東京渋谷区が人権侵害としか言いようのない酷いホームレス排除をやりながら、裏では「同性パートナーシップ条例」なるものを承認していかにも「人権先進都市」のような顔をしている。そもそも渋谷区がホームレスを力づくで追い出しにかかったのは公園の命名権をナイキという私企業に売却した、すなわち金儲けの為であった。ところがそれだとあまりに露骨なので、同性パートナーシップ条例を大慌てで制定して体面を取り繕うごまかしに走ったのは誰の目にも明白ではないか。もちろんオリンピックの開催が決まったので、それに伴う街の「浄化」と「人権の外ツラ」を整えるという意味も大きい。かつてのソウル五輪(まさに日韓癒着の最たる象徴的事例であった!)もそうであったし、2016年のリオデジャネイロ五輪に向けてブラジルでも同じようなスラムの強制排除や反対運動の武力弾圧が起こっている事からも分かるように、今やワールドカップやオリンピックのような巨大(利権)スポーツイベントの開催とこうした酷い人権侵害は密接不可分の関係になっている。
それをごまかす為にちょっと別の「慈善行為」をやってみせて「うちはこんなに人権都市なんですよ」という顔をする…。よくある姑息な手段ではあるが、社会的弱者(ホームレス)を一つ排除する一方で、もう一つ別の社会的弱者(同性愛者)を持ち上げるかのような振りをするのは、まさに「分断統治」の最たる罪深いものだ。本当に渋谷区が人権を大事にするというなら、同性パートナーシップ条例を通すだけでなくホームレスの排除もやめるべきなのに、絶対そういう事はしない。ホームレスを公園から追いだしゃ命名権を買った企業から金が入ってくる。同性パートナーシップ条例で人権の体裁を取り繕えば、ホームレス排除の人権侵害行為もごまかせる上に、オリンピックに向けて外国にいい顔が出来て五輪利権もバッチリ。渋谷区にしてみれば一石で三鳥以上にもなるという事である。
これと同じような事を80年代後半にやっていたのが日本野鳥の会であった。野鳥の会は「自然保護」の看板を掲げながら、実際にやってる事は大企業の法人会員から莫大な会費を集め、行政の下請けみたいに環境アセスをして開発にお墨付きを出したり、果ては地方で地元住民のやっている自然保護運動を陰に陽に妨害する詐欺集団というのが実態で、今の反原連やCRACや東京デモクラシーのような3.11後のエセ社会運動の手口を30年以上も先取りしていた大先輩格にあたる(ただし今の野鳥の会がこのようになったのは、昔ある時期に首脳部のクーデターが起こって、がらりと組織体質が変わった為。詳しい経緯はまた後日にでも論じたい)。この事に気付いている人はなぜか少ないようだが。野鳥の会が地方の自然を守る運動をしないのは、自然保護運動の世界では有名である。例外は自分とこが所持するサンクチュアリ(野鳥保護区)の近くで何か開発の話が出た時くらいか。
80年代の後半にいわゆるリゾート法が制定されて日本中でゴルフ場の乱開発が行われた当時、日本野鳥の会はこれにほとんどと言って良いほど反対しなかった。自分とこの法人会員に三井不動産はじめとする大手不動産会社や大手ゼネコンが大挙して雁首を揃えていたのだから、そんな事出来るはずがない。だが表向きは「自然保護団体」の看板を掲げている以上、さすがに何にもしないままでは何も事情を知らない純真な下っ端会員達からも突き上げを食らって、組織のイメージ的によろしくない。そこで当時の野鳥の会が繰り広げたのが「かすみ網禁止」の制定運動だった。
ゴルフ場やリゾート開発の反対は野鳥の会としては金(法人会費)の為にどうしても出来ないから、代わりにかすみ網の反対をやって体面を取り繕う。
これはまさに今の渋谷区が
ホームレスを金儲け(公園命名権・五輪利権)の為に排除しながら、代わりに同性パートナーシップ条例を承認して体面を取り繕う。
のと全く同じであった。
かすみ網が野鳥の密猟に使われてきてその影響が見過ごせなかったのは確かだが、それよりもはるかに酷い自然破壊行為としてこの時一番優先すべき喫緊の課題であったのはゴルフ場やリゾートの開発ではなかったか。それを無視して何の自然保護かと思う。だったらかすみ網禁止とゴルフ場反対の両方を真面目にやれという話ではないか。しかもこの時制定されたかすみ網禁止は抜け穴だらけのザル法として悪名高く、ほとんど実効性がなかった。渋谷区の同性パートナーシップ条例にしても、これですぐにでも同性婚が可能になったかのように世間では騒がれているが、これは飽くまでも「パートナーシップ証明」であり、「婚姻届」とは別物である。少なくとも今の渋谷区役所に同性カップルが婚姻届を出しても受理はされない。野鳥の会が80年代後半に運動したかすみ網禁止法と同じで極めて実効性の薄いものである。野鳥の会がゴルフ場開発どころか実際にはかすみ網の禁止すら真面目に取り組む気がなかったように、渋谷区もまたホームレスの人権や生活はおろか実際には同性愛者の婚姻や人権など全く真面目に考えてはおらず、おいしいとこだけ利用してしゃぶりつくす事しか考えてはいなかったのだ。
野鳥の会にせよ渋谷区にせよ、こういう詐欺的手口に騙されてはいけない。
付け加えると、反原連(瓦礫拡散に反対せず、木野トシキに至ってはあのインチキ学者菊池誠を擁護)の野間易通が渋谷区のホームレス排除に対してどんな事を言ったか、あの男のツイッターを追った事のある者なら衆知の事実であろう。まさにこれらは詐欺師同士の類友である事がよく分かる話ではないか。
と言って良いのではないか。他でもない天皇パラオ訪問についてである。今回の訪問は何の「予行演習」だったかって? それはもちろん将来の「天皇訪韓」に決まっているではないか! 報道を見る限り、今回のパラオ訪問では事前に気持ち悪いほど現地パラオ人達の「歓迎ムード」が際立っていた。現地の人々が日の丸を打ち振るい、天皇陛下を大歓迎していますとばかりの光景が嫌になるほど報道されたのは衆知の通り。そして日本のマスコミでは倭王明仁の「悲しい歴史を忘れてはいけない」という発言が、いかに平和を願ったものであるかと言わんばかりに特筆大書してきた。
で、とてつもなく嫌な予感(笑)がしたので、この間の韓国の報道も筆者は併せてウォッチングしていたのだが、やはりと言うか、どの韓国マスコミも今回の天皇パラオ訪問を好意的に取り上げるばかりで、批判的な記事など見当たりもしない。保守派の中央日報から進歩派のオーマイニュースまで全部「パラオを尋ねた日王、悲しい歴史を忘れずに…過去を否定する安倍を牽制するメッセージ」といった論調(いや、むしろ進歩系の方が酷かったかな)だった。以前にも何度か書いたが、韓国の報道人や知識人達の多くは保守派進歩派問わず「今の天皇は極右安倍政権の軍拡化や改憲を牽制してくれている」というしょーもない集団幻想(中には「幻想」ではなく、日本との協調が韓国の「国益」になるという計算から意識的にそうした言動をしている確信犯も一定数いるだろうが)にとらわれており、今回もその典型的パターン(その近縁種が9条ノーベル賞運動)が炸裂した訳である。もちろん倭王明仁などという人間が本心から日帝の植民地支配や戦争犯罪を反省するはずもない。それは1990年5月24日盧泰愚訪日の際の宮中晩餐会で出た「痛惜の念 통석의 념」発言を見てもお分かりだろう。痛惜というのは大事なものをなくして残念だという喪失感を表わす言葉であり、明仁の言わんとするのは要するに「朝鮮半島という、日帝にとって大事な植民地版図を敗戦で失って惜しい」という意味でしかない。明仁が今回パラオまでわざわざ行って言った発言は、自分の親父がやった植民地支配(委任統治)と侵略戦争の犯罪を何一つ謝罪しない、恐ろしいほど他人事のような顔をした冷酷なものだったが、結局「痛惜の念」の25年前からこの男は何も変わっていないという事だ。それを今の韓国では言論人・知識人の多くがすっかり忘れ果て、「日王が安倍を牽制してくれている」と喜んでいるのだから救いようがない。韓国のマスコミ関係者や知識人層の中では、今や天皇ですら「日本の良心勢力」の一翼扱いなのだろう。韓国は全然反日じゃないよ。こんな親日共和国は他にありません。
日本にも「天皇こそ本当の平和主義者」みたいな事を言う「天皇陛下お助け下さい主義者」と言うか21世紀版皇道派みたいな連中が右翼左翼問わず少なくないが、旧植民地支配被害国でありながらそういう事を言う報道関係者や知識人が腐るほどいるという点で、韓国は日本以上かもしれない。これは冗談で言っているのではなく、本当に気持ち悪いほど「右へならえ」な明仁礼賛一色で、韓国のマスコミは右翼左翼メディア関係なくどこも日本以上の倭王パラオ訪問礼賛報道に終始していた。植民地時代にタイムスリップしたかのような印象を受けるほどの凄絶さだ。例によってそれら韓国マスコミの無残過ぎる報道内容を取り上げてみたい。本当に酷いものである。
まず分かり易い中央日報日本語版から行こう。
http://japanese.joins.com/article/797/198797.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|inside_left
パラオ訪れた天皇…「悲しい歴史忘れてはならない」
過ちの戦争の歴史を繰り返してはいけないという確約であり、和解と平和のジェスチャーだと解釈されている。
(中略)
明仁天皇の歴史認識発言は、安倍晋三首相が就任した2012年12月以来目立っている。天皇は2013年12月の80歳の記者会見で「日本は平和と民主主義を守らなければならない大切なものとして日本国憲法を作った」として平和憲法の改正に反対の意思を示した。彼はまた今年1月1日の新年の所感として「満州事変から始めた戦争の歴史を十分に学び、今後の日本の存在のあり方を考えることが今大変重要だ」と強調した。過去の歴史を否定しようとする安倍首相を牽制する発言と解釈された。
すげーな。「和解と平和のジェスチャー」「過去の歴史を否定しようとする安倍首相を牽制する発言」ってはっきり「解釈」しちゃってる訳だから。さすがは「植民地支配は神の意志」発言で有名な例の文昌克が主筆を務めていた新聞社だけの事はある。天皇こそ日本一のリベラルにして平和主義者であり、和解(by 朴裕河)と平和の使者、安倍歴史歪曲地獄を牽制してくれる救いの神、というのが中央日報の公式見解という事なのだろう。文昌克が「植民地支配は神の意志」発言で言った「神」とは天皇の事だったのである! 確かに史実ともちゃんと符合する(笑)! 日本は天皇を中心とする神の国(by 森喜朗)! 韓国もその「神」に支配されて喜んでる「2等国」! 大東亜共栄圏の中で自分よりも「カースト」の低い「3等国」のパラオやベトナム戦争虐殺被害者を見下して喜んでる最低な国・韓国! そのうち中央日報は「天皇陛下お助け下さい。北が攻めて来そうです!」なんて事を紙面のトップにデカデカと書き立てるのではないだろうか。
その他韓国語メディアの記事も以下に列挙して翻訳抜粋する。
・オーマイニュース
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002097383
10年ぶりにパラオに行った日王…日本政府はなぜ止めたのか
パラオ訪問して戦没者慰霊…積極的「平和の歩み」に視線
安倍政権と対照的な日王の「平和の歩み」
戦後50年に広島、戦後60年にサイパンを訪問して戦争を反省して戦没者を慰労してきた明仁日王は、パラオ訪問の為に10年近く念を入れた果てに宿願を成し遂げた。
日本政府はパラオの劣悪な宿泊と警護環境、80過ぎの高齢である日王の健康などを理由にパラオ訪問に難色を示したものと知られる。だがこの裏には安倍政権の別な意味が隠れているものと分析される。
日王の積極的な「慰霊の歩み」が、安倍政権の平和憲法改正と集団的自衛権行使の足枷になるという事だ。だが安倍政権の牽制にも関わらず、日王は海上に停泊した日本の巡視船で宿泊する不便も甘受してパラオ訪問を強行した。
日王はパラオへ出発する前に東京の羽田空港で開かれた歓送行事で、安倍晋三総理を前にし「悲しい歴史を決して忘れてはいけない」とし「戦争の為に倒れた数多くの犠牲者を思い浮かべて行って来る」と骨のある言葉を投げかけた。
日王夫妻は翌日に日本軍と米軍が激戦を繰り広げて死亡したパラオペリリュー島を訪問して慰霊碑に献花する予定だ。終戦70周年を迎えて戦争の悲劇を知らせて犠牲者を慰労する日王と、過去を歪曲して否定する安倍政権が食い違う道を歩んでいる。
筆者が今回調べた範囲では、このオーマイニュースの記事が一番酷くて最低だった。お読みの通り、倭王の事を「平和の歩み」「安倍政権と対照的」「戦争を反省して戦没者を慰労してきた」「10年近く念を入れた果てに宿願を成し遂げた」「安倍政権の平和憲法改正と集団的自衛権行使の足枷になる」「骨のある言葉」「終戦70周年を迎えて戦争の悲劇を知らせて犠牲者を慰労」「安倍政権(と)食い違う道」という最大級の賛辞で大絶賛である。日本の右派新聞だってここまで歯の浮くような美辞麗句は並べてなかったんじゃないか? これがかつて親日人名事典刊行に大きな役割を果たし、日本の植民地統治を追及してきた事で韓国進歩言論の雄とまで呼ばれたはずのオーマイニュースの成れの果てとは…。今やすっかり倭王大好きニュースに成り果てて、本当にバカ…?
・国民日報
http://news.kmib.co.kr/article/view.asp?arcid=0009323396&code=61131211&sid1=all
日王夫婦のパラオ訪問…日王の「戦争を反省する平和」安倍の「戦争できる国」と対比
日王の今回の訪問が格別な意味を持つのは、総理官邸などを中心に反対意見が出たもののこれを押し切って訪問を強行した点の為だ。(中略)だが日王は「戦後70年を迎える今年、戦場で倒れた数多くの人達を思って行って来る」として、海上保安庁の巡視船を宿泊施設にして50キロ離れた島をヘリで移動した。
日本から南に3000キロ離れたパラオには朝鮮人徴用被害者達の痛みも残っている。果たして日王の慰霊が戦死した軍人に限定されて限界があるという指摘があるものの、「戦争を反省する日王」の姿は最近相次ぐ過去史歪曲で周辺国を刺激して「日本を戦争出来る国」変えつつある安倍政権とは確然とした対比を見せている。
日本マスコミも日王のパラオ訪問を契機に安倍政権を批判した。
はい、「倭王が平和で安倍が戦争」という実にオメデタイ認識を国民日報も披瀝してますね。こいつらこんなに倭王明仁を「平和主義者」に持ち上げて何を考えているのか。それで日本の軍拡化を止められると本気で思ってんの? バカ? しかも今回の訪問で倭王はわざわざ海保の船に宿泊した訳だけど、これって本来ならシャレで済まない話じゃないのか? 旧日帝海軍が源流である海保は朝鮮戦争にも派兵された準海軍組織であり、それが他国それも旧植民地の海にまでやってきて「かつての大元帥陛下のセガレ」がそこに「本陣」を構えるって…。韓国のマスコミも少しはその辺の歴史問題にツッコミ入れろや! 倭王がもし韓国に対して同じ事をしても、おまえ達は「戦争を反省する日王」とか言って礼賛するのか? もちろん海保は辺野古の米軍基地反対運動を今まさに武力鎮圧している極悪暴力組織であり、その巡視船に天皇が陣取って旧植民地を上から見下ろす「平和」とやらは一体何なのか。
余談だが韓国においても済州島で海軍基地(韓国軍は米軍の統制化にあるので完成すればアメリカはこれをいくらでも自由に使える為、事実上の米軍基地と言える)建設が強行されて反対運動が凄まじい武力鎮圧に晒されているという、全く同じ現象が現在進行中である。
日韓21世紀の同時期に南の島で米軍基地の建設強行とそれによる凄絶な環境破壊の危機と反対運動の武力鎮圧。
沖縄をアメリカに売ったのは裕仁。済州島をアメリカに売ったのは朴正熙(朴正熙はかつて不遇時代のニクソンに無礼な応対をした負い目から、大統領当選後のニクソンへの御機嫌取りに済州島を米軍基地用地に差し出した)。
裕仁の息子と朴正熙の娘の時代にその基地建設が現実のものに!
こんな所にも「日韓仲良くしようぜ」が!
日韓仲良く米軍基地建設強行しようぜ! それで自然環境を大破壊しようぜ! 反対運動を武力鎮圧しようぜ!
日本と韓国の間には一木一草にまで「日韓仲良くしようぜ」という名の日韓癒着・共犯関係がある…。
・ニューシス
http://www.newsis.com/ar_detail/view.html?ar_id=NISX20150410_0013591910&cID=10102&pID=10100
日本内で安倍の歴史修正企てに対する反対の声が大きくなる…村山「過去の教訓を忘れずに」
日本の安倍晋三総理が日本の立場だけを強調する方向で倭史を修正しようとする努力を激しく注ぐ中、これに反発して過去の過ちを忘れなければこそ同じ過ちを繰り返さないという反省の声も日本国内で徐々に大きくなっている。
(中略)
明仁日王もこの日第2次大戦の激戦地の一つであったパラオを訪問するのに先立ち「過去の悲しい歴史があった事を決して忘れてはならない」と強調したのに続けて、パラオでは旧日本軍戦没者碑と共に米軍慰霊碑も併せて訪問した。日王が米軍慰霊碑を訪ねたのは、誤った歴史を繰り返してはならないという自身の意思を表わしたものと受け止められる。
日本で安倍の歴史修正主義に反対する声が大きくなっているだって?
そんなん初めて聞いたわ!
しかもその代表的な事例の一つが倭王のパラオ訪問とか馬鹿じゃねーの? 倭王が今回のパラオ訪問で一度でも植民地支配(委任統治)を反省・謝罪したのか? こんなんで「誤った歴史を繰り返してはならない」と見なせるなら、とっくの昔に朝鮮半島に対する日本の謝罪は完了したと言われても反論出来ないだろう。
日本のマスコミがこれら韓国の報道を紹介しない理由が分からない。韓国では保守派も進歩派も問わず全マスコミ業界挙げて倭王のパラオ訪問を(冗談抜きで)大絶賛してやっているのに、日頃「日本サイコー! 日本世界一!」の本やテレビ番組ばかり作っては垂れ流している日本のマスコミが無視しているのは理解出来ない現象である。日本による旧植民地諸国への宣撫工作は着々と成功しつつあるという、喜ばしい消息であるというのに!
今回の明仁の「お言葉」にはこんな一節もあった。
ミクロネシア地域は第一次世界大戦後、国際連盟の下で、日本の委任統治領になりました。パラオには、南洋庁が設置され、多くの日本人が移住してきました。移住した日本人はパラオの人々と交流を深め、協力して地域の発展に力を尽くしたと聞いております。クニオ・ナカムラ元大統領はじめ、今日貴国で活躍しておられる方々に日本語の名を持つ方が多いことも、長く深い交流の歴史を思い起こさせるものであり、私どもに親しみを感じさせます。
もし今後「天皇訪韓」が実現したら、以下のように全く同じような事を言うのではないか。
朝鮮半島地域は第一次世界大戦前、日本の保護の下で、日本の植民地統治領になりました。韓国には、総督府が設置され、多くの日本人が移住してきました。移住した日本人は韓国の人々と交流を深め、協力して地域の発展に力を尽くしたと聞いております。タカギ・マサオ(高木正雄 朴正熙 説明不要)元大統領やナカジマ・イッケン(中島一権 丁一権 日帝時代は満州軍将校の親日派で、後に日韓協定締結時の韓国総理ね)元総理はじめ、今日貴国で活躍しておられた方々に日本語の名を持つ方が多いことも、長く深い交流の歴史を思い起こさせるものであり、私どもに親しみを感じさせます。
地元住民が倭王を出迎えに大挙して日の丸を振っていたパラオの姿は、間違いなく近未来の韓国の姿だろう。日帝がパラオでどれだけ残忍な植民地統治と皇民化政策をしてきたか。倭王の訪問を大歓迎したクニオ・ナカムラ元大統領のように戦後パラオでもどれだけ「親日派」が我が物顔でのさばっていたか。今回の「歴史和解セレモニー」の為に日本がパラオに対してどれだけ裏で様々な無理手・ゴリ押しをやったであろうか。朝鮮人・韓国人がそうした事を我が事として捉え、思いが及ばねばおしまいである。にもかかわらず、どの韓国のマスコミもあれを見て何も思わないどころか、倭王の「お言葉」に感動しちゃう体たらくなのだから救いようがない。
なお、当然の事ながら日本会議も倭王のパラオ訪問を礼賛していた事を併せて考える必要があろう。日本鬼的軍国主義亡霊の総本山である日本会議と、日帝被害国である韓国の全マスコミが揃って大絶賛を惜しまなかったのが今回のパラオ訪問…。日韓とっくの昔に大の仲良しだぜ!
「手段として鳥を使うと都合が良い」by 日本野鳥の会
(野鳥の会はこのような論理で自然保護を金儲けのネタにしている、反原連の先輩格とも言うべき社会運動詐欺団体だ。自然保護を看板にしてるはずがリニアにも賛成してるし)
今回のパラオ訪問は、日本の過去の歴史問題をチャラにするのに「手段として(平和主義に脱色した)天皇を使うと都合が良い」という、つまりは皇室外交の有効性をものの見事に証明する事例になったのではないか。安倍自民党政府のような「統制派」がそのように天皇を「手段として使う」のを実行し、どこぞのおかき屋や反原連や山本太郎みたいな「皇道派」が「天皇陛下お助け下さい」「天皇陛下こそ日本一番のリベラルにして平和主義者」と言って天皇の美化と権威高揚でそれを支える。両者は対立する存在ではなく、補完し合って共存する関係なのだ。そして今や、かつての日帝被害国であったパラオや韓国がものの見事に宣撫工作に「折伏」されて「皇道派海外支部」みたいな存在に成り果てている。
「手段として天皇を使うと都合が良い」by 日本政府
「それほどまでに近代天皇制の毒は強烈であり、今の日本の若い人達はそれに免疫を持っていない」by 雁屋哲
この雁屋の見立てはパラオや韓国のような外国にまで当てはまってしまったようだ。あれほど苛烈な日帝植民地統治を経験したパラオや韓国もまた歴史を十分に清算出来ず、歴史を忘れ、結果若い人達や知識人層も日本の近代天皇制の毒に免疫を持たず中毒した。
21世紀の天皇、明仁以降の天皇、その本質とはまさに「歩く靖国」という韓基大氏の評に要約されるだろう。天皇こそが靖国にして、靖国こそが天皇なり! これが21世紀の天皇像である。
天皇は歩く靖国である。
왜왕은 생동하는 야스쿠니이다.
ぽっくんは 歩く 身代金(by 小林よしのりのおぼっちゃまくん)
ぽっくんは 歩く 靖国社(by 日本最大のおぼっちゃまくん)
今にして思えば「日の丸・君が代は強制でない方が望ましい発言(2004年10月28日)」があってから急速に日本リベラル・左派の天皇を頼みとする風潮が強まっていった印象がある。当時の小泉政権下で横行していた日の丸・君が代の強制はもちろん、アメリカのアフガニスタン・イラク侵略戦争への積極協力・派兵といった事に懸念する層が「天皇票」として流れていったという事だ。そこに決定打となったのが例の富田メモ公表(2006年7月20日)であろう。これが出てから
天皇はある時期以降靖国神社に参拝してない。だから天皇こそ平和主義者なんだ! 天皇陛下の勅命が下されたのであるから、右翼どもは従え!
などという事をしたり顔で言う馬鹿な日本左翼がかなり出現した。「天皇こそ日本一のリベラル・平和主義者論」なる「21世紀版皇道派」の大きな発生源はこうした経過だったのではないかと思う。「佐藤優現象」の蔓延とも時期的にかなりダブっている。
天皇が靖国参拝しないだって? そりゃそうさ。本人自身が「靖国」そのものなのだから。「歩く靖国・生ける靖国」としての機能を天皇自身が果たしているのに、あんな今や型落ちとなった施設へ本人が参拝などするまでもないだけだろう。言うまでもなく靖国神社というのは明治以後の近代天皇制システムを構成する重要な一部所として機能してきた所だが、今回のパラオ訪問のように天皇自らが戦死者の慰霊やらパラオのような旧植民地の民衆を勝手に「英霊」として取り込む作業を、遥かに効率良く、パラオや韓国のような旧植民地に何の抵抗もなく(?)喜んで受け入れられたのであればなおさらの事だ。靖国事業所が担当していた「戦没者慰霊・海外臣民英霊化事業」を社長である天皇直轄部門として配属しなおしたまでの話。「読売グループ内の人事異動(by ナベツネ)」ならぬ「近代天皇制度内の事業部門異動」が、先代天皇の靖国参拝取り止めから時間を掛けてゆっくり進行され、今日のパラオ訪問において完了したと見るべきであろう。かくして天皇当人への「靖国機能」移管は果たされり! 故に「安倍政権に対する牽制」「平和への歩み」「過去への反省」「平和主義者・天皇明仁」などという意味をこれらに付与するのは根本的に間違っているのである。
此度の倭王パラオ訪問をよく見よ。パラオ民衆達に日の丸を振らせて倭王を歓迎させた日本が、どれだけ恐ろしく汚い国であるか。それは韓国の未来の姿であろう。このまま行けば間違いなく。
이번의 倭王 팔라우訪問을 똑똑히 보아라. 팔라우民衆들에게 日章旗를 휘두르게 해서 倭王을 歡迎시켰던 日本이 얼마나 무섭고 더러운 나라인가. 그것은 韓國의 未來모습이라. 이대로 가면 틀림없이.
岩波書店の就業規則改定案を見て驚いた。まさかここまでやるのか、一体同社の経営陣は何を考えているのか、どこを向いているのかと思う。
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/blog-entry-49.html
岩波書店の就業規則改定案について
改定案の「諭旨解雇または懲戒解雇」の条文(第41条の4)の特色は、その対象の一つとして、「会社および会社の職員または著者および関係取引先を誹謗もしくは中傷し、または虚偽の風説を流布もしくは宣伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき」を挙げていることである。
会社の「著者」や「取引先」の悪口を言うなという事だが、それで「会社業務に重大な支障を与えたとき」という非常に曖昧な文言を入れている所がポイントだろう。これは漫画の表現既成条例や特定秘密保護法と同じで、いくらでも拡大解釈の余地がある。出版社という言論機関が自らこのような就業規則を設ければ、どのような結果が起こるかは誰の目にも明らかだろう。社内の人間達は誰もものが自由に言えなくなり、結果は言論機関そのものの死へとつながる。
「会社の職員」が誹謗中傷された際もこうした処分にするというのもあまりに酷い話で、これは会社のお偉方が仮に経営判断ミスや背任行為を働いたとしても、それの内部告発すら出来なくなってしまうだろう。それとも自社内でそんな内部告発封じまがいの事をしなければならない(後ろめたい)理由が、岩波の経営陣には何かあるのか。おまけに自社内の告発や問題提起すら統制・抑圧する出版社の本で、政府機関や他の企業の内部告発を報じる事が出来るのかという話にもなるだろう。報じた所でその信用性を大きく疑われる事になるのは間違いない。「あの自社内の言論を強権的に統制してる岩波の本に載ってた事だぜ」などという陰口を読者から言われるのは、出版人として最も不名誉な事ではないか。
読売や毎日や共同通信など他の報道機関と比べてもあり得ない、それどころか日本の企業社会全体においてもあり得ず、憲法違反ですらあるような「法」を社内に作ろうとしている異常性をこそ岩波書店は自覚すべきであろう。
このような事は三尺童子でも分かりそうなのにも関わらず、こうした就業規則改定を敢えて行おうという、その目的は何なのか。
岩波の経営状態が最近思わしくない事は広く知られている。こうした会社が内部を引き締めて社員に緊張感を持たせようと試みる場合もあるだろう。だがどう見ても今回の岩波の場合はそうしたものではあるまい。この改定案にはただただ隣組的な「恐怖政治」と「言論封殺」と「排除の論理」があるだけで、職員達に良い意味で緊張感を持たせて業績を回復しようという意味があるとはとても思えない。
だとしたら、理由は金光翔氏のパージが主目的なのではないか。この間に金光翔氏が行ってきた「佐藤優現象批判」や岩波書店内部の諸問題指摘などが図星であっただけに、会社側もずいぶんと氏をいじめてきた。そしてついに会社側は自らを省みることなく、こうした「悪法」の制定とそれの濫用出来る体制作りへ乗り出したという事だろう。
「法の濫用」は「無法」以上に悪質にして危険なり。韓国の朴槿恵政権にせよ日本の安倍政権にせよ、この「東アジアの双子の極右政権」に共通する危険性の一つが「法の濫用」にある。統合進歩党強制解散しかり、沖縄辺野古の米軍基地建設強行しかり。これでどうして安倍政権を批判出来るのか? こうした言論封殺行為を自社内で行う出版社が社会的信用を得られるだろうか? 極右のデモすらヨイショする得体の知れない学者もどき(新派御用学者?)なら別かもしれないが。
結局この間に「佐藤優現象」はじめとする岩波書店の問題点を指摘してきた者が金光翔氏しかいなかったという事につきるだろう。しかもその告発者が在日朝鮮人であった事が余計に会社側を逆上させたのではないか。
「君は、岩波書店に入社したという時点で、在日の方としては特権的な、恵まれた地位にある」という発言が最も象徴的だが、会社側のこうした居丈高な民族差別意識が今回の異常な就業規則改定案に至ったのは間違いないであろう。岩波書店こそこうした自らの過ちを認めて改めるべきである。
岩波書店がこの間金光翔氏に行ってきた言論封殺をはじめとする抑圧的行為ならびに今回の就業規則改定案は、在日朝鮮人に対する民族差別行為であり、筆者はこれに強く抗議し撤回を求めるものである。
岩波書店は今こそ自分自身を省みて、「佐藤優現象」を推進してきた事や、様々な不当労働行為問題、今回の就業規則が改定される事による言論・報道界への悪影響を考え直さねばならない。
韓国の作家・金甲洙(キム・ガプス 김갑수)氏が自身のフェイスブックで3月6日に、「帝国の慰安婦」の書評を発表した。要点を突いた分かり易い内容なので、日本の読者にも訳して御紹介したいと思う。
金甲洙氏フェイスブックより「帝国の慰安婦」書評
知的無能、歴史的無知、論理的誤謬で点綴された駄々と偏見
「帝国の慰安婦」とは朴裕河、まさにあなたの事だ
本来見向きもすまいとした。だが論争が意外にも大きく飛び火した上に、一部の友人達の要請もあって遅ればせながらも本を求めて読んだ。「帝国の慰安婦」は予想していたものよりもはるかに低級な本であった。
この本の持つ非歴史性と非人間性の他に、この本の低級な水準を即座に指摘する文章がほとんどないのはどういう理由か気掛かりだ。おそらく「慶応」と「早稲田」という著者の学歴、それに現職大学教授という外ヅラの為ではなかったろうか?
時間を節約する為に簡単に核心のみ指摘しようと思う。一々分析せずに、この文章に込められた核心的主張達をそのまま提示しても読者が簡単に理解出来るだろうからだ。
この本は「慰安婦問題が解決しないのは解決を要求する側に誤りがあるという事を語ってくれる詭弁」(序文)で始まる。
― 慰安婦は日本だけの特殊な問題だ。だが軍国主義やファシズムの為ではなく、早くからあった遊郭という公娼制度を持っていた所に求めねばならない。
― 慰安婦募集は強制ではなく騙されたものであり、募集者は日本軍警ではなく売春業者であり、朝鮮人面長(村長)が帯同した事から見て、我々内部の協力者もいた。
― 挺身隊であれ慰安婦であれ、彼女達がそのように動員された過程に朝鮮人が深く介入していた事実を黙過した事が「慰安婦問題」を混乱に陥れた原因でもある。
― 日本大使館前の少女像は歪曲・創作されたものだ。実際の慰安婦は大部分が20歳以上の年齢だった。
― 小説「春婦伝」を見ると慰安婦達が希望地へと移動する場面が出て来る。これは日本軍の深い関与・管理の事実と共に、慰安婦の「自由」も見せてくれるものだ。
― 軍人達と慰安婦達が連れ合って馬や自動車に乗っては「大人が子供のように」遊んだ体験を、このお婆さんは楽しく幸福な追憶のように記憶する。(だが遺憾な事に)こうした類の記憶達もやはり公的記憶になる日はない。
― 彼女達が仮にある程度余裕を持った生活を出来たとしても、彼女達は依然として日本軍慰安婦であり、そうである限り彼女達を作ったのが植民地支配構造だという事は明らかだからだ。
― 実際に朝鮮女性の賃金は日本女性に次ぎ、中国女性はその次だった。
― 植民地朝鮮の貧困と人身売買組織の活性化の為に朝鮮人慰安婦が多かった。
― 慰安婦が20万人おり、そのうち80%が朝鮮人であったとするなら2012年現在まで登録された234人という数字はあまりに少ない数字と言わざるを得ない。
― 私(著者)は日本軍と分け合った切ない愛の話を聞かせてくれるお婆さんに会った事がある。
― 日本人・朝鮮人・台湾人慰安婦の場合、奴隷的ではあっても基本的には軍人と同志的な関係を結んでいた。
― 慰安婦は性奴隷ではなかった。むしろ彼女達の微笑は売春婦としての微笑ではなく、兵士を慰安する役割を付与された愛国乙女としての微笑と見なければならない。
― 2011年12月14日に水曜集会1000回を記念してソウルの日本大使館前に慰安婦を象徴する少女像が建てられたのは、日本の否定派達の反発を一層加速化させた。
― だが成功する可能性の希薄な運動を20年間も続けながら、病気になって歳をとった慰安婦達に韓国の自尊心を代表させたのは果たして当事者の意思を尊重した事だったろうか? これは民族の抑圧だ。
― 慰安婦募集は「罪」ではあっても「犯罪」ではない。
― バルガス・リョサの小説「パンタレオン大尉と女たち」(原題「Pantaleón y las visitadoras」韓国では「판탈레온과 특별봉사대 パンタレオンと特別奉仕隊」という題で出版:訳者注)を読むとペルーにも軍人慰安所があった。
― 宗主国(日本)に対する協力と従順の記憶は我々自身の顔として認めまいとした。「自発的に行った売春婦」というイメージを我々が否定してきた事も、やはりそのような欲望の記憶と無関係ではない。
このようにこの本は自己撞着、論点逸脱、相身互い、性急な一般化など全て取り上げる事が難しいほど多くの誤謬一色だ。論理的誤謬を行使するのには二つの理由がある。誤謬である事を知りながら駆使すれば欺瞞をする為であり、誤謬である事を知らずに駆使すれば無知の為だ。朴裕河は後者に属するものと見られる。
一つだけ例を挙げるなら、朴裕河は「だが実際は日本は戦争自体により深く介入した。米軍の要請による通訳や運転などの軍属業務にとどまらず、直接参戦して命を失う人間までいた」(259頁)だとして日本の朝鮮戦争介入を主張しては、いくらもしないうちに「アメリカと韓国は徴兵制を維持して他国に軍隊を送りもしたが、日本はそのような事がなかった。もちろん日本が平和憲法を守ってきたからだ」(300頁)だとして日本の朝鮮戦争介入を否定する。
こうした矛盾現象は自分の声だけで紙面を全て埋めるのが難しい、知的能力の欠如した筆者にこそ表れるものだ。実際にこの本は3分の1以上が日本右翼執筆者達の著書をそのまま取って来て移した引用文で埋められている。
もう一つ驚くべきは、大学教授だという著者が韓国憲法が優越するのか日韓協定が優越するのかも知らずにいるという点だ。そこで「慰安婦賠償問題を韓国政府が解決しようと努力しないのは違憲」という2011年憲法裁判所の判決も誤ったものと強弁する。
呆れた事に朴裕河は水増し式「従北狩り」まで試みる。
「軍国主義を批判するならば北から批判すべきではないか? だが慰安婦問題に積極的な韓国の進歩派が北の軍事主義を大声で批難する事はない」(300頁)
朴裕河は、お婆さん達は強制募集された軍隊慰安婦ではなく「自発的売春婦」だったという挑発的な発言をためらわない。これに対しては朴裕河の知人と見られる日本の和田春樹教授(「金日成と満州抗日戦争」著者)も「一部に人格冒涜的な酷い表現がある」と指摘した。こうした点でこの本が慰安婦のお婆さん達の名誉を毀損したという韓国裁判所の判決は正当である。
この本に対して最も正確な評価をした人は日本・明治学院大学の鄭栄桓助教授のようだ。彼は「(帝国の慰安婦は)検討の対象が曖昧なうえ、用いられる概念が理解可能なかたちで定義されていない」本だと評価した。彼の言う通りこの本は曖昧なだけでなく、互いに相矛盾する主張達がいたる所に散在している。だが一つだけを以って問題を提起すれば、別の一つを以っていくらでも逆攻撃を加えられるように出来ている。
朴裕河がこの本で言わんとした核心は、「日本は慰安婦問題に道義的責任はあるが、法的責任はない」という日本政府の立場を代弁する為のものと見られる。だが能力もない著者がいざ本を書いてみると、所々で駄々ゴネに等しい発言達が露出したのではないかと思う。この本に込められているのは「プロクルステスの寝台(Procrustean bed)」のように、一般的な基準に他の人間達の考えを無理矢理合わせようとする我執と偏見だけだ。
例を挙げると朴裕河は、「朝鮮の慰安婦達は明らかに被害者だったが、それでいて日本帝国内で第2の日本人的地位を享受する事が出来た」だと駄々をこねた。前にはお婆さん達が自発的売春婦だったと言っておいて、不意に日本人に次ぐ2等国民の地位を享受したと語る。これは要するにお婆さん達が「帝国の慰安婦」達だったという言葉と類似する発言だ。真に帝国を慰安する人は誰なのか? 朴裕河、まさにあなた自身ではないのか?
訳:ZED
韓国語原文記事はこちら
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=450177308466552&set=a.126958834121736.27678.100004228604235&type=1
御覧になった通りである。多言は必要あるまい。「帝国の慰安婦」とはまさに、自発的売文行為で日帝を慰安する朴裕河自身の事に他ならなかった!
金甲洙氏も今回の書評を書くにあたって鄭栄桓氏の記事を参考にしたようである。鄭栄桓氏の一連の記事は朝鮮語に訳された事もあって、向こうの人々にも良き影響を与えた(と思う)。訳した方がどのような方かは存じないが、その方の労苦には敬意を表したい。
もう一つ、朴裕河は「慰安婦問題が解決しないのは解決を要求する側に誤りがある」「ソウルの日本大使館前に慰安婦を象徴する少女像が建てられたのは、日本の否定派達の反発を一層加速化させた」という事をしきりに言い、問題が解決しないのは韓国の方、とりわけ「韓国側の過激行為」こそ元凶のように言っているが、このような詭弁と言うか無茶苦茶な論法は今の韓国で流行っているのだろうか? 他の運動でもこういう事を言う奴は珍しくない。そう、またしても例の「日本平和憲法9条ノーベル平和賞推薦韓国委員会(以下、9条ノーベル賞運動韓国側と称す)」である。同運動の推薦人となっている「韓国社会元老」の一人に李富栄(イ・ブヨン 이부영)という元民主党国会議員がいるのだが、この男はこの運動について最も熱心に色々なメディアに出てはしゃべりまくっているスポークスマン的立場と言って良く、この男の発言が事実上9条ノーベル賞運動韓国側の公式的立場とみなして問題はないであろう。李富栄は先日こんな事を言っていた。
http://www.nobelpeace9.kr/%EC%9D%B4%EB%B6%80%EC%98%81-%EC%9D%BC%EB%B3%B8-%ED%8F%89%ED%99%94%ED%97%8C%EB%B2%95%EC%97%90-%EB%85%B8%EB%B2%A8%ED%8F%89%ED%99%94%EC%83%81%EC%9D%84/
元議員に聞く。李富栄「日本平和憲法にノーベル平和賞を」
安倍を糾弾して日本大使館前に行って日章旗を燃やしたりする過激な抗議行動が、むしろ安倍と日本の政権を助けてやる結果をもたらすというのを大いに知る事になりました。
こいつ朴裕河とおんなじ事言っとる! 韓国側の「過激な抗議行動」が安倍と日本の政府を助けたんだと。慰安婦少女像のような「過激行為」のせいで日本が反発し、従軍慰安婦問題が解決しないという朴裕河の屁理屈そっくりそのままの詭弁ではないか。朴裕河の言ってる事というのは日本の極右、すなわち日本の戦争犯罪や植民地支配責任を認めようとしない連中の代弁なのだから、それと同じ事を平然と言っている9条ノーベル賞運動の正体も明らかなのではないか。どいつもこいつも…。
ちなみに李富栄はかつて金大中の側近だった事がある。またかよ…。何で金大中や盧武鉉の元側近衆てのはどいつもこいつもこういう豚や猿以下の連中しかいないんだ? 親分だった金・盧大統領が死んだ後、みんな揃って汚い本性を表わすか変節している。
朴裕河と9条ノーベル賞運動のもう一つの共通点は、「日本の良心勢力(笑)」とやらと密接な関係を持っているという事だろう。知っての通り朴裕河は和田春樹とベタベタな関係(国民基金つながり)であるし、韓国の9条ノーベル賞運動は大江健三郎や9条の会と密接な関わりを持っている。いずれも日本側の「権威」をバックにしてでかいツラをしている訳だ。歴史の歪曲、日本を見習うべき偉大なる先駆者と崇め奉る事大主義、それによって韓国民衆を誤った方向へミスリード。朴裕河と9条ノーベル賞運動の向かう先がそんな地獄でしかない事は明らかだろう。
朴裕河と9条ノーベル賞運動韓国の両者はいずれも典型的な「21世紀の金玉均」であると筆者は思う。日本を見習うべき偉大な先駆者的国家だと惚れ込んでそれに取り入り、福沢諭吉ら日本の実力者の力を借りて(利用されて)政権を握ろうとした。己の個人的野心の為に外勢を引き入れて国を売り飛ばし、自国民衆を苦しめる。当時の朝鮮人の多くは、いかにも「開化派」ぶって時代の最も先頭を走っているかのようなポーズをしている金玉均の詐欺師的本性に気付かなかった。同様に、いかにも「日韓和解」「手本とすべき偉大なる国家・日本の良心勢力がマブダチ」というポーズで気取っている朴裕河と9条ノーベル賞運動の正体に、もっと多くの人々が気付かねばならないと思う。両者とも「韓国民衆による日本への反発・抵抗」を骨抜きにする宣撫工作の役割を担っているのだから。
言うまでもなく、19世紀末から今に至る朝鮮半島の歴史はまさに激動の時代であった。日本による侵略と植民地化、8.15解放と南北分断、朝鮮戦争、冷戦時代の激しい対立、21世紀に入って束の間の南北協力時代、その後南が李明博・朴槿恵政権になって再び激しい対立時代へと逆戻りという、朝鮮半島5000年の歴史の中でもこのわずか約1世紀のように激しい動乱の時代はなかっただろう。朝鮮半島の歴史上、間違いなく最大の激動期である(現在進行形)この経過は、朝鮮人・韓国人であれば必ず知っておかねばならない基本事項である。
これらを知る為に役立つ記事と著作を今後数回に分けていくつか紹介・推薦しておきたい。いずれも朝鮮語の記事・本なので心得がないと正確に読めないという問題はあるが、それでも読める人ならば読んでおいて絶対に損はないと思う。
一つはプレシアンで現在連載中の「徐仲錫(ソ・ジュンソッ 서중석)の現代史の話」だ。8.15解放から現在に至るまでの歴史をインタビュー形式で述べたもので、こちらは主に南の歴史を扱っている。南北分断に始まった解放後、南朝鮮における親日派の跋扈、朝鮮戦争前後の虐殺事件、李承晩の独裁、4.19革命、張勉政権、5.16クーデター、第3共和国(朴正熙政権)、日韓協定、維新政権と経済開発…などなど、韓国の解放後史とその内実がいかなるものであったのかを俯瞰出来る優れた内容だと思う。「帝国の慰安婦」のようなクソ煩わしい偽書を粉砕する為の知識としても、この連載記事で述べられている日韓協定の話は素人にも分かり易い。
http://www.pressian.com/news/article.html?no=124485
서중석의 현대사 이야기<91> 경제 개발, 열일곱 번째 마당
徐仲錫の現代史の話【91】経済開発、シーン17
(現時点での最新第91回。ここに過去記事へのリンクあり)
この連載記事に書かれている事、例えば朴正熙とその軍事独裁政権に関する事実は、かつて民主化闘争や80年代までに日本で総連の在日朝鮮人運動に身を投じた者であれば既知の事柄も多いであろう。もちろんその後の研究で明るみになった新しい事実もある。だが、当時の朴正熙独裁政権がいかに酷く恐ろしいものであったかを改めて今の我々に教えてくれる貴重な話だ。在日の中にも朴正熙を「韓国を強国にした男」などといって持ち上げようとする詐欺師のような輩がいるし、韓国本国では極右勢力による朴正熙の神格化運動が行われ、その娘が大統領になってその動きはますます加速化している。そうした誤った風潮に抵抗して正していく為にも朴正熙という人物の人となり、その不当・不法な権力奪取の経緯、独裁権力維持の為に行われた暴力的弾圧、虚構に満ちた「経済開発成功神話」の実態は徹底して学んでおかねばならない。
また、この連載記事は心ある日本人やアメリカ人にも可能な限り読まれるべき内容だと筆者は思う。植民地時代から解放後の分断体制に至るまで、日本とアメリカが何をしてきたのかもこの連載記事で知る事が出来るからだ。日本が植民地統治時代に手先として育てて利用した親日派が、解放後も南朝鮮ではアメリカの庇護によって生き残った。天皇をはじめとする日本のA級戦犯が何人かを除いて、アメリカに買い取られるような形で助命・釈放されたのと同じである。そうした親日派の中には日本軍の中国侵略戦争で三光作戦に関わった極悪分子も少なくなく、それらが李承晩政権下で行われた4.3事件などの虐殺行為に加担したという恐るべき事実には言葉を失う。解放後間もなく南朝鮮で行われた民間人虐殺事件の多くは確かに日本軍の残虐行為に酷似した凄惨なものが多く、親日派は「殺しつくし、焼きつくし、奪いつくす」という虐殺の手口まで日本から学んで解放後の自国で「応用」したのである。解放後の虐殺事件の種まで撒いたという、日本の植民地統治の罪深さがよく分かるエピソードではないか。当然日韓協定以降の「日韓癒着」の実態も赤裸々にこの記事では語られる。
アメリカもまた李承晩や朴正熙のような独裁者を(時には対立する事はあったものの、全体として)庇護して利用してきた。反共の防波堤というアメリカの国益に適いさえすれば、例え朴正熙のように旧日帝の皇国臣民気風に色濃く染まった問題児であろうともさして問題ではなかったのである。加えて5.16クーデターを前後した時期のアメリカは、当時の張勉政権を「民主政権」「反共」という理念面では支持していたものの、ひ弱そうに見えるこの政権をどことなく頼りないとみなしていたフシがあった。5.16クーデターという民主政治破壊行為が起こっても、これをアメリカが積極的に牽制しようとしなかったのには、こうした背景も作用したと言える。アメリカは強権的な朴正熙の方をより「頼もしくて信頼出来そう」とみなした訳だ。「民主主義」を表看板に掲げながら、実際には自国権益に適いさえすれば支持するという、ダブルスタンダード(二重基準)の権化たるアメリカの本質は今も昔も変わらない。
被害者たる朝鮮人・韓国人が、また加害者たる日本人・アメリカ人のいずれもが自分達の歴史を正しく知る上で、この「徐仲錫の現代史の話」は優れた歴史記事であると思う(まだ完結してないが)。ぜひ通して御覧いただきたい。
これまでプレシアンというメディアを厳しく批判してきた筆者が、その連載記事を推薦する事を意外に思われる方がいるかもしれない。確かにプレシアンやハンギョレをはじめとする韓国進歩派メディアの、とりわけ2012年(総選挙とその後の統合進歩党バッシングに始まる「従北狩り」旋風や、海外ではシリア内戦やリビア侵略などのNATOによる侵略戦争が露骨化した年)以降の堕落振りは酷いものがある。が、これらの誌面から読める記事が全くなくなった訳ではなく、まともだった頃の名残と言うか良い意味での「残滓」はまだいくらか残っているのだ。そうした数少ない良質な記事や連載までも全否定する必要はなく、それらはそれらで積極的に読み、学べば良い。今回の記事の徐仲錫氏も筆者とは歴史観を異にする部分はいくつかあり、民主化運動出身と言えども韓国という反共主義・国家主義の国で生きてきた影響、つまり結局は「南の知識人」ゆえの限界と思う部分も結構ある。それでも韓国の解放後史として読むに足る内容であり、韓国と日本の歴史修正主義に対抗する為の知識を得る足がかりとしては十分だ。徐仲錫氏も事実に立脚して語る事に努めており、歴史学者としては誠実な人物であろう。
日本の赤旗や東京新聞や沖縄の新聞にも問題は非常に多いが、それでも優れた記事やレポートは存在するし、そこから原発問題や辺野古反基地闘争などの貴重な情報を多くの者が得て活動している。その上で韓国や日本の進歩言論の許し難い点や批判すべき点は別個に批判すれば良い。当たり前と言えば当たり前の話なのだが、この事は敢えて強調しておく。そうした常識すらわきまえないばかりか、当該記事をちゃんと読みもせず(か、あるいは読んでもその内容を理解出来ず)に「プレシアンは燃やしてやりたい!」と逆ギレヒステリーを起こす、理性も知性も持ち合わせない輩がたまにいるからだ。
数少ない優れた(それも親日派の悪行や、李承晩が無辜の民衆を「アカ」呼ばわりして虐殺した史実、朴正熙独裁などの歴史を鋭く暴いている)記事にまで罵声を浴びせるなど、それでは何にもならない(どころか明らかに有害無益)ではないか。こうした人間がいかに一見まともそうな事を言い、反原連や旧しばき隊といった現在の日本で最悪の社会運動詐欺集団やそれを追従する在日の不良分子と喧嘩した所で何の打撃も与えはしないし、むしろ敵に付け入る隙を与えて有害ですらある。そうした人間は吠えるだけで、その口には牙がないからだ。
牙のない犬に吠えられて恐がる者がいるだろうか?
いない!
吠えるからにはその口には鋭い牙がなくてはならない。それが在日同胞の人権や生活に関わる事であればなおさらである。その牙こそ、やるべき事とそうでない事を分別して自重と安静を知る理性であり、歴史や学問といった知識から謙虚に学んで積み上げる知性というものだ。それを絶対に忘れてはならない。もちろん上記の者が言葉や話の通じない「手遅れ」だというならどうしようもないが…。
今のプレシアンは確かに全体的に酷い傾向のメディアである。だが過去の優れた記事は今でも読むことが出来るし、良かった頃の「残滓」が今も完全になくなった訳ではない。そうした「残滓」は遠慮なく吸収すれば良いまでの事。韓国でも日本でも進歩言論の「旨み」は「本体」にあらず、「残りカス」にあり!
片やハンギョレにもそうした良質な「残りカス」はまだ残っていた。南の解放後史を述べた今回の記事に対して、こちらは北の解放後史をある側面から追跡する。それについては次回改めて御紹介しよう…。
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