハンギョレ新聞」とやらが、今や日米政府以上に好戦的でタカ派って一体…。イスラム教徒への差別と偏見を煽りまくったシャルリーエブドや、シリアへの軍事介入を必死に煽っているフランス・ドイツの緑の党と全く同じ経過を歩んでいる。
韓国がアメリカや日本にくっついて対テロ戦争へ参戦するなど、まさに地獄への片道切符でしかない。ハンギョレはそのような地獄への道を率先して舗装しているメディアなのである。しかも中央日報のように元から右派・保守とされているメディアよりも、民主派・進歩派の看板を掲げておいてこうした日本政府の軍事政策擁護と韓国の対テロ戦争「参戦」をがなりたてる方がはるかに罪深いだろう。
韓国という国の進歩派や民主勢力はもはや本気で日本の軍拡化に反対しない。むしろ日本と積極的に協調して対テロ戦争への参戦を望んでいるという事を記憶しておくべきだろう。日本との歴史問題については一応懸念を示すが、でも今後の対テロ戦争や第3世界への軍事介入や資源略奪戦争には日本と積極協力したいという事だ。そういう「人道的軍事介入・戦争」で「残虐なテロリスト」や「北やシリアみたいに非人権的な後進国」を膺懲する事が「先進国」の証だとでも思っているのだろう。それでもし「日韓和解・関係改善」なんて事になったらどうなるか、分かるよね。ハンギョレが原発輸出に賛成したり、今後とも原発を動かす為の核燃料確保を喜ばしいもののように言っていたのも、そういう脈絡で理解出来るだろう。そうした韓米日軍事同盟体制に異を唱える者は国家ぐるみの公安弾圧と社会的リンチで抹殺される。統合進歩党のように。ハンギョレは棺から引きずり出した死体をメッタ斬り(剖棺斬屍 부관참시)するかのように、また先日も統合進歩党を攻撃する連載を開始した。これにはもはや言葉もない。統合進歩党強制解散命令や同党の李石基議員への有罪判決というのは、朴正熙時代の人革党事件(第2次)と全く同じ公安弾圧にして司法史上に残る暗黒裁判であり、責められるべきは朴槿恵政権そのものである。それなのにハンギョレは被害者の側を追い討ちかけてボロクソに攻撃するキャンペーンを張るとか、どう見てもこの弾圧事件を正当化したいとしか思えない。無辜の民衆を虐殺する対テロ戦争に韓国が「参戦」するよう煽り、国家から全く不当な弾圧を受けて潰された統合進歩党(反戦政党でもある)を剖棺斬屍までして、おまえらイスラム国や欧米日帝国主義国家よりも残虐なのではないか。それでいてこの連中は口を開けば「北は残虐で酷い人権弾圧独裁国家だ。俺達民主的な韓国が介入して北の民衆を救ってやらねばならない」などとエラソーに言う…。
統合進歩党を剖棺斬屍するハンギョレは、欧米日帝国主義国家やイスラム国よりも残虐である。
통합진보당을 부관참시하는 한겨레는, 歐美日제국주의구가나 ISIS보다 참혹하다.
日本を手助けして対テロ戦争「参戦」を煽り立てるハンギョレは、日帝の侵略戦争を助けた旧親日派よりも悪質だ。
일본을 도와서 對테러전쟁 “참전”을 부채질하는 한겨레는, 일제 침략전쟁을 도운 舊친일파보다 악질하다.
ハンギョレという有害極まりなく残虐極まりないメディアが進むべき道はただ一つ。廃刊だけだ。一刻も早く潰れた方がいい。
韓国という国は国を挙げてどんだけ日本が大好きなのか。
・韓国の知識人や言論人は日本の大江健三郎、柄谷行人、和田春樹、船橋洋一、土井たか子、鷹巣直美、桜井伸栄(笑)といった「日本の良心勢力」とやらが大好きであり、それらのおかげで日本の改憲や軍拡化が防がれており、ひいては韓国やアジアの平和も保たれていると本気で信じ込んでいる。
・韓国の平和を守って下さっている日本の御為に、韓国は国を挙げて日本国民様にノーベル平和賞を受賞させようではありませんか!
・韓国のオピニオンリーダーや社会的指導層は日本の天皇が大好きである。駐韓日本大使館で毎年行われる天皇誕生日パーティーにはセヌリ党議員や財閥経営者達が大挙してお祝いに駆けつけ、京郷新聞などの進歩派も「安倍はリベラルな天皇を見習え」「天皇が日本の軍拡化にくさびを打ち込んでくれた」など絶賛の言葉を惜しまない。
・韓国のマスメディアは日本人がイスラム国に殺されるや、まさに「我がこと」として哀悼の意を示した。おまけに韓国も早く「テロ防止のための国際協力に積極的に参加」つまり「事実上の対テロ戦争参戦」をしろとまでいう。「恐れ多くも憲法9条によって韓国とアジアの平和を守って下さっている日本人様を虐殺するなど、イスラム国のようなテロリストは絶対に許せない。日本人様の為に、天皇陛下の為に韓国も参戦だッッッッ!」という事だろう。韓国人は日本人様、アメリカ人様と一緒に戦争がしたくて仕方がないのです! 日本と一緒に対テロ戦争参戦すれば、国内の失業者や非正規労働者が軍隊へ行き、韓国の労働・就業問題も解決するのです! アメリカみたいに(笑)。天皇陛下、日本国様、お助け下さい! 朴槿恵餓死地獄で韓国が滅びます!(笑)
天皇陛下お助け下さい! 安倍餓死地獄で日本が滅びます。
天皇陛下こそ真のリベラル。それなのに安倍は陛下の御心に背くような事ばかりする。
梅原猛 自民党政権よりずっとハト派ですよ。平和を愛している。そして自分の祖先は朝鮮半島の出身じゃないかと考えている。桓武(かんむ)天皇のお母さん・高野新笠(たかののにいがさ)の中に百済(くだら)の血が入っておるんでね、そういうことをむしろ誇りに感じているんですよ。今の憲法を改正しようとする政治家よりはるかにリベラルだと思います。
3.11以後の日本では右翼からリベラル・左派まで、こうした天皇にすがる風潮がさらに急速に強くなった。小池晃のように共産党までもが天皇を誉めそやしてるようでは、完全に日本終了と言い切って問題はないだろう。
が、こうした「天皇陛下お助け下さい病」は今や日本を飛び越えて韓国にも広がりつつある。韓国人が天皇ヨイショとかあたかも日帝時代に逆戻りしたかのようだが、まさにそうで、今の韓国はすごい勢いで、日帝に天皇崇拝を強要された植民地時代に逆行しているのだ。多くの韓国人に自覚はないようだが…。いや、その旗振り役をしている連中は「強要」されてではなく、自ら進んで率先してやっている。その辺も日帝時代の親日派とそっくりだ。当時も今もこいつらの振る舞いは同じだったんだなあと、ある意味で分かり易いサンプルケースではあろうが。日韓仲良く大日本帝国に逆戻りしようぜ!
その典型例が例の「日本平和憲法9条ノーベル平和賞推薦韓国委員会」だろう。またしても京郷新聞で恐縮だが、同委員会推薦人の一人である李富栄(イ・ブヨン 이부영)が以下の記事でこんな事を言っている。
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201501152056375&code=990304
「特別寄稿」明日の日本を考える(韓国語記事)
李富栄は、安倍が集団的自衛権で9条を急速に無効化させている事実を指摘し、その事で「だが終戦―解放70周年を迎えて「日本の中の真実」と「世界の真実」が食い違う時、日本と世界の論争と対立が起こるのは火を見るより明らかだ。この歴史戦争の被害は、しかしながら日本国民全体に跳ね返るだろう」と述べた後にこう言うのだ。
2015年1月1日、日王・明仁は新年の辞で日本の本格的侵略戦争の序幕である1931年の満州事変に言及した。アジア国家達に対する日本の戦争責任を浮かび上がらせたもので、この世紀的論争にくさびを打ち込むのに他ならない。
恐れ多くも天皇陛下におかれては、「日本の侵略戦争の序幕」である「満州事変」の事を新年の辞において言及して下さったのです! 日本の君主たる天皇陛下が、アジアに向けて日本の戦争責任を浮かび上がらせて下さったのです! 天皇陛下は日本の憲法9条が無効化されつつある流れに抗し、くさびを打ち込んで下さったのです! おお、何と素晴らしくも暖かい天皇陛下のリベラルにして慈愛溢れる大御心ではありませんか!
…何これ。植民地時代に日帝のイヌになって「テンノーヘーカバンザーイ! 천황폐하 만세!」と叫んでた親日派と何が違うんだ? 今の日本安倍政権の軍拡化に対し、天皇がそれに抵抗してるとかくさび打ち込んでくれたとかで喜んじゃうとか、おまえらどんだけ天皇大好きなんだよ。そもそも「満州事変(という侵略用語をそのまま平気で使っちゃうセンスも凄い)」が日本の侵略戦争の始まりだったと本気で思っているのか? それ以前に明治維新後から日本はずっとそうだったんじゃねえのか。甲午農民戦争での日本軍の虐殺はどうしたんだよ? 何よりも1910年の庚戌国恥 경술국치 (いわゆる「日韓併合」)は? ひょっとして李富栄という男、1931年以前の日本の侵略行為を全部チャラにしたい腹積もりじゃないだろうね? そうであれば、当然日帝による朝鮮植民地支配もチャラって事になるんじゃないの? さらに恐るべき事実として、この李富栄という男は「日韓協定再協議国民行動」という団体の代表なのである。日本の植民地支配責任を十分に問えなかった日韓協定をやり直そうという運動をしてる(はずの)団体代表が、あたかも日本の天皇が「日本の軍拡化と9条改正にくさびを打ち込んでくれている」みたいに期待しちゃうとか正気の沙汰ではない。大韓民国という国はここまで来ているのだ。
天皇をヨイショして従軍慰安婦や強制連行の解決が出来ると本気で思っているのか。日本の憲法9条にノーベル賞を受賞させる事で日韓協定を再協議に持ち込めると本気で思っているのか。言うまでもなくそんな事は全くない。むしろ逆効果になるだろう。
李富栄はこの記事で「まず日本内の平和・民主主義勢力と連帯」とも言っているが、要するに日本とあまりにベタベタし過ぎて自分も「日本風」の「天皇は日本で最も平和主義者でリベラル」という観念に汚染されたという事だろう。「昨年6月10日に、9条の会の平和憲法を守る講演会と韓国の6.10民主抗争27周年記念式で連帯の辞を朗読して、互いに助け合う事にした」という告白はもっと強烈だ。まさに「日本の平和国家」と「韓国の民主主義」という、全く実態の伴わない日韓の国民的ナルシズムが結合した瞬間であろう。これらの結合・同盟は決して平和と民主主義を守らない。むしろ日本は「平和国家」の名の下に軍拡化と戦争をするようになるだろうし、韓国は「民主主義」の名の下に反共ファシズム体制を強化する。「俺んとこは平和国家だ」「俺んとこは民主主義国家だ」という醜悪な自画自賛で頭が一杯のナルシスト両国民が戦争とファシズムの露払いを務めるだろう。まさに現代版内鮮一体すなわち「日韓一體」である。
上記記事にある李富栄の妄言をもう一つ取り上げておきたい。
「日本大使館前で日章旗を燃やす行為は安倍陣営を助けるだけだ」
ここまで来ると何をかいわんやだろう。日の丸を燃やすなだってさ。これを反原連やしばき隊や統一戦線義勇軍が聞いたら涙を流して大喜びしちゃうだろう。やはり日帝時代の親日派達はしょっちゅう言ってたものさ。「独立運動は無駄な犠牲ばかり出す無用な行為だ。それのせいで弾圧が酷くなり、日本を助けるだけだ」と。親日文人の筆頭格である李光洙が特にそうだった。李富栄かあるいは「9条ノーベル賞韓国委員会」のお仲間の誰かが、そのうち瀬戸内寂聴や梅原猛相手に「日韓天皇陛下礼賛対談」をするのも遠い日の事ではないだろう。李富栄のように、今後「韓国の民主・進歩勢力」の中に日本の現天皇をヨイショする奴が増えるであろう事は間違いない。こいつらは「委員会」ではなく「報国会(もちろん日本への報国である!)」と名乗るのが正しいのである。
また、李富栄は中央日報の記事でこうも言っている。
我々だけでなく過去60年間ほど平和憲法体制の下で民主主義と平和、経済繁栄を享受した日本国民も、安倍首相の軍事主義路線に反対している。
その「過去60年間ほど平和憲法体制の下で民主主義と平和、経済繁栄を享受」の中身が問題なのである。日本国憲法が公布された1947年の3年後には自衛隊の前身である警察予備隊を創設して9条は早くも骨抜きにされ、朝鮮戦争の「特需」で大儲けした歴史はどこへ行ったの? 日本の戦後経済成長神話に「朝鮮特需」と「ベトナム特需(もちろん韓国もこれで莫大な利益を得ており、「漢江の奇跡」とやらもこれなしにはあり得なかった!)」は絶対外せない話であり、これは逆に言うと、日本は8.15以降も朝鮮半島をはじめとするアジア民衆の血をすすって繁栄を享受し、再軍備と軍事大国化への道を進んで来たという事なのだ。李富栄は、1992年のカンボジアPKOに始まって今や常態化した自衛隊の海外派兵を知らないとでも言うのだろうか? 「過去60年間ほど平和憲法体制の下で民主主義と平和、経済繁栄を享受した日本国民」「戦後、軍事に頼らず経済大国にのし上がった日本」などというのは、それをごまかす為のお為ごかしでしかない。「戦後、軍事に頼らず経済大国にのし上がった日本」神話を、解放後も日本の被害を受けてきた韓国人がすっかり信じ込んでヨイショするとかどんだけアホでノータリンなのか。それも「日韓協定再協議国民行動」の代表がである。李富栄の言う「日韓協定再協議」の中身とやらは一体何なのか。それは朴裕河のメチャクチャな主張と一体何が違うのか。はっきりしているのは、朝鮮半島は戦後も日本の経済発展の犠牲にされてきたという事実を無視または歪曲し、そのアジア民衆の血をすすって経済大国にのしあがった「日本国民」にノーベル平和賞まで受賞させようとしている人間の「日韓協定再協議」とやらがロクなものではないという事だろう。
今の韓国では大統領当人をはじめとして、その大統領が一時は総理候補としてピックアップした「植民地支配は神の意思」発言の文昌克、その発言に感激しちゃったという李仁浩が公営放送KBS(日本のNHKに該当)理事長に任命され、韓国でも筆頭格の植民地近代化論者である柳永益が国史編纂委員長になるなど、21世紀の今も親日派の天国である。だがこれらと比べても李富栄ら「日本平和憲法9条ノーベル平和賞推薦韓国委員会」の愚劣さは決して引けを取るものではない。片や8.15解放前の日本の植民地支配を肯定する朴槿恵や文昌克や李仁浩のような「親日派保守」と、片や8.15解放後の日本の「平和国家」ぶりを肯定する李富栄ら9条ノーベル賞韓国委員会のような「親日派進歩」が「我こそ真の日韓友好勢力」とばかりに必死で日本にペコペコしているというのが、大韓民国の現在図である。
日本では安倍政権のように天皇を「主権回復式典」などの行事に引っ張り出して利用する「統制派」と、「天皇陛下お助け下さい byどこぞのおかき屋」「天皇皇后両陛下はとても立派な方 by寂聴」の「皇道派」が主導権を争い、
韓国では「軍事独裁政権と日本保守政権の癒着・共犯」という日韓協定体制以来の「友好関係」を堅持しようとする「親日派保守」と、「戦後日本の平和憲法体制のおかげで韓国やアジアも平和だった」という怪しげな「神話」に基づいた「友好関係」を激賛する「親日派進歩」が日本への忠誠競争を繰り広げている。要するに「戦後日本」を肯定して、それとよろしく癒着・共犯関係でやって行くという主張においてどっちもほとんど違いがないという事だ。もちろん前者「親日派保守」勢力は駐韓日本大使館(総督府?)で毎年行われる天皇誕生日パーティには大挙雁首を揃えてお祝いに行くし、後者「親日派進歩」も李富栄のように「天皇陛下が安倍の暴走にくさびを打ち込んで下さいましたッッッッ!」とばかりに感動しちゃったり、京郷新聞のように「安倍は天皇の話を糸口にして真面目に謝罪しろッッッッ!」などと天皇の権威にすがって安倍を批判するなど、いずれも天皇大好きという点では甲乙付け難い。そのうち韓国では「朴槿恵よりも、平和主義者で植民地支配にも謝罪した日本の天皇に韓国の統治者になって欲しい」なんて声が保守・進歩問わずに出てくるのではないか。韓国という国が滅亡するとしたら北との対立や戦争などではなく、こうした庚戌国恥以上の国恥とも言うべき笑うに笑えない喜劇によって滅びを迎えるのではないかと筆者は最近考えている。
結論は一つだろう。
日本の「統制派」も「皇道派」も、韓国の「親日派保守」も「親日派進歩」も全部イヤ! 全部拒絶の対象、それ以外の何者でもない、という事だ。
かつて日帝時代には朝鮮日報や東亜日報が大々的に「天皇陛下バンザイ」を叫んだ。21世紀にはそれらと共にハンギョレや京郷もその役割を果たすと思う。ハンギョレは「天皇陛下万歳を伝えた恥ずかしい雑誌達」という記事を出した事があったが、それ間違いなく近未来の君達の姿だよ。
韓国をも巻き込んで、今や自画自賛世界一とも言うべき醜悪極まりない様相を呈している「憲法9条にノーベル平和賞運動」だが、これを見ていると「憲法9条とそれを守ってきた(?)日本国民」に一番似合うのは「イグノーベル夜郎自大賞」でも作ってそれを受賞させる事ではないかと思えてくる。一応イグノーベル賞にも平和賞はあるようなので、それをくれてやった方がはるかに早いだろうが。「戦争放棄の憲法があるくせにそれをまともに守らず、平気でバンバン軍隊を海外派兵しては兵器を輸出しようとし、我々が知る「平和」の意味を変えることに、官民一致協力して努力した」という事実は十分にイグノーベル平和賞受賞に値しよう。
それはともかく、この「9条にノーベル賞運動」が黒歴史扱いして全く語ろうとしないエピソードが一つあるのを御存知だろうか。日本ではもちろんそうだし、これにイカれて協力運動が起こっている韓国でもほとんどと言って良いほど黙殺されている。そのエピソードとは、ダグラス・ラミスに協力を求めて拒絶された件だ。この事は韓国の京郷新聞(笑)のコラムでラミス自身が明らかにしているのだが、これを日本で紹介した例というのを筆者はこれまで見た事がない。筆者も大分前に気付いてネタにしようと思っていたのだが、色々と他のネタに押されて忘れていた。この際なので御紹介したい。
どうも「9条にノーベル賞運動」をやってる会やそこの構成員達には「俺らの運動にはどんな奴でも賛意を表して当然」という思い上がった意識があるように感じられる。何しろ日本会議と神道政治連盟に入っているバリバリ改憲派(笑)の長島忠美と金子恭之まで賛同議員に加わり、「保守・進歩を問わぬ(右も左もない)韓国の社会元老」達までもが賛同して「9条の会と鷹巣直美(この運動を始めた主婦)を共同受賞者に」と推薦するくらいなのだから、ますますその傾向は強くなっているだろう(と言うか、極右改憲派の長島だの金子だのがこんな運動に入って来た時点でおかしいと思わないのかという話なのだが)。なので、協力を拒絶されたりすると、そうした事例を極度に恥じて黒歴史とばかりに「封印」してしまうのではないか。
問題のダグラス・ラミスのコラムは以下リンク先を参照。
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201404282107415&code=990100&s_code=ao124
「ダグラス・ラミスコラム」沖縄基地と日本憲法9条の未来(韓国語記事)
この記事で核心とも言うべき部分を以下に翻訳抜粋する。
同紙29面(琉球新報2014.04.12 訳者注)にはノーベル賞委員会が日本国憲法9条のノーベル平和賞候補申請を受け付けたという記事が載った。ここで「受け付けた」というのは278ある他の申請者と共に候補として挙げてくれたという意味だ。数ヶ月前に私は、善意でこの運動を始めたある若い女性の電話を受けた。私は長くも辛い対話を通じて、なぜその運動を支持しないのか説明した。まずそれは自己満足の側面が強い。申請に参加した人達は憲法9条支持者であり、したがっていかに間接的にやる事だとしても、彼ら自らを受賞候補に自薦するように見える。第2にさらに重要なのは、私が以前にこのコーナーで書いたように、世論調査の結果で日本人の51%が憲法9条を支持すると答えながらも、81%が日米安保条約を支持すると出た。安保条約に反対する人間は11%に過ぎない。憲法9条を支持する大多数が安保条約を支持するという意味だ。この人達は平和に献身するのではない。むしろ戦争が起こった場合、他の誰かが彼らの代わりに戦ってくれるのを望む。それは理解出来なくもないが、賞をもらうほどのものではない。そして米軍基地を日本、大部分は沖縄に置いておく根源こそが安保条約だ。辺野古に新基地を建てようという圧力の裏にも安保条約がある。
憲法9条の終末?
翌日からほぼ毎日この新聞には自民党政府の「解釈による」憲法9条変更計画に対する記事が載った。仔細に説明するまでもないが、日本政府は戦争・戦争の威嚇・戦争準備を放棄させる9条に対する解釈を、戦争を遂行して・戦争威嚇をして・戦争準備をする意味に変えようとしているというのだ。我々はこの驚くべき論法の前例をジョージ・オーウェルの有名な小説「1984」で「戦争は平和だ」という政府スローガンに見る事が出来る。ノーベル賞委員会が日本国憲法9条に賞をやろうとするなら急いだ方がいいだろう。
「9条にノーベル賞運動」はものの見事にラミスに振られた訳で、日本の護憲・平和運動でもそれなりに知られたラミスに一蹴された事実はまさに運動の「黒歴史」となったのである。この記事に出て来る「善意でこの運動を始めたある若い女性」というのは多分間違いなく鷹巣直美当人の事ではないか(「運動を始めた」人物というのだから)と思う。
いずれにせよ、この運動の馬鹿馬鹿しさはラミスの言う「自己満足」の「自薦」、「日本人の多数が日米安保条約を支持」という指摘で十分明らかなのではないか。憲法9条の文言を変えずとも解釈改憲でいくらでも日本は海外派兵や戦争が出来るし、実際にそうしようとしている。それにノーベル平和賞をやって何の歯止めになる? むしろ「これは平和の為」という大義名分を与えてしまうだけなのは明白だろう。一番痛い所を突かれた訳だが、それでも考えを改める事なく運動を続けているというのは、鷹巣ら運動の主導者が色々な意味で後に引けなくなっているという事を意味している。9条にノーベル賞を受賞させる事だけが正しい道だと本人も狂信的に信じ込んでしまっていたり、あるいは自説の間違いに気付きながらもノーベル賞の名誉欲に取り付かれたか…。要するに「ノーベル賞欲しい病」またの名を「笹川良一症候群」「池田大作症候群」とでも言うべき病に取り付かれたという事か。それ以前にノーベル賞自体がクソだとは思わないのだろうか。
もっともラミス最後の一文「ノーベル賞委員会が日本国憲法9条に賞をやろうとするなら急いだ方がいいだろう」だけはいささか意味不明で的を外していると思うが。オバマやEUの平和賞と同じで、賞などやらぬが最上である。
鷹巣直美は運動の「有名人オルグ」の過程でダグラス・ラミスに電話し、それでものの見事に「玉砕」し、その「戦禍」を人に知られぬよう隠したという訳だ。あたかも大本営発表のように。「9条護憲派」のはずが、あたかも旧日本軍・日帝のごとき「玉砕」「大本営発表」「歴史隠蔽」というのも実に皮肉な話ではある。
前に述べた韓国の新党「国民の会 국민모임」について、先行きが暗いと筆者が考えるもう一つの理由は、変な奴らを味方に引き入れる危険性が非常に高いという点にある。2009年政権交代以前の日本の民主党がそうだったように、政権交代の為にはとにかく頭数を増やさなければならない。それでいわゆる「奇妙な同伴者」が増えていく。ある程度は仕方のない事なのかもしれないが、中には党そのものを破壊して引っかき回してでも私欲だけを追求するような輩も入って来る訳だ。日本の民主党の場合は小沢一郎がまさにそうだったろう。もちろん民主党政権が潰れたのは他にも山ほど原因があった訳だが。韓国の国民の会もそういう変な詐欺師みたいな連中を引き入れて、挙げ句はその「獅子身中の虫」に引っ掻き回されてボロボロにされる危険性が大きいと思う。その役割を果たしそうなのが正義党ではなかろうか。
この正義党について改めて説明すると、2012年の総選挙後に統合進歩党内で主導権を握れなかった党内非主流派達が「先の選挙は主流派が不正なやり方で候補を選んだ。あいつらは従北だ」と嘘をでっち上げてクーデターを起こし、それでも党権を掌握出来なかった為に脱党して出来た所だ。この騒ぎを奇貨とばかりに利用してセヌリ党政権は統合進歩党に対する公安弾圧を開始し、昨年末の憲法裁判所による解散命令へと至った訳だから、統合進歩党強制解散ばかりか韓国社会の民主主義破壊とファシズム台頭に最大の「貢献」を果たしたのがこの集団だと言って良いだろう。正義党というのは「進歩政党」を自称しちゃいるが、日本風に言えば明らかに「公安のエス」的存在そのものだ。筆者は以前に正義党の事を「韓国版転び社会党」と呼んだが、実際にはもっとひどい。
ここで一つのエピソードを紹介しておきたい。この時に統合進歩党から正義党に行った人間の中に柳時敏(ユ・シミン 元は盧武鉉政権時代の保健福祉部長官)という男がいるのだが、この男は自分がその前に作った国民参与党という政党で8億ウォンの政治資金ファンドを募集しておきながらそれを償還出来ずに借金として抱えていた。それで2012年選挙の時に旧民主労働党と合併してそれが統合進歩党となり、旧参与党のファンド負債8億も進歩党に引き継がれたのである。ところが選挙後に柳時敏は落選して自分とこの旧参与党系候補も1人しか当選出来ず、党内で主導権を握れなかった事から、やはり党内非主流派の沈相奵や魯会燦などとつるんで先述の「不正選挙弾劾クーデター」を起こした挙げ句に脱党した。こうして旧国民参与党のファンド負債8億ウォンは全部統合進歩党に押し付けられ、その借金を作った張本人である柳時敏は借金を一銭も払わずに逃げおおせましたとさ。めでたし、めでたし…って、全然めでたくねえよ! 青木雄二か天王寺大の漫画に出て来そうな金融詐欺師並みの真似を仕出かしたのが、この柳時敏という韓国稀代の政治詐欺師である。
柳時敏はこのように「韓国版小沢一郎」とでも言うべき、韓国でも最も悪質な政治屋の一人だ。この「前の党で抱えていた借金を、よそと合党する事でなすりつける」という詐欺的手法を、正義党はまたしても繰り返しそうな予感がする。国民の会発足のニュースが流れるや、またしても正義党はそそくさと政治資金ファンドの募集を始めたからだ。
http://jfund3.officepage.co.kr/?pn=5&board=notice&mode=view&p_start=0&no=2&pm=&pn=5&an=
正義党20億ウォンファンド募集
・今後予想される展開
「第20回総選挙で20人の国会議員当選を目指して」20億ウォンという多額のファンド募集。
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けど、どう見ても正義党に単独でそんなにたくさんの当選者を出せるとは思えない。それどころか全員落選して党そのものが消滅する可能性の方がはるかに高し。
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ファンドの借金を返せる見込みなし、と言うか最初からまともに償還するつもりもなし。
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「なあに、構やしない。また国民の会に合党してもらえばいいんだよ」正義党は国民の会に合党されて、20億のファンド負債も国民の会へ引き継がれる。
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合党してもらったおかげで旧正義党の面々もまた何とか当選して、議員職を保持する事が出来ました。でも相変わらず党の主導権は握れず。
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「先の党内予備選は不正だ! 今の党執行部達は不正なやり方で候補に選ばれ、比例の上位に入った! あいつらは従北だ!」いつか来た道、ふたたび旧正義党の連中は党内で騒ぎを起こす。
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旧正義党の沈相奵ら、またしても脱党して新党を結成。旧党のファンド負債20億をまんまと国民の会に押し付けるのに大成功! 沈相奵ら旧正義党の議員は借金をチャラにして、任期をまたしても1期延命させるのに成功しましたとさ。
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国民の会、「従北」を理由に国家保安法容疑で捜査を受ける。セヌリ党政権、憲法裁判所へ国民の会の違憲審査請求へ。そして憲法裁判所の判決は…。
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旧正義党の連中の「活躍」のおかげで、セヌリ党千年王国は2017年の大統領選挙でも安泰だ! いや、未来永劫安泰だ!
上記は飽くまでも筆者の予測である。だが国民の会もとにかく頭数を集めねばならないという焦りから、正義党に合流のラブコールを送っているのはかなりヤバイと思う。トロイの木馬を自ら引き入れるような話であり、正義党と合党するような事になれば、その瞬間に国民の会は秘孔を突かれて「貴様はすでに死んでいる」状態になったも同然だ。ケンシロウのカウントダウンが聞こえる。いや、別に筆者は国民の会なぞ全く評価も支持もしちゃいないからどうでも良いのだが、韓国ではまたしても詐欺に遭って前途有望(?)な政党が崩壊するのだなあと。国民の会が政策や「従北アレルギー」だけでなく、他の部分でも駄目そうな理由がここにある。
韓国という国の夜明けは遠い。
「統合進歩党は日本共産党をみならえ」
「日本共産党はソ連や中国や北の事を勇敢に批判している」
「日本共産党は日本で最も親韓派の政党」
「日本共産党は独島(竹島)領有権を放棄しろと主張している」
「日本が極右化しないのは共産党のおかげ」
知らない人が見ると驚かれるかもしれないが、これらはいずれも韓国の保守派や極右(と頭の足りないノンポリ)が日本共産党を語る時に、必ずと言って良いほど言われる評である。韓国の右翼が、だよ。信じられる? 大絶賛してんだよ。
韓国の極右や保守派にとって日本共産党とはどういう存在なのか? 一言で言うと「大変便利で重宝する友軍的存在」という事だろう。つまり自国内の反独裁勢力・平和統一勢力・親北勢力を攻撃するにあたって、日本共産党の肩を持った方が大変都合がよろしいのである。前にもちょっと述べた事があるが、韓国の極右・保守派にとって宿願である日韓安保・軍事協力のさらなる強化を図るには、韓国民衆が一般的に抱いて危惧している「日本は過去の植民地支配を反省も謝罪もせず、右傾化している危険な国」というイメージ(にして正しい認識なのだが)がある限りは非常に難しい。だからこそ「日本は右傾化なんかしてないんだ。植民地支配に対して真面目に謝罪しようとしている「良心勢力」ががんばって食い止めてくれているんだ。日本はちっとも危険な国なんかじゃない。だから安保協力を進めても全く問題ないんだ」という方向に世論を誘導したい訳だ。だからこそ朝中東のような保守メディアは共産党に加えて、しばき隊・野間一派をはじめとする連中をも必死になって「日本の良心勢力」として持ち上げようとする。韓国(今でも共産党が違法とされている反共国家である!)の極右・保守派がどうした事か日本共産党をやたらヨイショするという珍現象の理由はそういう事なのだ。また、日本共産党が北の朝鮮労働党と険悪な関係なのも、「敵の敵は味方」論理で南や民団に接近するもう一つの理由である。韓国の軍事独裁勢力も日本共産党も、朝鮮民主主義人民共和国を「共通の主敵」とする点では何の問題もないどころか、完全に利害の一致した同盟関係になれる。他にも赤旗のソウル支局を作りたいとか、韓国で影響力を増大させたいとかいう狙いがあると言われてはいるようだ。「日韓の癒着と共犯関係」とは、冷戦時代までは「韓国の軍事独裁勢力と日本の右派・保守政権」のそれが定番だったが、今や「韓国の軍事独裁勢力と日本共産党」の間にもお互いの利益の為に野合が成立した。日本右派のと違い、日本共産党のそれは「遅れて来た日韓癒着」ではあるが。
現与党・セヌリ党に代表される韓国の極右・保守派・旧軍事独裁勢力というのは植民地時代の親日派勢力の流れを汲んでおり、日帝の侵略戦争や植民地支配に抵抗してきたはずの日本共産党とは本来対立する立場のはずだ。が、実際にはそうなっておらず、日本の右派・保守勢力と伝統的に癒着してきた韓国極右・保守・親日勢力(共産党の宿敵であるはずの統一協会も当然この中に含まれる)に大変歓迎される存在になり、そうした「韓国での好感度」を自らも韓国での売り込みに利用しようとしている。日本共産党が北に対しては「人権侵害国家」「3代世襲」といってあらん限りの罵倒をして、対朝制裁にも国会でずっと賛成し続けてきたのに対し、南の朴槿恵政権で行われている国家保安法濫用や労働運動への弾圧、世界最多の自殺率、韓国のグアンタナモと言われる脱北者収容所といった人権問題を全く批判しないのもそうした文脈で見ると分かり易い。身も蓋もない言い方だが共産党と言えども究極的には「俺様の党派的利権・利害が第一」で動いており、日本の歴史問題や民衆の利害は二の次という点では自民党や公明党や生活の党(笑)とさしたる違いはない。
いずれにせよ、現在の日本共産党の政策や行動は朝鮮半島の民族和解や平和統一にとっては有害極まりない。日共は日本国内の他問題はいざ知らず、朝鮮半島本国や在日の問題に一切関わるなというのが正直な所だ。共産党は自分では「日韓友好推進」のつもりでいるのだろうが、実際には韓国内の極右や(左右問わぬ)吸収統一勢力を利する結果にしかなってない。朝鮮半島の視点から見れば、今の日本共産党とは国と民族の分断と対立に加担して利益を得ようとしている典型的な「外勢」の一つでしかなく、米帝や日帝とそんなに違わないのである。まあ、天皇制を容認し、従軍慰安婦問題での吉田証言を問答無用で全否定している今の共産党は、すでに戦前の共産党ではないのだから。「国家次元の謝罪と賠償を」という建前とは裏腹に、共産党も従軍慰安婦問題を「朴裕河的和解」方式で可能ならば幕引きさせたいという本音が密かにあるのではないかと疑いたくなる。本国の人間達もこうした日本共産党の持つ「限界」と「帝国主義社民としての本質」に早く気付くべきだろう。
韓国の極右・保守勢力にとって、日本共産党と同じ使われ方をしている「大変便利で重宝する友軍的存在」がもう一つある。和田春樹だ。
朴裕河教授の主張は、恐れ多くも日本を代表する良心的知識人であらせられる和田春樹教授が支持しているのだッ! 貴様はこれを知ってもなお朴裕河教授を「日本右翼の代弁者」扱いするのかッッッッ!
というのが、今では韓国の親日極右派が朴裕河を擁護する時の決まり文句になっている。典型例は以下リンク先(韓国語記事)を参照。ただし他にもちょっと読んだだけで気分の悪くなる内容が山ほどなので、閲覧は「自己責任」でお願いします。
http://blog.donga.com/confetti/archives/2624
言うまでもなく和田春樹は「国民基金」や「独島日韓共同領有論」など、「朴裕河式和解」を積極的に主張している。シンポジウムでも隣り合わせに座って、実に仲良さそうにしていた。2007年の時も2014年の時も…。これほど「日韓仲良くしようぜ」を象徴する図はないだろう。
http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/government/0704/0704170950/1.php
元従軍慰安婦への償い事業 光と影~アジア女性基金解散にあたり 2007/04/18
財団法人・女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)の解散にあたって、同基金の前専務理事・和田春樹氏(東京大学名誉教授)と、韓国・世宗大學教授・朴裕河(パク・ユハ)氏(※)が6日、東京の日本外国特派員協会で、同基金の解散にあたって講演した。
「日本では共産党が右傾化を食い止めてくれているんだ。だから日本は危険で無反省な国じゃない」
「朴裕河は和田春樹に支持されてるんだ。だから日本右翼の代弁者じゃない」
何でしょうかこれらは。例の「俺には黒人(その他在日とか同性愛者とかマイノリティなら何でも可)の友達がいるんだ。だから俺は差別主義者じゃない」論法の派生応用編というやつでしょうか。とにかく「共産党とか和田春樹とか、日本の良心勢力」の友達さえいれば親日派だろうが軍事独裁勢力だろうが、どんな極悪人でも善良な愛国者にたちどころに大変身! 韓国の悪質勢力にとって、身分ロンダリング(英語ではpersonationというぴったりな言葉がある)するのに実に便利で万能な道具なんですね。「日本の良心勢力の友達」って。
「誰彼には日本の良心勢力のお友達がいるんだ! だから…」
これは「日韓トモダチ作戦」とでも名付けるべきであろう。韓国側は、恐れ多くも「日本の良心勢力」様とのコネさえひけらかせば、どんなワルでも素晴らしい「愛国者」に大変身。日本側は、「誰でも(ハンギョレのような進歩派から日帝植民地支配を肯定するバリバリの親日極右まで)いいから現地の韓国人」とのコネさえ出来れば、「現状打破の知恵を持つ知韓派」のごとき顔が出来る。韓国極右・保守勢力(ただし現時点では統一協会を除く 笑)と日本共産党の野合関係、朴裕河と和田春樹のパートナーシップ。両者の利害は何から何まで一致しているのだ。こういう「日本の良心」をありがたがって権威付けしたがる韓国人の親日事大主義もいい加減卒業すべきだろう。「日本に良心勢力などいない」ぐらいに考えて警戒しておいた方がまだ無難なのが、今の東アジアの正しい情勢認識である。
「朴裕河は日本右翼の代弁者」だって? それはその通りだ。ただし朴裕河は「だいべん」は「だいべん」でも「大便」の方だろう。植民地支配・侵略戦争責任をなかった事にしたい、醜い日本人の願望がひり出したクソ、それが朴裕河という人間だからだ。実に幸い(?)な事に、「代弁」と「大便」は朝鮮語においても「テビョン 대변」で同音であり、このシャレは日本語でも朝鮮語でも全く同じに通用する。
朴裕河という存在は日本右翼のだいべん(代弁)にしてだいべん(大便)である。
박유하라는 존재는 일본우익의 대변(代辯)이면서 대변(大便)이다.
そんなクソと癒着(笑)している日本の「良心勢力」「右派・保守勢力」も当然…。
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